そこで自転車を愛用している。自転車は短時間で効果的な運動ができる。(1)


『健康に生きる覚悟』
森村誠一   KADOKAWA/中経出版  2014/3/14



<本書は、引き渡すべき果実の集大成を試みた>
・夏は毎日荒川に通い、水遊びに耽った。上流からさまざまな漂流物が下流へ流れていく。河童少年たちが温泉と呼ぶ河川敷のお湯のように温まった水たまりにつかった。

・そして、高校時代は秩父へ登り、大学へ進学すると、ハイキングクラブ(現在のワンダーフォーゲル部)に入部して、八ヶ岳、日本アルプス、北海道、九州の山々にまで足を延ばしていった。
 百名山は狙わなかったが、いつの間にか三十数座、足跡を延ばしていた。

・当時、海外旅行は夢のまた夢であった。バイトで貯めた金と、ふんだんな時間にものをいわせて、全国を漂白に近い形で旅をしていた。

・夢を追う旅に夢中になって1年留年した。卒業、就職して社会に参加し、いつの間にか齢80を重ねた。
 ふと気がつくと、中、高、大のクラスメート、山仲間、サラリーマン時代の戦友、作家仲間などの人生の友に告別している。
 そして、去っていった友の空洞を埋めるように、新しい友ができている。
 彼らは私に新たな未知数を土産に持参してくる。

<48年の作家生活を支えてきた1日のスケジュール①――午前中>
<心身によいことは、学ぶよりは慣れることである>
・雨の日はやや寝坊するものの、毎日平均して朝7時半から8時には起きる。まず、コップ1杯の水とともにサプリメントを飲む。作家になったころから服用しているロイヤルゼリーと、それからサバのエキス、いわゆるDHAである。

・年齢相応の軽いリウマチがあるので、食後に持病のリウマチの薬を最小限、それと目のためにブルーベリーのエッセンスを飲む。

・風呂上がりには水を飲む。私は脳血栓を防ぐため、こまめに水分補給をしており、寝る前にはコップ1杯の水と少量の牛乳を飲んでいる。

・起きてから寝るまでのあいだに、毎日欠かさずに散歩している。この1日のスケジュールは、作家になったころからあまり変わっていない。

<「雲虎」との邂逅――レストルームでの貴重な時間>
・1日に3回は厄介になるトイレを、私はレストルームと呼んでいる。
 見事な便が出た時には、デジカメに収めることがある。家人に見せようとするといやがられるのだが、私はこれを「雲虎」と名づけ、体調のバロメーターとしている。

<単調になりがちな1日の「切り換え」のタイミング>
・松本清張氏が「作家に必要なことはなんでしょうか?」という質問に対し、「何時間、机にしがみついていられるかだ」と答えていた。質問者は、感性やひらめきや発想、応用力や創作力といった回答を期待していたのだろう。
 しかし私はその答えを聞いた時、「たしかにそうだな」と思った。机と向かい合うというのは、しんどいことなのである。

・私の体質は、気分転換しすぎると元に戻れなくなってしまう。気分転換のために動く、たとえばジョギングやウォーキングなどをすると脳にまわる血が筋肉にまわってしまうし、眠たくなってしまうのである。したがって気分転換の散歩もしすぎないよう、気をつける。

<自分を使って人体実験をし、体に合うものを厳選していく>
・70代までは鮨が好きでよく食べていたが、一度ナマモノにあたってから避けるようになった。いまでは、外出先では火を通したもの以外はほとんど口にしない。

<50年弱で厳選されたサプリメント>
<私が愛飲しているのがロイヤルゼリーとプロポリス>
・散歩に加え、健康によいといわれる食品はなんでもとる。サプリメントはプロポリス、生ロイヤルゼリー、サバのエッセンスであるペプチド、玄米酵素、ブルーベリー、二百種類の野菜を煮詰めた原液、黒酢、コラーゲン、青汁、梅、イチョウのエキス、黒にんにくなどである。
 テレビでさまざまな体操や運動が紹介されるが、やってみても長続きしない。サプリメントと歩くことだけは作家になってから50年弱も続いている。

<「一病息災」だから健康になれる――S状結腸過敏>
・若いころ、「S状結腸が過敏だ」と医者から言われた。S状結腸が刺激されると便意をもよおす。食事したあとにすぐトイレに行くのが理想的なのだが、会社に勤めているとそうもいかない。

・私は俗にいう「鳥腹」である。鳥は体を軽くするため、食べるのとほぼ同時に排泄を行う。だから昼食などを外で食べたとき困ることがある。

・排泄を我慢すると直腸がんのリスクが高まるとも、医者から言われた。「ためないに越したことはないよ」と言われたものの、勤め人では食事するたびにトイレに立つわけにもいかない。
 食事のあと出かけなければならない、という場合に困らぬよう、「あのホテルはどこにトイレがある」「あそこに公衆トイレがある」など、トイレマップをだいたい頭にインプットしておいた。それでもトイレがなさそうな場所に行く時、トイレに行けそうにないときは、食事を抜く。作家の川上宗薫氏も同じで、彼は飛行機などに乗る時は「トイレを失う」と言っていた。

・講演会では主催者が食事を用意してくれるのだが、「食べると話せなくなるので」とお断りしている。

・ただ、トイレが近いという欠点はあるS状結腸過敏だが、体内に腐敗物や毒素がたまらないため消化器系のがんにはなりにくいという長所もある。
 若い私にS状結腸過敏だと教えてくれた医者も、「これはいいことですよ」と言ってくれた。現代的な社会生活には不便だが、体内に排泄物をためないのだから、体そのものにはいいのであろう。

<「一病息災」だから健康になれる――高眼圧>
・60代で眼圧が高めだと診断された。眼科医の検診によると、緑内障を発症する恐れもある。緑内障は現代医学でも進行を食い止めるのが精いっぱいで、完治はできないという。これはかなりの衝撃だった。作家にとって目は命である。
 緑内障を防ぐには、眼圧が高くならぬようにすればよい。眼科医による予防法は目を酷使しない、刺激性の食物は控えるということだった。

・目の酷使は作家の職業病であろう。そこで仕事場の窓と天窓を大きくとり、太陽が出ているあいだは自然光で執筆することにした。

・刺激性の食物に関しては、私はコーヒーが大好きである。日に何杯も飲んでいた。しかしカフェインが眼圧を高めるということで、断腸の思いで1日1、2杯を自分に課した。

<心身のメンテナンスが充実した後半生につながる>
・人はだれでも老化していくが、その大きな原因の一つが老人性うつである。65、6歳からだいたいそれは始まるという。まず、朝がしんどくなる。
 老人性うつの人に話を聞くと、「先を考えると気が滅入ってくる」と言う。このままどのような死を迎えるのか。自分が死んだら女房はどうなる、子や孫はどうなる。自分がかかわっていた生活テリトリーがどうなってしまうのかなどと考えてしまい、滅入ってくるという。それが重症化したものがうつである。
 最近はうつのよい治療薬があるため、薬が合えばいいのだが、そうでないと一種の廃人のようになってしまう。

・そうならないためには、まず起きることである。

・それから、計画を立てることも大切である。つまらない計画でもいい。「図書館で借りた本を読む」「図書館で借りた本を返しに行く」でもいい。家で読むと変化がないので、電車に乗って終点まで何度も往復しながら読書をするのもいい。電車内というのは、意外によい読書空間である。

・日記をつけるのもいいかもしれない。日記をつけることで自分のライフスタイルが記録に残る。

・文章の練習にもなるし、また、人に読ませることを意識してエッセイ風に書いてもいい。ブログなどを始めてみると、どこで誰の目に留まるかわからない。思わぬ反響があると張り合いも出てくる。

<人生の後編に入ってからこそ心身のメンテナンスを怠らない>
・心臓の悪い人は心臓だけが悪いわけではないし、胃の悪い人も胃だけにとどまらない。体のどこかに一箇所に不具合があると、全身に広がっていく。
 それと同じように、心身のメンテナンスも一箇所だけのメンテナンスではない。精神のメンテナンスは気力や体力にも影響してくる。認知症になった人が比較的早めに亡くなってしまうのは、精神の老化が体の老化につながっているからである。体の調子が悪くても気の強い人は長生きをする。
 精神のメンテナンスは体のメンテナンスと表裏一体になっている。

<私が実践している健康法>
・「病気になれる日」を3日つくっておく――時間の予算計画を立てる
・「何もしたくない」ときは何もしなくていい
・「写真俳句」で散歩は充実する
 私の散歩コースはそれぞれ乗り換えも可能であり、バージョン数は多岐にわたる。作家に限らず、会社勤めから解放された人はみな運動不足に陥りやすいので、散歩はおすすめである。
 しかしおそらく、徐々に飽きてくるだろう。私もそうだった。ただ歩くというのは思いのほか単調なのである。そこで散歩の際、俳句を詠むようにした。
 芭蕉には曾良が、私のお供はデジカメと携帯電話、小型のテープレコーダー。俳句が浮かび次第すぐ録音できるようにである。

・この心身共に楽しめる「日課」が、私の健康の支えにもなっている。

・自転車で足腰と反射神経を鍛える
・私は雨の日以外、1日に30分ほど自転車に乗る。徒歩での散歩もいいが、夏の暑い日などは途中でいやになってしまう。そこで自転車を愛用している。自転車は短時間で効果的な運動ができる。

・反射神経のみならず視覚や聴覚、バランス感覚も養えるし、足腰も泳ぎと同じくらい鍛えられる。
 マウンテンバイクやロードバイクではない、いわゆる「ママチャリ」だが、30分もこいでいると心地よい疲労感が得られる。

・水泳は景色のいいところで浮き袋をつけて
 私の水泳は、風景の美しいところでの遠泳である。水温が高く、海水浴など人が多くて風景のバラエティに富んでいるというのが条件となる。熱海が好きなのは、そのような理由による。

・だが80ともなると、足の痙攣や低体温などいろいろ警戒することが出てくる。したがって、泳ぐときは首にぶら下げたひもに浮き袋をつけている。

・市民プールは景色が見えないため、近所にあっても足が遠のく。

・限られた食事回数を楽しむ――「一味一会」の心がけ
 食事には、食べ物そのものを中心にする場合と、人間関係を中心とする「接待、商談、政談、和解、冠婚葬祭など」の二種類がある。

・年寄りは肉を食べないほうがいいという説もあれば、肉を食べる元気があるから若くいられるという説もある。基本的に草食の私でも、肉が食べたいときには肉を食べるし、食べたくなければ食べない。食べたいものを食べる。

・食欲が健康につながる――「書く」ことは「食う」こと
 「証明」時代は、依頼のあった仕事はできるだけ受けるようにしていた。作家はニーズがあるうち、“お座敷”がかかるうちが華。
 若手作家のなかには、仕事を選んで断るタイプもいるという。私はどんな原稿依頼もウェルカムであった。私の年代の作家、昭和ヒトケタからフタケタ初期の作家はほとんどそうであろう。
 だいたい、仕事に対する姿勢が違う。書くためには家族は二の次、家族のことは忘れて原稿を書いていた。

・人生全方向のなかで、「食」が中核にあった。作家になってから「書く」ことは「食う」ことと同じであった。

・生きる張りが病気を遠ざける
 満腹状態でも貪欲に仕事を引き受け、書く。それがまた生きる張りになる。生きる張りがないと病気にもなりやすい。
「このために生きている」という目的がある人間には張りがあるから、致命的でない病気であればその張りで克服できるのである。

・眠くなったらいつでも、数分でも眠る
 昼寝を含めて8時間。夜の7時間睡眠に、午前11時30分ごろからの昼寝が30分~1時間。普通は、朝起きて夜寝るまで無着陸飛行という人が大半であろう。
 私は日中、眠くなったら20分でも30分でも眠る。眠りたい時にはレストルームの個室に腰掛けて数分でも眠る。

・昔から「親が死んでも食休み」といわれているが、それだけ食後の休息は大事なのである。

・睡眠にはつきもの――夢との付き合い
・眠りの前の私の儀式「コップ一杯の水」
・たっぷりの睡眠時間が活力源になる
・物忘れして当たり前! 気にしなければ思い出す
・私が「これだけはしない」という“禁私”事項
・無理せず、足るを知る――限界効用逓減の法則
・あえて便利な道具を使わない――便奴からの解放
・無理をしない――スケジュールを埋めつくさない
・やることがある朝の目覚めは素晴らしい
・人生の後編をたっぷり楽しむ「ゆったりスケジュール」

<人生の「後編」をどう生きるか>
・自分自身のために忠実に生きる。これが後編のモットーとなる。

<「現役」から「誉生」へ>
<現役時代から定年後に備えて周到に準備している人が多い>
・たとえば、新たな技術の習得、趣味の育成と拡大、副業の本業化、再就職などによる人生の後編の充実化である。本業化というのも現役時代と違い、生活のためではなく、趣味の延長としてという性格が強い。生産性のある趣味で収入を得ることで、より豊かな人生の後編を演出できる。
 趣味の延長とはいえ収入を伴うことは、社会のニーズがあるということだろう。

<独立独歩・自発的な高齢者こそが尊敬される>
・現役を退いても人生の先達として社会や家庭から求められ、尊敬されるためには条件が5つある。
1、 健康である
2、 多少の経済力がある
3、 生産性がある(趣味をもつ)
4、 仲間がいる
5、 おしゃれである

・そのためには、何はともあれ心身共に健康であり続けることである。

<50代のサラリーマン時代から備えに入る>
・いまや老後=余生ではなく、人生の本篇そのものが長くなったといえる。

<「他発的」から「自発的」へ生きるための訓練をする>
<衰えていく体の劣化速度をなるべく抑えることである>
・自由に意思する、自発的に判断する鍛錬をしなければならない。

<シニア年少組からシニア年中組>
・年長組の80代になると、自分は若いつもりでも気力、体力的に劣ってくる。膝が痛い、神経痛が出る、物忘れがひどくなる、集中力が続かない。80代になると、年中組のようにはいかなくなり、常に医者の管理下に入る。

・60代以降で大切なのは出会いである。

<限られた食事回数を楽しむ>
<忘れられない「一味一会」の思い出>
私の人生で忘れられない味、というものがある。
 仕事などで脳が疲れているときはブドウ糖を欲するため、夕飯後にチョコアイスかハーシーのチョコレートを補給するが、ハーシーが好きなのは、12歳の少年だった終戦直後に、アメリカ兵からもらった記憶があるからである。

<睡眠にはつきもの――夢との付き合い>
・夢のなかで思いついた話などはだいたいものにならないが、タイトルは違う。角川春樹氏から『作家の証明書』のような作品をというリクエストをもとに、夢で見たタイトルが『人間の証明』であった。

<眠りの前の私の儀式「コップ1杯の水」>
・ガブ飲みすることはないが、就寝前の「コップの一杯の水」で命拾いをすることがあるという。

<たっぷりの睡眠時間が活力源になる>
・安らかな眠りは、心身の健康があって初めて成り立つ。

<無理せず、足るを知る――限界効用逓減の法則>
・(ビールも)4杯目ともなると、もういらない。これが限界効用で、それ以上飲むと苦痛になってくる。そのチェンジポイント、その限界効用の切り替えポイントを自分の体に刻み込む。そうすれば、無理をすることはない。



『病気の9割は歩くだけで治る!』  
歩行が人生を変える29の理由
長尾和宏   山と渓谷社  2015/11/21



<「9割治るというエビデンス(根拠)を示せ」>
・「9割治るというエビデンス(根拠)を示せ」と言われれば、示すことはできないので、「大げさだ」と言われても仕方がないのですが、歩くということがすっかり忘れられている時代だからこそ、「病気の9割は歩けば治る」というくらいの気持ちで歩いてほしい。そう思って、あえてこのタイトルをつけさせていただきました。

・私は、兵庫県尼崎市でクリニックを営んでいる町医者です。町医者ですから、外来にはいろいろな患者さんが来られます。
 高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病の人、胃腸の具合が悪い人、うつ病や不眠症の人、認知症の人、がんの人、膝や腰が痛いという整形外科系の病気の人――。とにかくありとあらゆる病気や、症状でお困りの方がいらっしゃるので、お一人おひとり治療は違いますが、どんな病気であっても、共通してお話しすることがあります。
 それが、今回の「歩く」という話です。

・医療というのは、本来、食事療法、運動療法があって、3番目に薬物療法がくるはずなのに、ここ数十年、薬が一番上になっています。それはいかがなものか---

<歩けば歩くほど、生活習慣病は良くなります>
・歩くことで筋肉や骨が丈夫になれば、年を取ってから膝が痛い、腰が痛いといったことも少なくなります。
 認知症だって、歩くことで防げますし、たとえボケが始まっても歩けば良くなります。2人に1人がかかり、国民病といわれるがんも、歩くことで良くなります。
 不眠や膠原病、脳過敏症といった免疫系の病気も歩くことで良くなります。不眠やうつも、精神科に行って薬をもらわなくても、歩けば良くなります。介護が必要になりつつある「要支援」の人も、歩けば、要支援を卒業できます。
「病気の9割は歩くだけで治る」という本書のタイトルのもとになっているのは、外来で患者さんを診ている町医者としての実感です。一部の病気は別として、日頃診ているよくある病気の多くは、歩くことが治療や予防のカギになっています。
 歩くことは本当に良いこと尽くめで、困る人がいるとすれば医者くらいでしょう。(笑い) 病気が減れば、今ほど医者が要らなくなるからです。みんなが歩くようになって病気が減り、要介護の人が減れば、国の医療費や介護費も減ります。今、高齢者が増えて医療費・介護費大変だといわれていますが、みんなが歩けば半分くらいに減らせるはずです。

<現代病の大半は、歩かないことが原因だった>
・糖尿病人口は、950万人に。
高血圧人口は、4千万人に。
高脂血症人口は、2千万人に。
認知症人口は460万人、予備軍も加えると900万人に。
そして、毎年100万人が新たにがんにかかり、年間で37万人が、がんで命を落としている――。

・毎年、毎年、そんなニュースが次から次へと耳に飛び込んできます。「こんなに病気が増えました。10年後にはもっと増えるでしょう。大変です」と、大騒ぎしているものの、なんのことはありません。その大半は、歩かなくなったことが原因だと思います。

<「沖縄クライシス」>
・「沖縄クライシス」という言葉、聞いたことがありますか?
 沖縄県といえば、一昔前には、日本一の長寿の県でした。実際、1985年には男女ともに平均寿命第1位という、名実ともにナンバーワンの長寿県だったのです。
 ところが、2000年には、沖縄県の男性の平均寿命は全国26位に。2010年調査では30位にまで転落してしまいました。その裏で、65歳未満の死亡率は、なんとワースト1位になっています。
 一方、沖縄県の女性のほうは、2005年まで平均寿命全国1位を保ち、2010年調査でも3位とまだ上位のままですが、実は、長寿のおばあちゃんたちが平均寿命を引き上げているだけ。女性のほうも、65歳未満の死亡率は、2010年に全国最下位になっています。

・どうして65歳未満の死亡率が全国でもっとも高いのかというと、まず指摘されるのが、食生活です。昔の沖縄では食物繊維が豊富な煮イモを主食としていたそうですが、戦後、高脂肪・高カロリーの欧米型の食事が広まってしまいました。東京・銀座にマクドナルド1号店がオープンする10年ほど前から、すでに沖縄ではファストフードが入ってきて、すっかりファストフード天国に。その結果、メタボが増えていきました。

・そしてもう一つ、沖縄が長寿ランキングから転落した大きな要因が、車社会になって歩かなくなったことです。暑さが厳しい上に、タクシーが安いため、子どものころから足代わりにタクシーを使う人が多いと聞きます。
 結局、すべての問題は、食事と運動です。

・では、食事と運動、どちらが先かといえば、どちらも大事なのですが、体を動かさなければお腹もすきません。いくらバランスの良い食事を摂っても、カロリーを消費しなければ、栄養過多になってしまいます。だから、まずは体を動かす、歩くことが大事だと思っています。

<現代病の大半は、歩かなくなったことに起因しています。>
<江戸時代の庶民は3万歩歩いていた>
・唐突ですが、江戸時代の人たちは、今の人たちよりも6倍くらい歩いていたそうです。

・「サラリーマンは地位が上がるほど歩かなくなる」という研究結果も出ていて、ある調査では、課長・係長クラスは1日平均7千歩、部長クラスは1日平均5千歩、車付きの重役は1日平均3千歩だったそうです。偉くなればなるほど、生活が便利になればなるほど、皮肉にも健康からは遠のいていくのです。
 この半世紀というのは、歩くことが失われていった時代であると思います。

現代人は、「歩こう!」と意識しなければ、歩けない。江戸時代の庶民は、現代人の6倍歩いていたから、健康で幸せだった。

<糖尿病、高血圧………生活習慣病は歩くほどに改善する>
・生活習慣病の代表格が、糖尿病、高血圧、糖質異常症です。
 糖尿病といえば、まず推奨されるのが、食事療法。最近では、ご飯やパンなどの主食と甘いものを制限する「糖質制限食」に取り組む人が増えています。高血圧はというと減塩食。脂質異常症の場合は、コレステロールの制限でした。
 たしかに、“生活”習慣病ですから、病気のもとになった生活を見直さなければいけません。その際、食生活の見直しは避けて通れないでしょう。
 ただ、生活をつくるのは食料だけではありません。食以上に大事なのが、やはり歩くということ。

・「メタボ=メタボリックリンドローム(内臓脂肪症候群)」という概念は、私の出身医局である大阪大学第二内科で30年ほど前に誕生したものです。

<痩せればすべてが正常値になる>
・血圧も同じで、降圧剤を3種類も4種類も飲み続けている人がいますが、薬で血圧を抑えている状態というのは「治った」とは言えません。本来は、根本的に治すのが医療です。薬に頼るのではなく、もっと本質に迫るべき。それが、痩せるという単純なことなのです。
 そして、痩せるには、体を動かすこと、つまり歩くことが欠かせません。

<「貧困=無知」が子どもたちの肥満をつくっている。>
・親が健康に対して無知だと、子どもたちも同じような生活を引き継いでしまいます。

メタボ健診に足りないのは、歩くこと。歩かないからメタボになり、メタボが心筋梗塞、脳卒中、そしてがんと認知症を引き起こす。

<最大の認知症予防は計算しながら1時間歩くこと>
<糖尿病の人は認知症になりやすい>
・すでに書いたとおり、認知症の人は460万人に上り、予備軍も加えると900万人を超えるといわれています。これは糖尿病の患者数にも匹敵する人数です。特に、80歳以上では、4人に1人が認知症といわれています。
 それほど認知症が増えたのは、一つには長生きするようになったことが原因でしょう。

・たばこを吸っていると認知症リスクが3倍になります。

<認知症予防効果があるのは2つだけ>
<認知症の治療でも、実は歩くことが一番の治療です。>
・一つは、「シロスタゾール(商品名:プレタール)」という脳梗塞発症後の再発予防に使われる薬です。

・では、もう一つのエビデンスが知られている認知症予防の方法は何かといえば、実は歩くことなのです。正確にいうと、計算しながら歩くこと。

・あるお寺の住職さんがやっているデイサービスでは、広い境内で認知症の人たちが自由気ままに散歩できます。まるで放し飼い状態。そうすると、認知症の諸症状がどんどん良くなるのです。
 認知症の人は迷子になるんじゃないか、外出させたら周りに迷惑をかけるんじゃないかと思われて、病院でも施設でも、あるいは在宅でも、閉じ込められてしまいがちですが、それは間違いです。認知症の人こそ、誰よりも歩かなければいけません。

歩くことは、認知症の最大の予防法であり、最強の治療法。歩かせない、社会との接点を遮断する認知症ケアは完全に間違っている!

<うつ病も薬要らず、歩くだけで改善する>
・うつ病も、近年、患者数が急激に増えている病気です。
 厚生労働省の調査によると、1984年には11万人だったのが、93年には20万人に、2002年には55万人になり、2010年には70万人にと、すごい勢いで増えています。躁うつ病などを含めると、100万人を超えているそうです。

・なぜ、こんなにも急激に患者さんが増えているのでしょう?
 現代はストレス社会といわれるように、何かとストレスが多いことも一因ですが、それだけではなく、「うつは心の風邪」「眠れないときは、お医者さんへ」といった早期受信を促すキャンペーンによって、うつ病患者が増えている――という指摘もあります。

・それでうつ病が治ればいいのですが、ただ漫然と薬を飲み続けている人もかなり多い。薬から卒業できず、一生薬漬けになってしまっている人もいます。

<歩けば抗うつ薬から卒業できる>
・うつの人は、歩けば治ります。うつ病は、脳内の「セロトニン」や「ノルアドレナリン」というホルモンが不足した状態ですが、歩けばこれらが脳内で増えるからです。だから、1日5分でいいので、とにかく歩いてほしい。
 私の外来には、うつ病の患者さんも毎日のようにいらっしゃいます。そのたびに「歩いてくださいね」「歩くと、薬が要らなくなりますよ」と伝えるものの、なかなか歩いてくれません。

セロトニンを増やすなら、薬よりも歩くことで。抗うつ薬は、歩ける状態になるまでの“つなぎ”。

<国民病の不眠症は、歩くだけで解決する>
<睡眠薬よりも午前中の散歩を>

多くの睡眠薬は依存性があり、転倒・認知症リスクを上げる。子どもも高齢者も、朝日を浴びながら歩けば体内時計が整って、睡眠薬いらずに。

<逆流性食道炎も便秘も一挙に改善、腸内フローラが脳を変える>

胃腸を正しく動かすには、良い食事に加えて、歩いて自律神経を整えること。歩けば腸内環境が良くなる。腸が変われば脳も変わる。

<線維筋痛症も喘息もリウマチも、痛い病気こそ、頑張って歩け!>

甘いものばかりを食べて歩かないと、線維筋痛症、片頭痛、リウマチ、喘息、アトピー、パニック障害など“脳過敏症”を引き起こす。

<がんの最大の予防法はこんなにも単純だった>

がんを予防するには、まず歩くこと。がんになってからも、歩ける限り歩く。歩くことで免疫力が上がり、治療に耐えられる体ができる。

<風邪も歩いて治せ。 ただし体力に余裕のある人は>

風邪を治せる薬はない。早く治すには、ひたすら休むか。ひき始めに歩くか。風邪を治せるのは、自分が持っている自然治癒力のみ。

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