外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(9)


・中国の統計数字が怪しいことは、以前から有識者に指摘されていたことだといわれます。特にソ連の古い統計システムを使い続けていた場合は、数字に大きな誤差がでてくるといわれます。「筆者の予測では、最悪を想定した場合、中国の実際のGDPは公式発表の数値の3分の1程度に過ぎないだろう」ということでは、私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。著者の説も多数説になるのはいつなのでしょうか。ソ連の崩壊も、予想外で突然死のようなものでした。はたして中国の予想外の突然死は、おきるのでしょうか。官庁エコノミストの限界もあるようです。日本にエコノミストといわれる人々は多いのですが。私たち一般人は、当然、中国経済の詳細には詳しくはありません。中国のハニートラップもその後はどうなのでしょうか。著者によると「夜、外出先で宴席が設けられたのだが、とんでもない美女が接待役としてついてきた。2次会まで一緒にいれば危険だと思った私は、用事があるとか適当な理由をつけてその場から逃げ出した」ということですが、興味深いものです。ちなみにハニートラップ大国と指摘されています。

・社会主義の経済では官僚主義の悪い所が最大限に出ている経済といわれました。現代では、ロシアでは「シロヴィキ」といわれる治安・国防関係省庁の職員とその出身者が勢力を持ち直し恐怖政治が始まっているともいわれます。そして中国では、共産党官僚がノーメンクラーツ(赤い貴族)と化し都市部 の民工、農村戸籍の人民などの「豊かさを制限する」と指摘されています。市場経済化もうまくいっていないようです。

・「日本の借金は1000兆円」「一人当たり830万円」という数字の情報操作は、国民に広く浸透した情報操作だったといわれます。当時の野田総理も「子孫に借金を残すな」と盛んに答弁していたといわれます。財務省には、この数字の説明責任があったようです。この数字の情報では「増税に反対」する世論は力がなくなります。様々な政治力学が働いたのでしょうか。また経済評論家等の「日本経済破綻説」や「国債暴落説」の本が店頭をにぎわしたものです。しかしながら、「国の借金問題など存在しない」というエコノミストもいるといわれます。私たち一般人には、経済学説にも理解不能なことが多いようです。このような経済の最も基本的な事柄にエコノミストの見解が分かれるのは、エコノミストの資質が窺われます。安倍総理自身もアベノミクスの失敗を認めたといわれます。経済問題は国民の主要な関心事です。そこで、いわゆる「正しい説明」をしてもらいたいものです。「あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである」といわれます。政治経済の制度疲労が激しく、システムが劣化しているそうです。そのうえ官僚と政治家の劣化もひどいそうです。その点については政治家と官僚の認識も自覚もないといわれます。ある意味ではディスインフォメーション(偽情報)、フェイク(偽)・ニュースになったのかもしれません。

・「日本の借金は1000兆円」といわれると誰でも驚いたものです。解釈が違うと別の結論がでてくるようです。財務省というファイナンスの権威のある役所のいうことは、誰でも従うともいわれます。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。1票の格差が大きいと政権の正統性が疑われるといわれます。「政治は税金なり」といわれますが、税制が劣化してきていると語られています。消費税に重点を置きすぎていて、累進課税や法人税の実質的な税制が応分負担に改正されるべきと指摘されます。文部省の天下り斡旋が問題になりました。官僚制度も時代の流れに適合できなかったといわれます。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」ともいわれます。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」といわれます。

・amazonに「アベノミクス」といれますと1352件の書籍がわかります。『反面教師アベノミクスに学ぶ』(岩佐代一)、『アベノミクスによろしく』(明石順平)、『アベノミクス崩壊』(牧野富夫)、『日本経済崖っぷち  妄念の中の虚像、アベノミクス』(浜矩子)等で、ネガティブなものが増えてきているようです。アベノミクスの評価も立場の違いで、2つのグループに分かれるようです。官庁エコノミストは、痛烈に批判する人は当然ながら、少ないようです。『「新富裕層」が日本を滅ぼす』という本の著者(武田知弘)は、41冊くらいの本を書いているようです。財務省の見解というものは専門家集団ですので、指導力は強いそうです。「実は日本は社会保障“後進国”」という認識の有識者は多いのでしょうか。

・著者(武田知弘氏)によると消費税という税は不合理な政策だということになります。しかし、「無税国債」の発行に賛成する官庁エコノミストは多くないようです。「無税国債の発行」を主張する新しい首相はでてくるのでしょうか、社会の遅れた面、非近代性、後進性、頭の古い面が予想以上に増えてきています。改革の速度も大変遅いようです。「失われた日本経済の25年」といわれますが、その間の経済政策は効果的ではなかったようです。25年の間に「日本経済の劣化」は相当すすんだようです。世界中で「格差の問題」が議論されています。「格差」は、税制で作られたともいわれます。「財源の裏付けのない政策は実現できない」ということで、「限られた予算、限られた処遇、増えない税収、十分でない福祉予算を削る財政赤字」という状況が続きました。財政・社会保障費の抜本改革が不可欠であることは明らかですが、実施は難しいようです。「もともと国家予算の分配の問題になるようで、財源をひねり出すためにも、行政、立法、司法の大胆なリストラ、近代化、効率化が必要」といわれます。税金の無駄遣いもなくせないようです。「それこそ税金の無駄遣いを止めて、国民の血税を費用対効果を考えて政策財源にあてるべきだ」そうです。

・「日本は先進国だろうか」という声も街中では増えてきているようです。「女性の登用も先進国とはいえない」そうです。女性の眼から見ると「政治や経済の後進性」を痛切に感じることでしょうか。スイスではベーシックインカムの実施が国民投票で否定されましたが、大胆な改革が先進諸国で検討されているようです。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームによる英知を結集した「国家改造計画」が求められているといわれます。舛添氏の公私混同が議会で批判されました。メディアにも大きく取り上げられました。あまりにも期待された知識人だったので、反動も非常に大きかったようです。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。困っている人も増えており、単に政治の貧困としては片づけられないそうです。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。政治家は選挙民の対応に追われて、勉強ができないそうです。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「移民の問題も移民に土地を与えることができないので受け入れられない」といわれます。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や政治家が登用されていないからだ」といわれます。

・「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。「政務活動費の問題も氷山の一角」と指摘されています。「日本の政治家はアメリカのロビイストのような役割を果たしている」という説もあります。そこで政治の改革がなかなかすすまないといわれます。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」、「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」ということで、「政治が遅れている。私たち一般人は、政治意識を高めて政治の近代化を急がなければならない」そうです。

・「消費税増税のスタンス」が政治の一般論としてあります。日本の「借金」は1000兆円もあり、財政危機の状況であり、消費税を上げて財政危機を回避しなければならないという議論が有力説となり、政府を動かしているといわれます。1000兆円という数字が独り歩きしており、真面目に「日本破綻」を主張している学者・エコノミストも少なくありません。経済学者やエコノミストが最も基本的な問題に見解が対立しているのは、私たち一般人には不思議な話です。財政の危機を考えると、消費税増税もやむをえないという思考が一般的でしたが、「日本の借金問題は、懸念することはない」という説もあり、驚きます。

・amazonに「日本破綻」といれますと908件の書籍を見ることができます。『2020年、日本が破綻する日』(日本経済新聞出版社)、『1500万人の働き手が消える2040年問題―労働力減少と財政破綻で日本は崩壊する』(ダイヤモンド社)等です。その一方で、『何があっても日本経済は破綻しない!本当の理由』(アスコム)という全く反対の見解もあります。とにかく「財政問題」については百家争鳴のようです。

・「築土構木の思想で、土木工事を大規模にして日本を建てなおす」必要があるようです。国土強靭化構想で、水道や下水道等、道路のインフラを再整備する必要があります。老朽化がひどいそうです。また地震や津波に対する対策や東日本大震災の復興にも大規模な「土木建設」が必要です。首都直下大地震津波や南海トラフ巨大地震津波も発生確率が非常に高いと、大衆レベルでも認識が浸透しています。かつて日本は、田中角栄氏の「日本列島改造論」にあるように「土建国家」ともいわれたものでした。田中角栄元首相の実績には毀誉褒貶があるようです。

・「熊本地震」も、このような大地震がくり返されて、不気味な南海トラフ巨大地震津波へと繋がっていくと、地震学者が述べています。「財源の裏付けのない政策は実現できない」といわれますが、建設国債や日銀の引受など手法はいろいろとあるようです。「コンクリートから人へ」ともいわれましたが、両方への投資が必要です。金融緩和と同時に大規模な財政投融資の両方が機能しなければならないといわれます。

・「政府債務残高約1000兆円」ということで「財政破綻」を喧伝し、大騒ぎをするエコノミストもいましたが、「国の借金問題など存在しない」と主張するエコノミストもいて、奇妙な面白い議論です。政府の紙幣発行権をめぐる考えの相違といいますか、デフレなどの基本的な考えが、それぞれ違っているようです。アベノミクスに対しても、厳しい評価をする経済学者もいるようです。外国の経済学者の評価も明らかになりました。今の状況では消費増税は無理だとされ延期されました。なお2019年10月1日から消費税の10%の引き上げが実施されます。

・私たち一般人は、エコノミストではないので、詳しい分析はできませんが、円の国際的な評価が、その実態を反映するそうです。「国債などの政府債務残高は現在、約1000兆円。日本政府の資産を考えると、ネット(差し引き)で500兆円になる。そこに日銀を政府との連結で考えると、日銀が300兆円分の国債を持っているから、政府債務は連結すると200兆円ということになる。GDP比で考えると欧米より少ない」という結論になると主張する学者(高橋洋一氏)もいるようです。ギリシアのような経済の弱い国と比較はできないようです。

・「日本の核武装」に言及する知識人が増えてきているそうです。核装備は一種の政治のタブーになっていた感がありましたが、世界情勢が大きく変わってきたためか、有識者から様々な提案がなされているようです。私たち一般人は、核兵器については詳しくは知りませんが、日本の周辺の仮想敵国が核兵器や細菌兵器、化学兵器を熱心に開発している以上、日米安保条約のみに頼ることは十分ではないようです。タブーなき防衛論議が必要のようです。国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートのドリームチームの英知を結集した現代の「国家改造計画」が求められているそうです。「日本最大のシンクタンクである官庁を政治家は上手に使いこなすべきである」といわれます。防衛政策ははたしてどのような評価をうけているのでしょうか。「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。

・「核の恫喝を受けないためにも核には核を」という合理的な思考が求められているといわれます。周辺諸国では、核兵器や生物化学兵器、核シェルターの開発を熱心に展開しているそうです。核戦争を想定内にしているからでしょう。核兵器を持たなければ歩兵の大量出血を強要されるといわれます。抑止力のない高価な通常兵器を少数そろえるのでは、拉致事件にも抑止力がなかったそうです。「抑止力のない高価な通常兵器を少数揃える」よりも、巡航ミサイルやバージニア級の攻撃型原子力潜水艦等の「抑止力のある高価な通常兵器を少数揃える」ほうが、費用対効果があるといわれます。核シェルターもありませんし、この方面に脳天気(ノー天気)ですと、日本も歴史から消えていくことになるでしょうか。5兆円という限られた防衛予算では不十分だともいわれます。「脳天気(ノー天気)な核シェルターもグローバルスタンダードを適用すべきだ」といわれます。

・「次の戦争では必ず新兵器が使われる。将軍たちは前の兵器で軍事演習をしている」そうですので、通常兵器が陳腐化する時代に備えておく必要があるのでしょうか。「核には核で」という常識がゆきわたるのはいつのことでしょうか。もちろん、日本の核装備には言うまでもなく、多くの反対論があります。法律や条約の問題もあります。しかし、憲法改正をしなくても核兵器は持てるといわれます。 核シェアリングの方法もあるといわれます。スイスのように100%の核シェルターと国民皆兵的な総務省管轄の郷土防衛隊で備える必要があると指摘されます。
太平洋戦争も米軍の新兵器と原爆によって、日本軍が圧倒されたように、新兵器の登場によって旧兵器が陳腐化するのだそうです。旧軍は、レーダーなどの新兵器で完敗しました。それも現代では新兵器の開発のスピードが速くなっているそうです。旧軍のほとんどの将官や将校も「戦争に勝てる」とは思わなかったそうです。そして「戦争に負ける」ということは、どのようなことを意味しているかも認識していなかったそうです。ひどい目にあったのは、国民すべてで特に庶民でした。

・サイバー戦争では米中戦争がすでに始まっているとも言われています。深刻な人口問題と社会問題を持つ中国は、国内が乱れると、さまざまな面で国際間のトラブルを起こし、領土紛争や対外戦争に打って出るという懸念が国際社会、チャイナ・ウオッチャー間では言われているそうです。amazonに「サイバー戦争」といれますと152件の書籍が出てきます。『サイバー戦争~すべてのコンピューターは攻撃兵器である』、『日本サイバー軍創設提案:すでに日本はサイバー戦争に巻き込まれた』という具合に刺激的です。どうもサイバー戦争はいまも熾烈に継続中だそうです。メディアに人民解放軍の将校の名前が出たりして米中サイバー戦争は奇妙な問題です。メディアもどの程度把握しているのでしょうか。

・中国の社会が不安定化することにより世界中に深刻な影響を与える懸念があるようです。学校にいけない子供たちが増えており、社会問題がいろいろと深刻化しているそうです。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。米国の学者も2016年に中国は昏睡状態に陥ると予測していたようです。また「中国人は国を捨てた人でないと信用ができない」という中国社会特有の国内事情があるそうです。

・中国の経済学者によると「影の銀行(シャドーバンキング)に対する規制が強化されるなら、中国の不動産価格が最大50%下落する可能性がある」という見方を示していました。不動産市場も株式市場もバブルが崩壊しましたが、再び、投機資金が動いているともいわれました。「チャイナ・リスク」を誰もが認識できる時代になりました。中国の経済の減速、混乱が大減速と大混乱になるのでしょうか。 中国では「上に政策あれば、下に対策あり」といわれていますが、限界がきているといわれます。「中国ははたして「中所得の罠」を破れるだろうか。筆者(高橋洋一氏)は中国が一党独裁体制に固執し続けるかぎり、罠を突破することは無理だと考えている」ということで、中国経済はハードランディングしかないといわれました。

・識者によると、中国共産党の「みっともなさ」が世界中のメディアに露呈されている時代だそうです。世界のメディアへの頻繁な露出こそが中国共産党が最も恐れていることではないのでしょうか。「誰も13億人を食わせられないので戦争をする」といわれます。「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいるといわれるくらい深刻な状況といわれます。中国が民主化すれば米国との(核)戦争はありえないといわれます。米中サイバー戦争(ナウ)はどのようになっているのでしょうか。中国は人類の難題となっていくそうです。マクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあるといわれます。

・中国のスパイ工作についても私たち一般人は、よく分かりません。旧共産圏のハニートラップはすさまじいともいわれます。移民の形で欧米の資本主義国へ流れ込むともいわれます。国交回復で「日中友好」との流れでしたが、「日中戦争」のタイトルの文字の書籍もでるような激変ぶりです。ハニートラップや産業スパイ、人口大国ですから「何でもあり」といわれます。私たち一般人は、複雑な国際政治のメカニズムが分かりません。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。同世代の男性が4000万人も偏りがある深刻な人口問題があると指摘されています。「愛国青年を戦場に送れとする古典的な手法が使われる」ともいわれます。20世紀は、内戦と共産党の独裁の失政のために中国国内では、膨大な数の餓死者がでたといわれます。ですから「愛国青年に貧乏を忘れさせるために戦争をする」、「誰も13億人を食わせられないので戦争をする」、「愛国青年を食わせられなくなるので戦争をする」等の執拗な戦争政策を取っていたといわれます。周辺諸国は、ほとんど戦争政策に巻き込まれています。ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と指摘されています。ブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」と語っています。「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたのです。

・「シリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こる」といわれます。太古の歴史から人類の支配のために、「戦争」という手段は欠かせなかったと語られています。「人類の歴史は、平和な時代よりも戦争の時代が長かった」といわれます。「竜座人(ドラコ)が遥かに進化しており、このレプティリアン型生物の交雑種がイルミナティである。交配人種であるイルミナティが地球を支配している」といわれます。目に見えないとてつもなく進化した異星人のことはアバブ・トップシークレットです。「売春は女性の最古の職業」ともいわれ、昔からハニートラップが盛んだったといわれます。ヨーロッパでは「売春とスパイが最古の職業」と語られています。堕天使が地球の女を狙って降りてくるといわれます。堕天使の性的な能力は異常に高いともいわれます。

・日本は敗戦後から「スパイ天国」といわれます。諜報機関もありませんし、法律的な担保がないそうです。未来には法律的に「移民」を認めなくても1000万人の外国人が日本に「職」を求めて、住みつくといわれます。世界中の「失業」の問題、難民、不法移民の問題は深刻だそうです。しかし、「移民の問題も移民に土地を与えることができないので受け入れられない」といわれます。人口大国の人材の流入もすすみましょう。外国において日本語教育をすすめるということは、彼らを日本に招いているということを意味します。外国の若者の失業は深刻な国際経済問題になっています。そうなると国際結婚も進みますし、日本国籍を取る人も激増しましょう。いわゆる「アメリカ化」がすすむといわれます。ニューヨークのような「人種の坩堝」といわれるようになる可能性も全くの空想物語とはいえないといわれます。そうなると、日本人のアイデンティティが失われ、さまざまな社会問題がでてくると語られています。海外援助の問題も、戦後多くのノウハウが蓄積されているといわれます。しかし、海外援助も複雑な問題が実際に起きていると指摘されています。日本の海外援助も数十年のノウハウがあり、大胆に見直し、リストラすべきだといわれます。

・「本当に優れた人材を国会に送り込むシステムが確立されていない」といわれます。「官僚とか議員は重要な仕事をしているのだから、仕事のできる者は優遇すべき」といわれます。ところが官僚や議員の仕事の劣化が、失政が増えているといわれます。「国家に損害を与えたなら個人資産でもって補償せよ」という厳しい状況だと語られています。「失政」が増えている時代に、私たち一般人は、政治意識を高めていく必要があるそうです。「政治家が劣化している時代だ」ともいわれています。聖戦「昔から政治が一番遅れている。票の請負業のようなもの」といわれます。「政治は税金なり」といわれますが、税制が劣化してきているともいわれます。いつまでも「政治が遅れている」ということでは複雑化する社会問題に対応できないでしょう。「民主主義国家においては国民はその程度に応じた政府しか持ちえない」。「国民が政治を嘲笑している間は嘲笑に価する政治しか行われない」といわれます。「政治に関心のないひとはいるが、政治に関係のないひとはいない」と指摘されています。



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・ブログ名称: UFOアガルタのシャンバラ
日本は津波による大きな被害をうけるだろう
・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・
「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」
「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」
「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」
「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」
「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」
「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」
「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」
「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」
「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」

グーグルのブロガーにも書いています→UFOパラレル・ワールド



外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(8)



『あなたのすぐ隣にいる中国のスパイ』
鳴霞  千代田情報研究会  飛鳥新社  2013/4/6



・来日後の私は、大学や兵庫・大阪の中国語学校で教える傍ら、日本企業の通訳もしていたが、その折痛感したのは「日本人がいかに易々と中国人に騙されるか」である。

<中国人学者たちの怪しい行動>
・日本企業は「人権」「友好」「学術研究」という冠をつければ、技術も機密も公開、資金まで提供して丁寧に教えてくれると、中共政府は見くびっている。この状態こそ、日本が「スパイ天国」であると揶揄され、世界から嘲笑の的になっている理由である。
 中共は「スパイの21世紀的役割は、技術的遅れを埋め合わせる機密情報の入手」と規定している。国家として科学技術力が欠けていることを認識し、先進各国の先端技術を欲しがっている。しかし、先端技術を習ったり買ったりするような状況は想定していない。
 中共は、習うこと、または習うことによって入手した技術は古いもので、最先端のものではないという認識を強く持っている。

<美女スパイの手口>
・中国のスパイ活動といえば、すぐ「ハニートラップ」という言葉が浮かんでくる。女性を近づけて相手を油断させ、情報を取ったり、工作したりすることであるが、日本の橋本元首相や自民党の前総裁・谷垣禎一氏も、これに引っかかったのではないかという噂がある。亀井静香前国民新党代表は、自民党時代、中国を初訪問する際、後藤田官房長官に直々に呼ばれ「中国の女性通訳には気を付けろ」と注意を受けたという。実際、中国を訪れると、すこぶるつきの美人通訳が現れ、耳に吐息を吹きかけるように小声で通訳するので、非常に困惑したという。
 中国における「ハニートラップ」の歴史は古い。

・また、2005年に明らかになった駐上海日本国総領事館の男性館員が自殺した事件なども、現代の「中共によるハニートラップ」として記憶に残る事件だ。

・また、あるときは男性館員が犯したささいな法律違反(例えば中国では未婚の男女がホテルの一室にいるのは違法)を他の公安職員に摘発させ、自ら館員を助ける役を買って出た。その際に用いた中国語文書も存在しており、日本政府はこの文書を根拠として、中共政府に「領事関係に関するウィーン条約」違反として抗議した。

・古来、「英雄艶を好む」ということわざがある。為政者や事業家など、「精力的に仕事をこなす人々」は「女色を好む傾向が強い」というほどの意味だが、最近では、多くの日本人が「英雄」になってしまっており、それだけスパイの対象も増えていると言えなくもない。自衛隊や領事館員ばかりではない。企業の技術者や最先端の研究を担っている大学の准教授などもその対象であろうし、インターンの大学院生や国会議員の秘書なども「英雄」になってしまうのである。

・また、ビジネスは「グリーンと銀座で動く」といわれたが、料亭での政治が姿を潜めると同時に、政治家も、夜の銀座に蝟集することが多くなった。つまり、銀座だけでなく六本木や赤坂など、夜の街は日本のビジネスマンのみならず政治関係の「英雄」も集う場所となっていったのである。そのような夜の街の異変が2011年2月15日の夕刊紙に報じられた。「中国の軍幹部令嬢らが日本で謎のクラブ勤め」という記事であるが、筆者もコメンテーターとして登場しているので、以下に要約を紹介する。
 中国人民解放軍の幹部らの複数令嬢が、東京の銀座や新宿のクラブに勤めていることが、在日中国人社会でひそかに話題となっている。金銭的に余裕があるはずだけに、その目的や真意について、「日本の政財界に特別なコネクションを構築している」から「スパイ説」まで、さまざまな憶測が飛び交っている。

・米国では、2009年だけで、米司法省が捜査に着手した中国絡みのスパイ容疑事件は、なんと400件を超えたという。

・最近は銀座でも赤坂でも、中国人の経営するクラブや中国人ホステスが少なくない。中国人のホステス専門の店ではなく、かなり老舗の名前の通ったクラブにも「中国からの留学生」と称するホステスがいることがある。

・今はなくなったが、麻生太郎氏が首相になる前、昵懇の女性が経営する「シュミネ」という高級クラブがあり、そこにも、長期間北京出身のホステスが在籍していた。高名な政治家が通う店であるから、政界関係者や官僚、企業経営者などが多く集まっていた。

・もともと中国には「千金小姐」といって、どんな貧しい家の娘でも美人に生まれてくればカネになるという即物的な考え方があるほどなのだ。

・日本人の恥の文化に付け込むのが「ハニートラップ」の本質であり、同時に、これは日本のみならず、一夫一婦制を持つ数多くの近代法治国家の間で行われている、中共スパイの常套手段なのである。

<嵌められても気づかない国会議員たち>
<世界のどこよりも簡単な日本政界工作>
・2012年7月18日号の国際情報誌『SAPIO』に、衝撃的な記事が掲載された。ジャーナリストの山村明義氏の署名記事で、「お寒い事情、赤いスパイへの警戒感ゼロの野田民主党政権を中国への機密情報「筒抜け政権」と命名する」と題されていた。

・あまりにも無防備な事態に、日本に詳しい中国共産党のある幹部はこう嘯くのだ。「今の民主党政権は国家情報の危機管理意識が皆無に等しい。我々が日本人に近づき、日本の重要な情報を握るのはもはや難しいことではなく、裏の偽装すらする必要もない」

・現実に昨年(2011年)7月から11月にかけて、同じ東京・永田町の衆参の議員会館で、中国国内からと思われる国会議員のメールがウイルスに感染し、外国への情報が送られたとされる「サイバーテロ事件」が起きた。

・ところで、ウイグル会議開催直前、在京の中国大使名でウイグル国会議員連盟の各議員に、会議への参加を見合わせるよう強く求める要望書が届いたのだ。これだけでも明らかな内政干渉だが、それはさておき、その配布先を見てみると、議員連盟に当時参加していない議員にまで届いている。逆に参加しているのに、抗議文が届かなかった議員もいる。調べてみると、ある時期に作成された名簿を元に送付されていることが判明した。
 では、なぜ中国大使は「日本ウイグル国会議員連盟」の名簿を知ることができたのか。

・国会議員には「行政調査権」というものがあって、それを行使すると国の機密資料を簡単に手に入れることができる。以下は伝聞であり、未確認のものであるが、国政に関することなのであえて公開する。まだ民主党政権になる前の話であるが、辻本清美議員の秘書から行政調査権を使ってある資料の提出が要求された。

・したがって、財務省の官僚は議員のところに資料を持って直接出向いた。ところが議員本人に面会したところ、そのような調査の依頼はしていないという。

・民主党政権下で、首相官邸に出入りできる人間が1300人に膨れ上がっていたというのだ。その中には「80人ほどの左翼的メンバーがいたり、前科一犯の人」もいた。

・まさに現在の日本の情報管理の甘さ、為政者たちの情報に対する認識の決定的な欠如を示していたとしか言いようがない。

<熱烈歓迎(訪中)の中身>
・彼らは手荷物をあけてみたりなど、すぐわかるようなことはしない。しかし、パスポートは、実は個人情報の宝庫だ。本籍地は当然だが、過去に中国や他の国のどこに滞在したかまで記録されている。中共はその個人の情報を得て、調査を始める。特に、事前に中国の他のどこかを訪れていた場合、たちどころにそのときの行動を調べ上げる。ちなみに、イスラエルの場合、外国人訪問者が希望すれば、入国のスタンプは押さない。イスラエルに敵対するイスラム国に行った場合、迷惑をかけないようにという配慮からだ。

・さらに、前もってホテルの部屋などに運び込まれた荷物は、歓迎会の間にすべて中身を見られていると思ったほうがよい。書類などは、コピーされていることが少なくない。

・シャワーを浴び、一夜を共にしたりすれば、彼女たちの行為はより完璧となる。当然その前の全裸で抱き合う画像も撮られているので、男性がスパイ行為に気づいて文句を言えば、それを持ち出される。中国の役人に泣きついても、基本的には無意味である。中国には「夫婦、親子以外の男女(外国人同士の場合は除く)が、夜11時以降、ホテルの同じ部屋にいてはならない」とする法律があり、法律違反で逮捕されかねないのだ。

・2004年、自民党の山崎拓元副総裁と平沢勝栄議員が、中国の大連市で拉致問題解決のために北朝鮮の高官と交渉をしたことがある。この時、ここに書かれたような状況で、日本側の交渉の内容が事前に漏れていたということを、大連の『紡垂新聞』が報じている。このほど左様に、中国では十重二十重にスパイ網が存在するのだ。中国と一度でも関係した外国人はファイルが作られ、それが年々更新され、膨大なものとなっていく。

<「合弁会社」での「地下党組織活動」>
・中国には日本の会社が3万社ある。独立会社・日中合弁会社・日台合弁会社・日香合弁会社などであるが、それらの現地企業の中には当然「中共地下党組織」が作られ、情報収集のみならず企業が反中共活動をしていないかどうか、チェックし共産党中央に報告することを任務としている。

・筆者は、幼年時代から大学まで、中国の教育を受けてきたが、「南京大虐殺30万人」などということは一切教えられていなかった。なので、中国の教科書に「南京大虐殺」が載っていると知った時には、非常に違和感を持ったものだ。筆者のように外国に出た者は、まだ冷静なものの見方ができるが、そうでない場合、自分の働く日本企業を敵視し、「地下党」員として活動することになんらの痛苦も感じない。こうした工作を、中共は「文化戦」と称している。

・最近では日本に帰化した中国人だけで12万人を超えており、彼らには当然選挙権が与えられている。これに永住許可者を含めると、中共のコントロール下にある者の数は膨大で、実に恐ろしい動向である。では沖縄はどうか。永住外国人に参政権を与えようなどと言っているくらいだから、中国からの帰化華人の数など真剣に考えたことがないだろう。しかし、これは間違いなく脅威である。

<日本の経済援助が中国のスパイ活動を巨大化させた>
<中共スパイの原点は周恩来>
<南京大虐殺が1979年までの中国歴史教科書に一切掲載されていない不思議>
・まさに、外国人の目から見ても、当時の日本人の記録を見ても、略奪や殺人を犯していたのは中国兵のほうであり、日本軍ではないのである。
 それにしても、人口20万人の都市で30万人を虐殺するなど神様も不可能だ。

<中共は中国人のいる場所すべてにスパイを送り込む>
・従って、全軍のなかで、スパイより高級なポストはなく、スパイより機密なポストはない。さらに、すぐれた知恵がなければ、スパイを使いこなせないし、人徳がなければ、よく動かせず、洞察力がなければ、もたらされた情報の真偽を判断できない。


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■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■

・外交も課題が多いといわれます。例えば、拉致事件についても40年以上も経っていますが、解決されておりません。担当者は、熱心に尽力していたようですが、政治家の非力が窺われるといわれます。この程度の問題に、40年以上もかかっているのでは、肝心の当事者(被害者とその家族)が高齢化で亡くなっていっています。昔から日本の外交官は評判が悪いと指摘されています。内部告発本も何冊も出ているといわれます。急を要する課題に十分に対応がなされていないといわれます。「改革が遅れているのは本当に優れた官僚や公務員、政治家が登用されていないからだ」といわれます。
「甘い国際感覚と貧弱な語学力で国益を大きく損ねている」といわれます。
諜報機関があれば、拉致事件は起こらなかったかもしれません。「日本は諜報機関のない世界的にも珍しい国だ」といわれます。

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)から引用。「北朝鮮による日本人拉致問題」の「2020年」を見てみますと、
「2020年
6月5日、拉致被害者家族連絡会の代表を務めた、横田めぐみの父・横田滋が老衰のため87歳で死去。横田の家族は、メディアやジャーナリストなどが安倍政権の拉致問題対応を批判していることに対し、最初に日本国内で拉致が起きている事を報じ、北朝鮮が認める前から北朝鮮の犯行を指摘していたのはメディアでは産経新聞阿部雅美記者のみだったとし、北朝鮮が拉致などしていないと言い続けられたのは、その他の日本メディアや北朝鮮を支持していた国内左派の支えであるとした上で、「何もやってない人が政権を批判するのは卑怯だ」と批判している。ジャーナリストの門田隆将は、拉致問題に対する日本の左派の態度について、「罪なき自国民の拉致にはなぜか無関心、中国や北朝鮮が相手になると借りてきた猫になる人々。恥ずかしくないです?」と批判し、J-CASTニュースも、日本メディアが横田の家族によるメディア批判をカットしたことを批判している。
6月14日、弁護士の橋下徹は、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』において「軍事力の行使とかできない現状では、なりふり構わず目的を達成するためには、北朝鮮にお金を払って、それで拉致被害者返してもらうしかない」と提言した」と記載されています。

横田滋氏が亡くなったことは実に残念です。安倍首相も任期中には結果を出したいと述べています。しかしながら、諜報機関もないので、効果的な対応策が打てなかったと指摘されています。新型コロナウイルスのパンデミックも終息せず、見通しは明るくないといわれます。地球温暖化による異常気象による世界的な災害の甚大化で、世界は混沌としているといわれます。

・パンデミックがすべてを吹き飛ばしたようだといわれます。パンデミックが想定外の深刻な打撃を世界中に与えているようです。『ざんねんな中国』という本(2019/11/18)はパンデミック以前の本で、新型コロナウイルスが蔓延した今の状況を当然ながら、理解していません。
「中国共産党の意志決定は、実質的に憲法よりも上位に位置づけられている」といわれます。より一層、中国共産党は、「統制経済」を強化していくだろうと指摘されています。私たち一般人は、中国の事情に当然詳しくはありません。海外に進出している企業担当者は、危機に直接、直面していたようです。
「人口大国だから、なんでもありという状況」といわれます。新型コロナウイルスもありということでしょう。このような状況では近未来の次のパンデミック・リスクの可能性も否定できないようです。パンデミックの今は予断を許さない状況といわれます。ガセネタ、フェイクニュースの多い世界のネット情報ですが、フェイクニュースの真贋を見抜く能力が必要といわれます。どれほど中国の人口問題が深刻かは、私たち一般人には、理解不能といわれます。またハニートラップ大国と指摘されています。それに巻き込まれた日本人も少なくないといわれます。つまり「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」という説もあります。
このようなパンデミックの危機の時にこそ国家経営の実務に精通したベスト&ブライテストのテクノクラートの英知を結集した「国家改造計画」が求められているそうです。

・AFPのネット情報(2020/6/25)によりますと、「新型コロナウイルス、現在の感染者・死亡者数(25日午前4時時点)死者47.8万人」
 「中国で昨年12月末に新型ウイルスが最初に発生して以降、これまでに196の国・地域で計932万6400人余りの感染が確認され、少なくとも457万4300人が回復した。

 この統計は、各地のAFP支局が各国当局から収集したデータと世界保健機関(WHO)からの情報に基づいたもので、実際の感染者はこれよりも多いとみられる。多くの国では、症状がある人や重症患者にのみ検査を実施している。

 24日午前4時以降、新たに5177人の死亡と16万65人の新規感染が発表された。死者の増加幅が最も大きいのはブラジルの1374人。次いでメキシコ(793人)、米国(749人)となっている。

 最も被害が大きい米国では、これまでに12万1662人が死亡、236万4874人が感染し、少なくとも64万7548人が回復した。

 次いで被害が大きい国はブラジルで、死者数は5万2645人、感染者数は114万5906人。以降は英国(死者4万3081人、感染者30万6862人)、イタリア(死者3万4644人、感染者23万9410人)、フランス(死者2万9731人、感染者19万7755人)となっている。

 人口10万人当たりの死者数が最も多いのはベルギーの84人。次いで英国(63人)、スペイン(61人)、イタリア(57人)、スウェーデン(52人)となっている。

 香港とマカオ(Macau)を除く中国本土で発表された死者数は4634人、感染者数は8万3430人、回復者数は7万8428人。

 地域別の死者数は、欧州が19万4294人(感染257万5077人)、米国・カナダが13万161人(感染246万6837人)、中南米・カリブ海(Caribbean Sea)諸国が10万684人(感染216万8873人)、アジアが3万624人(感染110万599人)、中東が1万4307人(感染67万8804人)、アフリカが8616人(感染32万7259人)、オセアニアが132人(感染8958人)となっている。

 各国の死者数・感染者数は当局による訂正やデータ公表の遅れがあるため、過去24時間での増加幅は前日の集計結果との差と一致しない場合がある。(c)AFP」と記載されています。

・「中国崩壊論の崩壊」ともいわれたことがありますが、経済成長がスローダウンすると膨大な失業者がでてくることにより、社会が不安定化することが懸念されています。社会主義強国を目指していますが、社会保障制度に大きな問題が多いといわれます。米中貿易戦争で、中国が大きな打撃をうけると指摘されています。米中貿易戦争は晴天の霹靂であり、有識者は誰も予想できなかったといわれます。「弱り目に祟り目」なのかもしれません。中国に関しては、大手のマスコミの情報を見るとそれほど、深刻にも見えませんが、様々な書籍を読むと「崩壊論」が真実味を帯びてきています。中国へ行くリスクというか、企業が進出するリスクというか、法律的なリスクも大きく、海外では様々なトラブルに遭遇するといわれます。中国に限らず、外国で事業を行うリスクは非常に大きいといわれます。当然ながら、私たち一般人には、中国はよく分かりません。
「普通の日本人が中国においてスパイ罪で刑務所入りとなったニュースを耳にしたとき、われわれがまず想起すべきは、その背後にある共産党政法委員会の恐ろしい実態であろう」といわれます。「われわれとしては今後、中国情勢と習政権の動向から目を離せない」と指摘されています。一人っ子政策の歪みによる3400万人の「男性余剰」の問題はチャイナリスクといわれます。

・ガストン・ブートゥールは「古来、人間が戦争を起こす理由はただ一つしかない」と言って、その理由を「若者が増えすぎることにある」と述べています。ブートゥールは「若者がたくさん戦死すれば、戦争は当初の開戦目的に関係なく自然に終わりを迎える」と語っています。ブートゥールは「古代のアラブでは男の子を尊び、女の赤ん坊はしばしば殺されていたと書いている。女性の人口が減ればいきおい出産数が減る。人口調整としては最も効果的な方法である」と語っています。「戦争の結果、人が死ぬ」のではなく、「若者がたくさん生まれ、人口が増えすぎると、戦争が起きて人口調整する」と答えたのです。

・昔のように新聞や週刊誌を読めば、何とか理解できることもあったのですが、あまり深刻なニュースは流れてこないようです。サウジアラビアの事件も不思議な話です。サウジアラビアの法律事情もよく分かりません。外国での法律や慣習も無知のため、海外旅行等で、逮捕・拘束されることもあるようです。シリアでの安田さんの事件のように、犯罪集団から日本人が狙われているといわれます。アラブ諸国に限らず、外国旅行等は「甘い国際感覚と貧弱な語学力」の日本人にとって鬼門だといわれます。海外旅行を趣味にする人も増えていますが、事故や事件に遭ったこともあるのでしょうか?ガイドのいる団体旅行のほうが、より安全なのかもしれません。

・ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)で見てみると、「サウジアラビアにおける死刑」現在において最も厳しい死刑制度を維持している国であり、人口当たりの死刑執行数は世界最多である。
死刑囚の大半は外国人労働者であるともいわれており、死刑囚の出身国との間で外交問題に発展することは日常茶飯事であるが、サウジアラビア側は多くの場合に死刑を執行している。サウジアラビア国外で騒ぎが大きくなったときは、一度死刑の執行を停止し、その後、ほとぼりが冷めたころに死刑を執行する方法も行われている。死刑が適用される犯罪として、殺人、窃盗、麻薬の密売、同性愛、不倫と婚前性交渉、強姦、売春、国王に対する冒涜、
イスラム教(特にワッハーブ派)に対する冒涜 神や預言者(ムハンマド)を冒涜するような言論、出版物の作成、所持
他の宗教を信仰すること(1993年の基本統治法施行以降は緩和された)
ワッハーブ派の信者を他の宗派や宗教へ勧誘する行為
魔術を使うこと
偶像崇拝と見なされる収集物の購入
サウジアラビアでは、中国の死刑と同様、人命を奪わない犯罪に対しても死刑が適用される場合が多い。
(執行方法)「死刑執行はモスクの近くにある、「首切り広場」と呼ばれる白いタイルが敷き詰められた場所で金曜日の礼拝の後で執行される。殺人など被害者遺族がいる場合には遺族が処刑場へ呼ばれる」とのこと。

・チャイナ・リスクは15年ほど前から指摘されていましたが、多くの経済人は中国経済の高成長に目を奪われていたそうです。「失われた25年の日本経済」と反対に「25年間の高成長を続けた中国経済」の破局が突然起こるとしたら、どうなるのでしょうか ⁉チャイナ・リスクは深刻だといわれます。
 「投資で成功するには投資をしないこと」というブラック・ユーモアがあるそうですが、「中国に投資をしている企業が、バブル崩壊、元の切り下げで、どのくらいの評価損になるのか」分からないそうです。「バスに乗り遅れるな」と動いていたアメリカのヘッジ・ファンドの面々は、事前の資金の引き上げ完了に動いているといわれます。「JALの倒産は誰もが予想したことではなかったように、一般の投資家は常に損をする」といわれます。

・「現代史においても非常に特殊な歴史のあった中国」に関しては、世界中の人が疑惑や懸念の目で見ていたようです。その特殊性から日本人とは水と油のように溶けこまないそうです。「アルバニア以外の国家は、すべて中国の敵だとみなされていた時代」もあり、国際的にもその特殊性が認識されているようです。混迷な状態になるようですが、当然、すべて政治的な「体制を維持しようとする」勢力・中国共産党の対抗策が懸念されています。

・中国の事情は「群盲象を評す」の感があり、日本のマスコミも十分に実態をつかめないようです。日本人が見える部分と見えない部分の差が大きいようです。「後進国から途上国の段階にきた」と自国を認識している共産党指導部は、今後どのような政策をとっていくのでしょうか。米国のチャイナ・ウオッチャーも厳しい見方をしてきているようです。むしろ、米国の政府当局者の方が、CIAの情報などから正確に事態をつかんでいるようです。
 中国崩壊論は、多くの有識者の認識のようです。「中国崩壊論」の書籍が増えているようです。しかしながら、ネガティブなことばかり書くと、中国にいる駐在員が困るだろうと、現在の中国をポジティブに書く評論家もいるそうです。海外に移住できる人々は限られているので、大部分の中国人は国内で生きていかなければならないことから、中国共産党はあらゆる対策を打つことでしょうか。

・中国共産党は、あらゆる面で統制力を発揮しなければ、統一国としてのメリットがなくなることでしょう。崩壊するというよりも、当分は中国を立て直そうとする力が極端に大きくなるのかもしれません。「群盲像を評す」ということで有識者でも今後の展開を予測できないことでしょう。また「13億人のマーケット」というマーケティング・コンセプトは誤りだったそうです。
 「中国崩壊」は「首都直下地震津波」や「南海トラフ巨大地震津波」のように起きる確率は非常に高いということは「将来、必ず起きる」ということと同じ意味の話でしょうか。ただ、人口大国ですので、いつ起こるのか分からないということでしょう。中国共産党が統治能力を失えば、一層の混乱となることでしょうか。政治経済システムがうまく回っていないので、国家経営のノウハウを持たない国として外国人の眼には映るそうです。

・外国人から「遅れた国」として見られたくないそうですが、外国人の目からは「滅茶苦茶な非近代国家」に現在の中国が映っています。ここにきては世界中の誰の眼からも明らかなようです。「後進国から発展途上国にきた段階」と語っていた共産党幹部は現在の中国をどのように見ているのでしょうか。中国共産党の最高幹部からも弱気の発言が目立つようになってきました。文化大革命にしてもそうですが、世界中の共産党というものは「国家運営のノウハウ、行政ノウハウを持たない集団だ」そうです。「胡錦涛時代に政権幹部から、「中国は1割のヨーロッパと9割のアフリカだ」という話を聞いたことがあったが、まさに言い得て妙だ」といわれます。4つの国に分割される前には多くの紆余曲折があることでしょうか?

・さまざまな中国の統計数字も以前から有識者の指摘があるように誤りが多いようです。また数字も膨大な人口から、深刻な数字が多いそうです。このままいきますと「深刻な人口問題を持つ中国は人類の難題・厄災となる」のでしょうか。中国問題だけに気を取られてもいけませんが、やはり国内では政治経済とオリンピック、「首都直下地震津波」と「南海トラフ巨大地震津波」に対する事前対策がポイントになるでしょう。東京オリンピックが成功裏に終わり、その直後に「首都直下地震津波」か「南海トラフ巨大地震津波」が襲うという恐ろしいシナリオも考えられることでしょうか。「天災は忘れたころにやってくる」といわれます。予言が当たらなくなるのは、パラレル・ワールドとの相互作用があるからのようです。

・「中国は崩壊する」という言葉は、どこにでも出てくる言葉になりました。一種の流行語になりつつあるそうです。崩壊は大げさで、景気が悪くなるということだともいわれます。人口大国ですからその影響は大きいようです。大手一流どころは、もちろん、中国崩壊論を素人でも書ける時代になったようです。いつのまにか崩壊論者が多数説になりました。社会主義経済は必ず(?)崩壊するという一例ですが、1991年のソ連の崩壊も私たち一般人を驚かせたものでした。あれから27年ですから激動の時代でした。「社会主義経済だから経済がまわらなくなる」そうです。ソ連の崩壊のように破綻のシナリオが動き出すのでしょうか。また「中国崩壊論の崩壊説」もありました。 

・ネット情報によると「ソ連が崩壊した主な理由が米国に対抗するために軍事費にカネがかかり、民生部門にカネを回さなかったことです。そのため農業政策がことごとく失敗。慢性的な食糧不足に悩まされていました。このように民政をないがしろにすると国民の不満が高まり士気も下がります。ソ連崩壊を一番喜んだのは自国民だったことがその証です」とのこと。13億人とも15億人とも言われる膨大な人口のうち10億人の層の不満が鬱積しているそうです。

・ソ連の崩壊時も庶民層が一番困ったようです。ソ連も膨大な軍事費が致命傷になったのは皮肉でした。軍事費が相当負担になっている国はいきおい、費用対効果で核兵器や化学兵器、細菌兵器の開発に力を入れるのでしょうか。有識者によると「こうした方法の一番安上りで効率的なのは原子爆弾を持つことである。だからそちらの方に動いていく」といわれます。

・「中国は旧ソ連の崩壊時に酷似してきた」ともいわれております。しかし、そこは歴史のある大国のこと、違ったパターンをとることでしょうか。インターネットによると「1991年のソビエト連邦共和国の崩壊による経済の混乱でハイパーインフレが起こった。1992年のインフレ率は26.1倍、1993年のインフレ率は9.4倍、落ち着くのは2000年以降になった。そこでデノミが実施され、1998年1月通貨単位を1000分の1に切り下げるデノミを行いました。しかし短期国債の償還期限が次々に訪れ、利払いが税収を上回り、制御不能状態に陥った。資本の流出も続き、国債価格は大幅な下落を続け、1998年8月14日には、利回りは170%にまで暴落した。株価の暴落も続いた。1998年8月17日から90日間の対外債務の支払い停止発表(事実上のデフォルト宣言)。デフォルト宣言後、国内銀行が営業停止となり預金封鎖が行われ、資産はすべて国に没収された。銀行の貸金庫にあった資産もすべて国に没収された。株価は1997年10月のピークから15分の1にまで下落した。ソ連時代の1ドル=1ルーブルから1ドル=24ルーブルへ下落した。通貨単位がデノミにより1000分の1に切り下げられたため、換算すると通貨の価値は2万4000分の1になった」とのこと。

・報道によると100兆円規模のシャドウ・バンキングによる金融の7月危機説が言われていました。中国の崩壊は、15年ほど前から言われてきましたが、ここにきて誰の目にも明らかになりました。崩壊する、崩壊するといわれてもまだまだ長く続くことでしょうか。ここにきても4年くらいはもつかどうかともいわれます。7%以下程度まで成長率が減速する可能性があり、ハードランディングになれば、低所得の階層にしわ寄せがいき、「社会的にいろいろな意味でガタガタするかもしれない」そうです。いつまでかわかりませんが、警察力と人民解放軍で頻発する暴動を抑え切れるといわれます。

・通貨の問題も元高になるのか元安になるのかよく分かりませんでした。昔は元高説でした。通貨を実態経済以上に膨大に発行し、過剰生産、過剰在庫なら、元安ではないのでしょうか。元高で輸出企業が打撃を受けているそうです。私たち一般人は、エコノミストではないので、詳しいことは分かりません。が、元安になれば中国投資がすべて損失になることでしょうか。とにかく人口が大きいだけの大国ではないので、その破綻の影響がじわじわと懸念されているそうです。

・限られた予算、増えない税収、福祉予算を削る財政赤字ということで、日本の5兆円の防衛予算に振り向ける原資は限られているようです。日本に関する悲観論を書く人もいますが、誤りだそうです。円安で、石油価格が上がり、漁船が出漁しても赤字になります。原油高で火力発電を増設しても電力料金の値上げが必要となります。電力料金を今以上に上げれば、中小企業が赤字で打撃を受け、操業できなくなります。電力料金値上げは一般市民も困ります。風力発電や太陽光発電では、産業電力を賄えません。オイル・シュールも開発されましたが、化石燃料は200年で枯渇しますので原発中心とならざるをえないそうです。ましてや石油価格が値上がりしますと産業が致命傷を受けます。安全を考慮して原発の再稼働を急ぎ、将来のエネルギー需要と電気自動車の需要のために新規に安全性を高めた原子力発電所を50基新設計画しなければならないといわれます。現在、日本で動いている車をすべて電気自動車にするとそれくらいの原発の新設が必要になるそうです。

・賠償金の問題や汚染水の問題で東京電力や原発に関しては依然として国家危機が続いているといわれます。いまだに非常時です。小型化等の原発技術を世界一にして、(小型の)原発輸出ができる国にならなければならないといわれます。
 
・チャイナ・ウオッチャーでありませんので、私たち一般人は、中国の国内問題は理解できません。ときどき、関連書籍を読むぐらいです。しかしながら、チャイナ・ウオッチャーにおいては、ネガティブな見方をする人がほとんどのようです。「中国の経済状況は確実に悪化している」といわれます。また悪いニュースばかりだと指摘されています。「中国語もできないのにスパイとして拘束された日本人」の話も不思議な話のようです。「甘い国際感覚と貧弱な語学力で国益を大きく損ねている」といわれます。はっきりしない理由もなく拘束されるということでは、誰も中国には行きたくないでしょう。日中国交を結ぶのが早すぎたという説もあったようです。外務省のチャイナ・スクール(日本の外務省において中国語を研修したり中国関連のキャリアを経験した外交官を指す)も活発に活動していることでしょう。評判の悪い大使を送った話もあったそうです。私たち一般人は、日本外交については、よく分かりません。また外務省の評判は昔から悪いといわれます。
アメリカでもドラゴンスレイヤーとパンダハガーの争いがあると指摘されています。米中貿易戦争の行方も不透明で懸念されています。アメリカでも移民のチャイナ・ウオッチャーが非常に多いのでしょう。
「胡錦涛時代に政権幹部から、「中国は1割のヨーロッパと9割のアフリカだ」という話を聞いたことがあったが、まさに言い得て妙だった」といわれます。そのような国に「合理性」を求めるのが無理だと指摘されています。

・中国のハードランディング論も増えているようです。どこまで経済統制が効果を持続するのか分かりません。どこかで統計数字の大きな乖離が表面化しそうです。10年程前は「保八」という「年8%成長を維持できなければ、中国は失業者でメルトダウンする」という説が盛んに唱えられていたそうです。農民の問題や、社会保障の問題も「汚職」問題とともに、共産党独裁政権でも、制御できないと指摘されています。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」と語られています。「中国人は国を捨てた人でないと信用ができない」という中国社会特有の国内事情があるそうです。

外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(7)


『「借金1000兆円」に騙されるな!』
暴落しない国債、不要な増税
高橋洋一   小学館   2012/4/2



<日銀法を改正すべき>
・中央銀行の独立性は、手段の独立性と、目標の独立性に分けられているが、1998年の日銀法改正で、日銀にはそのどちらもが与えられるという非常に強い権限をもってしまった。人事の面で言えば、一度選ばれた総裁、副総裁、理事は、任期を全うするまで政治の側から罷免することさえできなくなっている。

・それまで日銀は大蔵省の尻に敷かれていたのだが、大蔵省としては、自分たちはそれほど唯我独尊ではないというポーズを、日銀法改正という形で日銀の独立性をアピールして示したかったのだ。これは日銀にとっては悲願達成だった。
 しかし、本来は政治が、民主主義によって国民から権限を与えられた政府が、インフレ目標を何%にするかを明確に決めるべきだ。日銀が決めるのはおかしい。
 そのうえで、その目標に至るまでの方法は、金融政策のプロである日銀に任せる。つまり手段は独立させるというのが、あくまで世界的な標準だ。

<日銀が目標の独立性を手離したくない理由>
・ところが日銀は、そういう形で政策を表に出すのを嫌がる。なぜかというと、どんな金融政策を取るかは、日銀の独立性という名の「権益」と化しているからだ。

<どこまで金融緩和すればいいのか?>
・経済政策にとっては将来の「インフレ予想」が必要だ。それまで政府・日銀には、直接的にインフレ予想を観測する手段がなかった。
 具体的には、物価連動債と普通の国債(非物価連動債)の利回り格差から、市場の平均的なインフレ予想を計算する。これを「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)」と呼ぶ。
 これは世界中の中央銀行が導入し、使っている。BEIが高すぎると、引き締めなければいけない。低くなりすぎると、もっとお金を伸ばさなければいけない。

・ところが最近、BEIを算出されることを嫌ったのか、財務省は物価連動債を新たに発行しなくなってしまった。厄介な指標を計算されないように、元から断ってしまえ、ということなのだろうか。どこの国でも当たり前に計算している指標を、葬りにかかってきているのだ。

<正しい金融政策で経済が拡大すれば格差は「縮小」する>
・実際は格差が広がっていても、それぞれに分配があれば、全体としての社会不安は小さくなる。体感的にも、働く意志と能力があるのなら、何がしかの収入を自力で得られるのがいい社会だと素朴に思う。最下層の人の所得を上げるには、たとえ格差が広がっても、最高層を上げるべきだ。最下層を上げるためには全体のパイを増やすのが簡単だからだ。
 それでも働けない人には、生活保護やそれを進化させたベーシックインカムで助ければいい、それにしても、全体のパイを大きくしてからのほうが、より額も厚くできる。

<国債は便利なツールとして使えばいい>
・本書は国債をスコープとして、世界経済、そして日本の経済政策を見てきたが、現在の日本においては、国債はあくまでデフレを脱するためにマネーを増やし、将来増えすぎたときは減らすための重要なツールだということになる。

・要するに、現時点において国債が果たすべき役割は、日銀からお金を引き出すための道具として活用されればいい、ということになる。
 もし国債を買い過ぎれば、マネーが出すぎて必要以上のインフレになってしまう。その時は、高橋是清を思い出し、市中に国債を売ればいい。するとお金は日銀に還流して少なくなり、調整できる。国債は調節弁に使う。
 別に国債でなくてもいいのだが、国債がもっとも流通量が多いので、使い勝手がいいというだけだ。
 国債が、金融市場の中でコメのような役割を果たしていることはすでに述べた通りだが、それは国債の重要さ、流通量、流動性などが他の金融商品と比べて抜けているからだ。国債は金融市場の潤滑油のようなところがある。

・それでも、増税しないと財政破綻する、これ以上国債を刷ると暴落する、さらに格下げされるかもしれないという言葉を聞いてどうしても不安になってしまうのなら、CDS保証料に注目していればいい。マーケットで世界中のプロの投資家が、日本国債には何も問題はないと判断していれば、穏当な価格が付いているはずだ。
 それでも財政再建が気になる人は、債務残高対GDPが大きくならないなら心配ないはずだ。その条件は、だいたいプライマリー・バランス(基礎的財政収支)が赤字にならなければいい。

<あと900兆円国債を発行しても破綻しない>
・第1章の終わりで、歴史上イギリスがネットの債務残高が二度もGDPの250%前後になったのに、いずれも破綻しなかったことを述べた。
 日本のネットの債務残高のGDP比は70%だから、往年のイギリスと同じ段階まで債務残高をふくらませるとしたら、あと900兆円も国債を発行しなければならないということになる。
 実際にそんなことをする必要はないのだが、もし900兆円国債を発行して、一気に財政出動したらどんな世の中になるか、ちょっと想像してみよう。

・さすがに1年では賄いきれないだろうから、9年に分け、年間100兆円ずつ使っていくことにしよう。民間金融機関の消化能力を考えて、全額日銀引き受けにしよう。そうすると、毎年、政府は日銀が刷った100兆円を手に入れられる。日本中のおカネが1年間で100兆円増える。
 政府も投資先が思いつかないので、とりあえず国民全員に配ることにしたとすると、国民1人当たり70万円が分配されることになる。4人家族なら、300万円近い札束が、宅配便か何かで届くのかもしれない。
 これには長年デフレに慣れてきた人たちも、さすがに驚くのではないだろうか。隣の家にも、向かいの家にも何百万円も配られているのだ。

・インフレになるということは、為替相場は円高から超のつく円安に変わる。
 とても簡単な計算をすれば、いま米ドルはおよそ2兆ドル、日本円は140兆円存在している。ここから割り出される為替レートは1ドル=70円ということになるのだが、日本円が240兆円になれば、一気に1ドル=120円になることになる。これは小泉政権時のレベルだ。
 これはすごいことになる。米ドルを使う人から見れば、日本製の自動車や家電、精密機器が、半額で買えるわけだ。プリウスが100万円、テレビが2万円で買える感覚だ。おそらくどんなに生産しても間に合わない。

・もうひとつ、ここでぜひ考えてほしいのは、お金の量を増やせば経済は回り始めるという法則だ。いきなり100兆円増やせば不必要なインフレを招いてしまうが、では20兆円なら、30兆円なら、あるいは40兆円ではどうなるだろうか。もっとマイルドで、所得の上昇を喜びつつ、貯金することではなく働いてお金を使い、また働くことに喜びと利益を見いだせる世の中になってはいないだろうか。

<だんだん変わってきた。未来はある>
・日銀は、間違い続けている。本当は、日銀の多くの人も、間違えていることに気づいているのではないかと思う。

<財務官僚・日銀職員は国民のために働くエリートではない>
・バーナンキ議長はかつて、「日銀はケチャップを買えばいい」と言い、何でもいいから買いを入れてマネーを供給すればいいではないかと主張していたが、日銀は、分かっている人から見ればそのくらいもどかしい中央銀行なのだ。
 官僚も博士号所持者は少ない。でも平気でそれなりのイスに座り、うさんくさい経済学もどきをばらまいてミスリードしている。こんなことも、他の先進国の政府職員や、国際機関の職員にはあまりないことだ。

<もう日銀は言い逃れできない>
・インフレ目標導入を防戦する日銀の言い訳は、いつも決まって「アメリカが導入していないから」だった。
 バーナンキ教授は、2002年にFRB理事に指名された。
 実は以前、私はバーナンキ教授本人からインフレ目標の話を聞いていた。必ず将来インフレ目標を導入するはずだと予測した。
 しかし、多くの人からバッシングされた。そんなことをするわけがないだろうと叩かれた。ところが、2012年2月、現実のものになった。
 困ったのは、日銀の人たちだ。

・もう言い逃れはできない。何が日本経済のためになるのかを、真剣に考えてほしい。そうしなければ、この国から成長力が削がれる。その先に待っているのは、本物の「破綻」だ。



『築土構木の思想』  土木で日本を建てなおす
藤井聡   晶文社    2014/7/25



<世間は皆、虚言ばかりなり>
・「土木」というと、多くの現代日本人は、なにやら古くさく、このITやグローバリズム全盛の21世紀には、その重要性はさして高くないものと感じているかもしれません。
 とりわけ、「人口減少」や「政府の財政問題」が深刻化している、と連日の様に様々なメディアで喧伝され続けている今日では、今更、大きなハコモノをつくる様な土木は、時代遅れにしか過ぎないだろう、というイメージをお持ちの方は多いものと思います。
 しかし、今日私たちが信じている様々な常識が、実は単なる「虚言」(ウソ話)にしか過ぎないという事例には、事欠きません。

<築土構木の思想>
・この言葉は、中国の古典『淮南子』(紀元前2世紀)の中の、次のような一節に出て参ります。すなわち、「劣悪な環境で暮らす困り果てた民を目にした聖人が、彼等を救うために、土を積み(築土)、木を組み(構木)、暮らしの環境を整える事業を行った。結果、民は安寧の内に暮らすことができるようになった」という一節でありますが、この中の「築土構木」から「土木」という言葉がつくられたわけです。

・すなわち、築土構木としての土木には、その虚言に塗れた世間のイメージの裏側に、次の様な、実に様々な相貌を持つ、われわれ人間社会、人間存在の本質に大きく関わる、巨大なる意義を宿した営為だという事実が浮かび上がって参ります。

第一に、土木は「文明論の要」です。そもそも、土木というものは、文明を築きあげるものです。

第二に、土木は「政治の要」でもあります。そもそも築土構木とは、人々の安寧と幸福の実現を願う、「聖人」が織りなす「利他行」に他なりません。

第三に、現代の土木は「ナショナリズムの要」でもあります。現代の日本の築土構木は、一つの街の中に収まるものではなく、街と街を繋ぐ道路や鉄道をつくるものであり、したがって「国全体を視野に納めた、国家レベルの議論」とならざるを得ません。

第四に、土木は、社会的、経済的な側面における「安全保障の要」でもあります。社会的、経済的な側面における安全保障とは、軍事に関わる安全保障ではなく、地震や台風等の自然災害や事故、テロ等による、国家的な脅威に対する安全保障という意味です。

第五に、土木は、現代人における実質上の「アニマル・スピリット(血気)の最大の発露」でもあります。

第六に、土木こそ、机上の空論を徹底的に排した、現場実践主義と言うべき「プラグマティズム」が求められる最大の舞台でもあります。

<土木で日本を建てなおす>
・そもそも、今日本は、首都直下や南海トラフといった巨大地震の危機に直面しています。今日の日本中のインフラの老朽化は激しく、今、適切な対応を図らなければ、2012年の笹子トンネル事故の様に、いつ何時、多くの犠牲者が出るような大事故が起こるか分からない状況にあります。

・巨大地震対策、インフラ老朽化対策については多言を弄するまでもありません。
 大都市や地方都市の疲弊もまた、日本人がまちづくり、くにづくりとしての築土構木を忘れてしまったからこそ、著しく加速してしまっています。そして、深刻なデフレ不況もまた、アニマル・スピリットを忘れ、投資行為としての築土構木を我が日本国民が停滞させてしまった事が、最大の原因となっています。
 だからこそ、この傾きかけた日本を「建てなおす」には、今こそ、世間では叩かれ続けている「土木」の力、「築土構木」の力こそが求められているに違いないのです。

<公共事業不要論の虚妄  三橋貴明×藤井聡>
<インフラがなくて国民が豊かになれるはずがない>
・(藤井)三橋先生は、みなさんもよくご存じの通り、いま政府が採用しているアベノミクスというデフレ脱却のための政策の、理論的バックボーンをずっと長らく主張されてきた先生です。ならびにかなり早い段階から、経済政策としてもインフラ投資をやるべきだというお話をされています。

・(三橋)もうひとつはですね、公共投資を増やし、インフラを整備しなければいけないというと、よくこういうレトリックが来るわけですよ。「財政問題があるから公共投資にカネが使えず、インフラ整備ができない」と。日経新聞までもが言いますよ。要は予算がないと。これは全然話が逆で、日本は政府にカネがないから公共投資ができないんじゃないんですよ。公共投資をやらないから政府にカネがないんです。

・(三橋)そこで、政府が増税やら公共投資削減やらをやってしまうと、ますます国内でお金が使われなくなり、デフレが深刻化する。実際、日本は橋本政権がこれをやってしまったわけです。日本のデフレが始まったのはバブル崩壊後ではなく、97年です。

・公共投資を増やせばいいじゃないですか。財源はどうするか。それは建設国債に決まっていますよ。公共投資なんだから、国の借金がいやなら、日銀に買い取ってもらえばいいじゃないですか。

<国の借金問題など存在しない>
・(三橋)いずれにしても「公共投資に20兆も使っているんですよ!」といわれると、国民は「天文学的数字だ!」となってしまう。国の借金も1000兆円とか。
 ただし、その種の指標は数値をつなげて考えなくてはいけない。GDPが500兆の国が、公共投資20兆というのは、むしろ少なすぎるだろうと。しかもこんな自然災害大国で。そういうふうに相対化して比較しなくてはいけない。
 もうひとつは、最近、私が発見して流行らせようとしているんだけど、いわゆる国の借金問題。正しくいうと政府の負債ね。あれって、日銀が昨年からずっと量的緩和で買い取っているじゃないですか。だから、政府が返済しなければいけない借金って、いまは実質的にどんどん減ってきているんですよ。まあ国債が日銀に移っているんだけど、日銀は政府の子会社だから、あんなもの返す必要がない。国の借金問題なんて、いまはもう存在しないんですよ、実は。

・(三橋)もうひとつ怪しいのがありまして、社会保障基金。あれも100兆円くらいあるんだけど、中身は国民年金、厚生年金、共済年金なんですよ。政府が政府にカネを貸しているだけ。こういうのも「国の借金!」としてカウントして、本当にいいのかと思う。とにかく入れるものは全部詰め込んで、「はい1000兆円、大変でしょう」ってやっている。

・(三橋)日本政府は金融資産が500兆円くらいありますから、一組織としての金融資産額としては世界一じゃないですか。アメリカよりでかい。そのうち100兆くらい外貨準備です。残りは先ほどの社会保障基金。共済年金や厚生年金の持っている国債だから、そういうのは、絶対に相殺して見なくちゃいけないんだけど。

・(三橋)全部「借金」に詰め込んでいるわけですよね。しかも日銀が量的緩和で国債を買い取っている以上、返済が必要な負債はなくなってきているのに、それでもそういうことは報道されない。

・(三橋)(デフレの悪影響は)過小評価されています。デフレがどれほど悲惨な影響を及ぼすか、わかっていない。マスコミは「デフレになると物価が下がりますよ」としか言わないじゃないですか。だから、何が悪いんだ、みたいな話になりますが、違いますよね。デフレ期は所得が減ることがまずい。さらに問題なのは、所得が減るとはつまりは企業の利益が減るということなので、次第にリストラクチャリングとか倒産・廃業が増えていき、国民経済の供給能力が減っていくわけですよ。供給能力とは潜在GDPですよ、竹中さんの大好きな。

・(三橋)デフレこそが、まさに潜在GDPを減らしていますよ。典型的なのが建設企業です。1999年に60万社あったのが、いまは50万社を割ってしまった。10万社以上消えた。これ、経営者が相当亡くなられています。自殺という形で。

・(藤井)建設業というのは、築土構木をするための技術と供給力を提供しているわけですが、その力がデフレによって小さくなってきている。それこそ、会社の数でいって6分の5にまで減少している。実際、会社の数だけではなく、それぞれの会社の働いている方や、能力などを考えると、その供給力たるや、さらに落ち込んで来ていることがわかる。労働者の数だって、かっては700万人近くいたのが、今では500万人を切っている。実に3割近くも建設労働者は減ってしまった。

・(藤井)つまり、公共事業を半分近くにまで大幅に削減すると同時に、デフレで民間の建設事業も少なくなって、建設産業は大不況を迎えた。その結果何が起こったかというと、わが国の建設供給能力の大幅な衰退なわけです。実は、これこそが、日本国家にとって、深刻な問題なんです。でも、一般メディアでも経済評論家たちも、この問題を大きく取り上げない。

<築土構木の思想は投資の思想>
・(三橋)しかもやり方は簡単なんだから。日銀が通貨発行し、政府がそれを借りて使いなさい、というだけでしょう。しかもですよ、環境的にやることが見つからないという国もあるんですよ。でもいまの日本は、もちろん東北の復興や、藤井先生が推進されている国土の強靭化とか、インフラのメンテナンスとか、やることはいっぱいあるんですよ。なら、やれよ、と。建設企業のパワーがなくなってしまったため、そちらのほうがボトルネックになっていますよね。

・(三橋)建設の需要がこのまま続くかどうか、信用していないんですね。またパタッと止まったら、またもや「コンクリートから人へ」などと寝言を言う政権が誕生したら、またもやリストラですか、っていう話になってしまいますからね。

・(藤井)さらに建設省の公共投資額という統計の農業土木という分野を見ると、昔はだいたい1兆数千億円くらいあったのが、いまはもう2、3千億円程度になっている。民主党政権になる直前は6千数百億円だった。でも、民主党政権下で60%も減らされた。

<朝日と日経が共に公共投資を批判する愚>
・(藤井)いまのお話をお聞きしていますと、いわば「アンチ政府」とでも言うべき方々の勢力、市場主義で利益を得られる方々の勢力、「緊縮財政論者」の勢力、「財政破綻論者」の勢力、といった重なり合いながらも出自の異なる4つの勢力がある、ということですね。つまり、仮にその4つがあるとすれば、その4つが全部組み合わせて作り上げられる「四すくみの四位一体」が出来上がって、それが一体的に「公共事業パッシング」の方向にうごめいている、というイメージをおっしゃっているわけですね。

<国の借金、日銀が買い取ればチャラになる>
<日本ほど可能性のある国はない>
・(三橋)安全保障面ではアメリカべったりで、ひたすら依存していればうまくいきました。もう1つ、大きな地震がなかった。1995年の阪神・淡路大震災まで大震災がなかった。国民は平和ボケに陥りつつ、分厚い中流層を中心に、「一億総中流」のいい社会を築いたんだけど、非常事態にまったく対応できない国だったことに変わりはないわけです。
 ということは、いまから日本が目指すべき道は、非常事態に備え、安全保障を強化することです。結果として、高度成長期のように中間層が分厚い社会をもう一回つくれると思いますよ。最大の理由は、デフレだから。デフレというのは、誰かがカネを使わなくてはならない。

・(藤井)外国はそれがグローバルスタンダードなんですね。ですからグローバル―スタンダードに合わせすぎると、日本もせっかくすごい超大国になれる道をどぶに捨てることになりますね。



『エコノミスト   2016.4.19』 



<識者7人が採点 黒田日銀3年の評価>
<70点 失業率低下が政策の正しさを証明 2%未達は消費税増税が原因  (高橋洋一)>
・この3年の日銀を評価する基準は2つある。失業率とインフレ率だ。
まず完全失業率は3.3%(2月時点)まで下がっている。金融政策は失業率に効く。失業率が改善しているから、期待への働きかけや波及経路は機能しており、量的・質的金融緩和(QQE)が正しかったことを示している。

・原油安によってインフレ2%を達成できなかったという日銀の説明は、短期的には確かにそうだが、3~4年で見ると影響はなくなる。消費増税の影響を見通せなかったので、結局、原油安を方便として使っている。

・日銀当座預金への0.1%のマイナス金利の導入は金融緩和として評価できる。

・金利を下げて、民間金融機関の貸し出しを後押しすれば、借りたい企業や人は出てくる。ビジネスをしたい人にとってはチャンス到来だ。

・国債などの政府債務残高は現在、約1000兆円。日本政府の資産を考えると、ネット(差し引き)で500兆円になる。そこに日銀を政府との連結で考えると、日銀が300兆円分の国債を持っているから、政府債務は連結すると200兆円ということになる。GDP比で考えると欧米より少ない。
 そして、日銀が出口戦略に入る時も国債を吐き出す(売る)ことをせずに、GDPが上がるのを待てば、日本政府の財政再建が実はもう少しで終わる。財政ファイナンスで最悪なのは、ハイパーインフレになることだが、今の日本はインフレ目標もあり、その懸念はない。国債も暴落しなくていい。何も悪いことない。



『最強国家ニッポンの設計図』  ザ・ブレイン・ジャパン建白
大前研一   小学館   2009/6/1



<核、空母、憲法改正、そして国民皆兵制もタブー視しない真の国防論>
<北朝鮮を数日で制圧するだけの「攻撃力」を持て>
・外交は時に戦いである。いや、むしろ国家と国家の利害が対立する場面ほど外交力が必要になる。そして時に「戦争」というオプションも視野に入れておかなければ、独立国家としての対等の外交は展開できない。

・本当に必要かつ十分な軍備とは何かを考えておく必要がある。

・自力で国を守るのは至極当然のことだ。大前提として戦争を抑止するには「専守防衛」などと言っていては駄目だ。

・具体的には、射程距離1000km以上のミサイル、航空母艦、航続距離の長い戦略爆撃機、多数の上陸用舟艇などを中国地方や九州地方に配備するべきだ。

<突然豹変して威圧的になるのが、中国の常套手段>
・ただし私は、中国との戦いは実際には起きないだろうとみている。中国が周辺国を挑発しているのは、侵略の意図があるからというより、実は国内の不満を抑えることが最大の目的だと思われるからだ。いま中国政府が最も恐れているのはチベット問題や新疆ウイグル問題、あるいは法輪功、失業者、農民等の不満による内乱がある。それを避けるためにはあえて国境の緊張を高めて国民の目を外に向けようとしているのだと思う。

<国民皆兵で男女を問わず厳しい軍事訓練を経験させるべきだ>
・ただし実際に「核兵器」を保有する必要はない。それは敵を増やすだけだし、維持するのも大変なので、むしろマイナス面が大きいだろう。国家存亡の脅威に直面したら90日以内に核兵器を持つという方針と能力を示し続け、ロケットや人工衛星の技術を高めるなど、ニュークリア・レディの技術者を常に磨いておくことが重要だと思う。また欧米の同盟国に日本のこうした考え方を説明し納得してもらっておく必要がある。

・ソフトウェアの第一歩とは、すなわち「憲法改正」である。現行憲法は再軍備をしないという条文しかないので、開戦と終戦の手順はもとよりそれを国会がきめるのか首相が決めるのか、といったことすら想定していない。自衛隊についてもシビリアン・コントロールについても定義は明確ではない。つまり今の日本には“戦う仕掛け”がない。

<中国の人権問題を「ハードランディング」させると7億人の農民が世界を大混乱に陥れる>
<中国政府が気づかない「2つのズレ」>
・いま中国政府が理解すべきは自分たちが考える常識と世界が考える常識がズレている、ということだ。ズレは2つある。

・一方、中国は今もチベットや新疆ウイグルなどを征服したという認識は全くない。

・もう一つのズレは、中国が宗教の自由を認めないことである。

<台湾もチベットも独立させて中華「連邦」を目指せ>
<私の提案に賛同する中国指導者たちは、起て!>
・現在の中国で国民に自治と自由を与えたら、不満を募らせている7億人の農村戸籍の人々が都市に流入して大混乱が起きる。力と恐怖による支配を放棄すれば、暴徒化した農民たちが中国人資本家や外国人資本家を襲撃して富を略奪するかもしれないし、第2の毛沢東が現れて、より強力な共産国家を作ってしまうかもしれない。

・なぜ、国民に移動の自由さえ与えていないのかを真剣に考えたことのない欧米諸国が、自分たちの基準を中国に当てはめて、人権だと民主主義だのとなじることも間違いなのだ。

<「世界に挑戦する日本人」第4の黄金期を築け>
<世界に飛び出せない“偽エリート”の若者たち>
・どうも最近の日本人はだらしない。基本的な能力が低下しているうえ、気合や根性もなくなっている。
 私は、アメリカのスタンフォード大学ビジネススクールやUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で教えていたが、クラスにいた日本人留学生は実に情けなかった。

・英語こそ、そこそこのレベルではあったが、中国、韓国、ヨーロッパ、中南米などの他の国々から来たクラスメートの活発な議論に加わることができず、覇気がなくてクラスへの貢献もあまりできていなかった。

・私は、若い頃、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)大学院に留学した。1960年代の後半である。あの時代は、日本を離れる時に家族と水杯を交わし、博士号が取れなかったら日本に帰れないという悲壮な覚悟で太平洋を渡った。実際、博士号が取れずにボストンのチャールズ川に投身自殺したクラスメートもいた。留学中の3年間、私は(お金がないせいだが)一度も帰国しないどころか自宅に電話さえかけなかった。
 ところが今の日本人留学生は日常的に携帯電話で自宅と連絡を取り、嫌になったら簡単に逃げ帰る。

<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より

<高橋洋一>
主張
増税する前に、まず政府の無駄な出費を減らすことを主張する、上げ潮派の論客。1998年から在籍したプリンストン大学ではベン・バーナンキの薫陶を受けた。いわゆるリフレ派であると目される。

埋蔵金
2008年(平成20年)には、いわゆる「霞が関埋蔵金」が存在すると主張し 、翌年に発生した世界金融危機に際しては、政府紙幣の大量発行によって景気回復を試みるよう提言した。

日本の財政について
財務省時代に国のバランスシートを作成(2012年現在は財務書類という名称で公表)し、国の借金は900兆、資産は500兆、差し引き400兆の負債であり、これを踏まえて財政を論議しなければならないと、増税を主張する財務省やマスコミを批判している。

日本の財政再建のためには、大胆な金融緩和によるリフレーション政策で経済を成長させ、税収の自然増を図るべきであると主張している。また2013年の時点で「日本は世界1位の政府資産大国」であり、国民1人あたり500万円の政府資産があり、売却すれば金融資産だけで300兆円になると主張している。

日本銀行批判
大蔵省在籍中から、日本銀行による金融政策への批判を繰り返してきた。構造改革論が盛んに論じられた2002年には、構造改革の模範と目されたニュージーランドがかつて、金融政策によってデフレーションに陥る危機を脱したことを指摘、インフレーション目標を採用しない日本銀行を批判した。

日本銀行はハイパーインフレーションを恐れ、紙幣の大量発行を拒否しているが、40兆円の需給ギャップがあるのでそうはならないとも主張している。その後、銀行の持つ国債を日銀がデフレ(需給、GDP)ギャップ分の30兆(2012年4月-6月は10兆(朝日新聞))円分引き取り、紙幣を供給する政策も主張している。

2012年現在の金融政策について、「日銀が100兆円ほどの量的緩和をすれば株価も5000円程上昇、そうしないと日本の景気回復(デフレ脱却)とはならない。今の日銀の5兆-10兆円での量的緩和では、海外からは見劣りし周回遅れである」と批判している。
アベノミクスの三本の矢で最も重要なのは『金融緩和である』としている。


外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(6)


<ソ連のGDPは発表の半分だった>
・中国の統計システムはソ連譲りということについて、ここで少々説明しておこう。「左巻き」(左派)が理想としている社会システムでは、統計改竄しやすいという実例である。簡単に言えば、左巻きは、経済活動で公的部門のウエイトが大きくなるが、公的部門の経済パフォーマンスを良くしたがために、統計改竄に走りやすいのだ。

・その後、1960年代になると毛沢東は顧問団を追い返し、ソ連から伝えられた産業を中国独特のシステムに改革しようとする。大躍進政策や文化大革命を経て、鄧小平の改革開放が行われた。しかしその間も、ソ連の統計システムだけは生き残っていた。

・そもそも、その統計システムはソ連で50年以上も使われていたものだったが、およそデタラメなものだった。ソ連でも正確な統計データを出そうとした職員がいたが、「人民の敵」として統計機関から追放されたり、弾圧を受けた。国の立てた経済計画は、どんなことがあっても達成したことにしなければいけない。
 つまり、国家の意思に基づいたご都合主義の統計でしかなかったのだ。そんなものを基に国家運営をしていれば、国家が崩壊するのは当たり前だった。だが、そんなソ連のデタラメな統計に、世界中の人々、経済学者までもが騙され続けていた。

・かつて政府税制調査会長を務めた故・加藤寛慶應義塾大学名誉教授のお話が思い出される。先生は元々ソ連経済の専門家だった。ソ連の発表する経済統計はいい加減だから、それを正しく推計しようとすること自体が骨折りなのだと言い、「社会主義経済のひどさを学び、日本はそうならないよう民間が主導する経済でなければならない」と語っておられた。

・はたしてその指摘は正しかった。ソ連の統計のデタラメさ加減が明らかになったのは崩壊した時だった。驚くべきことに、ソ連のGDPは発表されていたものの半分しかなかった。1928年から1985年までの国民所得の伸びは、ソ連の公式統計によると90倍となっているが、実際には6.5倍しかなかったのだ。
 中国は、そんな統計システムを引き継いでいるのだ。
 中国の統計がデタラメであると自ら宣言してしまった政治家がいる。現在の中国首相李国強その人である。

・「中国の経済統計、指標は、まったく信用できない。遼寧省のGDP成長率も信用できない。私が信用してチェックしているのは、わずか3つの統計数値だけ。その3つとは電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額。この3つの統計を見て、遼寧省の経済成長の本当のスピードを測ることが可能になる。他の中国の経済統計、とりわけGDPなどは、ただの『参考用数値』に過ぎない」

<中国のハニートラップ>
・左巻きの人々が中国に都合のいい言動をしてしまう理由のひとつが「ハニートラップ」だ。実は筆者も「罠」を仕掛けられたことがある。
 1990年代のはじめ頃、筆者がかつて大蔵省の官僚だった時の話だ。中国の経済シンクタンクに招かれて訪中した。宿泊先は中国の国賓館である釣魚台だった。夜、外出先で宴席が設けられたのだが、とんでもない美女が接待役としてついてきた。2次会まで一緒にいれば危険だと思った私は、用事があるとか適当な理由をつけてその場から逃げ出した。
 このようなハニートラップに引っかかった役人や学者、そして政治家は数多いという。「親密な関係」を盗撮され、帰りの空港で写真やビデオを見せられれば、たいていの人間は中国の操り人形になってしまうというわけだ。

・そして、あの手この手で中国に籠絡された日本の官僚、学者や政治家が、中国の都合のいい見解を垂れ流す。中国とはそういう国なのである。もちろん、そんなハニートラップなどなくても、中国政府の「公式見解」を拡大、補強しようという困った左巻きの評論家や官僚も多いのだが……。
 それはさておき、これまで述べてきたとおり、中国経済は発展しないし、発表するGDPも大嘘だ。「中国崩壊」が政治体制の崩壊を意味するのか、経済の破綻を意味するのか論者はそれぞれだが、少なくとも中国経済は失速し、中国発の大不況が襲ってくる恐れは高まっている。左巻きの人たちは、拡大する中国と手を取り合わなければいけないと主張しているが、現実を直視すべき時が来ているのだ。

・筆者は近年、以上のような中国経済の真相を事あるごとに講演などで話してきた。『中国GDPの大嘘』(講談社)という本も上梓している。おかげさまで多くの人に納得してもらっており、論考に批判の声が来ることはほとんどない。



『日本はこの先どうなるか』
高橋洋一  幻冬舎   2016/8/10



<政治・経済では本当は何が起きているのか>
<英国のEU離脱、欧州への大量移民、崩壊寸前の中国経済、米国の過激な大統領候補、日本の戦争リスク………>
<データに基づかなければ、議論する意味はまったくない>
・参院選の結果を受け、さらなる経済政策が実行される。
・憲法改正は容易ではない。
・イギリスEU離脱の悪影響はボディブローのように効いてくる。
・イギリス経済は将来的には成長する可能性あり。
・経済は人の「気分」で動く。
・エコノミストの予測が外れるのは経済学部が「文系」だから。
・輸出入統計から推計した中国のGDP成長率はマイナス3%。
・国債暴落説の大ウソ。
・財務省の税務調査権は実に恐ろしい。
・日本経済は必ず成長できる!
・戦争のリスクを甘く見てはいけない。

<データは嘘をつかない>
<トランプ大統領の誕生は日本にどう影響するか >
・最近のトランプ氏の発言を聞いていると、いよいよ「へりコプターマネー」を言い出すのではないかと考えている。
 へりコプターマネーのもともとの意味は、中央銀行が紙幣を刷ってへりコプターから人々にばらまくというものだ。ただし、実際にこれを行うことは難しく、「いつどこにへりコプターが来るのか教えてほしい」というジョークすらあるほどだ。
 現在のように中央銀行と政府が役割分担している世界では、中央銀行が新発国債を直接引き受けることで、財政赤字を直接賄うことをへりコプターマネーと言うことが多い。

・バーナンキ氏のそれは名目金利ゼロに直面していた日本経済の再生アドバイスであったが、具体的な手法として、国民への給付金の支給、あるいは企業に対する減税を国債発行で賄い、同時に中央銀行がその国債を買い入れることを提案していた。
 中央銀行が国債を買い入れると、紙幣が発行されるので、中央銀行と政府のそれぞれの行動を合わせてみれば、中央銀行の発行した紙幣が、給付金や減税を通じて国民や企業にばらまかれていることになる。その意味で、バーナンキ氏の日本経済に対する提案はへりコプターマネーというわけだ。

<もし朝鮮半島で有事が起きれば、韓国における在留邦人保護も大きな課題>
・体制の維持には、一定の経済力が必要だ。中国経済の景気後退の影響で、北朝鮮経済は深刻なダメージを被っていることが予想される。対中輸出依存度が25%程度の韓国でさえ、2015年の輸出額は対前年比6%程度も減少している。対中輸出依存度が70%以上と言われる北朝鮮は、中国経済の低迷の影響をモロに受けているに違いない。
 北朝鮮のGDPは謎に包まれているが、400億ドル程度(4兆4000億円程度)とされており、一人当たりGDPは2000ドルにも達しない最貧国である。人口は約2300万人で、そのうち5%、つまり約120万人が軍人である。
 これを日本に当てはめて考えると、自衛隊員を600万人も抱えている計算になる。その経済的な負担は、あまりにも大きい。

・北朝鮮は、国連制裁をこれまで4回も受けている。1月の核実験、2月のミサイル発射を考慮して、もし追加の国連制裁を受けた場合、事実上は6回の制裁と考えていいだろう。これは、7回も国連制裁を受け、結果としてつぶされたイラク並みである。そうなると、朝鮮半島有事も充分に想定できるのだ。

<米軍が日本から撤退すれば、日本の核保有が現実味を帯びる>
<願うだけで平和が実現できるなら、世界はとっくに平和になっている>
・集団的自衛権の行使容認は、アメリカとの同盟関係の強化をもたらし、日本の戦争リスクを下げることにつながるのである。
 集団的自衛権は、同盟関係と一体不可分のものだ。世界では、集団的自衛権なしの同盟関係はあり得ない。その意味で、もし集団的自衛権の行使を認めなかったら、日本はいずれは日米同盟を解消される恐れもある。

・安保関連法の成立を世界の視点で見れば、これまで同盟関係がありながら集団的自衛権の行使を認めなかった「非常識」を、世界の「常識」に則るようにした程度の意味である。そう考えれば、「安保関連法で日本が戦争をする国になる」などといった主張が単なる感情論にすぎないことがわかるだろう。実際、国際関係論の数量分析でも、同盟関係の強化が戦争のリスクを減らすことは実証されているのである。
 安全保障を議論するときはいつもそうだが、左派系が展開する議論はリアルではなく、非現実的かつ極端なものばかりだ。
 安保関連法案が国会で審議されている最中、衆議院憲法審査会において、3人の憲法学者が「安保関連法案は憲法違反」と指摘して話題になったことがある。聞けば、95%の憲法学者が集団的自衛権の行使容認を違憲だと考えているという。

<中国のGDP成長率を推計すると、「-3%」程度である>
・中国政府のシンクタンクである中国社会科学院は、2015年のGDP成長率を「+6.9%」と発表しているが、これはおそらくウソだろう。
 もし、筆者のこの推計が正しければ、中国経済は強烈な減速局面に突入していることになる。

・要するに、貿易面から見れば、中国経済の失速はアメリカのそれと大差ないくらい、世界経済に与える影響が大きいものになるということだ。
 しかも、その影響は中国との貿易依存度が大きいアジアでより深刻になるはずだ。
 ちなみに、リーマンショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少し、輸入も15%程度減少した。貿易関係を通じた実体経済への影響については、現在の中国の経済減速は、リーマンショックのアメリカと酷似している状況だ。この意味では、中国ショックはリーマンショック級の事態に深刻化する可能性を秘めているのである。

<中国は「中所得国の罠」にはまり込んでいる>
・「中所得国の罠」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりのGDPが中程度の水準(1万ドルが目安とされる)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することを言う。
 この「中所得国の罠」を突破することは、簡単ではない。アメリカは別格として、日本は1960年代に、香港は1970年代に、韓国は1980年代にその罠を突破したと言われている。一方で、アジアの中ではマレーシアやタイが罠にはまっていると指摘されている。中南米でもブラジルやチリ、メキシコが罠を突破できすにいるようで、いずれの国も、一人当たりGDPが1万ドルを突破した後、成長が伸び悩んでいる。

・これまでの先進国の例を見ると、この罠を突破するためには、社会経済の構造改革が必要である。社会経済の構造改革とは、先進国の条件とも言える「資本・投資の自由化」である。日本は、東京オリンピックの1964年に、OECD(経済協力開発機構)に加盟することによって「資本取引の自由化に関する規約」に加入し、資本・投資の自由化に徐々に踏み出した。当時、それは「第二の黒船」と言われたが、外資の導入が経済を後押しし、それが奏功して、日本の1人当たりGDPは1970年代半ばに5000ドル、1980年代前半に1万ドルを突破した。

・では、中国ははたして「中所得の罠」を破れるだろうか。筆者は中国が一党独裁体制に固執し続けるかぎり、罠を突破することは無理だと考えている。
 ミルトン・フリードマン氏の名著『資本主義と自由』(1962年)には、政治的自由と経済的自由には密接な関係があり、競争的な資本主義がそれらを実現させると述べられている。経済的自由を保つには政治的自由が不可欠であり、結局のところ、一党独裁体制が最後の障害になるのだ。
 そう考えると、中国が「中所得国の罠」を突破することは難しいと言わざるを得ない。

<日本の財政は悪くない>
<「日本の借金は1000兆円」という財務省による洗脳>
・話を消費増税の延期に戻そう。そもそも消費税率を引き上げる目的は、「税収」を増やすためである。税収を上げたがっているのは誰かと言えば、それは財務省だ。景気が充分に回復していない状況での増税は経済成長を阻害することが明白であるにもかかわらず、なぜ財務省は消費税率を上げたがるのか?その理由については後述するが、増税の方便として使われているのは、いわゆる「日本の借金」である。1000兆円—―
 この数字を見て、おそらく読者の皆さんのほぼすべてが、「日本の借金」という言葉を頭に思い浮かべたに違いない。それほどまでに、「日本の借金1000兆円」というフレーズは巷間に定着してしまっている。

・当時から、旧大蔵省は「日本の国家財政は危機に瀕している」と対外的に説明していたが、バランスシートを作成した筆者には、すぐその主張がウソであることがわかった。負債と同時に、政府が莫大な資産を所有していることが判明したからだ。このとき、幹部からバランスシートの内容を口外しないように釘を刺されたことを覚えている。
 あまりに資産が多額であったからであり、それまで「国の借金はこんなにたくさんあります」と資産の存在を公表せずに負債だけで財政危機を煽ってきた説明が破綻してしまうからだ。

・しかも資産の大半が特殊法人などへの出資金・貸付金であったため(これは現在も大差ない)、仮に資産の売却や整理を求められると、特殊法人の民営化や整理が避けられなくなってしまう。これは、官僚にとっては{天下り先}を失うことを意味し、自分で自分の首を絞めることにつながる。筆者も当時は現役の大蔵官僚だったため、「口外するな」という命令に従わざるを得ず、情報を外部に漏らすことはしなかった。
 残念ながら、筆者が作成したバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になってしまったが、1998年度から2002年度までは試案として、そして2003年度以降は正式版として外部にリリースされるようになった。

・何しろ日本の長期金利は、2016年2月9日に史上初のマイナス台に突入したほどの超低金利なのだ。にもかかわらず、国債暴落説はいまだに巷間でくすぶり続けている。
 国債暴落説の根拠とされているものはいろいろあるが、その一つは、日本の財政破綻だ。日本政府がいずれ国債の金利負担に耐えられなくなるとの見通しから、損を回避したい人々の間で国債の売却が加速し、いっきに債券価格が下落して金利が暴落するというロジックである。しかし、前述のように日本は財政破綻状態ではないため、この話はそもそもの前提が間違っていることになる。

・金融や財政に馴染みが薄い一般の人が、財政破綻論や国債暴落説を語ったり信じたりすることは仕方がない面もあるが、専門家である学者の中にも財政破綻論や国債暴落説を語る人がいることには驚くばかりだ。
 たとえば、東京大学金融教育センター内に、かつてものすごい名称の研究会が存在した。その名も、「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」だ。代表を務めるのは、井堀利宏(東京大学大学院経済学研究科教授)、貝塚啓明氏(東京大学名誉教授)、三輪芳朗氏(大阪学院大学教授・東京大学名誉教授)という日本の経済学界の重鎮たちだ。
 同研究会の活動内容はホームページに公開されている。2012年6月22日に第1回会合が開かれ、2014年10月3日までの2年余りの間に、計22回が開催されている。『発足とWebPage開設のお知らせ』に掲載されている文章を見ると、「われわれは日本の財政破綻は『想定外の事態』ではないと考える。参加メンバーには、破綻は遠い将来のことではないと考える者も少なくない」と書かれている。

 第1回会合では、三輪氏が「もはや『このままでは日本の財政は破綻する』などと言っている悠長な状況ではない?」という論点整理メモを出し、勇ましい議論を展開している。要するに、財政破綻は確実に起こるので、破綻後のことを考えようというわけだ。

<財務省が消費税率を上げたがるのは「でかい顔」をしたいから>
<外債投資で儲けた20兆円を、政府は財政支出で国民に還元すべきだ>
・問題は財源だが、これはいとも簡単に捻出できる。「外為特会」を活用すればよいのである。



『「新富裕層」が日本を滅ぼす』
金持が普通に納税すれば、消費税はいらない!
武田知弘 著  森永卓郎 監修  中央公論新社 2014/2/7



<必要なのは経済成長や消費増税ではなく、経済循環を正しくすることなのだ>
・世界の10%以上の資産を持っているのに、たった1億数千万人を満足に生活させられない国・日本、必要なのは経済成長や消費増税ではなく、経済循環を正しくすることなのだ。「富裕層」と「大企業」がため込んで、滞留させている富を引っ張り出し、真に社会に役立てる方策を考える。

<バブル崩壊以降に出現した“新富裕層”とは?>
・今の日本人の多くは、現在の日本経済について大きな誤解をしていると思われる。たとえば、あなたは今の日本経済について、こういうふうに思っていないだろうか?

・バブル崩壊以降、日本経済は低迷し国民はみんなそれぞれに苦しい

・金持ちや大企業は世界的に見ても高い税負担をしている。日本では、働いて多く稼いでも税金でがっぽり持っていかれる

・その一方で、働かずにのうのうと生活保護を受給している人が増加し、社会保障費が増大し財政を圧迫している

・日本は巨額の財政赤字を抱え、少子高齢化で社会保障費が激増しているので消費税の増税もやむを得ない

・これらのことは、きちんとしたデータに基づいて言われることではなく、経済データをきちんと分析すれば、これとはまったく反対の結果が出てくるのだ。

<消費税ではなく無税国債を>
<日本経済の最大の問題は「金回りの悪さ」>
・「失われた20年」と言われるように、日本の経済社会は、長い間、重い閉塞感に包まれて来た。アベノミクスで若干、景気は上向いたものの、消費税の増税もあり、今後、我々の生活が良くなっていく気配は見えない。
 なぜこれほど日本経済は苦しんでいるのか?
現在の日本経済の最大の問題は「金回りの悪さ」だと言える。

・政府は、財政再建のために消費税の増税にゴーサインを出した。しかし、消費税は「金回り」を悪くする税金なのである。消費税を導入すれば、もともと大きくない内需がさらに冷え込むことになる。また消費税というのは、国全体から広く浅く徴収する税金なのである。

・筆者は、お金の循環を良くして財政を再建するために、ある方法を提案したい。それは、「無税国債」という方法である。

<「無税国債」とは何か?>
・無税国債の狙いは、国民の金融資産1500兆円の中に眠る“埋蔵金”を掘り起こすことにある。

・実は無税国債にはモデルがある。フランス第四共和制下の1952年、時の首相兼蔵相のアントワーヌ・ピネー(1891~1994年)が発行した相続税非課税国債である。
 フランスは当時、インドシナ戦争で猛烈なインフレが起きて財政が窮乏していたが、時限的に相続税を課税しないピネー国債を出したところ飛ぶように売れ、ただちに財政が健全化して戦費の調達もできた。これをブリタニカ国際大百科事典は「ピネーの奇跡」と書いている。

<莫大な個人金融資産を社会に役立てることができる>
・ただ、この個人金融資産を社会に引っ張り出すのは容易なことではない。個人金融資産は、個人の持ち物である。これを勝手に国が使うことはできない。国が使うためには、合法的にこの資産を引っ張ってこなくてはならない。
 もっとも手っ取り早いのは税金で取ることである。しかし、個人金融資産に税金を課すとなると、非常な困難がある。というのも、金持というのは、税金に関して異常にうるさいからだ。国民の多くは気づいていないが、この20年間、富裕層に対して大掛かりな減税が行われてきた。個人金融資産がこれだけ激増したのも金持ちへの減税が要因の一つである。

<極端な話、無税国債は返さなくていい借金>
・個人金融資産は1500兆円あるのだから、750兆円を無税国債に置き換えるというのは、夢の話ではない。ちょっと頑張れば可能なことなのである。
 750兆円を税金で徴収しようと思えば、大変である。消費税率を10%に上げたとしても、20兆円程度の増収にしかならない。もし消費税によって財政の健全化をしようとすれば、税率15%にしたとしても40年近くもかかるのである。

・またもし税率20%にすれば、日本の国力は相当に疲弊するはずである。消費が激減し、景気も後退するだろう。そうなれば、予定通りの税収は確保できず、さらに税率を上げなくてはならない。日本経済はどうなることか……。
 消費税に頼るよりも、無税国債をつくる方が、どれだけ健全で現実的かということである。

<無税国債は富裕層にもメリットが大きい>
・そして無税国債の販売にも、そう問題はないのである。「マイナス金利の国債?そんな国債を買うわけはないだろう」と思う人もいるだろう。確かに、ただマイナス金利というだけならば、買う人はいない。しかし、この国債には、相続税などの無税という恩恵がついているのだ。
 これは富裕層にとって、かなり大きなメリットと言える。

<実は日本は社会保障“後進国”>
あまり知られていないことだが、日本の社会保障というのは、先進国とは言えないくらいお粗末なモノなのである。
 本来、日本は世界有数の金持ち国なのに、社会のセーフティーネットがお粗末なために、国民は安心して生活ができないのである。
 今の日本人の多くは、「日本は社会保障が充実している」「少なくとも先進国並みの水準にはある」と思っている。
 しかし、これは大きな間違いなのである。日本の社会保障費というのは、先進国の中では非常に低い。先進国ではあり得ないくらいのレベルなのだ。
そして、この社会保障のレベルの異常な低さが、日本経済に大きな歪みを生じさせているのだ。日本人が感じている閉塞感の最大の要因はこの社会保障の低さにあると言ってもいいのだ。

・日本は、先進国並みの社会保障の構築を全然してきていない。社会保障に関しては圧倒的に“後進国”と言えるのだ。

・また昨今、話題になることが多い生活保護に関しても、日本は先進国で最低レベルなのだ。

・日本では、生活保護の必要がある人でも、なかなか生活保護を受けることができないのだ。

・日本の生活保護では不正受給の問題ばかりが取りあげられるが、生活保護の不正受給件数は全国で2万5355件である。つまり生活保護には不正受給の数百倍の「もらい漏れ」があるのだ。

<なぜ経済大国日本に「ネットカフェ難民」がいるのか?>
・日本では、住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎない。支出される国の費用は、1500億円前後である。先進諸国の1割程度に過ぎないのだ。しかも、これは昨今、急激に減額されているのである。1500億円というのは、国の歳出の0.2%程度でしかない。
 フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けている。その額は、1兆8000億円である。またイギリスでも全世帯の18%が住宅補助を受けている。その額、2兆6000億円。自己責任の国と言われているアメリカでも、住宅政策に毎年3兆円程度が使われている。
 もし、日本が先進国並みの住宅支援制度をつくっていれば、ホームレスやネットカフェ難民などはいなくなるはずである。

・日本は他の先進国よりも失業率は低い。にもかかわらず、ホームレスが多かったり、自殺率が高かったりするのは、社会保障が圧倒的に不備だからなのだ。日本の自殺率は、リストラが加速した90年代以降に激増しており、明らかに経済要因が大きいのである。

<税金の特別検査チームを!>
・税金の無駄遣いをなくし、必要な支出をきちんと見極める。
 そのためには、予算をチェックするための強力な第三者機関のようなものをつくるべきだろう。
 今の日本の税金の使い道というのは、複雑に絡み合ってわけがわからなくなっている。これだけ税金の無駄遣いが多発しているのは、税金の使途の全貌を把握している人がほとんどいないからである。

<平成の“土光臨調”をつくれ>
・今の行政制度、官僚制度ができて60年以上である。いや、戦前から続いている制度も多いので、100年以上になるかもしれない。
 同じ制度を100年も使っていれば、絶対に矛盾や不合理が生じるはずである。

<先進国として恥ずかしくない社会保障制度を>
・財界も参加した第三者機関により、社会保険料の徴収と分配も合理的に考えることができるはずである。これまで財界は社会保険料を取られるだけの立場だった。そのため、なるべく社会保険料を小さくすることを政府に要求し続けてきた。

・これまで述べてきたように、日本の社会保障制度というのは、先進国とは言えないほどお粗末なものである。
 しかし世界全体から見れば、日本はこれまで十分に稼いできており、社会保障を充実させ、国民全員が不自由なく暮らすくらいの原資は十二分に持っているのである。
 今の日本の問題は、稼いだお金が効果的に使われていないこと、お金が必要なところに行き渡っていないことなのである。

<「高度成長をもう一度」というバカげた幻想>
・バブル崩壊以降、国が企業や富裕層ばかり優遇してきた背景には、「高度成長をもう一度」という幻想があると思われる。

・そういう絶対に不可能なことを夢見て、やたらに大企業や富裕層を優遇し続けてきたのが、バブル崩壊後の日本なのである。

<今の日本に必要なのは「成長」ではなく「循環」>
・極端な話、景気対策などは必要ないのである。
 必要なのは、大企業や富裕層がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することだけなのである。
・大企業や富裕層がため込んでいる余剰資金のうち、1%程度を差し出してください、と言っているだけなのである。
たったそれだけのことで、日本全体が救われるのである。

<国際競争力のために本当にすべきこと>
・バブル崩壊後の日本は、「国際競争力」という“錦の御旗”のもとで、企業の業績を最優先事項と捉え、サラリーマンの給料を下げ続け、非正規雇用を激増させてきた。

<無税国債は一つのアイデアに過ぎない>
・何度も言うが、バブル崩壊後、富裕層や大企業は資産を大幅に増やしている。その一方で、サラリーマンの平均収入は10ポイント以上も下がっている。
 国民に広く負担を求める消費税が、いかに不合理なものか。

・もう一度言うが大事なことは、一部に偏在しているお金を社会に循環させることなのである。

<日本の企業はお金をため込み過ぎている>
・この10年くらいの間に大企業はしこたま貯蓄を増やしてきた。「内部留保金」は、現在300兆円に迫っている。

<設備投資には回らない日本企業の内部留保金>
・「バブル崩壊以降の失われた20年」などという言われ方をするが、実は、日本企業はその間しっかり儲けていたのだ。
しかも、それに対して、サラリーマンの給料はこの十数年ずっと下がりっぱなし(一時期若干上がったときもあったが微々たるもの)である。リストラなどで正規雇用は減らし、非正規雇用を漸増させた。

<「日本の法人税は世界的に高い」という大嘘>
・しかし、実は「日本の法人税が世界的に高い」というのは大きな誤解なのである。日本の法人税は、確かに名目上は非常に高い。しかし、法人税にもさまざまな抜け穴があり、実際の税負担は、まったく大したことがないのである。法人税の抜け穴の最たるものは、「研究開発費減税」である。

<バブル崩壊以降、富裕層には大減税が行われてきた!>
・そもそもなぜ億万長者がこれほど増えたのか?
 その理由は、いくつか考えられるがその最たるものは、次の2点である。「相続税の減税」「高額所得者の減税」
 信じがたいかもしれないが、高額所得者は、ピーク時と比べれば40%も減税されてきたのである。

<実は、日本の金持ちは先進国でもっとも税負担率が低い>
<金持ちの税金は抜け穴だらけ>
・前項で紹介した大手オーナー社長のような「配当所得者」に限らず、日本の金持ちの税金は抜け穴だらけなのである。だから、名目上の税率は高いが、実際はアメリカの2分の1しか税金を払っていない、ということになるのだ。

<相続税も大幅に減税された>
・バブル崩壊以降、減税されてきたのは所得税だけではない。相続税もこの20年間に大幅に減税されている。


外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(5)


<習近平政権になって公開処刑が復活>
・(矢板)本章の最後に日本人がぞっとする話をしたいと思います。
 この公開処刑は、鄧小平時代にいったんなくなったのですが、最近、習近平政権になってから復活しています。やはり、恐怖政治は効くのですね。習近平の政治手法は完全に毛沢東と同じです。もう人権的な発想はまったくありません。
 死刑囚の処刑法は銃殺なのですが、残酷なのはその銃弾の費用を家族に請求するのです。けっこう高くて、1発3元します。ときどき1発で亡くならない人に何発も撃つと、家族にとっては大きな経済負担になるのです。
(石平)私はこれまで何度も中国共産党政権の残酷さについて日本人に警鐘を乱打してきましたが、これまで話してきたように、私たち自身が全体主義の恐怖を身をもって体験してきたから言うのです。しかしその恐怖を知らない日本人に本当の意味で伝えるのは難しいかもしれません。

<80年代に中国を夢中にさせた日本の大衆文化>
・(石平)しかし、中国が日本に求めたのはそれだけではなかったのです。大衆文化がそうでした。実際に80年代に中国で風靡して、中国人に大きな影響を与えたのは、実はハリウッド、アメリカではなくて日本だった。それをわれわれの世代は身をもって体験しました。
 どういうことかというと、それまで中国が経験してきた文化大革命、毛沢東の死去、改革開放時代には大衆文化が皆無だったわけです。

・数え切れないほど多くの日本の映画が翻訳されて、上映された。たとえば日本ではそんなに大した映画ではないけれど、高倉健主演の北海道を舞台にした『君よ憤怒の河を渉れ』(中国題『追捕』)はすごい映画でした。
 あるいは山口百恵のテレビドラマ『赤いシリーズ』。中国人は初めて人間的な世界にふれたわけで、本当に新鮮な刺激を受けた。さらに日本の歌が入ってきて、続けてアニメガ入ってきて、中国人を夢中にさせた。

<中国人の若い女性の憧れとなった高倉健>
・(石平)たしかに映画『君よ憤怒の河を渉れ』は大ヒットしたけれど、もう一つの大ヒット映画は『遥かなる山の叫び声』(中国題『遠山的呼喚』)で、高倉健主演で山田洋二監督でした。

・また、この映画2作で、主演の高倉健は80年代を通して、中国の若い女性たちの憧れの的になった。
 矢板さんは覚えていないかもしれないけれど、あの当時の中国人の男はたいがい貧乏だったので、若い女性の恋人を選ぶ一番の条件は、実は背の高さだった。基本的に身長が175センチ以上ないと相手にされない。

<中国政府からお墨付きを与えられた山口百恵>
・(石平)われわれの世代でも、ご飯を食べているときに80年代の日本文化の話になると、みんな驚くほど日本人スターやアイドルの名前を覚えていて、場が盛り上がるのです。
 当時、高倉健や倍賞千恵子や山口百恵を知らない中国人はいなかったといっていい。日本の総理大臣は誰も知らなくても。

<民衆の不満を吸収してきた経済成長>
・(矢板)これから国際政治的にもさまざまあるでしょう。少なくともトランプ政権は基本的に現金しか認めないというような内向きです。これから本格的に米中貿易摩擦が激化してくると、中国の経済成長を支えてきた外国からの投資、海外への輸出が壊滅的な打撃を受ける可能性があります。
 そうなったときに次なる経済成長の柱を見つけることが中国の最大の課題です。けれども、習近平の能力ではそれも絶望的でしょう。

<中国の経済状況は確実に悪化している>
・(矢板)「中国崩壊説の崩壊」は常に言われており、最近は「いや、いっこうに崩壊しないではないか」と崩壊論に批判的なメディアやジャーナリストも多いですが、経済状況は確実に悪くなっています。
 老人がいて高血圧、糖尿病、心臓病などすべての病気を抱えている。にもかかわらず。毎日タバコを吸ったり、徹夜で麻雀を打ったり、大酒を飲んだり、体に悪いことばかりしているのが中国経済だと、私はずっと書き続けています。
 症状は確実に悪化している。「でも、まだ死なないではないか」と指摘をされても、これは誰にもわかりません。

・ところが、それが徐々に変わり、私が帰国するまえに受けた相談は、「中国から撤退したいのだけれど、全然お金を持ち出せない。どうすればいいのか」でした。もはや誰も中国に投資する気などない。

<中国の経済成長を支える柱にはなり得ない「一帯一路」>
<幻となった李克強首相のリコノミクス>
・(石平)けれども、政治体制の問題で、李克強は経済運営で主導権を握れず、リコノミクスは始まってもいないのに終わってしまった。
 矢板さんが指摘したように、国内の不動産投資、公共事業投資、要するに固定資産投資はすべて飽和状態、頭打ちとなっています。最後に中国がもし望みをかけるならば、内需拡大です。
 しかし、内需拡大もそう簡単に実現するわけがない。貧富の格差があれほど拡大すると、唯一内需拡大できる方法はかつての薄熙来路線しかないでしょう。薄熙来は「打黒」政策でマフィアのみならず、金持ちを一掃し、彼らの財産を没収、重慶市の財政収入にして貧乏人のための福祉住宅を建設した。もちろん、人気取りのためです。
 習近平も金持ちからお金を奪い取って、貧困層に再分配すれば、一気に内需拡大ができるかもしれない。
(矢板)仮に「打黒」をしても、中国経済は回復しないでしょう。私有財産の保証がなければ、怖くて誰も中国でビジネスができない。

・習近平はそういう薄熙来的な手法を全国で展開するくらいしか、思いつかない。しょせんそれが習近平の限界なのです。

<習近平の下で事実上幕を閉じた集団指導体制>
・(石平)今年(2018年)から習近平は「掃黒除悪」のスローガンを掲げ、黒社会と呼ばれるマフィアなど犯罪集団の全国的な取り締まりに乗り出しています。期間は3年間。薄熙来の「打黒」に対して習近平は「掃黒」、マフィアを一掃だから、さらにすごい。
 ただし、マフィアをやっけるのに3年間もかからない。明らかに狙いは民間企業の経営者の財布です。
 中国のことわざで言えば、「殺鶏取卵。卵が欲しくて鶏を殺して卵を取る」。そんなことを3年もやったら、中国経済はさらに駄目になるのは火を見るより明らかでしょう。

<経済活動を凍らせた反腐敗キャンペーン>
<いまは誰も賄賂を受け取らず、誰も仕事をしない時代>
・(矢板)たしか2、3年前に起きたのは北京市の工商局、ここは新しい企業が設立されると営業許可証を出すところなのですが、それを1年ほど発行していなかった。新たな申請がたくさん来ているのに、発行していない。
 発行して万が一何か問題が起きたときに自分の責任にされるからです。発行しない言い訳に「紙がない」と言い張って、発行しないわけです(笑)。

<誰も信じない習近平のユートピア的共産主義>
・それでは、現在の習近平政権はどうか。彼の一連の講話や発言は、私に言わせれば、ユートピア的共産主義でしかない。誰も信じていない精神論にすぎない。
 習近平の思想にしたがえば、共産党の幹部はこれから一切の私利私欲をなくして、人生のすべてを共産党の思想・理念、人民のために奉仕しなければなりません。

<莫大なコストがかかる習近平の恐怖政治>
・いまは恐怖政治を敷いて、反発をすれば逮捕するという強引な手法で政権を維持していますが、それによって莫大なコストがかかっています。
 そんななか、このところ中国国内のあちこちで起きているのは、警察官のデモです。「給料が上がらない」「年金がピンハネされた」など待遇の悪さが原因で、今後、急速に拡大していくと思います。
 警察官のみならず、ここ2、3年、退役軍人のデモがずっと続いています。

・(石平)そうなると、この統治コストを賄うために、政府は民間企業、外資企業からなりふり構わず搾り取ることになる。しかし、そうした収奪は民間企業の活力を間違いなく削いでしまう。すると、経済はますます縮小する。縮小すると強権体制を維持するため、さらなら収奪が行われる。

<巨大な利権を生むだけの意味のない監視体制>
<潰れるときは一緒の政府と銀行>
・(矢板)中国の場合は銀行と政府が“一体化”になっているわけです。だから、潰れるときは一緒なのです。政府が銀行を助ければ銀行は潰れないけれど、政府に対する信頼はいまはどんどん下がっている。将来、政府の信用が地に堕ちたときには、リーマンショックの何倍もの大変な危機が発生すると思います。

<諜報活動に関する法律も予算もない日本>
・(矢板)それに対して、日本はスパイ天国と言われるように、日本にはスパイ防止法も何も、スパイに対する法律がありません。
 外国のスパイ組織はみな日本に支部を置いて、あちこちに派遣して活動しているわけです。日本にはスパイに対する法律、海外の諜報活動に関する法律が一切ない。ということは、海外にスパイを出せるわけがないのです。

<中国語もできないのにスパイとして拘束された日本人>
・(矢板)拘束されている8人のうち、もっとも知名度が高いのは、2016年7月に拘束された日中友好団体、日中青年交流会理事長の鈴木英司氏です。

<孔子学院は世界の大学に入り込む洗脳教育機関>
・(矢板)日本はまだ気づいていないのか、「うちにも孔子学院を」と大学側が誘致している始末です。アメリカではどんどん監視を強化して、孔子学院を大学から追い出そうという動きになっています。

<習近平思想の恐ろしい中身>
・(矢板)習近平思想とはほとんど中身のないもので、2050年までに何をするというふうに、思想というよりも自分のやりたいことを並べているだけで、とても思想とは呼べません。
 それでも人民日報などの官製メディアは持ち上げているのですが、習近平のやりたいことのなかで、2050年までに中国を社会主義強国にするとあります。

・怖いのは、社会主義強国となることの裏側に横たわっているものです。それは中国の保守派がずっと希求する失地回復、失った領土を取り戻すことがあります。

・でも、どこが失地なのかと考えると、実は滅茶苦茶なのです。当然、台湾があります。それから南シナ海、尖閣、それと現在はインドの領土になっているチベットの南側。それら全部を2050年までに取り戻さなければいけない。2050年までに中国を社会主義強国にするという習近平思想を具体的に解釈するとそうなります。
 習近平はそう書いてはいないけれども、私が現場の軍人に聞くと、要するにこういうことでしょうと肯くわけです。こう考えると、2050年までに中国は相当周りと戦争をしないと、失地を取り戻せない。

<常にトラブルを起こし続ける体質になった中国>
・習近平政権のここ数年を見ていると、世界のトラブル・メーカーになっています。

・中国は常にトラブルを起こし続ける体質になってしまった。だから、またそのうちに尖閣で何かを起こしますよ。

<民族主義を煽って国民を束ねる以外にない>
・習近平は国内矛盾を克服するためにも、戦争を仕掛ける可能性がある。要するに国民の不平不満を限定的な対外戦争で解消するわけです。

<中国の台湾併合シナリオ>
・中国は台湾を実質支配下に置くため、かなりの工作が進められていると言われています。

<毛沢東を超える絶対的な大指導者になるための台湾併合>
・(石平)しかもそこで習近平にとって有利なのは、一応アメリカにしても日本にしても「一つの中国」の原則を尊重していることです。国際社会の多くの国は、台湾の独立国家としての地位を認めていない。そうなると、中国は台湾に手を出しても侵略にはならない。ここで国連の制裁が発動されない。いや、そもそも発動しない。中国は否決権を持っているのだから。

<台湾進攻のタイミング>
・(矢板)そうですね。2020年に台湾進攻の準備が終わると言われています。だから、2020年から2025年の間に、中国は台湾に対して何らかのアクションを起こすのではないでしょうか。それをしないと習近平の3期目に間に合わないですからね。これはさまざまな人たちが言及しています。

<なぜ中国軍でなくて人民解放軍なのか?>
・(石平)まずは沖縄を日本から切り離す。米軍を沖縄から追い出す。沖縄を中華秩序のなかに取り込む。でも、堂々と「沖縄独立シンポジウム」を北京で行っていることに日本政府が抗議しないのはおかしいよ。

<親中派のロジックと逆方向へと進む習近平>
・(石平)習近平のやっていることは、民主化にするすべての可能性を潰していくものです。



『なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか』
高橋洋一   KADOKAWA  2017/4/28



<いまや世界経済のリスクとなった中国>
<自国の統計を信じない中国の政治家たち>
・経済学者の目から見ると、中国は不思議な国だ。経済学の基本でいえば、輸出は外需、輸入は内需の動きを示す。貿易統計の数字を見ると、近年の中国は輸出・輸入ともに減少しているのに、GDPは伸びている。この現象を論理的に説明できる術を筆者は持ち合わせていない。誰かに説明してもらいたいほどだ。
 もっとも、中国政府が発表しているデータを鵜呑みにすれば、いまも中国が経済成長を続けているというストーリーを簡単につくり出すことができる。

・中国のGDP統計に対して疑惑の目を向けているのは、筆者だけではない。以前から多くのエコノミストやジャーナリストが疑惑を指摘しているが、恐ろしいことに中国の政治家たちすら、国の統計を信頼していない。

・中国の国家統計局が公表する経済成長率は2012年から“小刻み”に低下しているが、これも経済の成長が止まったことをわかったうえで、対外的に「急激な失速」という印象を与えないように改竄されたデータである、と見たほうがよい。
 外需が芳しくない要因には、競争力の低下や需要の落ち込みが考えられる。これらは短期的には改善されにくいものだ。また、内需についても、共産党指導部が問題視している国内の過剰生産が「供給側の構造改革」によって解消されないかぎり、好転は難しい。貿易統計しか信頼できる判断材料がないとはいえ、中国経済が当分のあいだ、低迷する確率は高いと予測できる。

<人民元は国際通貨になれるのか>
・経済が低迷するなかで、今後の動向を探るカギとなるのは、習近平体制がどこまでもちこたえられるか、ということだ。中国経済をめぐっては、アメリカの経済学者であるケネス・ロゴフがハードランディング論を唱えている。はたして習政権は自国の経済をどこに、どう着地させようとしているのか。
 先進国では、政治的な自由と経済的な自由はセットで動いている。一方、中国の政治体制は一党独裁であるため、政治的な自由の確保は絶望的だ。そのため中国では、経済的な自由を達成できない――というのが、筆者の考える基本的なロジックである。

<中国は先進国になる前に「中進国の罠」に突き当たる>
・中進国には2種類の相手との競争がある。1つは、背後から追い上げてくる途上国。賃金の安さで中進国よりも比較優位にある途上国は、輸出品ではコスト競争力を発揮する。もう1つは先進国だ。技術力や開発力では、中進国は先進国の後塵を拝するケースが多い。コスト競争力で途上国に敗れ、技術力では先進国に敵わなければ、中進国の経済成長は止まってしまう。これが「中進国の壁」といわれる現象である。

・それに対して中国は、工業化を国有企業が牽引し、いくつかの優良企業も現れつつはあるが、資本・投資の自由化はほぼ不可能である。

・このままでは、中国は中進国の壁を越えられなかったマレーシア、タイ、アルゼンチン、メキシコといった成長停滞国の二の舞になる確率が高い。

・国際通貨になるためには、発行国が経済大国であり、発達した健全な為替・金融資本市場を有し、対外取引の自由が保証されているといった要件を満たしていなければならない。これらは経済的な自由の典型だが、中国の場合、巨大な国内市場はあるものの、常習的な為替管理国であり、自由な対外取引にも難点がある。
 中国が経済的な自由を認めるのは、容易なことではない。なぜなら為替の自由化は資本取引の自由化と表裏一体であり、資本取引の自由化は国有企業の全面的な民営化につながるからだ。国有企業が民営化によって経済的な自由を獲得すれば、やがては政党選択という自由を国民は求めるようになる。すなわちそれは、現行の一党独裁体制が崩壊の危機にさらされることを意味する。

<中国は「理」がなくとも「利」で動く>
・中国としては、統計をどれだけ改竄しても実体経済の悪化は覆い隠せないという現実がある。実際に、中国からの資本流出には歯止めがかからなくなっている。その一部は、外貨準備高の減少というかたちでも現れている。

・いずれにせよ、中国国内の人件費は高騰し、もはや絶対的なコスト競争力が確保できない状況になっている。しかも、無格付けの社債が平気で発行される国である。破産法制が整っていないから企業の倒産はなかなか顕在化しないが、広州、香港、マカオでは数千社の倒産が起こっている。
 もはやビジネスの最適立地とはいえない、という理由から、中国以外の新興国に生産拠点を求める日本企業も少なくない。

・この状況を放置しておけば、人民元は国際通貨になるどころか、大暴落を引き起こす可能性すら出てくる。人民元の暴落は習政権にとって致命傷になるだろう。

・大風呂敷を畳むことができなければ、中国は「GDPが順調に伸びている」という架空のシナリオを描きつづけるしかなくなる。

<「戦争の巣」東アジアでどう生き残るか>
<集団的自衛権行使で戦争リスクは下がる>
<民主主義国家同士のあいだでは戦争はほとんど起こらない>
・戦争は二国(多国)間で起こる。そして、仕掛ける国の都合で始まる。だからこそ、成熟した民主主義国家同士の「同盟関係」が重要になる。どんなに野蛮な国でも、複数国を相手に戦争を仕掛けることの無謀さを理解しているからだ。

・筆者は数字を示そう。集団的自衛権の行使によって日本の戦争リスクは最大40%下がる。また自主防衛(個別的自衛権の行使)と比較すれば、コストは75%程度少なくて済む。

・日米同盟のコストは1年で約1.7兆円、そこに防衛関係費を加えても約6.7兆円だが、現在と同等の防衛力を自前で賄おうとすれば、24~25.5兆円かかると試算されている。さらに筆者の指摘を加えるなら、自主防衛の道を選択すれば、いずれは抑止力としての核兵器保有まで視野に入れなければならなくなる。

・お花畑の真ん中で安全保障の論議をしていたら、いつ非合理な事態に巻き込まれてもおかしくはない。すでに日本の排他的経済水域(EEZ)には北朝鮮から頻繁にミサイルが撃ち込まれているという「事実」を、日本人はきちんと認識すべきだ。

<日本のPKO議論はガラパゴス状態>
・ついでにいえば、駆けつけ警護も安保関連法も憲法違反だと主張する野党は、25年前の世界にとどまったままである。1周遅れどころか、3周遅れだ。

<「日本の借金1000兆円」の大嘘>
<政府資産の存在がバレて困るのは誰か>
・バーナンキ氏の理論では、大恐慌は各国の金融政策という一点からシンプルに説明される。金本位制に執着した国は十分な金融緩和ができずデフレから抜け出せなかったが、金本位制を放棄した国では自由に金融緩和ができたので、デフレからすぐに脱出できた。それが「魔物」の正体だ。この慧眼に、筆者もなるほど、と膝を打った。そして、当時の日本とドイツの経済政策に思いが及んだ。

・世界恐慌の渦中にあった1932年、ドイツでは失業率が30%を越え、失業者は600万人を数えた。これを3年間で160万人にまで減らし、世界恐慌前の経済状態に戻したのがアドルフ・ヒトラーの経済政策だった。アウトバーン(高速道路)の建設など、積極財政による雇用政策が功を奏したのである。

・一方、日本は世界恐慌とほぼ同時期に行われた金解禁によって通貨高となり、輸出が落ち込んで昭和恐慌を招いた。立憲民政党の浜口雄幸首相が、金本位制復帰に伴って緊縮財政を採用したことで、日本は猛烈なデフレに見舞われた。1931年の経済状況を29年と比較すると、国民所得は2割減、物価は3割減となっている。32年の失業率は統計上では8%程度となっているが、この数字は信頼性に乏しい。かなりの失業者がいたことは、各種の経済データから複合的に推測できる。その昭和恐慌から日本経済を回復させたのが、「高橋財政」と呼ばれた高橋是清の経済政策だった。

・ドイツのヒトラーも、日本の高橋是清も、積極財政と金融緩和をいち早く行ない、早期のデフレ脱却を成し遂げた。だが、経済が回復してからの両者の人生は対照的だ。ヒトラーは独裁体制を構築して戦争へと突き進んだ。高橋是清は軍事費の緊縮へと動いたことで暗殺され(2・26事件)、軍部の台頭と暴走によって日本も戦争へと向かった。

・たとえば、国の借金が約1000兆円もある—―と心配している人は、いまだに少なくない。左派マスコミや財務省の御用学者だけでなく、どこのヒミつきでもないエコノミストのなかにも、この大嘘を疑わない人がいるのだから、彼らの言論に国民が騙されるのも仕方ないかもしれない。筆者にいわせれば「いまさら」だが、日本の財政はそれほど脆弱ではない。いわんや「このままでは財政破綻する」という主張には、失笑さえ覚える。

<財政再建はすでに達成されている>
・そこで、あらためて計算すると、約500兆円の借金から400兆円が除外されるのだから、国の本当の借金は100兆円そこそこ、多く見積もっても150兆円程度でしかない、という実態にたどり着く、GDP比でいえば、せいぜい20%程度。日本の稼ぎは、借金の5倍もある。これで「財政破綻寸前」なら、アメリカやイギリスはとうの昔に破綻しているだろう。同じ計算方法で各国の純債務をGDP比で見れば、アメリカは65%、イギリスは60%である。先進国のなかで比較をすれば、日本の財政はむしろ「優良」といってもよいくらいだ。
 断言しよう。日本の財政再建は実質的に、すでに達成されているのである。

<「政府の借金は国民の資産」論の危うさ>
・政府がもっている、莫大な収益をあげるための強力な権利が徴税権だ。国民や企業から強制的に税金を徴収できる権利は、実質的な資産といえる。しかも、少なく見積もって毎年30兆円以上の税金を徴収できるのだから、割引率5%として資産価値は600兆円にもなる。それを加味すれば、日本の財政は資産超過といってもおかしくない。

<マイナス金利で得をするのは国民だ>
<「濡れ手に粟」だった日本の金融機関>
・「マイナス金利」という言葉を初めて耳にしたとき、その意味と効果をすぐに理解できた人は少なかったのではないか。というより、いまだに正しい理解が得られていない人が多くいるように感じる。
「マイナス」と聞けば、条件反射的にネガティブなイメージを抱きやすいものだ。日銀がマイナス金利を導入したのは2016年1月29日。直接に株価や為替が乱高下したこともって、エコノミストの論評のなかにも、マイナス金利を否定的に扱うものが数多く見られた。
 こちらも結論から述べよう。マイナス金利は日本の経済を活発にすると同時に、国民が得をする金融政策である。

<「オークンの法則」>
・オークンの法則は、GDPと失業率には密接な関係があり、経済成長しなければ失業者が増えるという理論である。成長しなければ人々の満足度も豊かさも高めることはできないという因果モデルは、経済学では動かしがたいテーゼだ。

・オークンの法則は、日本を含めた先進国で広く実証されているからこそ、「経済法則」の名に値するのである。

<経済成長をボウリングに譬えると………>
・オークンの法則は経済成長と失業の関係を如実に示すものだが、さらに踏み込んで開設すれば、失業率が下がることは自殺率や犯罪率の低下、また労働力人口に占める生活保護率などの低下にもつながる。

<年金制度の持続可能性は高まった>
<評価に値するマクロ経済スライドの発動>
<消費税の社会保障目的税化は悪手だ>
・少子高齢社会において、年金の財源確保は大きな問題だ。しかし、そのために消費税率を上げなければならないというロジックに合理性はない。

<歳入庁創設が年金問題解決の最適解>
・この問題は、じつは簡単に解決できる。「歳入庁」を創設して税金と社会保険料の徴収を一元化すればよいだけだ。現状の非合理なシステムを一つの機関に統合すれば、徴収効率は高まるし、行政のスリム化にもなる。納める側も手続きが1ヵ所で済む。デメリットは何もない。
 海外では、むしろそれが当たり前のシステムだ。

・国税庁の税務調査権は、財務官僚の裏の権力だと筆者は思っている。「税務調査が入る」といえば、誰でもビビる。この権力を振りかざせば、政界、財界、学界など、あらゆる業界の人たちを黙らせられる。この既得権を手放したくないから、財務官僚は国税庁が切り離されて歳入庁に編入されることに全力で抵抗するのだ。
 歳入庁創設は年金問題の最適解である。その解を導く計算式をどう編み出していくかが、政府の進める「社会保障と税の一体改革」のカギになる。

<GPIFは見直しではなく廃止せよ>
・GPIFについては、組織の「見直し」よりも「廃止」が正しいと筆者は主張してきた。
 公的年金の現行制度はほぼ割賦方式で、一割程度が積立方式になる。割賦方式は「入(保険料+税)」と「出(年金給付)」が等しくなるように調整する。「入」は賃金に連動し、「出」は物価に連動する。このバランスがうまくとれていれば、年金制度が破綻することはない。マクロ経済スライドは、そのバランサーだと理解すればよい。
 ということは、年金財政にとって積立方式は1割程度しか寄与していないことになる。年金積立金は100兆円以上ある。そんなにもっている必要がほんとうにあるのか。年金運営の流動性を確保するなら、10兆円程度で十分だ。
 GPIFは積立金を運用する独立行政法人である。2015年度には株価下落で5兆円を越える損失を出したことが大きく報じられたが、累積利益は40兆円ある。しかし、年金制度の本質論としては、一般国民の公的年金である積立金をリスクのある市場で運用することの是非を問うべきだ。
 結論からいえば、国が行なう事業として市場運用ほど不適切なものはない。100兆円の積立金を運用して利益が出ても、1割の寄与では年金給付額が大きく増えるわけではない。年金財政に運用は不要である。
 この筆者の主張に顔色を変えて反対するのは、GPIFから運用委託を受けている民間の金融機関だろう。100兆円の資産を運用する信託報酬を0.01%としても、金融機関には100億円もの手数料が転がり込む。実際、金融機関の厚労省詣では霞が関でも有名だ。金融機関の関連団体が厚労省の退官者の再就職先になるケースもある。ここにも利権と天下りの癒着構造が存在している。

・年金財政の観点からいえば、インフレヘッジのためには市場運用を行なうのではなく、積立金の金額を非市場性の物価連動国債にすればよい。これなら不確実性も、リスクもない。さらに、有能なファンドマネジャーによる裁量も必要ない。業務は「今月はいくら分買います」と財務省に電話をするだけだから、運用担当者が1人いれば事足りる。したがって、GPIFという大きな組織もいらなくなる。これが「廃止論」の根拠である。

<しっかり保険として制度運営を行なえば、日本の年金制度が破綻することはない>
・厚労委で意見陳述したとき、筆者は官僚時代に考案した「社会保障個人勘定」を引き合いに出し、社会保障費の個人ベースの持分権を、個人勘定内で融通し合う制度の検討を提案した。これは「お好みメニュー方式」や「カフェテリア方式」とも呼ばれる。たとえば健康に自信がある人なら、健康保険の持ち分を年金の持ち分に移行するといったことを可能にする仕組みで、自分の社会保障を自分の考えで再構成するアイデアだ。
 これに関連して、「年金定期便」を制度化した経緯も述べた。読者のところにも届いているだろう。政府が行なうべき責務を、国民の1人ひとりがしっかり把握していれば、年金を補完する手立ても自分で決めることができる。そういう社会保障のあり方を想定して、年金の将来も個人ベースで伝える年金定期便は企画された。官僚時代の筆者は、この制度発足にも関わっていた。

<シェアリング・エコノミー(共有型経済)>
・世界中に向かって、日本はおおいに“カッコつければ”よいと筆者は思う。それが経済成長につながり、オリンピックやパラオリンピックでは選手が獲得する金メダルの量産にもつながる。成長を否定せず、成長をめざしつづけているから、日本は「理不尽な」世界でも、勝者になれるのだ。



『これが世界と日本経済の真実だ』
日本の「左巻き報道」に惑わされるな!
経済ニュースは嘘八百! 目からウロコの高橋節炸裂!
高橋洋一   悟空出版   2016/9/28



<中国はもう経済成長なんてしていない>
<中国が行き詰まっている理由>
・中国の経済成長は限界を迎えている。2016年の年初、株式が暴落し上海株式市場が取引中止に追い込まれたのは象徴的な出来事だった。「世界最大の市場」を持ち、「世界の工場」を謳っていた中国だが、近年の失速は顕著だ。

・貿易の数字も良くない。「世界の工場」の中心地帯である珠江デルタ地域での2016年の輸出の伸びは、わずか1%の成長と見込まれている。
 まさに苦境にある中国経済だが、「中国の夢」を唱える習近平国家主席は、理想こそ高いが、有効な経済政策を打ち出せてはいない。筆者の考えでは、中国はもはや経済成長しない。そう考える理由は、「1人当たりGDP1万ドル」の壁にぶち当たっているからだ。
 この「壁」は「中所得の罠」と呼ばれる現象だ。

・開発経済学の研究から見ると、十分な工業化が達成される前に消費経済化のステージに入ると経済は停滞するというパターンがある。
つまり、今の状況では中国は発展できないと言える。その「壁」を超えるには、社会経済の構造改革が必要である。先進国の条件とも言える「資本・投資の自由化」だ。これまでの歴史を振り返っても、先進国の中で、資本・投資の自由化なしに経済が発展してきた国はないのだ。

しかし周知のとおり、社会主義体制の中国では経済は自由化されていない。中国では自由な資本移動を否定し、固定為替制と独立した金融政策を進めるという歴史上はじめての試みをしている。だが、自由化つまり国有企業改革をやらない限り、中国は「壁」を突破できないと考えるのが経済学の常識だ。現在の一党独裁体制の中国が、はたして完全な自由化に舵を切れるのだろうか。
それでも、中国のGDPは成長を続けているではないか、と思う人はいるかもしれない。しかし、中国が発表しているGDP(国内総生産)の成長率は、とても信用できるものではない。中国の発表する統計は、偽造されていると考えるべきだ。

<中国のGDPの大噓>
・ただ、その「悪い数値」を信じている経済の専門家は皆無だ。中国の成長率が誇張されていることは誰もが知っている。社会主義の中国では、国家が発表する統計は国有企業の「成績表」という意味がある。そして、その統計を作っているのは、「中国統計局」という国家の一部局である。言ってしまえば、自分で受けたテストの採点を自分でしているようなものなので、信頼性はどこにも担保されていない。
 さらに言うと、統計は短期的にではなく長期にわたって見る必要がある。

・中国のような経済大国の変化率が低いというのは、どういうことだろうか。
 石油価格の高騰など、近年の世界経済は大きく変動している。その世界経済の変動に、各国のGDPも影響を受けなければおかしい。実際、日本やアメリカ、イギリスなどのヨーロッパ各国をはじめ、世界中の資本主義国のGDPの成長率は上昇と降下を繰り返している。それなのに、その各国と貿易をしている中国のGDPの成長率がほとんど変わっていないのはどういう意味か……。それは発表されている数字が人為的なものだということだ。
 実は、中国がここ数年刻み続けているおよそ7%という数値には「根拠」がある。

・日本なら、成長率が7.1であろうと6.9であろうと統計上の誤差の範囲とされるが、中国ではその僅かな差が非常に大きなメッセージとなるのだ。

<本当のGDPは3分の1>
・中国の信用できない統計の中でも、農業生産と工業生産に関してはしっかりとデータを取っているようで、ある程度信頼できるとされてきた。なぜかといえば、計画経済を進めるために、1950年代からしっかり生産量のデータを取る必要があったからだ。しかし、その工業生産のデータも怪しくなってきた。

・つまり、産業別の成長率6%の伸びと工業製品別の生産量の伸びとが著しく乖離していることが分かる。工業製品の生産量が伸び悩んでいるのに、産業全体が成長するなどということはあり得ない。
このように数値を分析してみると、GDP成長率6.9%は相当に下駄を履かせた数値だと理解できるだろう。

・さらに気になるのが中国の失業率だ。GDPの統計と同じく発表する完全失業率のデータは何年も「国家目標」(4.5~4.7%)の範囲に収まっている。2008年のリーマン・ショック後も、2014年の景気後退の際ですらほとんど変動していないのだから、この数字も信用できない。調査対象も限定されており、無意味な統計なのだ。他にも客観的に信用できる公式統計はないが、現在の完全失業率は最低でも10%、およそ15%ではないかと見られる。

・ただし、中国のデタラメな統計の中でも信頼できるものがある。それは貿易統計だ。
 中国もWTO(世界貿易機関)に加盟している。世界各国の中国向け輸出の統計もあるので、これをすべて足し算してみる。すると、その数字は一致するので、中国の輸入統計は正しいと言える。

・その中国の輸入統計は、およそマイナス15%だ!輸入統計がマイナス15%となると、GDPはマイナス2~3%になるのが普通だ。絶対に、GDP成長率がプラス5%や6%にはならないのだ。ここからも、中国の発表するGDPがデタラメということが分かるだろう。

・筆者の予測では、最悪を想定した場合、中国の実際のGDPは公式発表の数値の3分の1程度に過ぎないだろう。詳しくは次項で解説するが、中国の統計システムは、ソビエト社会主義共和国連邦から学んだものだ。
 そのソ連の公式統計では、1928年から1985年までの国民取得の平均成長率は年率8.2%とされていた。しかし、実際は3.3%でしかなかった。その事実は、ジャーナリストのセリューニンと経済学者のハーニンによって、1987年に発表された『滑稽な数字』という論文で指摘されている。
 ちょっと頭の体操であるが、もしこのソ連とまったく同じ手法を、中国統計局が15年間行っていたとすると、中国のGDPは半分ということになってしまうのだ。もっとも筆者はここまでひどくはないと思いたい。あくまでワーストケースを考えるという話だ。

外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(4)


『チャイナ・リスク爆発前夜』
黄文雄   海竜社   2011/8/16



<中国のカタストロフィーがやってくる日>
・中国は国が大きく、人口も多い。だからこそ政治経済的にも社会文化的にも矛盾がうずまく。20世紀に入ってから、ロシア帝国とオスマン・トルコ帝国、すべての植民地帝国、そして、ソ連社会主義帝国が崩壊したのはそのためである。

・人民共和国を見るかぎり、大躍進失敗後に数千万人が餓死、文革のように党、政府まで崩壊しても国家が生き残ったのは、民国や清帝国時代もそうだった。国家の破局や体制崩壊はきわめて多元的な原因によって起こる。戦乱や天災、疫病などの複合的中国型カタストロフィーが連鎖的に襲来するのが、よく見られる中国崩壊の歴史法則であった。

人民共和国が辿る歴史の宿命は崩壊である。その日は、複合的中国型カタストロフィーが襲来し、党人が民衆を管理する力が限界に達する日であろう。

<アメリカに対する中国の戦争恫喝>
・台湾に対する核や中性子爆弾や日本に対する核や水爆の恫喝発言は別として、核大国のアメリカに対しても核恫喝が今でも続いている。その中でも、軍長老の超震と朱成虎将軍の対米核恫喝が代表的だ。超将軍によれば、中国は7回もアメリカを消滅できる核を持っている。その半分ぐらい使用すればアメリカも目が覚める、と核による「訓戒」と「懲罰」の用意があると警告したのだ。

・「アメリカが台湾との紛争に軍事介入するなら、中国はアメリカに対する核攻撃の用意がある」。

・「アメリカは数百の都市が破壊されることを覚悟するべきだ」

・「アメリカに対しては我が国が備蓄する核の10分の1で充分だ。台湾、日本、インド、東南アジアは人工密集の地域であり、人口削減のための核攻撃の主要目的となる」。

・「我々の行く先を邪魔するアメリカを殲滅することが我が国の最大目標である」

・「我々は非常手段を使ってアメリカを殲滅し占領する。準備を着々と実行に移していく。もう一つの中国を建設することで中華民族は安泰だ。このアメリカを倒すには飛躍的に発展したバイオ技術を使って、化学兵器よりも生物兵器による大規模殺人が効果的だ」(元国防相 遅浩田)

・「改革開放の勝ち組として億万長者はほとんどが、「権貴」といわれる「特権貴族」で、ことに代表的なのは「太子党」といわれる党高級幹部の子女、家族、親戚である。ことに億万長者の8割以上が軍の高級幹部ともいわれる。ではなぜ中国人民解放軍の大幹部は、権貴資本主義中国の主役になったのだろうか。

・「解放軍と民間企業との決闘、乱闘が続出している」



『中国高官が祖国を捨てる日』
中国が崩壊する時、世界は震撼する
澁谷司   経済界新書    2013/2/7



<貧富の格差超拡大>
・「新しい中国」誕生へのシナリオとは?

共産党の深刻な腐敗・汚職、貧富の格差超拡大、まかり通る社会的不正義、
集団的乱闘事件の増大、独立した司法制度の欠如、少子高齢化、バブル崩壊・・・。すべてが「中国崩壊」を物語っている現状をつぶさに検証し、中国崩壊後の、日本と世界の新たなる繁栄の道を探る!

・政治的権力を利用して私腹を肥やし、果ては海外逃亡とは、公務員の倫理が問われよう。だが、彼らはいつでも祖国から逃亡する準備ができている。まるで、難破船からネズミが逃げ出している状態である。ということは、現在の中国がいつ崩壊してもおかしくないと考えられよう。

・周知のように、中国国内には、共産党に対する人々の不満が鬱積している。もし火花が散れば、すぐに爆発する危険な状態にある。実は、現在でもなお、毎年、当局や企業に抗議する集団的騒乱事件(「群体(性)事件」)が15%から20%の右肩上がりで増え続けている。そして、一向に収束する気配がない。

・共産党の腐敗・汚職などは、民主主義(多党制、普通選挙制、三権分立制、政府から独立したマスコミの存在など)を導入すれば、次第に問題が一定程度、解決されるはずであった。
 ところが、共産党は己を絶対化し、一党独裁に執着している。今でもなお、同党は、自らこそが“中国を正しい道に導く“絶対的存在だと信じている。そして、共産党は、絶対に合法的野党の存在を認めない。同党は、永久的に政権を他党に渡さないつもりである。このように硬直した発想では、共産党に未来はない。中国はすでに崩壊の“危険水域”に突入した。

<中国分裂>
・中国はすでに革命前夜と言っても過言ではない。思い切った政治改革をしない限り、もはや中国共産党政権はもたないところまで来ている。

・10%の富裕者が中国全体の富の86%以上を所有するという。共産党に対し、貧者はもとより中間層も不平不満を抱えている。

<近隣諸国への攻撃>
・中国共産党政権が末期的症状になれば、近隣諸国への攻撃を試みるかもしれない。意図的に外部に敵を作り、人々の眼を内部矛盾からそらせる。これが共産党に残された最後の延命策だろう。攻撃といっても小競り合いから戦争まで、その範囲は広い。
 そのターゲットは、①日本、②台湾、③韓国、④フィリピン、ベトナム等のアセアン諸国である。論理的には、その他、⑤米国、⑥ロシア、⑦インドなどが考えられるが、その可能性はきわめて低い。

<世界大変貌へのシナリオ>
<中国崩壊後、世界はこうなる>
<失業率・就職率と「蟻族」>
・つまり、8億人中2億人の雇用が足りないのである。きわめて大雑把に言えば、農村からの出稼ぎ労働者を含め、中国全体の失業率が約25%と考えられる。これが中国の本当の姿である。実は中国共産党は、毎年、最低でも約2000万人以上の新しい雇用を創出する必要がある。

・とりわけ、共産党は約650万人以上もの大学新卒者(短大を含む)の雇用を確保しなければならない。

・中国の大学新卒者の就職率に関して、正確な数字は把握できない(たとえできていても、政府が公表しない)。50%、70%など諸説ある。

・現在、中国には、農民・農民工(出稼ぎ労働者)・レイオフされた労働者の「三大弱者集団」が存在する。

・以上、「三大弱者集団」に続くのが、「蟻族」(大学新卒の就職難民)と呼ばれるワーキング・プアである。「蟻族」は、大卒だが、低収入である。中国都市部では、住居費が高いので、彼らは集団生活を余儀なくされている。

・現在、中国には「富二代」(金持ちの二代目)や「官二代」(官僚の二代目)が多数存在する。「蟻族」は、彼らに対し、怒り・悲哀・羨望という三種類の複雑な感情を抱いている。

・実は、「蟻族」ならば、まだマシな方で、「鼠族」と呼ばれる人々もいる。彼らは、「蟻族」でも借りないような場所に住んでいる。

・その他、「校漂族」と言われる人たちもいる。かつて自分が通っていた学校の寮や学校周辺に居ついてしまう。勉強を続けながら、上級の学校(高校卒業生は大学を、大卒は大学院を)を目指したり、資格試験を受けたりする。学校側としても、OBやOGなので、無碍にはできない。だからと言って、「校漂族」には何の権利もないので、学校は彼らに居つかれても困る。

<地方が目指すGDP増大と住民の反乱>
・エリート幹部にとっては、省市のGDPの伸びこそが、出世のための重要な指標となる。

・彼らのようなエリート幹部は、短期間に当地で成績を上げる必要がある。GDPを増やすことこそが、自らの使命だと考え、地方開発に邁進する。

・中国では、開発至上主義の無責任体制ができあがっている。

<少子高齢化と結婚事情>
・中国は人口を抑制するため、1979年から「一人っ子政策」をとった。そのため、2010年代に入ると、先進国の仲間入りをする前に、早くも少子高齢化問題に直面している。

・世界的には、女子嬰児のほうが男子嬰児に比べ、死亡率が低い。なぜなら、女子嬰児は生命力が強いからである。ところが、中国では、女子嬰児死亡率が異常に高い。これは、中国において、女児の誕生は祝福されなかったことを意味している。

・同年代間だけで見る限り、20代後半で、2人以上の男性が1人の女性をめぐり競う。30代前半になると、4~5人の男性が1人の女性を競う。30代後半では、7人の男性が1人の女性を競わなければならない。40代前半では、9人以上の男性が、40代後半では13人以上の男性が1人の女性を競うことになる。つまり、男性が40代になると、結婚は絶望的に難しくなる。

・40歳を超えると、金持ち男性以外、なかなか結婚できない。特に、生活が厳しい農村では、嫁に来る女性がきわめて少ないので、嫁をカネで買うことがある。

<内需拡大の限界と「四つの世界」>
・中国では貯蓄率が異常に高い。2005年には全体で48.2%、2008年には51.4%にも達している。民間企業では50%前後、個人でも40%前後である。これでは、消費に向かうカネが限られる。中国では、カネがなぜ消費に向かわず、貯蓄に回るのか。それは、社会保障制度の不備に由来する。

・病気や怪我をしても医療保険・疾病保険に加入していないと、びっくりするほど医療費が高い。そのため、たとえ病気や怪我をしても、病院へ行けない人が多い。治療費は前金で支払わないと治療が受けられない。また、医者や看護師、あるいは病院のスタッフとコネがないとなかなか診療してもらえない。

・中国は13億(実際はもっと多い)の人口にもかかわらず、せいぜい日本の6000万人程度の市場に過ぎない。つまり、ヨーロッパで言えば、イギリス・フランス・イタリアあたりの一国の市場と同じ程度である。

<中国崩壊後の世界情勢>
・論理的には、次のようなシナリオが考えられる。まず、中国崩壊後、(共産党に代わる)①独裁的政権がすぐに誕生する。あるいは、反対に、②民主的政権が誕生する。次に、③中国が分裂し、内戦の続く長い混迷の時代を迎える。あるいは、④中国が分裂し、軍が内戦だけでなく、外国と戦争をする。③・④の状態では、中国には「大中華主義」が一定の勢いを保ち、まだ再統一への機運が衰えていない。さらに、⑤中国が完全に分裂し、その後、いくつかの新国家(少数民族国家を含む)が誕生する。この場合、中国再統一への機運は衰えている。

・第五に、中国が分裂し、まもなく固定化される。かつてのソ連邦崩壊後、15ヶ国に分かれたように、中国が数ヶ国に分かれる。世界に都合の良いシナリオである。なぜなら、現在の独裁的中国が分裂によって弱体化するからである。ただし、ソ連邦とは違って、中国は、すんなり分裂できないのではないか。

・かつて、ゴードン・チャンが『やがて中国の崩壊がはじまる』で、中国崩壊を予測した。今から10年以上も前である。また、最近、宇田川敬介が『2014年、中国は崩壊する』を出版した。近く中国が崩壊することを予測している。基本的には、本書と同じ観点である。

近い将来、中国の崩壊は必ず起こる。ただし、それが“いつ”起こるかを予測するのは、きわめて困難である。

・近年、30年以内に首都直下型地震が起こると言われている。確率は70%なので、まず確実に起こるに違いない。しかし、その地震が明日起こるのか、3年後に起こるのか、10年後に起こるのか、はたまた30年後に起こるのかわからない。もしかすると、30年後に地震が起きないこともあり得る。これは予測の限界だろう。すでに中国はいつ崩壊してもおかしくない“危険水域に”入っている。筆者は、その認識の下に本書を執筆した。



『未来を透視する』(ジョー・マクモニーグル)
 FBI超能力捜査官
(ソフトバンク・クリエイティブ)2006/12/21



<気象変動>
・来るべき気象変動により、2008年からこの台風の発生回数は増えていくと私は、予想している。とくに2011年は過去に例を見ない台風ラッシュとなり、大規模な暴風雨が吹き荒れる深刻な年になるとの透視結果が出ている。この台風ラッシュは、2012年にずれこむかもしれないが、可能性は低い。嵐の増加を促す地球の温暖化は、現在も急速に進行中だからである。

・2010年から2014年にかけて、また、2026年から2035年にかけて、平均降雨量は年々560~710ミリメートルずつ増加する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけては、380~530ミリメートルずつ減少する。現在から2010年にかけて、また、2015年から2025年にかけて、平均降雪量は300~550ミリメートルずつ増加する。



『未来を透視する』   ジョー・マクモニーグル
ソフトバンク・クリエイティブ    2006年12月26日



<日本の自然災害>
<2010年、長野で大きな地震が起きる>
・透視結果を見てもうろたえず、注意程度にとらえてほしい。ただし、最悪の事態に備えておいて、何も起こらないことを願おう。こと天災に関しては、透視は間違っているほうがありがたい。

<今後、日本で発生する大地震>

2007年  高槻市  震度6弱
2008年  伊勢崎市 震度6弱
2010年  長野市  震度7
2012年  伊丹市  震度6弱
2018年  東京都  震度6弱
2020年  市川市  震度6弱
2037年  鈴鹿市  震度7

・噴火や地震にともなって海底では地盤の隆起や沈降が起きる。そして、膨大な量の海水が突然動きだし、衝撃波となって陸地の海外線へと進行する。

・遠洋ではあまり目立つ動きではないが、浅瀬に入ると、衝撃波は巨大な津波となって陸地を襲い、都市部などを徹底的に破壊してしまう(波の高さはときには30メートル以上になることもある)。

・内陸へと押し寄せる力がピークに達すると、今度は海に戻り始め、残された街の残骸を一切合財引きずりこんでいく。警告もなしに、突然襲ってくれば被害はとりわけ甚大となる。

・幸い日本には、優良な早期警戒システムがあるのだが、海底地震が発生して警報が発令されてから、津波が押し寄せる時間は、残念ながらどんどん短くなっている。

<日本を襲う津波>

2008年夏   11メートル
2010年晩夏  13メートル
2018年秋   11メートル
2025年夏   17メートル
2038年初夏  15メートル
2067年夏   21メートル

・日本は津波による大きな被害を受けるだろう(なお、波の高さが10メートル以上に及ぶものだけに限定している)。北海道の北部沿岸の都市部は特に津波に弱い。徳島市、和歌山市、浜松市、鈴鹿市、新潟市、石巻市も同様である。このほかにも津波に無防備な小都市は数多くある。

<土地>
・気象変動とともに、日本の土地問題は悪化しはじめる。沿岸部での海面上昇と、暴風雨の際に発生する大波によって、低地の村落と小都市の生活が脅かされるようになる。堤防や防壁といった手段は効力を発揮しないため、2012年から2015年のあたりまでに多くの人が転居を余儀なくされるだろう。



『2014年、中国は崩壊する』
宇田川敬介  扶桑社新書   2012/6/1



<下層民衆の反乱によって中国は崩壊する>
・下層民衆が中心となって中国共産党政府と対立し、欲望のまま拡大主義を自主的にすすめると予測している。現在の体制が続く限り、よほど画期的な改革がなければ、チベットや内モンゴルなどの地方自治区の反乱、人民解放軍による内乱、あるいは下層民衆をはじめとする中国人民によるあらゆる手段を使った政府転覆の企てによって、共産党体制は倒されるだろう。その時期はいつか。それは明日起きてもおかしくない。

<いつ中国は崩壊するのか?>
<2014年に中国は崩壊する>
・温家宝首相が発表した8%を下回る経済成長が続き、有効な経済政策を打てないまま、バブル経済がハードランディングした場合、中国人民の生活レベルは一気に下がる。そうなれば、2014年にまさに本書のタイトルのように中国は崩壊に向かうだろう。

・武力衝突は、崩壊の象徴として行われ、体制が崩壊する過程であることを表しているのだ。

<崩壊後の中国は予測がつかない>
・しかし、現在の一党独裁が崩壊しても、どの方向に国家が向かっていくのか、誰がどのように国家をつくるのかは全く分からない。それは中国の「歴史そのものがそうしたことの繰り返し」であり、内乱も長期ヴィジョンや国家観に基づいたものではないからだ。

<崩壊をシュミュレートする>
(★バブル経済が崩壊する日)
・株価の暴落によって都市生活者のドロップアウトが進む、先に挙げたバブル不動産のスラム街化は、中国企業の株価を引き下げ、治安の悪化から外国企業の撤退を招き、中国国内における「負のスパイラル」を完成させる。

(★人民元高が進行)
・つまりバブル崩壊でデフレが進行する中、変動相場制に移行しても通貨安にはならず、通貨高にしかならないのだ。

・経済が低調になれば通貨の価値も下がる。

(★製造業が壊滅する)
・通貨高によって輸出産業は壊滅的なダメージを受ける。

(★中国国務院の政策から世界恐慌へ)
・国務院は、なりふり構わずに景気浮揚を図る政策に舵を切る。それが保有する外国債の売却と、保護関税の創設だ。はっきり言えば、改革開放経済前の中国に戻ってしまうことだ。習近平版、または21世紀版の「文化大革命」が発動されるのだ。

・中国による国債の売却は、世界恐慌に至る可能性すらあるのだ。

(★中国の内戦が拡大)
・最初は「下層社会出身の兵士」と「軍エリート」の戦いだが兵士には8億人の下層民衆がついている。

(★その後の中国)
・その後、ドイツが長い間「東西ドイツ」に分断されていたように、中国は統一した政府ではなく、現在の地方政府が主体となって支配するようになる。

<社会主義には戻れない>
・ここまでのストーリーは決して大げさなものではない。現在の中国は、バブルが崩壊すれば、何が起きても不思議ではないのだ。

<1年間に10万回デモが起きる国>



『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた』
わが青春の現代史
石平 × 矢板明夫   ビジネス社    2018/6/4



<真実を伝えることが中国への恩返し>
・(矢板)「いまの中国は、世界2位の経済大国になった。しかし、一部の特権階級を除き、ほとんどの中国人は幸せになっていない」というのが、新聞記者として十年北京に駐在した実感なのである。
 私の少年時代もいまも、中国で一党独裁体制が続き、それによって虐げられ、不幸のどん底にいる庶民はあまりにも多すぎる。

・「金があったとき、海外に移民すればよかった」と何度もつぶやいた徐氏。別れ際、「何も悪いことをしなくても地獄に突き落とされることがある。この国では金持ちも貧乏人も、夜は安心して眠れない」ともらしたことが印象的だった。

<情報統制で自分の親戚が餓死したことも秘匿された>
・(石平)私が生まれたのは1962年で、実はまだ大多数の人民は飢饉に苦しんでいました。毛沢東の大躍進が失敗に終わった後の数年間、中国では推計3000万~4000万という餓死者が出ました。当時、私の両親は四川省成都でともに大学で教鞭をとっていましたが、都市部に暮らす人たちはほとんど肉類を口にしたことがなく、最低限の食料しか配給されていなかったようです。

<残酷にも文革で別々の農場に下放された父と母>
・(石平)しかも残酷なのは、父と母は別々の農場に下放された。一緒に生活させないわけです。だから私と妹にはすごい年齢差がある。どうしてかというと、父親は下放された8年間、母親に会うことすらできず、指一本触れられなかったわけですから、それどころではなかった(笑)。
 両親ともに下放され、大学から追放されたけれど、それでもまだ幸せなほうでした。大半の知識人は吊し上げられ、半殺しの目に遭わされ、殴り殺された人も少なくなかった。

<配給豚肉のために10時間並ぶのが都会の生活>
・(石平)私の周囲の場合、新しい服をつくってもらえるのは大体年に1回でした。靴は穴が2、3個空くまでは穿きつぶしていたという記憶があります。

・私が物心ついたころは、たしか肉は1週間に1回も食べられなかった記憶があります。1ヵ月に1回か、2ヵ月に1回くらい。しかもそのころの中国はまだ完全な統制経済化にありました。
 私は1974年、12歳のときに田舎から成都に戻ってきたのですが、都市住民は食料については糧票(配布券)を配布されていました。要するに、一人ひとりが1月に食べる米とか、食料の量を政府が決めていた。

<人民公社に収奪され農民なのに食べ物がない>
・(矢板)その点はいまでも変わらないですね。田舎で病気になったら、寝て直すのが常識、要するに獣と一緒です。医療費はべらぼうに高くなっている。
 石平さんが話された糧票は、私の子供のころにも、食べ物を買うときには全部必要でした。

・なぜ食料をつくっている当の農民たちに食料が足りないのだろうか?当時私はずっとそれを不思議に思っていたのですが、全部政府に奪われてしまうから足りないわけで、ひどい理不尽さを感じます。

<大飢饉は凶作でなく“人災”>
・(石平)大飢饉は凶作が原因だったのではありません。人災です。
 農作物の収穫期が来て中央に申告するとき、ある地方の幹部が「自分たちのところはノルマの3倍を達成した」と過剰申告すると、隣接地区の幹部は「いやいや、うちは4倍を達成した」とその上をゆく過剰申告で対抗したのです。バカバカしい話ですが、その結果、虚偽の収穫量は、最終的に普段の年の30倍以上になってしまった。
 もちろん、実際の収穫量は平年並みでしかない。つまり申告の30分の1でしかないので、その皺寄せはすべて農民が被ることになり、農村で餓死者が続出した。だから、本当は凶作で大飢饉になったわけではなかったのです。地方幹部たちが生産量を過剰申告したために起きた人災による大飢饉でした。

<3人兄弟でズボン1つ、5人家族で布団が1組>
・(石平)1軒しかないため祖父の診療所には、患者はずいぶん遠いところからもきていました。みな農民でお金がないから診療代は食料で払った。鶏とかアヒルを携えて診療を受けにきていたのです。だから、われわれ3人家族は豊かで食べ物には困りませんでした。

<毛沢東がつくった恐怖の27年間>
<毛沢東に使い捨てにされた紅衛兵の悲劇>
・文革後、都市部の失業問題は深刻でした。多くの若者に就職口がなかったのですが、もちろん、そのなかには紅衛兵も含まれていた。毛沢東にとって紅衛兵はあくまでも劉少奇を打倒するための道具でしかなかった。そうでしょう。毎日都市部でうろうろして何をやりだすかわからないわけですから。
 かといって、紅衛兵には就職口はない。そこで、共産党は彼ら全員を農村に追い出すことを考え出した。それが、いわゆる「下放」です。

<親も先生も子どもと一緒に大学受験>
・(石平)中国の若者たちは10年にわたり、将来を奪われ続けました。ようやく大学の統一試験が復活したのが1977年。この大学統一試験が面白かった。10代、20代、30代、40代がみんな一斉に試験を受けたのです(笑)。10年間分の受験者が溜まっていたから、父親と息子が一緒に試験を受けるといったケースもありました。

<日本の政治家が超一流?>
・(矢板)中国には2000年前に老子という道教を説いた日本でも有名な思想家がいますが、「政治家には三流の政治家、二流の政治家、一流の政治家がある」と書いているのです。三流の政治家は恐怖政治を行っている。すぐに粛清に走るので、国民はいつも戦々恐々としながら、国が収まっていると。
 二流の政治家とは、国民に感謝される政治家。この人のおかげで自分たちはやってこられたと感謝される政治家です。でも、それも所詮は二流なのだと老子は説いています。
 そして、一流の政治家とは、国民に馬鹿にされる政治家であるというわけです。まさに老子的な発想です。要するに「あいつはただの飾りで税金泥棒だ。自分たちが頑張っているから、いまの自分たちの幸せがあるのだ」とすべての人民にそう思わせるような政治家こそが一流だというわけです。

<「反革命分子」として処刑されたゴミ拾いの老婆>
・(石平)一人のゴミ拾いのお婆さんがどうして「反革命分子」なのかというと、実は彼女はある日、毛主席の顔写真を印刷した新聞紙を使って、ゴミ捨て場から拾った大根を包んだのですが、そんな些細なことで「反毛主席」の大罪に問われたのでした。
 そして数日後、このお婆さんはトラックに乗せられて、町中を一巡して市民たちの見せしめになったあとに、処刑場に引きずり出され、銃殺されました。

<人間の心の「悪魔」を利用した毛沢東>
(石平)矢板さんが先にふれたノーベル平和賞の劉暁波が自伝のようなものを書いています。彼が子供のとき、悪い分子にされた実父を仲間の少年たちと一緒にいじめたのだと。
 彼曰く、結局自分たちの心のなかにもそういう「悪魔」が棲みついている。毛沢東はそうした人間の心の悪魔を利用して、さらにそれを助長して、初めて文化大革命を仕組んだ。

<祝日直前に必ず行われた公開処刑が民衆のストレス発散>
(矢板)私も小学生の時、「公判大会」と称する公開処刑によく動員されました。人民裁判が行われる体育館に、学校の芸術鑑賞みたいな感じで集められて、反革命分子が死刑判決を宣告されるまでの一部始終を眺めていました。
 中国では死刑を言い渡された人間は、その日のうちに執行、公開で銃殺されるのです。まず市内をトラックで一周します。受刑者の横に名前と罪状が書かれた看板を立てられ、処刑を意味する赤いマジックで×を書かれ、市民に見せしめます。私たち子供は自転車で追いかけていき、最後までこれを見届けるのです。

・(石平)文革中は共産党の創立記念日、メーデー、国慶節、元旦などの祝日の直前には、全国各地の大小都市で必ず「公判大会」が開催されました。祝日前に殺人祭典が恒例となっていたのです。

・(矢板)普段、民衆は娯楽が何もないわけです。映画も面白くないし、歌も中共賛美みたいなものばかりでつまらない。公判大会は民衆の一種、ストレス発散をさせる場でもありました。

<処刑者の頭数確保のために生まれた「悪攻罪」>
・(石平)逆に言えば、当時の政権は敵が存在するから処刑するのではなく、恒例化してきた殺人ショーで処刑するためにその犠牲となる人員の確保を迫られた。
 確保に躍起になったのは各都市の「革命委員会」でした。1949年に共産党政権が樹立して以来、嵐のような「鎮圧運動」や「粛清運動」が連続的に行われてきた結果、「反革命分子」はすでに根こそぎ処刑してきました。

・たとえば、当時流行っていた「悪攻罪」は、すなわち「毛主席に対する悪辣な攻撃の罪」の拡大解釈によって発明された。明確な表現で毛沢東や共産党を非難するのはもちろん立派な悪攻罪になるのですが、拡大解釈が進むと、毛沢東の政策や政治スタイルにほんの少し疑問や不信感を呈するだけでも、悪攻罪として認定されるのです。

外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(3)



『アメリカの本気を見誤り、中国を「地獄」へ導く習近平の狂気』
石平    ビジネス社  2018/10/2



<われわれとしては今後、中国情勢と習政権の動向から目を離せない>
・そして8月から9月にかけ、日本円で約21兆円規模といわれるネット金融のP2Pの破綻が相次ぎ、各地で抗議デモが起きていた。もちろん、P2Pの破綻はたんなる序の口。国内の負債総額がGDPの300%超に達している中国では、本格的、かつ全面的な金融破綻がいつ起きてもおかしくない。いまは嵐のやってくる前夜だ。

<事なかれ主義に走る共産党幹部に配布された党中央からの意見書>
<党内を怠政に向かわせた最大の原因は恐怖の腐敗撲滅運動>
<酒の流用で将来を失った地方の共産党幹部>
・研究院所有の酒6本を飲んだことで免職されてしまうとはいかにも厳しい処分であるが、処分はそれにとどまらなかった。その宴会に同席した6名の同僚幹部も「厳重警告」の処分を受けた。
中国の場合、党員幹部が一度厳重警告を受けると、出世の道が閉ざされるのはほぼ確実。言ってみればこの1件では、6本の酒のために7名の幹部が将来を失ったことになる。

<党中央の意向を忖度する地方政府>
<これから3年間も続けられる掃黒除悪闘争>
・つまり中国全国において、これから1つの省で10日以内に1000人以上も逮捕されるような闘争が3年間も続く見通しなのである。この国にはいったいどれほどの黒悪勢力が存在しているというのか。

<地方による拡大解釈を期待する党中央と国務院>
<手本は薄熙来が重慶市で行った「唱紅打黒」運動>
<ターゲットはマフィアだけではなかった>
・中国社会の現状においては、民営企業が生きていくためには共産党幹部に賄賂を贈る一方、なんらかの形で黒社会とも関係性を持たざるを得ない。したがって、黒社会から芋蔓式に関係性を探っていくと、ほとんどすべての民営企業化は打黒運動の対象になりかねない。結局、薄熙来の打黒運動は後半になると、その矛先がほとんど民営起業家と民営企業に向けられていった。

<打黒運動の真の目的は国有企業を強化し地方財政を潤すこと>
・黒社会とのつながりで摘発された民営起業家は、個人の資産、あるいは企業の資産をそっくり政府に没収された。黒社会と認定された以上、彼らの資産も「違法資産」だと認定されたからである。

<最後のターゲットは外資企業しかない>
・とくに地方政府の場合、財政収入が減っただけでなく莫大な借金を抱えていることから、彼らの財政危機を解消するいちばんの早道かつ有効なる手段は、民間からの収奪以外にない。

<一党支配を盤石なものにする政法委員会の恐ろしさとインチキ司法体制>
<膨大かつ多彩な権力をもつ政法委員会>
<共産党が殺したい人間は、そのまま殺されるしかない>
・ということは、安全部と安全局が政法委員会の方針にしたがって、誰か外国人をスパイとして逮捕すれば、検察も裁判所もそのままオートマチックにその外国人をスパイとして送検し、スパイとして裁判にかけ、そしてスパイであるとの判決を下すこととなる。
 この数年間で8名の日本人がわけのわからない「スパイ容疑」で逮捕され、「スパイだ」との判決を受けて刑務所に入れられているが、そうならないためにも、かの国の恐ろしさをわれわれはもっと知っておくべきだろう。

・以上、中国共産党は政法委員会を通して司法と警察を牛耳ることによって人民を完全な支配下においていることの実態を記した次第である。
 今後、中国で人権弁護士や反体制派がなんらかの罪で有罪判決を受けたニュース、あるいは普通の日本人が中国においてスパイ罪で刑務所入りとなったニュースを耳にしたとき、われわれがまず想起すべきは、その背後にある共産党政法委員会の恐ろしい実態であろう。

<絶望的な状況に陥っている中国の年金の実態>
<若者に対して「早くから老後に備えろ」と警鐘を鳴らした中国青年報>
<2014年から大幅赤字を出している城鎮職工基本養老保険>
・結論を以下にまとめてみた。
いまの中国には9億人以上の国民をカバーしているふたつの年金がある。
城郷居民養老保険は、最初から老後の保障にならないようなインチキものである。
城鎮職工基本養老保険は、永続性のない体質でいずれ破綻してもおかしくはない。
 このふたつの年金にすら加入していない国民を含めれば、中国国民の大半が今後、深刻な老後の不安に直面するのは必至である。
 だから、冒頭で記したように、社会科学院の専門家は若者に対して、「老後の備えを急げ」と警告しているわけである。
 若者でさえ今から老後の心配をしなければならないこの国には、果たして未来があるのだろうか?
 習近平主席が唱えている「中華民族の偉大なる復興」は、絵に画いた餅になるのではないかと、つくづく思う次第である。

<習近平政権と農民工の果てしなき戦い>
<「ナチス」そのものだった北京市当局の手口>
・政府当局の「農民工追い出し作戦」はこれでいったん終了するのだが、そのプロセスにおいて、追い出された農民工と破壊された住居や店舗の持ち主に対するいっさいの賠償も補償もなく、農民工たちとその雇用者や物件所有者との契約関係もいっさい無視された。
 とにかく政府当局の命令ひとつで、農民工たちは仕事と住居と財産を一挙に失って強制的に追い出されたのである。

<習近平の了解のうえで断行された「農民工追い出し」大作戦>
<北京の不動産ブームに不可欠だった農民工の労働力>
<「農民工追い出し作戦」と経済環境の激変との関連性>
・つまり、安い労働力としての農民工が北京市から消えたとしても、北京市の建築業や町工場はそれほど困ることはない、との事情がその背後に横たわっているのだ。その意味するところは、北京市の建築現場や町工場の仕事が急速に減っており、経済が確実に減速している現実である。

<中国各都市に存在する農民工による大暴動リスク>
<いつの世も天下大乱の前兆となった流民の大量発生>
・中国にはいま「流動人口」と呼ばれる農民工が2億6000万人もいるのだ。

・中国の歴史をひも解けばわかるように、行き場のない流民の“大量発生”はいつの世も、天下大乱の前兆である。またそれは天下大乱の原動力にもなるのである。
 そういう意味では、習政権が北京市からやり始めたことは、前代未聞の暴挙であると同時に、自分自身の首を絞めるような愚行でもあった。

<火薬庫となりかねない5700万人退役軍人の怒り>
<退役軍人の抗議活動を黒社会を使って封じ込めた江蘇省鎮江市当局>
・中国各地で「退伍軍人」と呼ばれる、いわゆる退役軍人たちの抗議活動が拡大している。
 発端は本年6月19日、江蘇省鎮江市で起きた「退役軍人襲撃事件」であった。この日、少人数の退役軍人が市政府庁舎を訪れ、待遇の改善や再就職に関する政府の支援を求めたところ、警察隊によって行動を阻止された後、正体不明の集団から襲われ、負傷者が出た。

・22日になると、同市政府庁舎前の抗議活動に集った退役軍人の数は数千人にものぼり、現場は緊迫した状況となった。

・鎮圧の最中とその後、退役軍人たちはスマホなどで現場の血塗れの映像や写真を流しながら政府の非道を訴え、全国の退役軍人仲間に支援と終結を呼びかけた。
 その日から彼らを支援するために、近くは浙江省や河南省、遠いところでは四川省や貴州省などから、退役軍人たちが集団をなして鉄道、高速道路などを使って鎮江へ移動し始めた。
 それに対して当局は、鎮江市内に警察部隊を増員して制圧する一方、鎮江周辺の高速道路で厳しい検閲を行ったり、鎮江行きの列車を全面運休にするなどして、退役軍人たちの鎮江入りを徹底的に阻止した。鉄道を使っての四川からの応援部隊は途中の鄭州駅で拘束された。
 同時に、装甲車を配した人民解放軍部隊がすでに鎮江市内に到着していることがネットの写真によって確認され、当局は暴動発生などの最悪の事態に備えていたことがわかった。なにしろ今回の1件で、習政権が敵に回したのは、軍事訓練を受けたことのある元軍人たちであり、政権最大の権力基盤である人民解放軍の出身者たちなのだから――。

<退役義務兵たちの再就職支援を地方政府に押し付けた中央政府>
<周辺国に恐怖をまき散らす中国人独身男性3400万人>
<80年代出生の男女比率はなんと「136対100」>
・このところの中国で大きな社会問題となって浮上しているのは3400万人に上る「光棍=独身男」の存在である。
 彼らは結婚したくないから結婚していないのではなく、中国の人口構造に生じた深刻なゆがみで、結婚したくてもできない状況に陥っている。
 いまの中国は、人口構造における男女比率のバランスが大きく崩れて、男性の人口が女性のそれを大きく上回っている。
 国家統計局が発表した人口統計によれば、2015年末時点で男性人口7億414万人に対し、女性人口は6億7048万人。男性のほうが3388万人も多く、男女人口のバランスが完全に崩れていることがわかる。
 これを年代別に出生の男女比率を見てみると、1980年代、90年代のアンバランスが目立つ。その最大の原因は、中国政府が国策として導入した「一人っ子政策」(1979年~2015年)にあるのは疑いのないところだ。
 約35年間、一人っ子政策が強制的に推進されていたなか、中国の総人口の6~7割(当時)を占める広大な農村地域では大きな異変が起きた。
 当時の農村では社会保障制度がまったく敷かれていなかった。ということは、農民たちにとって唯一の老後の“保障”は自分の子供である。その際、成人すれば他家に嫁ぐ女の子は老後の保障にならないのは自明だから、農民たちの誰もが女の子よりも男の子を欲しがった。
 一人っ子政策が推進されているかぎり、「一姫二太郎」のように産むことはできない。
 そうした環境下、どうしても男の子が欲しい多くの農民たちは驚くべき対策を施した。一部の人々は生まれたばかりの女の子を「死産」と偽って、その場で処分した。あるいは出産前に胎児が女の子だとわかると堕胎した。
 このようなことがおよそ35年にもわたって全国で行われてきたのだから、その間に生まれて成人する男女の比率が大きく狂ってしまうのは当然のことである。

・先に男女人口の差が3388万人だと記したが、これを比率に直すと「105対100」になる。つまり、100人の女性に対し男性が105人で、男が5人多いけれども、これは総人口での比率で結婚適齢期のものではない。
 たとえば80年代出生の男女比率はなんと「136対100」。100人の女性に対し男が136人もいるのである。これは要するに、80年代出生の中国人男性は、136人のなかの36人が理論的には一生結婚できないことを意味する。
 今後、中国のどれほどの男たちが結婚できないかについて、さまざまな研究機関や専門家から予測が示されているが、本文でも記しているように、ここにきて約3400万人という数字に集約されてきた。

<農村では年収の10倍にまで高騰している新郎側が差し出す結納金>
・それでは「余剰男3400万人」からどういう問題が生じてくるのか。

・天価彩礼の「彩礼」とは、中国古来の婚姻儀礼のひとつで、結婚を正式に決める前に新郎の家が新婦側の家に一定金額の現金を贈る風習のことだ。
 日本の場合の結納金にあたるが、中国でとくに問題となっているのは、その相場の高騰ぶりである。
 中国のネット上に流布されている「全国各省彩礼相場一覧表」によると、湖南省、山東省、浙江省などの彩礼平均相場は10万元(約170万円)。それが旧満州の東北地方や江西省、青海省となると、どういうわけか一気に50万元台にはね上がっている。
 きわめつきは上海市と天津市で、両大都市の彩礼相場はなんと100万元(約1700万円)台にまで急騰している。

・日本の都市部でも「結納金1700万円」となったら、たいていの親は度肝を抜かれてしまうであろうが、貧しい中国の農村部の親にすればなおさら法外な高額である。
 だからこそ、「天価彩礼」=「天に届くほどの高い彩礼相場」という言葉が生まれてきたわけである。

・そして全省の農村部を平均すると、彩礼相場は10万元程度となっているが、それは、陜西省農村家庭の平均年収の10倍にもなる金額である。年収の10倍以上、日本の感覚でいえば数千万円以上か数億円単位のお金を出して嫁をもらうことになっているわけである。
 これは「人身売買」同然の世界といえる。

<騒乱や暴動の多発要因となる「光棍=独身男」の存在>
・実際、前述の陜西省農村地域では、「嫁を買う」が日常慣用句となっている有り様である。

・当然ながら、農村では万紫千紅を婚約相手の家に運んでいく財力のある人は少数しかいない。そうなると、大半の適齢の男たちは結婚したくも結婚できない状況にある。しかも農村部の女性の都市部への“流出”が増えていることから、深刻な嫁不足にさらに拍車がかかっている。

<「光棍海外移民論」や「戦争による「光棍危機解消論」の恐ろしさ>
・そんな浙江財経学院の謝作詩教授がびっくり仰天の珍解決案を提起した。
「光棍危機を解消するためには、貧困層の男性は数人で1人の嫁を共有すればいい」
この提言はすぐさま全国的な批判を浴びることとなったが、このような荒唐無稽な解決策が大学教授により堂々と提言されたこと自体、中国がその対策に行き詰っていることの証拠であろう。
 次に一部の学者やネット民から提起されたのが、移民政策を進めることによって、結婚問題の活路を海外に見い出すべきというものであった。

・かりに光棍の移民が実現すれば、それは結局、犯罪の蔓延や暴動の多発などの中国国内の問題をそのまま外国に“輸出”してしまうことになる。
 もちろん中国周辺の各国政府もそれを知っているから、そう簡単に中国からの光棍移民を許すような愚は犯さないであろう。
 それでは中国はどうするか。これに関しては以前、あるネットユーザーは自らの「微博」で、「もはや戦争する以外にない。光棍たちに銃を持たせてどこかの外国を占領し、嫁を現地調達すれば良い」と書き込んで大きな反響を呼んだ。
 さすがに政府当局は「まずい」と思ったのか、ただちにそれをネット上から完全に削除してしまった。

・しかし、この意見は全国的に拡散され、多くの共感を呼んだことから、「戦争による光棍危機解消論」は決して少数の中国人の戯論でないことがわかる。場合によっては将来、光棍危機の解消は、中国という国を戦争へと駆り立てる要因のひとつともなりうるであろう。
 結局、犯罪と騒乱輸出の「光棍移民」にしても、「戦争による光棍危機解消論」にしても、万が一それが現実の政策として推進されて大変な迷惑と被害を受けるのは日本を含む周辺国である。われわれはまずそのことを認識しておくべきであろう。

<世界一の受験大国の悲惨なる現状を見よ!>
<88校しかない重点大学を目指す1000万人受験生>
・知ってのとおり、中国はある意味では世界一の受験大国といえる。
 大学受験の場合、日本同様の全国統一試験を受ける受験生はピーク時に毎年1000万人を上回ったこともある。近年では多少減ったものの、2017年の受験者は940万人もいた。同年の日本における大学センター試験の受験者数は57万人程度であったから、規模の違いはもとより、人口に比した受験者数の割合にしても中国のほうが断然高い。

・「あそこの家のバカ息子は大学にも上がれないのか」と陰口をたたかれることは、中国の親にとってこの上ない屈辱だからだ。

・大学受験競争の激化に拍車をかける、もうひとつの重要な要素がある。
 中国では政府が全国の4年制正規大学をランク付けして「重点大学」と「非重点大学」に分類しているのである。「重点大学」とは、ようするに中国政府が「質が高い」と認定して重点的にバックアップする大学のことである。
 全国にある1219校の4年生正規大学のうち、重点大学に指定されているのはわずか88校である。そして受験生たちにとり、同じ4年制正規大学であっても、重点と非重点の間には天と地のほどの差がある。

<勉強しすぎて死ぬことはない、だから死ぬほど勉強せよ!>
・親にとっては、子供が受験競争を勝ち抜いて重点大学に首尾よく入れるかどうかは最大の関心事。高校にとっては、どれくらいの卒業生を重点大学に送り込めるかは学校の評価に関わる死活問題。

・たいていの場合、受験生は学校のなかで寝泊まりするから、わずかな睡眠時間と食事を除く時間は、教師の厳しい指導下で暗記と模擬試験の繰り返しの日々を送る。全国の学校で以前から流行っている名スローガンのひとつに、「勉強しすぎて死ぬことはない。だから死ぬほど勉強せよ!」というものがある。

<若者にそっぽを向かれるようになってきた現代版「科挙試験」>
・昔の中国の科挙試験の首席合格者が「状元」と呼ばれたのに因んで、各地方で実施される大学統一試験でのトップ合格者を「高考状元=統一試験状元」と呼んで大いに褒め称える習慣がある。
 状元となった受験生とその担任教師が地方当局や学校から賞状と賞金をもらうのは普通であるが、状元のために盛大な祝賀会を開いたり、公衆の前で状元に赤絨毯の上を歩かせたりする地方もある。

・ある調査機関がこの数十年で状元となった若者のその後の人生を追跡してみると、彼らの人生は同世代の人々より格別に優秀であるわけでもなければ、抜きんでて出世できたわけでもなかったことが判明した。
 厳しい受験競争は結果的に、知識の暗記だけが“取り柄”の人材を大量に生み出したにすぎなかったのだ。
 こうした中国流の受験戦争に嫌気がさしたのか、最近、高校を卒業したら国内で進学受験せずに海外留学の道を選ぶ若者が増えている。
 報道によると、海外留学の道を選んだ高校生は毎年20万人にも達している。そしてその数は毎年20%以上の伸びを見せており、今後、現代版「科挙試験」はますます多くの若者にそっぽを向かれることになろう。そこにあるのはやはり、中国という国全体の深刻な教育危機である。

<台湾旅行法案の成立は中国の核心利益に対するアメリカの挑戦>
・だからこそ、トランプ大統領は習近平の国家主席再任を無視するような態度を平気で取れるようになった。実はそのとき、トランプ大統領は習近平国家主席の再任を祝うどころか、むしろ習近平の顔に向って、強烈なパンチを喰らわせたのであった。
 3月16日、習近平が国家主席に再任されるその翌日、トランプ大統領はアメリカと台湾の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした超党派の「台湾旅行法案」に署名し、同法が成立した。

・つまりアメリカは、この法律を成立させることによって実質上、台湾をひとつの独立国家として認め、独立国家として対処していくことになる。しかしながらそれは、「台湾は中国の一部であり、中華人民共和国は唯一の中国である」という中国政府の立場を根底からひっくり返したものであって、中国の「核心利益」に対するアメリカの公然たる挑戦といえる。
 そういう意味では、トランプ大統領が同法案に署名してそれを成立させたことは、少なくとも中国の立場からすればまさしく中国の主権と国益を大きく侵害したものであって、中国に対する明らかな敵対行為である。
 おそらくトランプ大統領はそれを百も承知の上で署名の決断をしたのであろう。

<中国ではつくれないハイレベルな集積回路>
・ZTEが主力製品のスマホなどの末端機器をつくるためには当然、集積回路が必要不可欠、大前提なのである。そして現状、ZTEが使用する集積回路のほとんどはアメリカのクアルコム社から調達している。したがって、アメリカ商務省がZTEへのアメリカ企業の製品輸出を禁ずると、肝心の集積回路が入手できず、主力製品がつくれない。

・国内企業ではつくれないからこそ、中国は毎年海外から大量の集積回路を輸入している。たとえば2017年には、中国が海外から輸入した集積回路の数は3770億枚にのぼり、輸入額は2601億ドル。この数字は中国の2017年の輸入総額の14.1%を占めており、中国の輸入に払った代金の約1.6倍にも達する。
 中国製のあらゆる電子機器の心臓部分をつかさどる集積回路は、結局、海外からの輸入に頼っているわけである。だから、いったん海外からの輸入が途切れてしまうと、中国企業はスマホ1台すらつくれない。
 これが先端領域の中国製造業の惨めな現状であり、アキレス腱でもある。ZTEが直面している危機は、まさに中国製造業の脆弱性の象徴であろう。

<知的財産の保護がなおざりにされている中国の弱みが露呈>
・最近、中国国内で決済システムの電子化が進んでいる現象を見て、「中国が凄い、すでに日本を超えている」という論調が流行っているようだが、それはあくまでも表面的な現象にすぎない。「中国が凄い」という表面的な現象の背後にあるのは、実は、前述のような中国製造業の脆弱さである。今回の「ZTEショック」は、このことを見事に示してくれているのである。
 言葉を換えれば、知的財産の保護がなおざりにされている中国の国家としての弱みが露呈したといえよう。

<輸出の大幅減がもたらす失業の拡大>
・輸出が大幅に失われることによって生じてくるもうひとつの大問題は、「失業の拡大」である。いま中国全体で輸出向け産業は8000万人の雇用を生み出していると言われている。仮に輸出が1~2割減少するならば、千万人単位の失業者が生まれる計算になる。
 それは、すでに深刻化している中国の失業問題に拍車をかけ、社会的不安の高まり、暴動の多発を誘う要因となりかねない。そしてそれはそのまま、中国共産党政権にとっては深刻な政治問題ともなるのである。

<中国は輸出大国であるとともに輸入大国でもある>
・また、いまの中国は食糧輸入大国となっており、2017年には世界各国から1億3062万トンの食糧を輸入、大豆と米の輸入量は世界一である。14億人いる中国国民は1人当たりで年間約100キロの食糧を輸入している計算になるわけで、中国の食糧の対外依存度が非常に高いことがよくわかる。
 その一方、中国は石油輸入大国にもなっている。2017年、中国の石油輸入量は4億1957万トン。2億トンにも満たない日本の石油輸入量の倍以上となっている。

・そのためには莫大な貿易黒字を稼がなければならない。貿易戦争の影響で黒字が消えて外貨が減ってしまうと、肝心なところで輸入に頼っている中国の産業がダメになるだけでなく、食糧の安全までもが、脅かされてしまい、社会的・政治的不安が拡大するのは必至であろう。

<中国は体面を傷つけないでアメリカに大幅な譲歩する方法を模索するしかない>
・2000億ドル分の中国製品に対するアメリカの追加関税措置が発動されるのは今年の9月であるから、その前に習政権は何とかしなければならない。それがいったん発動されて実施に移されたら、中国経済は壊滅的な打撃を受けてしまうからである。
 全面降伏か徹底抗戦か、習政権に残された最終判断の時間は少ない。いずれにしても、習近平はなんらかのアクションを起こさなければならない。決断の時は刻々と迫っている。

<地方政府と国有企業が堂々と債務不履行を断行する日がやってくる>
<年間GDPを上回る国有企業が抱える絶望的な債務>
・中国経済でここにきて特に注目されているのが国有企業、地方政府が抱える過剰債務の問題である。
 政府当局によると、2017年末時点での国有企業の負債は108兆元に達したとされる。2017年の国内総生産(GDP)が約83兆元であったことから、国有企業の背負う債務だけで、全国1年間のGDPを軽く上回る上回ったことになる。

・どんなことがあっても国有企業と地方政府をつぶしてはならないのは共産党政権の鉄則であるから、いざとなれば、彼らは堂々と債務の“不履行”を断行し、金融機関が泣き寝入りを余儀なくされる可能性は大であろう。

<数年後には世界最悪の韓国と肩を並べる家計債務の対GDP比>
・そうなると、国有企業と地方政府が抱える天文学的な債務は、いずれは回収不能な不良債権と化してしまい、金融機関を圧迫し、金融危機発生の火種となりかねない。
 これは言ってみれば、中国経済にとり時限爆弾のようなものとなっている。
 実はそれ以外に、最近注目され始めたもうひとつの債務問題がある。
 家計部門の債務である。昨年9月末の当局発表の数字では、中国全国で家計部門が金融機関から借り入れた融資残高は39.1兆元であったという。
 前述のように、昨年の中国のGDPは83兆元だから、簡単に計算すれば、中国の家計債務の規模はGDPの約半分に達している。

<家計債務の膨張が個人消費と家計支出を急減速させる>
・中央政府と各地方政府もいっとき、不動産市場を活性化して経済成長を支えようと、個人による不動産ローンの借り入れを奨励する政策をとっていた。その結果、金融機関からの融資が個人の不動産購入に大量に向かった。と同時に、全国の家計負債もふくらむ一方であった。

・企業債務に地方債務、そして家計債務は、中国のこれまでの急成長から生じた、いわば「ツケ」のようなものだ。中国は今後、ツケを払う時代に突入するわけである。

<外資企業撤退がもたらす中国経済「6つの不安定」>
<市井の人々に広がる「消費降格」ブーム>
・今年7月以来、中国のネット上で大きな話題になっているのが「消費降格」だ。消費降格とは、「消費レベルを下げる」という意味合いである。

・消費が不足しているがゆえに、中国はこれまで投資と輸出の拡大で経済の成長を引っ張ってきた。しかしいま、国内投資の過剰と一帯一路の失敗により投資の伸びは大きく鈍化している。加えて、アメリカに仕掛けられた貿易戦争の影響を受け、中国の対外輸出は大きく減少すると確実視されている。
 中国経済にとって唯一の生きる道は内需の拡大である。しかし現実を見ると市井の人々に「消費降格」ブームが広がっており、「内需拡大」とは真逆のベクトルに向っている。中国経済は今後、絶対絶命の危機を迎えるのであろう。

<支払い拒否の対象となりがちな日本企業>
・中国国内企業同士間で売掛金の支払い拒否が発生すると、相手からの激しい取り立てが予想されるが、外資企業(とくに日本企業)は一概におとなしいので、支払い拒否の対象となりがちである。

<壮大なる茶番に明け暮れる習近平政権>
・多くの投資プロジェクトが中止や延期の憂き目に遭い、一帯一路が開店休業状態となっているなか、中国当局はなんとかして「やっている感」を演出するために、無理矢理イベントを開催、一帯一路に関連づけて中国国民の目を誤魔化そうとしているのだろう。
 


『チャイナ・リスク』
黄文雄   海竜社   2005年3月9日



<中国の破局は突然やってくる>
<農村の崩壊が引き金となる>
・中国の破局は突然やってくるだろう。というのも、歴史を見ると、中国の場合は、そういう傾向があるからだ。

<通常、大きい国は没落に時間がかかる>
・中国の場合、没落には時間がかかるが、破局は突然やってくる。どのような環境変化によって、あるいは歴史的条件の変化によって破局を迎えるかと言うと複合的にやってくる。

<今、中国が抱える大きな問題点の一つに、「三農問題」がある>
・中国の農村人口は約8億6000万人だが、農作業を行っているのは5億4000万人、実際せいぜい1億~2億人程度で十分だ。それ以外は余剰人口ということになる。

・中国以上に耕地面積を持つ、アメリカの実労人口がたったの300万人と比べれば一目瞭然だ。農村で仕事にあぶれた農民は、都市に出稼ぎに出る。年平均9000万~1億人の農村人口が都市に流入している。

・が、都市部の建設ブームが去り、農村の経済を支えていた出稼ぎ人口が、仕事にあぶれて農村へ帰ることになると農村問題はより深刻化する。それをきっかけに農村が一挙に崩壊する可能性はある。歴代王朝の末期に見られた流民の大噴出が再現するのは避けられない。

・歴代王朝を見ると、水害、旱魃、飢饉がおこり、流民が100万、1000万単位で出てきて、疫病が流行し、カルトつまり法輪功のような新興宗教が出てくると、それが易姓革命になる可能性が出てくる。



『嫌中論』  世界中から嫌われる中国
黄文雄   徳間書店    2006/7



<大虐殺を引き起こした絶対的不寛容>
<中国は、すべてが政治と関係する国>
・日本では「政経分離」が叫ばれているが、中国ではそんなことはあり得ない。中国では、経済界と政界のつながりは日本人の想像以上に強い。そのため、日本のような「財界」や経済人は存在しない。

・この当時は、アルバニア以外の国家は、すべて中国の敵だとみなされていた時代だった。

・中国人とは、すべてが政治であるだけでなく、政治には絶対に不寛容である。終戦後、台湾に進駐した中国軍が起こした1947年の台湾人大虐殺事件(2・28事件)も、中国人の政治的不寛容さから生じたことだった。

・国民党政府が台湾を統治するために、台湾のエリートたちをことごとく虐殺した。

・中華人民共和国が建国されて以来、中国政府によって政治的に抹殺された人物は数千万人にのぼるという。

・私は、多くの中国からの亡命者に会ったが、彼らの本音は、人間性まで失った中国には未来などないと絶望したのだ。

<反省、謝罪は中国人に利用されるだけ>
・中国人は他人対して反省を強要するが、自分では絶対に反省しない。それだけではなく、他人の反省を利用して自分の「無謬性」を証明しようとするからタチが悪い。
 

外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(2)


<「中所得の罠」に嵌った中国>
・(石平) ということは、中国が、たとえば制裁関税を相殺するためにわざと人民元を安くする。そういう戦術にも限界があって、そう簡単にできるわけがない。
 中国が直面している問題として挙げたいのが、経済が輸出に頼っていると同時に、国民生活は輸入を頼りにしていることだ。先端科学技術の部品でなく、中国は世界一の石油輸入大国、世界一の食糧輸入大国となっている。
 中国は国民1人当たり100キロの食料を輸入している。外貨が枯渇して輸入ができなくなると、中国国民は食べていけなくなる。そうした状況下でも石油の輸入についても最低レベルは確保しなければいけない。
 だから最低限の外貨を確保するために貿易を拡大する必要がある。しかし、いま中国の貿易は全体的に縮小している。にもかかわらず、一帯一路で世界中にお金をばらまく。もうこの中国モデルは無理ではないか。
(高橋) 中国の統計のなかで唯一正しいのは相手がある貿易統計のみだ。これがかなり縮小しているのは中国経済がすごく悪い方向に行っていることを示唆している。貿易戦争をアメリカとやらかしている場合ではない。
 
・「中所得の罠」がどういう理論かをざっくり言うと、経済発展の段階で、中所得の段階(1人当たりのGDPが1万ドル程度)になると経済が停滞してしまい、先進国入りを逃すというものだ。
 現在の中国は、1人当たりGDPは8000ドル超で、中所得の段階に届きつつある。これまで世界で中所得の段階を超えている国は、ほとんどが民主主義国、自由主義国であった。

・個人の自由が確保されないと経済的自由が確保されないというところを演繹しているわけで、これと「中所得の罠」を結びつける理論が強く支持されている。そうすると中国が「中所得の罠」を超えられないという答えを簡単に導くことができる。

<最初にトランプに中国への警戒心を植え付けたのは安倍首相>
・(石平) 習近平は昨年からトランプ政権に対して判断ミスを続けてきた。トランプ政権の本質、考え方について完全に見誤ってしまった。

<工業化より消費化に進んでしまった悲劇>
・(石平) ここからはテーマを最先端分野に関する米中の覇権争いに転じてみたい。ただ正直に言うと、中国が2025年までに「製造大国」から「製造強国」へと変わり、世界のハイテクをはじめ、ロボット、宇宙、バイオなど先端技術分野でアメリカとしのぎを削るのだと聞かされても、私にはピンとこない。
 なぜならこれまで技術の物真似しかできず、独創的な技術などなかったのに、中国がどうしてそんな強気なことを言えるのかさっぱりわからない。私のイメージではまだまだアメリカ、日本、ドイツなどには何十年間か遅れをとっている。
(高橋) 中国の学者のなかにも世界最先端の研究をしている人はいる。けれども、その研究が産業に結びつくのにはそうとう時間がかかってしまう。

・中国の場合、先進国並みになる前に、工業化の先、消費化に進んでしまった。したがって、これまでの歴史を見ると、中国は「中所得の罠」を超えられない、克服できないという答えが出てくるわけだ。

・(高橋) 製造業の技術を発展させる前に消費経済に移行してしまったから、日本でいうと昭和30年代~40年代レベルという感じは否めない。
 中国はいろいろなハイテク技術を持っているし、プライバシー無視の世界だから、AIや自動運転は日本など足元にも及ばないと、勘違いしている日本人はけっこう多いのではないか。そうした技術は軍人には役に立つかもしれないけれど、消費経済ではあまり役に立たない。
(石平) 特に日本のマスコミの一部の論者が、中国に行ったら現金が要らないキャッシュレス社会になっていると大騒ぎをしている。中国の技術がもう日本を遥かに超えたような論調でモノを言っている。
(高橋) あれは中国の紙幣がニセ札が多いから、それだけのことだ。流行りのQRコード技術は日本のもの。キャッシュレスについては、固定電話が設置できる予算がなかった途上国が、携帯電話に飛びついたのと同じような話だと考えればいい。

・たしかに中国が技術で突出している部門は何個かある。たとえば携帯でもファーウェイとかZTEとかそこそこのものは出しているが、アップルにはまったく及ばない。
(石平)携帯にしても、肝心の心臓部分の集積回路のほとんどをアメリカから買っていた。

<ようやく他国のレベルに追いついた中国のGPS>
(石平) そういう意味では、マスコミが喧伝する米中の先端技術の覇権争いはそもそもバカバカしい話ということか。
(高橋) 20年か30年先にはあるかもしれない程度のことではないか。5年ぐらいのスパンで見たら、それは考えられない。そんなことよりも、アメリカがファーウェイとZTEを潰してしまうと、中国から10億のコンシューマー製品が消えてしまうことを、中国は心配したほうがいいのではないか。
(石平)貿易戦争はアメリカに負ける。価値観、イデオロギーも負ける。おそらく経済圏からも中国は排除されてしまう。残るは軍事面か。
(高橋) 軍事面の目は少しはある。あれだけ金を突っ込んでいるのだから。だが、航空母艦はたいしたことはない。もともと海洋国家ではないから仕方がないのかもしれないが。

<30年間も騙され続けた日米>
・(石平) 胡錦涛政権時代での中国のもっとも根本的な国策は、絶対にアメリカを敵に回さない、常にアメリカとは協調姿勢で行く、であった。
 実は鄧小平は非常に詐欺的なやり方で対米協調路線をとった。とにかく
韜光養晦(とうこうようかい)で中国の野心を一切言わない、仄めかさない。30年後に何をやりたいかを一切胸に秘め、包み隠した。
 表向きには西側とうまくやろう、共存共栄で行こうとソフトな顔で合流する。それにアメリカはまんまと騙されて、日本も含めてここ30年間、中国に技術を貢ぎ、お金を貢いだ。中国はこれを使って経済を成長させた。さらにアメリカや日本は中国に大事なマーケットも提供した。それを利用した中国は輸出主導で、貿易黒字を稼いだ。
 こうしてそこそこの成功をしてきたところで、中国の最高指導者が賢明であれば、あと10年ぐらいは我慢をするのだろう。あるいは10年ぐらいさらに鄧小平のやり方を続けるのだろう。
 仮にいまの中国の最高指導者が懐が深く、あと10年間我慢したら、もうアメリカも日本もどうにもならないかもしれない。幸いにも、習近平が指導者となり、本性を剥き出しにして「先端技術分野でアメリカと競う」「一帯一路を打ち出して、アメリカを市場から排除する」「軍事力を増大して南シナ海、東シナ海からアメリカを老い出す」とやらかしたので、完全にアメリカを怒らせてしまった。
 高橋さんはアメリカ全体の雰囲気をどう捉えているのか?
(高橋) 今回は韓国がGSOMIAを破棄したことから、アメリカも安全保障の観点ではよりセンシティブになっているのではないか。2010年ぐらいから米議会は中国の野心に気付いていたけれど、オバマ政権のほうはその前の流れに乗って新中国に傾いていた。

・(高橋) 意識はしていたけれど、やはりオバマは緩くて、いずれ中国は民主化するだろうとする甘い考えだった。結果的にはそうではなかった。日本も騙された。日本は天安門事件以降はもう騙されっぱなしで、私も、正直言ってちょっと恥ずかしいくらいだ。
 天安門事件直後、日本が中国を支えて国際社会に復帰させていく仕事の一環で、私は中国に出向いたことがある。日本の政治家が中国の円借款を決めたため、大蔵省の人間だった私はその手続きの仕事で訪中したのだ。当時の私の役職は課長の下の課長補佐だったが、本来なら国賓が泊まる北京の釣魚台に泊まったほどの厚遇を受けた。
 北京空港に着いたときもすごかった。飛行機を降りた場所に車を横付けにしてくれ、そのまま税関なしで空港をあとにした。そうした扱いを受けて、みんな騙された。
(石平) あの頃の中国は国際社会から孤立して、もう日本は“命綱”のような存在だった。
(高橋) そうだった。西側のバッシングは半端ではなかった。われわれのトップはせいぜい大蔵省の局長クラスなのだが、人民大会堂で会ったカウンターパートとして出てきたのがなんと中国の副首相だったので、びっくりした。加えて、財務部の部長も従えていた。
(石平) 当時の北京ではまだ戒厳令が敷かれていて、欧米から訪れる人などいなかった。
(高橋) そんなときに日本から政治家も役人も財界人も北京詣でをし、みんなでめでたく騙されて、円借款をどんどん進めていったのだ。

<中国に残された2つの道>
・(石平) 貿易戦争がこのまま続くとなると、経済から安全保障まで米中関係がますます悪くなるのは必至。そうなると基本的にはかつての米ソ冷戦とほとんど同じような状況になるということか。
(高橋) 似ているかもしれない。

・(石平) そうなると、中国に残された道は2つしかない。1つは、自ら中国共産党独裁体制を捨てて民主主義社会と融合する。もう1つは、最後まで独裁政権を守って潰される。
(高橋) 最後まで独裁政権を守ろうと頑張ると、おそらく旧ソ連の二の舞となる。これまでは石さんの言うとおり、中国はうまく立ち回って東ドイツみたいな悲惨な思いは味わっていないが、このままでは旧ソ連のように崩壊の道をたどるほかない。
 社会科学の議論では自由主義や民主主義を敷いている国家のほうが“無難”だと結論づけられている。これは先に言及した「中所得の罠」の理屈と重なるけれど、何よりもこれまでの歴史が共産主義、社会主義がうまく機能しない事実を裏付けしている。

<ラプラスの悪魔>
・(高橋) 「ラプラスの悪魔」という物理学の概念がある。大づかみに言うと、全知全能の神みたいな人間が世の中の事象をすべてコントロールできるかというと、やはりそれは不可能であるということ。これは実は自由主義経済のなかにいると認識できる。コントロールできないのを前提に、さまざまな手当をするから無難なのだ。
 一方、共産主義や社会主義の人の頭のなかには悪魔がいて、コントロールできると思い込むから収拾がつかなくなる。

<粉飾の大国>
<投資の失敗という概念がない中国>
・(高橋) おそらく中国には公共部門における投資について、自動的にチェックする仕組みがないということだろう。どうして日本には自動的にチェックする仕組みがあるのか。「公会計」がきちんと機能しているからにほかならない。投資後に予定された収益が入ってくるかどうかがわかるシステムになっている。
 日本の場合は、政府の投資については不良債権率を全部計算して、収入がこの水準に達しなければ不良債権とする基準があるわけだが、中国にはたぶんそれが存在していない。基準がないから、いくら投資をしても失敗は“ない”わけだ。

<リーマン・ショック後の景気刺激策に味をしめた中国>
・(石平) ここに何か1つの構図が透けて見えてきた。実体経済が脆弱ななか、消費もまた全然経済を支え切れていない。そこで中央銀行は人民元札をふんだんに刷って、それを原資に財政出動し、公共事業投資を行う。公共事業投資を行えば、それに参加する鉄鋼産業やセメント産業などインフラ関連企業がそのニーズに応えるために設備投資に走る。
 中国はこの方程式を繰り返しながら、高度成長を支えてきた。それで2018年になってみたら、固定資産投資がGDPの7割を占めるというとんでもない経済になっていた。

<自らの粉飾の程度がわからなくなっている中国>
・(高橋) けれども、実際には中国政府はわかっていない。企業の例でいうと、粉飾決算をする企業があるのだが、あれは本当のことがわかっているから粉飾できるわけである。
 いまの中国はどのくらい粉飾をしているかどうか、それもわからなくなっているのではないか。おそらく企業経営に当てはめるとそんな感じだと思う。

<民間の好循環を生む知的財産権や特許権の確立>
・(高橋) もう限界が来つつある。やはり中国は中所得国の壁を越えられないのではないか。これが常に私の問題意識のなかにある。

<異形の国の不動産バブルと国際ルール>
<投資対象となり5000万軒にまで在庫が嵩んでいる不動産物件>
・(高橋) 資本主義でも何でも、不動産は投機の対象になって、よくバブルになる。バブルは世界でどこにでも起きる現象だ。問題は、バブルが弾けた後、どういう風な社会システムでバブルを吸収していくのか、それだけの話なのである。けれども、中国の不動産バブルは弾けない。
(石平) 不動産バブルは政府が絶対に弾けさせない。少なくとも中国人はそう信じている。

<弾けないバブルはない>
・(高橋) だが、弾けないバブルはない。いつかは弾ける。したがって、それをどうやって弾けさせるのかと、逆にこちらが中国政府に聞きたいくらいである。
 普通の国はそこそこのところでバブルを弾けさせて、それを繰り返すだけだ。中国の場合、弾けさせないとマグマがどんどん大きくなるとしか思えない。
(石平) ここまで膨らんできたバブルが弾けたら、中国経済は潰れる。問題はここで、弾けたら中国経済が潰れるからこそ、中国政府は絶対にこれを弾けさせないという“神話”が逆に生まれた。

<自分で自分をごまかしている中国>
・(石平) 中国の不動産バブルが弾けないのは、政府が不動産価格の暴落が始まると、暴落を防ぐために不動産の売買を“凍結”するという強硬手段を採っているからだと指摘する声が挙がっている。実際に中国の一部の地方政府はもうそれを実行しており、不動産物件は購入後3年以内は転売できないようにしている。

<毛沢東時代に戻れば中国の分割を防げる>
・(高橋) ロシアも70年以上持ち堪えた。中国も今年で建国70年だ。私は、中国はひょっとして建国100年程度は持ち堪えるかもしれないけれど、150年は無理だと思っている。だから、そういう意味で「中国崩壊論を唱える知識人は当たってないではないか」と言う人は後で後悔することになる。ソ連の崩壊論もずっと「当たっていない」と批判され続けていたのだけれど、1989年になって強烈に当たった。

・だから、崩壊したときに悲惨だと言っているのだ。崩壊したときには本当に大変で、おそらく中国は“分割”されるのではないか。
 中国の長い歴史のなか、統一国家の時代はほとんどなかった。分かれているのが、“常態”であったから、中国は最後に追い詰められたとき、とてもまとめ切れず、旧ソ連よりさらに激しく分かれるような気がする。

<誤差脱漏があまりにも大きい中国>
・(高橋) 中国から逃げられる人は逃げると思うのだけれど、逃げるのは中国人だけでなく、中国国内の金も実は盛大に国外に流出している。
 毎年、IMFでは国際収支統計を発表している。いちおう中国はIMFのなかでナンバー2の国だからきちんとしなければならないのだが、どうもおかしい。
 輸出額については結構正しいのだが、金の流れがほとんど把握できていない。要は、誤差脱漏、スタティスティカル・エラーが滅茶苦茶に大きい。過去の例から、これはコントロールできてないくらいに金が海外に出て行っている可能性が高いわけである。

<倒産するのが前提の資本主義>
・(石平) ある意味では中国共産党はまだ大丈夫ではないか。不動産バブルが弾けたら一斉に全土を軍事統制、戒厳令下において、国民の全財産を凍結して、物価も凍結する。

・(石平) 要するに先祖返り、昔の共産主義に戻すわけである。どうせバブルが崩壊したら、不動産の在庫が山ほど余る。今でさえ、5000万戸も過剰だ。それらすべてを国が没収して貧しい人々に分配し、もう一度「共産主義革命」をやればいい。金持ちから財産を奪って分配する準備を習近平は進めているのではないか。一昨年あたりから、中国の著名経営者や芸能人が持つ海外資産を没収しているのは、その嚆矢だったと思えば納得がいく。
(高橋) 金持ちは間違いなく中国から逃げる。ただ、金持ちが逃げた国ほど悲惨なことはない。

<大変なのは中国ビジネスに「両足」を突っ込んだ日本企業>
・(石平) ただし、中国が崩壊して先祖返りすると、日本企業は中国市場を一斉に失う。
(高橋) 私はもともと中国市場を狙って出て行ったのはセコイ、狡っからい人たちばかりだったから、ある意味、自業自得だと思う。
 中国進出のコンサルをしたことは先に述べたけれど、ほとんどが賛成できかねるプロジェクトだった。「やめたほうがいいよ」と口を酸っぱくして言ったのだが、行ってしまった。だから今、中国ビジネスで苦しんでいる人はスケベ心を起こして、それが裏目に出たということになる。

<最小コストで最大効果を上げられるハニートラップ>
・(石平) 二階さんがいなくなると、自民党の親中派の親玉は誰になるのか?
(高橋) 自民党内に親中派はけっこう多くいる。親中派=下半身スキャンダルでチクられるのを心配している議員とも言われている。
(石平) やはり議員の下半身は諸悪の根源となるわけだ。ハニートラップは中国が大得意なのだが、あれは国家戦略としては正しい、最小コストで最大効果を挙げられるわけだから。ほとんど国家予算は要らない。
 ハニートラップはどこの国でもある。ない国はないのではないか。ただし、独裁政権が大規模に組織的にやるからうまくいくのだ。まともな民主主義体制では簡単にできない。

<社会保障がほとんど機能していない社会主義国>
・(高橋) ところで、中国の高齢化社会が日本の比ではないほどの勢いで進んでいるようだ。
(石平) 1つは自然発生的な高齢化。もう1つは人為的高齢化にある。要は、1979年から2015年まで続けた「一人っ子政策」がもたらした大弊害である。中国の高齢化をより際立たせてしまった。

・しかし、その結果もたらされたのは、「余剰男性」問題であった。一人っ子政策が敷かれているなかにおいては、妊娠した胎児が女とわかれば、堕胎するケースが圧倒的に多く、この30年間で男女比率がきわめて“いびつ”になってしまった。
 現在では3400万人も男性が上回っており、これは台湾の総人口の1.5倍にもなる。これは中国人男性にとっては悲劇で、国内では結婚相手が容易に見つからなくなっているわけである。
(高橋) 私は役人だったし、社会保障制度には関心が高いほうだが、調べてみたら中国の社会保障はやはり、社会主義国らしい姿を晒していた。

・(高橋) 中国政府はこれから国民皆保険を敷こうとしているようだが、これは現実的には不可能だ。政府が国民に“恵む”社会保障制度は世界中のどこにも存在せず、みな保険制度を敷いている。保険料をそこそこ取って、病気になった人に還元するシステムである。
(石平) 中国もそうした制度を曲がりなりに設立したが、プールされている資金がまったく足りない。プールされた資金が投資に悪用され、枯渇してしまったのだ。すると中国政府は、大学を卒業しても職に就けない若者たちが膨大にいるにもかかわらず、一方的に高齢者の定年退職時期を延ばした。
 というのは、高齢者に一斉に定年退職されたら年金支給が滞ってしまい、プールに水(金)がないことが露呈してしまうからである。これはいずれ中国の致命傷になるはずだ。

・(石平) 最後に1つの方法がある。中国の民間企業と進出してきた外国企業から徹底的に搾り取ることだ。
(高橋) 民主主義国における保険料負担は特別会計で、国の保険の運営法についてたいていは決まっているのだが、社会主義国はほとんど保険の運営に対する方針が曖昧である。つまり、「恵んでやる」方式のどんぶり勘定でやっている。

・(石平) 実際、中国の医療保険はほとんど機能していない。だから、中国の社会主義は非常に“残酷”なものになっている。急病でも交通事故でも、病院に運び込まれた患者は病院側から、治療費の“半分以上”をその場で支払えるかどうかを聞かれる。支払えなければ、治療はなされない。

・(高橋) 社会主義国なのだけれど、社会保障がぜんぜんダメなのが中国ということになる。

<日本経済に浮上の目はあるのか?>
<一度しかバブルを経験していない日本は異常>
・(高橋) 1980年以降だけを調べてみると、約100カ国のなかで百数十回のバブルが発生していたことがわかった。ということは、バブルは世界のどこでも起きていたのだ。

・そのときにある人が私にこう言ってきた。
「日本のバブルはたいしたことはないのだけれど、そのあとがひどかった」
 要するに、バブルは自然発生的に起きるものだが、問題はバブルが破裂したあとの対処だというわけである。他国ではバブルが破裂したあとにきちんと対処を行ったので、再びバブルが起こることもたびたびあった。

・(高橋) 日本ではバブルを潰したあとがひどかった。それはデータでははっきりしている。1980年代における日本のマネーサプライの伸びを見ると、世界の先進国の標準だった。標準だから、普通の先進国同様、バブルが起こったともいえる。
 だが、バブル後の日本のマネーサプライはほとんど伸びなくなった。金融引き締め策で日本の景気を冷やし過ぎてしまったのだ。その後の日本は二度目のバブルは起きなかったし、経済成長もまったくしていない。
(石平) その判断の間違いをしたのは政治家なのか、官僚なのか?
(高橋) 両方だ。マスコミも後押しした。もう二度とバブルを起こしてはいけないという論調に終始した。日本みたいにバブル後に経済活動を萎縮させ、デフレを促進するような政策を打つ国は本当に珍しい。
 他の国の政策はちがう。ひどいバブルは自然に起こるものなのだと認識しているからだ。日本はバブルが起こった後に、「角を矯めて牛を殺す」ようなことだけはしてはならなかった。

<嘘ばかり書かれてある城山三郎の経済小説>
・残念ながら、そのことを日本人の多くは知らない。『官僚たちの夏』もまったく一緒で、官僚が主導して日本経済が成長を遂げたという話はまったくの嘘だ。官僚が主導したわけではなかった。それどころか、何も主導しなかった。
 民間主導そのものだった。官僚は、本当は民間が行ったのに後付けで、自分たちが主導したと嘘をついただけである。「おれたちの成果だ」と。

<高度経済成長の最大の要因は“円安”>
・(高橋) なぜ日本は高度経済成長ができたのか?
 もちろん民間の努力、気骨もその一因だけれど、これは私の1つの研究成果なのだが、非常に単純な結論に集約される。
 為替レートを均衡為替レート(適正水準)よりもはるかに“円安”にした。それに尽きるのである。

・1ドル=360円と1ドル=150円という2倍以上の乖離。この乖離は1980年代までずっと続いた。これをアメリカは見逃し続けてくれていたわけである。

・(高橋) 日本の為替レートが安かったため、日本製品を海外に非常に売りやすかった。ある意味で世界経済が平和な状態で、アメリカが見過ごしてくれたのでラッキーだった。それだけである。

<安い労働力という“麻薬”>
・(石平) では、日本の製造業の復活のカギは何か?
(高橋) カギはやはり民間しかない。今後、民間がいかに技術開発をしたり、設備投資するかにかかっている。正直言って、先にもふれたが、政府が設備投資をするのはまったく意味がない。政府はあまりにも生産能力の乏しい分野にしか設備投資しないからだ。民間にしか期待できないのは世界共通といえる。

<日本政府の「クールジャパン」も完全なる後付け>
・(高橋) 最近、政府が有望産業に補助金を出したという話をよく聞く。これは昔の通産省と一緒で、あんなものはすべて“後付け”にほかならない。「「クールジャパン」などはその典型で、人気が出たら、慌てて補助金を付けているだけのことである。
(石平) なるほど、日本の官僚は、民間の努力の結果を自分の“成果”にしてしまうわけだ。

<正解は経産省が行うことの逆張り>
・(石平) そうなると日本の高度成長とは結局、民間企業の努力と工夫の賜物ということに収斂するわけだ。

<政治的自由と経済的自由はパラレルという原理>
・(高橋) 習近平が共産主義を徹底してくれるのは、日本としては絶好のチャンスだろう。米中貿易戦争においては、中国に出て行った日本企業は日本に戻らなければならないので大変は大変だ。けれども、中国がガタガタになってきたら、今度は日本企業にチャンスがやってくる。

・(高橋) 中国については私の理論に基づくと、石さんのように10年以内に崩壊するかどうかはわからないけれど、今後30年はまず持ちこたえられない。だから、企業の方針を10年スパンで考えるならば、やはり日本企業には多くのチャンスが与えられるはずだ。

・(高橋) 再び、ソ連崩壊のような社会主義体制の終焉が見られる確率はそうとう高いのではないか。なぜなら、ソ連に起こったことが中国に起こらないはずはないからだ。ちょっとした時間のズレはある。

・(石平)歴史上、もっとも寿命の長かった共産党政権は旧ソ連の73年間(1917~1989年)だったが、中国もこの10月で満70年を迎えた。
(高橋)だから中国もそろそろ危なくなりつつある。よく巷間、「中国破綻論は敗れ去った」と声高に言う人がいるのだが、長い目で見ればその人の目は曇っているとしか言いようがない、ということになる。社会科学理論を照らし合わせてみれば、長い目で見れば中国の破綻は必ず起こる。

<消費増税で取った分は全部吐き出す覚悟の安倍首相>
・(高橋) けれども安倍首相は、経済的には消費増税はまずいのではないかとも認識しているから、先の参議院選に勝ったあと、「景気対策は何でもやる」と公言してしまった。これはどういう意味かといえば、消費税を取る分をすべて吐き出しますと言っているのと同じだ。

<“やせ我慢”せず財務省と手打ちした大新聞>
・(高橋) 消費増税後は先に述べたとおり、景気を悪化させないよう政府は秋の補正予算で景気対策を大きく打つ。
 この秋は米中貿易戦争も大変だし、いくら日本が漁夫の利を得るといったって、中国に進出している日本企業もいるわけだし、自業自得とはいえ、中国向けのビジネスをしている人は大変である・

・(高橋) 私などは新聞の定期購読をやめてから30年くらい経っている。私は新聞についても、言論界なのだから権力に媚びず、消費増税を“やせ我慢”してみろと言ったのだが、背に腹は代えられず財務省と手打ちをしてしまったわけである。

<完全に財務省の“人質”になっている麻生財務相>
・(高橋) 麻生さんは閲して人は悪くないのだけれど、政策面でちょっと“難”がある。郵政民営化のときも大反対して、私はひどく恨まれていた。麻生さんからすると、民営化を進めた私は憎き男らしい。
 当時の国会の総務委員会で、「財務省の高橋洋一はけしからん」と発言していた。私が郵政民営化の黒幕と勘違いしていたらしい。あれは小泉元総理が言ったのをそのまま法律にしただけのことである。

<政府は消費増税分を何年間吐き出せるのか?>
・(高橋) 消費税に関する最後のウルトラCとして考えられるのは、全品目を軽減税率にしてしまうことだろう。実現は無理だろうが。
 ここで言っておきたいのは、消費増税分を吐き出すのは一度では効果がないということだ。何年間吐き出せるかが勝負となる。
 最低でも2年は吐き出さないと、増税ショックに耐え切れないだろうと、私は見ている。1年こっきりであれば苦しい。だから、最低でも東京五輪が終わった後くらいまでは吐き出さなければいけない。

<「習近平思想」理解度テストに見る中国の哀れ>
(石平) 官僚には将来発展するものを見出す「目利き力」は皆無。すべて民間企業の努力と工夫と熱意に収斂すると、高橋さんは結論づけて続けた。
 通産省が主導したとされる政策はおよそ的外れで、百発一中すらないから、むしろ逆張りしたほうが正解だとまで言い募り、官僚とはいつの世もそうした存在であり、“世界共通”であると断言した。
 こうした高橋さんの知的刺激あふれる言葉は、ごく自然に私の思考を日本から中国へと導いてくれた。
そうだ、官僚が打った政策が正しいのならば、中国は毛沢東時代から大発展していたはずだった。
けれども、知ってのとおり中国は大躍進政策、文化大革命により、当時9~10億人いた国民は食うや食わずの超貧困生活を強いられた。
したがって、毛沢東になりたがっている習近平が唱える「中国製造2025」も五十歩百歩の結果に終わるのだろう、というのが私と高橋さんの見立てである。それが国有企業ばかりを優遇し、民間企業をないがしろにしてきた中国の定めだからだ。中国の未来は暗くなる一方である。



『正論』2020年6月号



<『四重苦抱える中華帝国の末路    評論家 石平』>
・中国武漢発の新型コロナウイルスは今、地球上で猛威を振るって人類全体に多大な苦難をもたらしている。この原稿を書いている4月15日現在、欧米諸国や日本での感染の拡大がいつになって終息するのかまったく見通せず、世界が混沌としている最中である。

<感染拡大、長期化の様相>
・どうやら今後において、新型コロナウイルスとの一進一退の攻防戦は「常態=常にある状態」として長期化していくのであろう。

<壊滅的な国内経済>
・彼の論述によると、今の中国では1月からの新型肺炎ウイルス拡散の影響で中小企業の倒産・廃業が相次ぎ、いわば「倒産ラッシュ」が現に起きているという。状況が特に悪いのは輸出向けの中小企業とサービス業の中小企業である。

・4月6日付の香港・南華早報が、中国国内にある「天眼査」という調査・コンサルタント会社の調査結果を紹介した。それによると、今年第一・四半期において、中国全国で46万社の企業が倒産・廃業で企業登録から消えたという。

<大量失業の発生は必至だ>
・相次ぐ企業の倒産・廃業が招く大問題の一つはすなわち失業の拡大である。中国では、製造業の中小企業で働く人々の数は9千万人に上っている。サービス業全体が3億7千万人も雇っているが、関連企業の大半は中小企業であることは言うまでもない。

・発表した論文で一つ驚くべき数字を披露した。曰く、新型肺炎の影響で中国全国の失業者数は何と2億5百万人に上るという。
 中国の労働力人口はおよそ8億数百万人であるが、働く人の4人に1人が失業するような状況となれば、それはどう考えても、改革・開放以来の中国経済が陥る最大の危機的な状態、新型コロナウイルス蔓延以上の大災難である。
 
・しかも、大量失業の発生によって国内消費がどん底に落ちていくのは必至であるから、消費の低迷が当然、さらなる景気の悪化を招き、企業の倒産拡大と失業増加に拍車をかけることとなろう。つまり中国経済はこれで、蟻地獄のような悪循環の中に陥って沈没する一方の道を辿っていくのである。
 そして、億人単位もの大量失業の発生がそのまま社会的不安の拡大につながって、深刻な社会危機と政治危機の発生を招きかねない。たとえ新型肺炎の感染拡大はある程度抑えられたとしても、習近平政権の直面する国内危機の深刻さはおそらく天安門事件以来の最大なものとなろう。

<もう一つの地獄>
・各国の中で中国に対する批判と責任追及がもっとも先鋭化しているのはアメリカである。

・その一方、アメリカ国内では新型肺炎ウイルスの拡散で大きな被害を受けたことで、加害者の中国に対する集団訴訟の動きが広がっている。アメリカ議会でも、情報隠蔽でウイルスを拡大させた中国の責任を問う法案が提出された。
 そして4月上旬にアメリカで行われた世論調査の結果、米国民の約8割がウイルスの拡大について「中国に責任がある」と考えていることが判明した。

・世界でのウイルス拡散がいつ終息するのかはわからないが、それがある程度収まった段階からはおそらく、アメリカを中心に、各国政府と民衆による中国の責任追及と中国に対して賠償を求める運動が本格化していくのであろう。
 そして、中国発のこの世紀の大災難に際し、このならず者国家の危うい本性と、中国と緊密な関係を持つことの危険性を身を以て知った多くの国々や世界企業は今後、中国との関係を見直してさまざまな分野での「脱中国化」を始めるのであろう。

・そして世界からの孤立化は当然、中国国内の経済危機と社会危機の拡大に拍車をかけることとなろう。
 このようにして、内憂外患の中で大きく揺らいでいくのが、まさに2020年におけるならず者国家・中国の哀れな姿である。そして2020年はまた、中華帝国の本格的崩壊が始まる年となろう。


外交は実弾の飛び交わない戦だ。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。(1)




『外交戦』
日本を取り巻く「地理」と「貿易」と「安全保障」の真実
高橋洋一   あさ出版   2019/12/12



<「自分が引いたら押される」>
・外交は実弾の飛び交わない戦だ。昨今の国際関係に目を向けてみても、各国が「外交=貿易と安全保障」をめぐってしのぎを削っている。
 片方が何か手を打てば、もう片方が別の手を打つ。お互いに国益がかかっているから簡単には引かないし、片方が少しでもスキや弱みを見せたら、もう片方はさらに畳み掛ける。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。

<物事には「原理原則」というものがある。>
・物事には「原理原則」というものがある。原理原則に即して「事実」だけを見つめれば、たいていのことは、きわめてシンプルに説明できる。もし世の中で起こっていることが複雑に見えるとしたら、それは原理原則を理解していないうえに、個人的な感情や先入観によって、事実を見つめる目が曇っているからだ。

・しかし、きちんと自分の頭で考え、筋のいい答えを導くには、感情や先入観という不確かなものと、原理原則、事実という確かなものを、ごちゃ混ぜにしてはいけない。これらを、きっちり「切り分ける」ことが重要なのである。

・経済と外交は密接に関係しているため、必然的に同程度の比重で語ることになるのだ。
 さて、『バカな外交論』では、「外交=貿易と安全保障を話し合うこと」という定義のもとで当時の国際関係を論じた。『図解・地政学入門』では、国家の立地が安全保障を左右するという「地政学」の観点から、各地域の歴史的経緯にフォーカスを当てて安全保障を論じた。

・外交は実弾の飛び交わない戦だ。昨今の国際関係に目を向けてみても、各国が「外交=貿易と安全保障」をめぐってしのぎを削っている。
 片方が何か手を打てば、もう片方が別の手を打つ。お互いに国益がかかっているから簡単には引かないし、片方が少しでもスキや弱みを見せたら、もう片方はさらに畳み掛ける。「相手が引いたら押す」「自分が引いたら押される」――。ひとたび互いの国益が衝突しようものなら、こうした押し合いが起こるのが外交なのだ。
 もちろん現代では、実弾が飛び交う戦はそうそう起こらない。少なくとも民主主義国同士では、戦争を極力回避するという力学が働いている。それでも、どうしたら貿易と安全保障を最大限、自国に有利に持っていけるだろうかと戦略を練り、つねに出方をうかがっている。
 そういう意味では「平時」などじつは存在せず、随時随所で外交という「戦」が繰り広げられているといってもいいだろう。

・毎度のことながら、本書の一番の目的は「答え」を示すことではない。
 今、世界で起こっていることをピックアップし解説はしているが、それは原理原則に即し事実だけを見て物事を考えるという具体例を示しているだけだ。
 その具体例を通じて、読者が感情や先入観を交えずに。物事の「本当のところ」を見抜けるようにすることが、本書の本当の目的である。

<国民の利害に直結する「外交」>
・「国際関係とは何か」と問われたら、読者は何と答えるだろうか。
 ひと言でいえば、国際関係とは国家間の「貿易」と「安全保障」のことである。貿易と安全保障は表裏一体であり、それを国家間でどうしていくのかを話し合うのが「外交」だ。

・貿易と安全保障は密接につながっている。経済的結びつきが強ければ、軍事的結びつきも強くなるし、その反対もまたしかりだ。

・このように単純に考えても、貿易は戦争が起こる可能性がきわめて低い国、すなわち安全保障条約が結ばれており、軍事的結びつきが強い国と行うことが前提となる。

・いずれにせよ、貿易が盛んな国とは、必然的に安全保障上の関係も強まるし、安全保障上の関係が強ければ、貿易も盛んになる。お互いの利益を守るためには、軍事的な争いを避けることが一番だ。

・つまり、貿易の盛んな国とは一蓮托生、リスクを共有しているということだ。だから「経済同盟」と「軍事同盟」は一体になって当然なのだ。

<国際関係の基本プロセスは「合コン」と同じ>
・国とは政府と民間企業の集合体であり、ルール作りなどのお膳立ては政府、実際に活動するのは民間企業という役割分担で成り立っているということだ。

・「いい人、いるかな」と思って参加するのが合コンなら、さしずめ「いい条件、引き出せるかな」と思って参加するのが外交交渉の席、ということになるだろう。

<知識の浅い素人がはまりやすい“落とし穴”>
・しかし、ここに、じつは落とし穴がある。中途半端な知識で身近な例に落とし込もうとすると、大事なところを削ぎ落としてしまう危険性があるからだ。

・そして、たいていの物事には、メリットとデメリットの両面がある。「やるか、やらないか」でいったら、デメリットを補ってあまりあるメリットがある場合には「やる」という選択肢をとることになる。

<これで「外交を考えるセンス」が一気に鋭くなる>
・物事を考える際には、「過去に似た事例はなかったか」「海外に似た事例はないか」と探ってみることが欠かせない。
 こうしたものの見方を、「川を上れ、海を渡れ」という。私が官僚時代、先輩諸氏からつねづねいわれていたことであり、今も、ものを考えるときの基本の1つになっている。

・私は、「はじめに」でも書いたように、何事もまずは原理原則を用いて考える。
 経済について考える際は、もちろん市場原理だ。感情や偏見の余地がいっさいない市場原理の視点から見れば、どこでも、誰に対しても通用するロジックで考えることができる。
 国際法や国連憲章は、市場原理ほど揺るぎないものではないまでも、世界で通用するロジックを知る手っ取り早い方法だ。外交を考えるときには、まず参照するといいだろう。

<マクロで考えれば「自由貿易」が最適解>
・真っ当に考えれば、応益も安全保障もじつは非常にシンプルな話である。複雑で難しく思えるかもしれないが、それぞれに「正しい答え」がある。
 まず貿易だが、日本のみならず世界をよい方向に導くためには、「自由貿易を進めること」が最良の解である。

・経済はマクロに考えなければ見誤る。この世界で起こっていることは、自分の身のまわりの「半径1メートル」の視野では見きわめられないものなのだ。

<「負け」は「永遠の負け」ではない>
・すでに説明したように、自由貿易によって増える国内消費者余剰は、自由貿易によって減る国内生産者余剰を必ず上回る。そこに、国際市場で勝負できる自国産業が外国で得る生産者余剰も加わる。その全体的なメリットを国内で再分配することによって、文字どおり「誰も損をしない状況」を作ることができるのだ。

・もちろん実際には、前に示したグラフのように単純にはいかない。
 それでも「自由貿易で国内産業は総崩れ」という狭量すぎるいい分に比べれば、誤差の範囲だ。自由貿易が国益にかなうという結論は変わらないのである。
 海外の安い製品に押されて利益が減っていった結果、廃業を余儀なくされる人も出てくるかもしれないが、これは、いってしまえば競争に敗れたということである。
 競争は、つねに国内にも存在することを考えれば、これも自由貿易の弊害とはいえない。

・この部分で政治の役割があるとすれば、産業構造の転換をスムーズに行うということであり、その流れを逆にすることではないのだ。
 また、「負け」が永遠に「負け」ではないのも、自由競争の一面である。

・ただ、1つ気をつけなければならないことがある。自由貿易で「勝てる」分野すら見込めない国もあるという点だ。自由貿易がウィン・ウィンになるというのは、経済力が同程度の先進国の間での話である。

<互いに栄えれば戦争もしなくなる>
・貿易が自由になると、それぞれの国が豊かになる。そして、豊かになった国同士は戦争をしなくなる。安全保障条上も自由貿易が最適解だといえるわけだ。

・しかし、自由貿易になると、官僚も出る幕がなくなる。自由貿易で働く市場原理は、官僚の身勝手な権限欲からくる裁量などを、はるかにしのぐものだからだ。

<貿易赤字を問題視するのはバカバカしい>
・企業の赤字・黒字は損得で見るものだが、国の貿易収支の赤字・黒字は損得で見てはいけない。

・貿易赤字を悪いものとするのは、輸入企業に向かって「商売をするな」といっているようなものだろう。ようするに、輸入する企業も輸出する企業も、それぞれの分野で成功することが国を支え、栄えさせるのだ。

<貿易収支に“損得”や“経済成長”は関係ない>
・「貿易赤字=悪いこと」というのは、じつは2世紀半以上も昔に指摘された「勘違い」である。

・その『国富論』のなかで、アダム・スミスは、国を豊かにするのは輸出ではなく輸入であると論じた。

・それが経済学のセオリーとなったため、経済学では貿易黒字を得なこと、貿易赤字を損なことと考えるのは、「重商主義の誤謬」として一蹴されるのが普通になっているのだ。

・しかし、すでに説明したとおり、貿易収支は損得の問題ではなく、赤字だろうが黒字だろうが経済成長にはなんら関係ない。加えてアダム・スミスの論に従えば、外国との売り買いの両方があって国は栄える。
 輸出と輸入のどちらが多いからいい、いけない、という話ではない。貿易赤字だから国が危うい、貿易赤字が経済成長を止めるというロジックは、どう考えても成り立たないのである。

<見るべきは「経常収支」>
・貿易赤字は「輸出より輸入のほうが多かった」という話に過ぎず、どちらのほうが多いかは国家の経済の健全性を測る目安にならない。本当に国の収支を云々したいのであれば、「経常収支」について考える必要がある。経常収支とは、次に示すように国の収支の全体像である。貿易収支もここに含まれる。

(経常収支)
・貿易収支……モノの輸出入の差引額
・サービス収支……サービスの輸出入の差引額
・第一次所得収支……外国への直接投資や証券投資の収支
・第二次所得収支……外国への無償の資金援助や物資援助の額

 貿易収支が赤字でも、経常収支が黒字である限り、何も心配することはない。

・2018年末の時点で、日本の対外資産は1018兆円もあり、7年連続で過去最高額を記録している。しかも経常黒字が続いているので、毎年、資産は純増している。

・いくつかの項目にわたって貿易について述べた。その前提は「自由貿易は国益にかなう」という話だったことを、もう一度、思い出してほしい。自由貿易になれば、全体として潤う。個人や企業は、チャンスが増えることは間違いないが、それを生かせるかどうかは各人の努力と運次第だ。最後の最後には、自由貿易になって窮地に立たされる国内企業が生じたとしても、自由貿易によって得た富を再分配すれば問題はない。
 また、貿易赤字は企業の赤字とは、まったく質の異なるものだ。したがって、自由貿易によって輸入が増え貿易赤字が広がっても、それを心配する必要はない。
 これらの点がわかれば、自由貿易にマイナス要素は見いだせなくなるはずだ。

<「アジア版ユーロ」は可能か>
・自由貿易が最適解ならば、自由貿易圏をさらに進めて共通通貨圏はどうだろうか。無関税のユーロ圏のような共通通貨圏に、日本が加わることは可能だろうか。日本がアジアの近隣諸国とともに、共通通貨圏を作ってはどうか。そう思った読者もいるかもしれないが、答えは「ノー」である。

・加盟国の条件がピッタリ合致すれば強みになるが、どこか無理をしたり、条件を甘くしたりして、合致しない国まで含めると一転、不安材料だらけとなるのだ。

・文化や宗教の違いは、「これが正しい」という答えが出ない分、こじれやすい。その点、自由貿易はよって立つ市場原理というロジックが明快であるだけに、もっとも進めやすい外交交渉ともいえる。

<人道支援も、ゆくゆくは自国のためになる>
・日本国内では、経済に対する国民の不満は尽きないが、世界的に見れば日本が今なお屈指の経済大国であることは変わりない。
 そんな日本にとっては、いわゆる発展途上国への経済支援や投資も外交の一環である。
 その代表格がODA(政府開発援助)だ。

・ODAとは国が国に対して行う支援策で、有償資金協力(円借款ともいう)、無償資金協力、技術協力などがある。

・もちろん第一義的には人道的な観点から行われていることだが、じつはODAも立派な外交といえる。というのも、たとえば、貧困にあえぐ国は、精密機器の製造に欠かせないレアメタルの産出国だったりするからだ。

・このように、ODAは一方的に身銭を切る人道支援ではない。先ほどもいったように第一義的には人道支援だが、お金を出す側の国もそれなりの自覚があって対象国を選んでいる。そのため、レアメタルなどの資源国に対しては、支援国の間で「取り合い」のようなことが起こる場合もある。

・やはり大事なのは、第一次的な人道支援という点において、どれほど効果的なことができるかだ。有意義な支援をしなければ、対象国と友好的な関係は築けない。その点で、ある程度の成功を納めてこそ、あとあとのメリットも享受できるのである。

<安全保障を考えるのに「地政学」はかかせない>
・本章では、外交のもう1つの側面、安全保障を見ていく。
 まず押さえておきたいのは、「地政学(=地理の政治学)」――つまり“地理的な条件が一国の政治や軍事、経済に与える影響を考える”という視点だ。
 歴史は偶然の産物ではない。奇しくも起こった出来事が影響したこともあるだろうが、歴史の背景には例外なく「国家の思惑」「目論見」、もっといえば「野心」が存在している。世界史とは、そうした国家の思惑、目論見、野心が複雑に絡み合い、争い合いながら作られてきたのだ。

・そこで大きな要素となるのが「地理的条件」である。なぜなら、国家の野心とは「領土にまつわる野心」にほかならず、戦争とは領土および領土に付随するもの――すなわち「より広い、よりよい土地」をめぐって起こってきたものだからだ。

・したがって外交、とくに安全保障について考える際には、地政学がかかせない。
 今も昔も、国家同士の地政学的な「押し合い」が起こっている。
 たとえ実弾が飛び交っていなくとも、土地をめぐって国同士が腹の探り合いを続け、少しでも自国に利するようにと戦略を練っているのだ。

<覇権争いの舞台はずっと“海”だった>
・地理的条件が国家の安全保障を左右すると話した。
 地理といっても、より厳密に、とりわけ近代以降でいえば、重要なのは「陸」よりも「海」だ。海を制する海洋国家が、覇権を握るといっていいだろう。

・海を渡って他国へと進出するためには、「海」を制さなくてはならない。「より広い、よりよい土地をめぐる押し合い」は、舞台を陸から海へと移したのである。

・世界一といわれる強大な軍事力を背景に、アメリカもまた海を制することで覇権国家になったのだ。

<もう1つの重要視点  「民主的平和論」>
・前章では、経済外交では自由貿易を進めることが最適解であると説明した。
 では安全保障はどうだろう。最適解など存在するのだろうか。
 ここで挙げたいのが「民主的平和論」という国際政治学の理論だ。ひと言でいえば民主主義国家同士は戦争をしない、というものである。

・もちろん、民主主義国家同士は「絶対に戦争をしない」わけではない。
 しかし、民主国家は独裁国家に比べ、「戦争を起こす確率が絶対的に低い」といえる。なぜなら、民主主義という政治システムは、次のように根本的に戦争とは相容れないからだ。
 まず民主主義という共通の価値観を持っているので、イデオロギー対立がない。価値観が同じなので、相手の体制転覆や、みずからの体制維持をかけて戦う必要がないということだ。
 また国内が複数政党となっており、国外に対しても議会主義的交渉力が発達していること、マイノリティの言論の自由が保護されていること、情報公開が根付いていること、そもそも民主主義国では戦争の大義がないことなども挙げられる。

・つまり民主主義とは、一国のリーダーが、みずからの欲や名誉のために自国民を動員し、他国に流出するという独断専行が下されにくい政治システムなのである。

・民衆もまた当然の権利として、気に入らないことには声を上げるようになっている。基本的には選挙による参政だが、ときにはデモという形で現れることもある。
 このように、「戦争の抑止効果」が政治家、民衆、そして軍部の三重にも働いているのが、民主主義国家なのである。

<民主主義国は基本的に「話せばわかる」間柄>
・このフォークランド紛争が物語っているように、民主主義国家に比べて独裁主義国家は、格段に戦争に駆り立てられやすいといえる。

・民主主義とはひと言でいえば、基本的に「話し合い」によって問題を解決する政治システムであり、この政治システムを共有する国同士は、基本的に「話せばわかる」間柄だ。それが通用しないのが独裁主義国家というわけである。
 もし民主主義国家が、やむを得ず戦争をするとしたら、自衛のための戦争だ。

・この「民主的平和論」は、安全保障を考えるうえで、地政学と併せてきわめて重要かつ根本的な視点である。
 安全保障とは、裏を返せば、どのような場合に安全が脅かされるかを想定し、先手を打っておくことだ。
 国家にとって、もっとも深刻なのは他国と軍事衝突することである。

・したがって、自国の安全保障をしっかりするためには、似た価値観の国々の集まりに参加しておくことがもっとも有効だということになる。
 その集まりのなかでは戦争にならないだけでなく、「似た者同士」でまとまっておくこと――ようするに集団的自衛権によって守り合う体制を作っておくことが、「似ていない者」たちへの牽制にもなる。

<独裁国家の民主化を進める方法>
・ただ、別のアプローチがあることも指摘しておきたい。それは、民主主義より先に自由貿易を広めるという方法だ。

・このように自由貿易と民主主義は、ともに「自由」の理念が通底しており、自由貿易は民主主義国にもっともフィットする。
 その一方で、自由貿易がフィットしない国々もある。国民の自由が制限されている一党独裁の国々だ。一党独裁の国は、土地や資本を国が牛耳っているのがつねである。国民は、まったく自由ではない。そして「民主的平和論」に従えば、これらの国々は、民主主義国ではないために戦争の火種にもなりうる。

・このように、自由貿易は、民主主義国の経済的および軍事的つながりを強めるよすがにもなれば、世界の民主化を進める原動力ともなりうるのである。

<「安全保障は経済に優先する」>
・2001年に出版された『Triangulating Peace』という本がある。ブルース・ラセットとジョン・オニールという学者が、膨大な戦争のデータから民主的平和論を実証したものだ。
 この本によれば、同盟関係の強化は戦争リスクを減少させる。
 より具体的にいえば、
・きちんとした同盟関係を結ぶことで40パーセント
・相対的な軍事力が一定割合増加することで36パーセント
・民主主義の程度が一定割合増加することで33パーセント
・経済的依存関係が一定割合増加することで43パーセント
・国際的組織加入が一定割合増加することで24パーセント
というパーセンテージで、戦争リスクが減少するという。

つまりは、
① 独立国としてふさわしい軍備をして牽制効果を高め、
② きちんとした同盟関係を結び、その上で、
③ 民主主義国同士で
④ 自由貿易を行う関係を築き、
⑤ 国連に加入する。

こうすれば、世界の戦争リスクはぐんと下がる、ということである。

・先に挙げた5つの平和達成の要件のうち、経済と安全保障に関係するのは、④経済依存度だ。今までも説明してきたように、これは貿易関係が密接になるほど戦争をしなくなるという側面と、強固な安全保障があるほど貿易が盛んになるという双方向の効果によると考えられている。

・実際、国連などでも、安全保障上の懸念を解決するために経済制裁という手法がとられる。この2つは切り離して考えられないのだ。
 日本は強大な軍事力を持ち合わせていない。NSS(国家安全保障局)の経済部署設立では、日本が得意とする経済を外交力に生かし、安全保障上の懸念の解消を図っていくことも課題となるだろう。

<国連は、はっきりいってアテにならない>
<国連は機能することもあれば、機能しないこともある>
・日本人には、なぜか“国連信奉”に厚い人が多いように思える。さすがに専門家にはあまり見られないが、一般的には、「何か問題があったら国連に持ち込めばいい」と考えている人も多いのではないか。

・では、国連はどれほど機能しているのか。世界で起こっている紛争を、たちどころに解決してくれるのならありがたみも増すし、お金を出す意義も感じられるだろう。
 しかし、ケースごとに見ていけば、国連が万能ではないことは明らかだ。

・したがって国連は、ご大層な話し合いの場になっただけで終わることも多いのだ。それくらい、機能するかどうかあやふやなのが国連の実態なのである。

・安全保障は国家の自己責任、つまり、いざというときに自分が困らないような体制を、あらかじめ自分で作っておくべきだというのが、国際社会の常識である。

<日本が「永世中立国」になれない理由>
・民主主義国同士は基本的に戦争をしない。万が一、戦争という手段を取るとしたら、理念を別にする独裁国家から攻撃を仕掛けられた際の「自衛のための戦争」となる。

・強大な軍事力、国民皆兵の意識、そして中立という孤独を平和的に保つために、連綿と続いている外交力。加えて、ヨーロッパの真ん中に位置するという地の利。
 はたして日本が、これらを併せ持つ国になれるだろうか。まず地政学的には無理だということがわかるだろう。
 こう考えると、日本はほかの多くの国同様、「普通の国」なのである。
 その自覚を持って、スイスのような「特別な国」になることなど夢見ないほうが身のためだ。

<「不戦」に向かいつつある世界>
・なぜ、今まで数多の戦争が起こってきたかといえば、人が「より広い、よりよい土地」を求めてきたからだ。しかし、今や世界の趨勢は「不戦」に向かっている。つまり、積極的に戦って土地を奪うより、戦争を避けようという力学が働きはじめている。いったいなぜなのか。
 戦いに懲りた人類がより「賢く」なり、戦いを避けて共存共栄することを目指すようになったからといえる。

・20世紀になって、人類はそれ以前に比べるとマシで、少し平和的になった。それは、民主主義という政治システムが成熟し、定着しつつあるからだ。領土を奪い取るのではなく、お互い持っているものを対等に交換する(つまり自由貿易をする)ようになったという意味で、現代の平和を「資本主義的平和」「自由主義的平和」と呼ぶ学者もいる。
 いずれにせよ個の価値が高まり、自由と権利が尊重される国は戦争を起こしにくいといえる。

<「自分の頭で考える>という習慣を持つ>
<原理原則で「筋の通った答え」を導く>
・国の行方を決める政府に対して、あるいは無知蒙昧なマスコミに惑わされないために、私たちがもっとも心がけたいことは、「本質を見抜き、筋の通った答えを導く思考力」をもつことだ。その「考えるという習慣」を手にするためには、一にも二にも原理原則を知ることが何より大事である。

・私の専門は「数量政策学」だ。
 数量政策学とは数字、つまり「データ」を通して経済など世の中のことを分析し、政策論を展開するものだ。

・経済のように「よくわからない」と投げ出すのも危険だが、外交については「わかったつもり」で間違った考えに陥るのは、さらに危険だ。
 貧しい知識からくる狭い視野が、ロジックに乏しい感情論を生み出していることに、早く気付いてほしいものである。

<一方通行の思考から脱却する>
・外交では「やる」「やらない」の二択になることが多い。
 検討すべき要素はたくさんあるものの、最終的には「やるか」「やらないか」を決めなくてはいけない。したがって、やるべきか、やらざるべきか、という問題の場合は、やってみた場合とやらなかった場合の比較をしてみればいい。

・もちろん、先ほどもいったように、物事には原理原則がある。
 本書で話してきた国際関係でいえば、貿易は自由貿易が最適解であり、安全保障は似た者同士、つまり日本ならば民主主義国と同盟を組んで、その集団の安全保障に日本自身も積極的にコミットしていくというのが最適解だと話した。これらが、国際関係の原理原則ということだ。

・とくに国際関係においては、国は「やったこと」について、国民から非難を浴びることが非常に多い。やったことの結果に難癖をつけるのは簡単だ。そこで重要なのは、「では、やってみなかったらどうだった可能性があるのか」と考えてみることだ。

<国際関係に「文化」は持ち込めない>
・「英語で説明できるか?」と少し高度な手段を考えてみると、言葉の欺瞞や矛盾を見抜けることが多い。
 国際関係は、国際常識に照らして考える必要がある。そして国際常識とは、おしなべて、世界共通言語である英語で説明できるものだ。つまり、「英語で説明できない言葉」は、「国際社会では語られようがないこと」=「国際常識に沿っていないこと」をいい表していると考えていい。
 言葉は文化であり、どの言語にも、他言語には置き換えられない言葉がある。

・しかし、国際関係に文化を持ち込むのはタブーだ。タブーというより相手に通用しないから、持ち込んでも意味がないのである。

・たとえば、いっとき集団的自衛権の行使容認の是非が議論されていたころ、日本国内では「個別的自衛権」という言葉が盛んに出された。しかし、英語で自衛は「self-defense」とひとくくりにされており、集団と個別の区別はない。個別的自衛権というのは、いってしまえば「他国の争いに加わりたくない」という日本人の精神的土壌、つまり文化的背景から生まれたものといえるのだ。
 もしアメリカとの安全保障の交渉で、「日本にはself-defenseを「集団」と「個別」に分ける文化がありまして………」などと説明しても、「何をいっているんだ?」となり、まったく話にならなかっただろう。

・すべてにおいて同様のことあぎえる。
 日本人の価値観でしか通用しないような言葉を使って主張しても、国際社会では相手にされない。まずもって同じ土俵に立たないことには、なんの話もできないのである。

・もし英語に置き換えることができなければ、それはきわめて日本人的であり、国際的には通用しない概念だと思ったほうがいい。



『ざんねんな中国』
高橋洋一&石平のデータとファクトで読み解く
常に中国の逆を行け!
高橋洋一、石平   ビジネス社 2019/11/18



<あまりにも知恵が足りない中国側が招いた悲劇>
・10月1日に建国70周年を迎えた中国はかつてない試練に直面している。むろん最大の試練は、激化する一方の米中貿易戦争にほかならない。トランプ大統領は一向に手を緩める気配はなく、中国への制裁関税は実質第5弾目を控え、ほぼ中国からの輸入品全品目に網がかけられることになった。
 さらにアメリカの制裁は為替部門にも飛び火し、「為替操作国」に認定された中国はますます窮地に陥った。これは中国に対する資本自由化の要求に等しく、それを許せば中国は一党独裁の社会主義体制の旗を降ろさねばならず、まったく無理な相談といえる。

・つまり、貿易黒字を出すということイコール「儲けている」という意味ではなく、ただ単に輸出入の輸出部門の数字が多いというだけに過ぎない。その逆もしかり、そこを理解していただきたい。
 もし、貿易赤字を出すことが赤字国に本当に深刻な影響をおよぼすならば、世界の半分の国は大変な状況に陥っているはずではないか。

・もう一度言うと、貿易赤字や黒字の額が本当に重要であるならば、世界の半分の国はそれを気にして経済運営しなければならないが、どこにもお構いなしにしている。

<中国の実力を検分する>
<外貨準備高に見るカラクリ>
・(高橋) アメリカも中国が為替操作をしているのはずっと前から知っていた。IMFのボードメンバーで変動相場制でないのは中国のみ。さすがにIMFのなかでは、「わが国は変動相場制だ」とは中国は言えない。為替操作をしているのは知れ渡っているから、IMFに対してもそれを届け出ている。
 今回、アメリカが今さら中国を為替操作国に認定したのは、すなわち「資本の自由化」を“要求”しているということ。でも、資本の自由化は中国にはできない。資本の自由化などしたら中国は社会主義国ではなくなり、共産党の一党独裁国家ではなくなるのだから。
 だから、これはアメリカが、中国が絶対にできないのをわかっていて、わざと言っているわけだ。
(石平) 問題は、もし中国政府が為替操作をしなければ、要するに市場に任せる、人民元の本来の価値に任せるならば、人民元は暴落するということだ。
(高橋) 人民元相場を自由にすること自体、海外の資本取引を全部入れるということだから、中国にはできない。それができないから、人民元の暴落はおそらくはない。