私は、中国の崩壊というのは、パンデミックによって実現するかもしれないと思っています。宋と元はペスト、明はコレラによって滅んだという側面があるからです。(7)


<親殺しのパラドックス>
・さて、仮にニュートリノが本当に光速を超えたとしても、過去にさかのぼるうえで、もう一つ大きな問題が立ちはだかる。
 それが、「親殺しのパラドックス」だ。
 これは、過去に戻った人が、何らかの事情で自分の祖先を殺してしまった場合、その人は生まれないという理屈である。
 つまり、タイムトラベルをしている自分自身が存在しなくなる、という矛盾が生まれるというわけだ。
 ただ、これに対しては、過去へさかのぼるタイムトラベルを行った場合には、自分が経験した過去ではなく、「パラレル・ワールド」にたどり着くので問題ないという説もある。

<ジョン・タイターの予言>
・それであれば、ジョン・タイターという男が、本当に未来人だった可能性も、ゼロではないのかもしれない。
 そして、そんな彼が書き込んだ予言の中には、現実になったら困る、かなり物騒なものもある。
 例えば、2015年には「第3次世界大戦」が起き、ロシアがアメリカ・ヨーロッパ・中国に対して核戦争を仕掛け、30憶人もの死者を出し、さらに放射能汚染で、世界は破滅的な被害をこうむるという。
 そして日本は、同じく2015年に、台湾などと共に、中国に強制合併させられるという。
 タイムマシンが実現可能かどうかはともかく、これらの予言はぜひ当たらないよう願いたいものである。

<ウイルスと人間の終わりなき戦い>
<最悪のウイルス・エボラ>
・感染後の潜伏期間は短く、症状は、発熱や頭痛を覚えた後、全身の穴という穴から出血する。
 出血が起きれば、およそ3週間以内に死亡するとされ、その確率は、なんと50~90%にもなる。
 しかも、ワクチンはいまだ開発されず、治療法も確立されていない。
 そんな最悪の感染症が、「エボラ出血熱」だ。

・エボラウイルスの特徴は、「感染する細胞を選り好みしない」という点だ。

<ウイルスは「死なない」>
・では、一体、ウイルスとは何なのか。
 感染症は、寄生虫や細菌、そしてウイルスなどの病原体に感染することで起きるが、このうち、寄生虫と細菌は細胞で構成されている。
 細胞でできた生物の害から身を守るためには、その細胞を破壊すればよい。
 特に、細菌相手の場合は、細菌の細胞にのみ毒性を示す抗菌剤もある。それが、「抗生物質」だ。
 一方、ウイルスは細胞を持たない。ウイルスを構成しているのは遺伝子とタンパク質であり、自らのエネルギーを作り出すことも、また、他の生物の細胞の栄養素を利用しなければ、増殖することもできない。「生物」を大雑把に定義すれば、「細胞を持ち」「代謝でエネルギーを作り」「自己増殖できる」もののことだと言える。
 つまり、ウイルスは生物とは呼べない存在であり、生物でない以上、「死」という概念もない。
 よって、ウイルスを死滅させることはできない。可能なのは、ウイルスの除去、あるいは不活性化であり、もちろん、抗生物質も、ウイルス性の感染症に対しては効果がない。

<ウイルスへの対処法>
・では、ウイルスに対して、人間はまるで無防備なのか。
 そうではない。実は、ウイルスから人間を守るのは、外ならぬ人間自身が持つ力なのだ。
 人間を含む一部の生物には「免疫作用」が備わっており、具体的には、免疫細胞が活躍する。

・しかし、一種類の抗原に対して作られる抗体は一種類で、抗原が侵入してから抗体が作られるまでには時間も必要だ。よって、その隙に侵入が進むこともある。
 ただ、一度作られた抗体は、かなりの期間効果があるので、同じ抗原が再度侵入すれば、免疫細胞はすばやい攻撃が可能になる。
 このシステムを利用したのが「ワクチン」であり、同じ抗原でも毒素のない、もしくは少ないものを体内に入れ、あらかじめ抗体を作っておくという予防法である。

<特効薬は存在しない>
・また、ウイルスに対する、いわゆる「特効薬」と呼べるものは、現在のところ存在しない。
 例えば、ウイルス性肝炎に用いられる「インターフェロン」は、ウイルスの増殖を邪魔する物質でしかなく、また、あの有名な「タミフル」も、インフルエンザウイルスが、細胞から分離するのを阻止するだけのものだ。
 つまり、ワクチンという「感染予防薬」がない状況では、基本的には、人間の免疫に頼るしかないというのが実情なのである。

<人間vsウイルス の果てなき戦い>
・さて、「ウイルスは死なない」と述べたが、実は、天然痘ウイルスのように、ワクチンによって抗体を持つ人が増えた結果、根絶されたウイルスも存在する。
 よって、これまで1人でも感染した人がいるウイルスであれば、天然痘ウイルスの場合のように、その人の抗体を利用して、ワクチンが発明される可能性はある。
 そうであれば、エボラ出血熱やエイズも、感染前にワクチンを打つことで予防でき、もしくは軽症で済むようになるかもしれない。
 ただ、その一方で、ウイルスは日々突然変異を起こしていると言っても過言ではなく、新型が誕生すれば、今までのワクチンはまるで効果がなくなってしまう。
 新型ウイルスの誕生と、それに対するワクチンの開発、そして新たなるウイルスの誕生――この繰り返しは、人間とウイルスとの、永遠の戦いと言わざるを得ないのかもしれない。



<●●インターネット情報から●●>
ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)から引用。
(ジョン・タイター)
ジョン・タイター(英: John Titor) は、2000年にインターネット上に現れた、2036年からやってきたタイムトラベラーを自称する男性である。自分を1998年生まれだとした。

(タイターの世界での出来事)
2000年問題によって起きた災害や混乱が、後の内戦の火種となる。
CERNが2001年近辺にタイムトラベルの基礎理論を発見し、研究を開始する。
アメリカ国内でも狂牛病が発生する。
2001年以降にそのうち中国人が宇宙に進出する。
2001年以降に新しいローマ教皇が誕生する。
ペルーで地震が発生(2001年にペルーでの地震をほのめかした4ヶ月後にペルー地震発生)
世界オリンピックは2004年度の大会が最後となり、2040年度にようやく復活する。
2005年にアメリカが内戦状態になる。
2008年、アメリカ合衆国の都市部で急激に警察国家化が進み、都市内部と都市外部で内部抗争が発生する。

中国に併合された3地域のその後については、様々な説が存在する。本項ではその一部を載せる。
2011年、内戦が原因でアメリカ合衆国が解体されるが、翌年にはアメリカ連邦帝国が建国される。
2015年、ロシア連邦が反乱部隊の援助という名目でアメリカ、中国、ヨーロッパの主要都市に核爆弾を投下。アメリカが反撃し核戦争となり、第三次世界大戦へと発展する。
その後、アメリカの外交権麻痺に乗じて、中華人民共和国が覇権主義を強化。台湾、日本、韓国を強引に併合する。後にオーストラリアが中国を撃退するが、ロシアの攻撃により半壊滅状態になる。ヨーロッパ諸国もロシアによりほぼ壊滅するもアメリカが撃退し、ロシア連邦が崩壊する。2017年、30億人の死者を出した末、ロシアの勝利に終わる。
2020年、アメリカ都市部の勝利により内戦が終わる。ロシアの援助によって、新たな連邦政府が成立する。
アメリカの地方区分は、現在の州ではなくなる。分裂したときの5勢力で構成され、社会主義国家に近くなる。内戦後の生存者は図書館や大学の周りに集結してコミュニティを形成している。新たな連邦政府は首都を現在のネブラスカ州オマハに置いている。アメリカ以外のほとんどの国も社会主義国家のような体制になっていく。2040年頃、オリンピックが復活する予定。
2045年頃、タイターの個人的な予想ではタイムマシンが一般利用できるようになるであろうと思われる。

(2036年の状況)
タイターのいた2036年は、以下のような状況だという。
テレビと電話はインターネットにより提供されている。
タイムマシンが実用化されて既に2年が経過しているものの、その存在を信じていない人々も大勢いる。
タイムマシンは世界の幾つかの国が複数台所有しているが、一般市民が使用できるわけではない。
無線のインターネット接続がどこでも可能になっている。核戦争後の荒廃で物理的アクセスに制約があるため、コミュニケーションツールとして重宝されている。
プログラミングの主流が、「If/Then」方式から「If/Then/Maybe」方式へと変わっているという
要出典:自らを『自分はコンピューターのエキスパートではない』と何度も言及している。タイター自身がプログラミングに関して記述した部分は原文には存在しない。タイターが2001年に来たとき新聞などで見た企業(デル、グーグル、マイクロソフトなど)は、そのどれもが存在していない。
要出典:原文においてタイターがデル・グーグル・マイクロソフトに関して語った部分は見当たらない。一般的にデジタルカメラが主流で、フィルムカメラは主に専門家などが使用している。
宇宙人は見つかっていない。タイターは現在UFOとされているものはタイターの時代よりもっと未来からのトラベラーなのではと語った。
飲料水や淡水の確保が大きな問題となっている。
地球温暖化は、さほど問題になっていない。
出生率は低い。
エイズと癌の治療薬は発見されていない。
核戦争による汚染がひどい。
核戦争の後、人類は戦争に疲れ果て、それぞれの国が孤立化した状態になる。現在のような活発な外交関係は無くなる。他国への航空便などは存在するが、本数は今よりも格段に少なくなる。しかし、核兵器や大量破壊兵器が完全に消滅したわけではなく、世界中にはまだ多数の兵器が存在している。
人間の平均寿命が60歳に満たなくなる。また、警察国家を信奉する勢力を壊滅させたとはいえ、完全に消滅したわけではない。そうした勢力が、タイターらの住むコミュニティ外に密かに存在している。そうした集団との戦争は続いている。
信仰は2036年の人々の生活の中でも大きな存在であり、タイター自身もキリスト教徒であるが、宗教自体が現在のような一様な価値観からもっと個人的なものに移り変わっている。また、お祈りの日も日曜日ではなく土曜日になっている。
善悪についての考え方が大きく変わった(一人の人間がとるあらゆる行動は、どこかの世界線において行われている、という世界観が広まったため)。



『怪奇事件の謎』
小池壮彦  学研   2014/7/8



<明治天皇“すり替え説”と“ドッペルゲンガー”、そして、芥川龍之介の憂鬱>
・芥川龍之介と言えば、天才小説家で芸術至上主義者で、晩年は神経を病んで自殺したと学校で習ったはずである。

<天皇資本主義の虚構を見限った芥川>
・当然と言えば当然なのだが、彼らは天皇がフィクションであることを百も承知だった。彼らにかぎらず、明治時代の前半ぐらいまでに生まれた知識人ならあたりまえのことである。また芥川は海軍機関学校の教官だったし、鴎外は陸軍省の軍医だった。志賀直哉は帝政エスタブリッシュメントの学習院グループにいたのであるから、宮中周辺から漏れてくる“明治天皇すりかえ説”ぐらいは耳に入っていてもおかしくない。

・1920年(大正9年)に明治神宮が創建されたとき、天皇の出自を巡って世間では南北朝問題が蒸し返された。明治天皇は北朝天皇だが、南朝天皇が正統であるという議論があったため、元宮内大臣・田中光顕や宮中顧問官・山口鋭之助などが、“明治天皇南朝説”を流布したのである。つまり、明治天皇は維新のときに、実は南朝の胤とすりかわったという説である。もちろん戦前には公にできない説明だったし、本当にすりかえの事実があったのかどうかはわからない。政府が正式に認めるはずもないことなので、真相は藪のなかである。

・この説についての私の考えを言えば、仮に天皇の身柄がすりかえられていたとしても、その程度の手続きは1千年前からの朝廷の常套手段にすぎない。何も明治天皇だけに特有の奇説ではないので、本当かどうかを問うことは無意味である。神武天皇の実在を問うことに等しいと言えばわかりやすいだろうか。国文学者・折口信夫によれば、皇統譜は“信仰上の系図”である。その意味がわかっていればいいだけのことで、要は虚構に対する態度の問題にすぎない。森鴎外もその虚構を知っていて胸におさめた。そして立場上は鴎外などよりフリーだった志賀直哉は、極めて単純に馬鹿馬鹿しいと本音を吐露しただけである。

・一方で、芥川龍之介は天皇の問題を念頭に置きつつ『将軍』という小説を書いた節がある。近代日本の二重基準、すなわち王政復古と欧化売国という欺瞞的な体制のなかで、芥川は天皇資本主義の虚構を見限り、社会主義に傾いた。だが最後まで傾き切れずに自殺した。

<“世のなかの現実”そのものがフィクション>
・明治神宮の創建にまつわる話題が世上をにぎわした当時、芥川龍之介は大阪毎日新聞社に所属していた。1921年(大正10年)には中国への旅に出かけている。小説を書くための取材旅行を装ったエージェント的な視察のなかで、彼は大陸のアナーキストと接触し、帝政日本への懐疑を強める。その後に問題作『将軍』を書くのである。

<明治の支配層が構築した「帝国憲法システム」>
・この帝国憲法システムは、経済的には皇室財産という特別会計を無尽蔵に増幅させ、政治的には帝政の実態を可視化させない言論統制を担保した。そして統治の実態を隠すためのカモフラージュとして、“アカデミズム”と“ジャーナリズム”が機能した。

<芥川が見た“分身”の正体>
・しかし、芥川龍之介(明治25年生まれ)の世代になると、すでに近代のレールが通された後に成人したため、前の世代より統治のしくみに無自覚になる。そこへ大逆事件が起きて、言わば寝た子を起こす形になるのだが、徳富蘆花が危惧したように、力による思想弾圧は、逆に無政府主義者の種を増やす。当時の一高生も社会主義に目覚めていった。芥川のような芸術家にはそれは難しかっただろう。資本主義の欺瞞に耐え切れず、社会主義者にもなりきれない。

・芥川にまつわる伝説として、彼は自らの分身“ドッペルゲンガー”を見たという逸話があるが、それは近代天皇資本主義という歯車に身を委ねて回転する自分の姿と、そのシステムから脱却したいと願う自我との両映しだったのではないか。明治帝政の替え玉的性格、すなわち、“ドッペルゲンガーとしての日本”に絶望し、自ら命を絶ったとも思うのである。

<異星人“アレシュカ”をめぐる奇妙な物語>
・未確認生物の話題というのは、いつの世でも人の好奇心をくすぐるものである。
 1980年にプエルトリコで“小人”の集団が目撃されたケースでは、ハンターに殺された小人の死体が存在したことから謎が謎を呼ぶことになった。
 小人の身長は30センチほどで、体形は人間の胎児に似ていたという。耳がなく、頭がやたらと大きかったというので、いわゆる“グレイタイプ”の異星人に似たものである。ハンターはこの死体をアルコール漬けにして保管したが、その日から不審者に付きまとわれるようになった。やがて小人の死体は何者かに盗まれて行方不明だそうである。
 1996年にも、ロシアのウラル地方で大きな頭を持つ小人の死体が発見された。身長は25センチぐらいで、やはり耳がなく、プエリトルコの小人と似た特徴を持っていた。
 “山中に棲む妖精たち”というファンタジーとは趣が違うようである。

<ロシアの小人についてはめずらしく詳細が報道された>
・それによると、発見者は地元に住む老婦人で、村はずれの墓地で突然“小人”に出くわしたという。老婦人は小人を家に連れ帰り、“アレシェンカ”と名づけて自分の子供のように育てはじめた。だが不審に思った隣人が病院に通報し、老婦人は強制入院させられた。その後に小人のミイラ化した死体が婦人の家から見つかったという。

<アレシェンカは、いつ、どこで、なぜ生まれたのか?>
・アレシェンカの死体には、人間とは異なる特徴がいくつもあった。だが、この死体も案の定、何者かに盗まれて現存しない。生前のアレシェンカを知る生き証人だった老婦人は、謎の交通事故で他界したという。

・2007年に『プラウダ』誌が報じた記事によると、モスクワの法廷医学研究所がアレシェンカのDNA鑑定をおこなった結果、「ヒトや類人猿に関係するあらゆる遺伝子に対応していない」という新たな見解が出たという。物語の展開としては、おもしろくなくなったと言えるのかどうか。これは未知の人類が存在するということなのか?

<禁断の実験の行きつく先>
・アレシェンカをめぐる物語は、何かしらの非人道的な現実を隠すためのギミックではないかとも思われる。私が学生の頃(1980年代)、「いま一番ヤバいのはバイオだよ」とよく言われていたが、闇で何でもやれる有望な分野が、生物工学・生物医学だとされていた。
 その当時に刊行されていたE・Rコッホ&W・ケスラー著『生物医学の悪夢』という本や、G・R・テイラー著『人間に未来はあるか』などの本には、21世紀に向けた生物医学革命のスケジュールが載っていた。すなわち、1975年までに“記憶の消去”や“人造ウィルス”の技術を完成させ、2000年までに“完全な人工胎盤とベビー工場”や“ヒトと動物との雑種”を完成させるというヴィジョンであった。1980年代当時には、あまりリアリティの感じられない話であったが、いまやヒトのクローンが現実的な話題になっている。この30年の間に“闇の技術”はとりかえしのつかいない成果を生んだ可能性もある。

・どこまでが戯言だったかは不明だが、ヒトとサルの雑種で同時に“天才児”でもある生物の特徴は、まったくもってグレイタイプの異星人と一致する。

<グレイタイプの異星人の正体>
・アメリカ海軍の次世代無人攻撃機「X-47B」は、はたから見ればUFOと言われそうな代物である。世に言う“未確認飛行物体”が“未発表の戦闘機”の異名であれば、「あらゆる遺伝子に対応していない」というアレシェンカもまた“未発表の人間もどき”なのかもしれない。

・プルトニウム注射の人体実験は、1990年にアメリカ政府が認めた事実である。第2次世界大戦時の「マンハッタン計画」(原爆製造計画)というのは、こうした人体実験を継続的に行なうことも含めた長期プロジェクトだった。そして「宇宙人解剖フィルム」が出てきた時期は、ちょうどこの人体実験の問題をクリントン政権が認めた時期と重なっている。
 政治的に都合の悪い問題が出てくると、宇宙人のネタをぶつけて世間を煙に巻くのは定石だが、もしグレイタイプの異星人の正体が人体実験の結果なら、アレシェンカも同様の事例だった可能性が出てくる。放射能汚染の問題には未知のことも多い。全国に核施設を張り巡らせた日本にとっても、他人事ではないのである。



『怪奇事件の謎』
小池壮彦  学研  2014/7/8



<首相公邸の怪談>
<“足だけの幽霊”>
・首相公邸に幽霊が出るという噂について、政府が「承知していない」という答弁書を決定したことを報じた新聞記事(東京新聞・13年5月24日付)があります。

・旧首相公邸だった公邸は1936年の「2.26事件」の舞台となり、官邸関係者の間では以前から「犠牲者の幽霊が出る」とのうわさ話があった。小泉純一郎元首相は2006年9月「幽霊に出会ったことはないね。一度会いたいと思ったんだけども」と記者団に語っている。

・2013年5月24日、民主党の加賀谷健参議院議員が提出した「首相公邸の幽霊の噂は事実か」という趣旨の質問主意書に対して、安倍晋三内閣は「承知していない」という答弁書を閣議決定した。これは安倍首相がなかなか公邸に引っ越さない理由を幽霊の噂に絡めて質問したものだ。

・安倍首相は同年6月1に出演したテレビ番組で、森喜朗元首相から聞いたという怪奇体験談を紹介した。公邸で“足だけの幽霊”を見たという話しである。以前から森元首相は、夜中に軍靴の響く音を聞いたとか、ドアノブがひとりでに回った話などを披露していた。

<首相公邸に刻まれた“怨念”>
・戦前に5・15事件と2・26事件の怨念を刻んで以来、歴代の首相は公邸に住むことを嫌ったといわれている。実際、誰も住まなかったので、公邸は放置されたまま荒れていたが、建物の改修を終えた1968年に佐藤栄作が戦後初めて公邸入りした。

・幽霊の話はその後も内々では噂されたが、それが公になったのは1994年のことである。この年の4月に羽田内閣が成立したとき、羽田夫人の知り合いの霊能者が中庭で軍服姿の幽霊を見た。その2カ月後、羽田内閣は不信任案の提出を受けて総辞職した。次の首相になった村山富市は、公邸に引っ越さず、「娘さんが幽霊を怖がっている」という噂が出た。村山本人はこれを否定したが、この年のナポリサミットの最中に急病で倒れてしまう。その後にようやく公邸入りした。

<アメリカ「ホワイトハウス」に現れた“白衣の男”>
・首相公邸が“ホワイトハウスの日本支部”と揶揄されたのも1950年代のことである。官邸の駐車場にはCIAから貸与された高級車が露骨に停まっていたのは事実で、アメリカの傀儡であることは当局は全然隠していなかった。そしてホワイトハウスにリンカーン大統領の幽霊が出るという怪談が日本で話題になったのもこの時期である。ホワイトハウスに幽霊が出るなら日本の首相公邸に幽霊が出ても外国に対して恥ずかしくはない。むしろアメリカに伍している。だからいまでも公然と幽霊話が語られる。ホワイトハウスとの共通性にステータスがあるという判断なのだ。この話題が滅びない理由はそれである。

・1950年代に日本に伝わったホワイトハウスの怪談は、第2次世界大戦を指揮したフランクリン・ルーズベルトの秘書官が体験したという、こんな話である。
 ホワイトハウスには、大統領の寝室に続いて随員たちの寝室がある。その一室で夜中に寝ていた秘書官が、突然胸が苦しくなって目を覚ました。すると、部屋のすみに白衣の男がいる。だんだん近づいてくる。目の前まで迫ってきた男は、髪も髭も真っ白だったが、その風貌から、ひとめで誰だかわかったという。
 翌朝、秘書官は深夜の体験をルーズベルトに話したが、白衣の男が誰に似ていたかは言わなかった。しかし、ルーズベルトはすぐに幽霊の名前を察したらしく、ひどく青ざめた表情になり、口外を禁じたという。だが、誰にでも言うなと言っても、ホワイトハウスの幽霊話はずっと以前から有名だった。いまさら隠すことはできなかったようである。秘書官以外にも目撃者はいたし、名だたる要人も類似の体験談を公に語っている。

<「夜中に響く足音」の正体>
・ホワイトハウスの幽霊は、その場所柄もあって、目撃者は限られている。大統領とその関係者、および各国の要人などである。したがって、たいていは欧米資本家に操られているような人々が「幽霊を見た」と言っていることになる。金融資本の主要部をなすオランダ王室のウィルヘルミナ女王も、ホワイトハウスでリンカーンの幽霊に出くわして、たいそう怖気づいたと言われている。

・小渕さんの幽霊も出るのだろうか。もし出るとしても口外は禁止だろう。夜中に響く足音とか、ひとりでに回るドアノブというのは、怪談でカモフラージュされてはいるが、本当に誰かがやってきて、首相に指示を与える儀式のメタファーという話しもある。その指示に逆らうと小渕さんのようになるので、なるべく公邸には住みたがらないというのである。



『チベット第3の目の謎』  
(中岡俊哉)(二見書房)     1994/4



<古代インドに伝わるもう一つの「死者の書」>
「具舎論」と呼ばれる書物がそれである。本来は哲学として釈迦の教えをまとめあげたものだ。その中に「死者の書」と非常に似た「死後の世界」の描写があった。
内容は次のようになっている。

1、死と共に人間は肉体と肉体でないものに分れる。肉体と分かれた死者は人の眼には見えない身体を持つ。

2、見えない身体は“細身”と呼ばれ非常に細かいものからなる。そのために物質を通り抜けることができる。

3、五感の機能は保たれ、見たり、聞いたり思ったりすることができる。匂いをかぐことによって食事の代わりをすることも可能だ。

4、空を自由に移動でき遠い場所でも一瞬にして行くことができる。

5、やがて次の生を得て、この世に再び生まれる。生まれ変わるまでの期間は人によって異なり、生前の生き方が好ましくない者は長く死後の世界に留まる。
 このように具舎論には「チベットの死者の書」に相通じる死の面が記されていた。



『陰謀論の正体!』
田中聡   幻冬舎   2014/5/30



<フリーメーソン>
・安倍晋三首相がケネディ駐日米大使と交わした握手がフリーメーソン式であったということで、安倍首相はフリーメーソンだと断じる人たちがいる。小泉純一郎首相の“脱原発”も実は「大きな力が動いている」せいだと信じる人たちがいる。3・11以降、マスメディアへの信用が失墜し、ネットの情報に依存して、いつのまにか陰謀論が世界を覆っている。

<データベースとしてのメガ陰謀論>
・メガ陰謀論もそれに似て、相互引用の迷宮でありながら、互いの矛盾はさほど気にしない。むろんコアなところでは原理主義的な硬直があるのだろうが、裾野は広い。
 たとえばデーヴィッド・アイクは、世界の支配者をレプティリアン(爬虫類人)だと考える。そのアイデア自体は新しいものではないらしいが、アイクの知名度や精力的な活動によってこの説は一気に世界に広まった。爬虫類人は竜座のアルファ星系からやってきた宇宙人で、人類と混血し、その交配種たちを純血種の奴隷として支配してきたという。

・また月は彼らの作った建造物であり、そこから捏造した現実を地球に投射する(人間の脳がその受信装置としてチューニングされている)ことで人類をコントロールしているともいう。こう書いてしまうと安っぽいSF小説としか思えないが、これに意識変革によってレプティリアンの支配から解放された次元へ覚醒せよと訴えるニューエイジ風な自己啓発の側面も加わっていて、人気があるようだ(ただしアイク自身はニューエイジ運動に批判的である)。

<「田布施システム」>
・日本の国内事情をめぐる陰謀論も、このようなメガ陰謀論のなかに位置づけられることでスケール感が生み出される。今もっともホットに広まっているのは「田布施システム」の陰謀論だ。幕末に伊藤博文らによって孝明天皇が暗殺され、明治天皇として即位したのは、孝明の皇子ではなく、周防国熊毛郡田布施村に住んでいた大室寅之祐という人物だったとされることに始まる。日本の近現代史の全体を包括するような陰謀論である。1万6千ほどの人口しかない山口県の田布施という田舎町を秘境化して、明治維新から現代までの政治や経済、宗教、非常民たちの暗躍もまじえた、伝奇ロマンのような裏の歴史物語が形成されており、そこに日々、新しい出来事が関連づけられて、成長を続けている。

・陰謀論が育つプロセスでは、先にも書いたが、相互参照が大きな働きをする。
「田布施システム」について記しているサイトも、多くがよく似た内容、同じ引用で成り立っている。その元になっているのは鬼塚英昭『日本のいちばん醜い日』(成甲書房)だと思われるが、実際にその本を元にしたというより、他のサイトからコピーしているものが多いと思われる。
 そのほとんどといってもいいくらい多くのサイトで参照されている文章に、長州の国家老・益田弾正の末裔だという国文学者、益田勝実の次のような一文がある。
「天皇様をお作り申したのはわれわれだとは、明治以前に生まれた長州の老人たちによく聞かされたことだったが、近代天皇制以前には、京都に天皇家はあったが、天皇の国家はなかった。尊皇派が考えていた天皇の国家の考えは思想として獲得されたもので、現実に京都にいる天皇という実在の人物に合わせて作られたものではなかった。かれらが求めている天皇と現実の天皇と、いくらか融和出来るうちはよいとして、その矛盾が激化すると、…………激化すると、天皇を取り換えてしまうほかなくなる。

・益田がここで語っているのは、幕末までの天皇と近代天皇制との亀裂である。前後の文章も読めばそのことは自明だが、鬼塚は著書にこの部分を引用するさい、「山口県熊毛郡田布施町に生まれ、孝明天皇の長子睦仁の替え玉となり、後に明治天皇となる『てんのうはん』のことを書いている」と前置きしている。つまり大室寅之祐についての伝承を書いたものとして紹介しているのである。「お作り申した」とか「取り換えてしまうほかなくなる」という言葉は刺激的なので、ここだけを示されれば、そういう含みをこめて言っているようにも思えるかもしれない。しかし、これは孝明天皇を謀殺して代替わりさせ、近代天皇制を作り上げたことを言っているのであって、明治天皇が替え玉だなどということはまったく言っていない。

・大室寅之祐の出身地である田布施とその周辺からは、大勢の有力者が輩出したとされる。そのことを、鬼塚は次のような文章で記している。
「私の手元に知人が作成した一枚の系図がある。簡単に記すと、伊藤博文(林家が伊藤家の本家)と「虎ノ門事件」を起こした難波八助は一族である。また宮本顕治(日本共産党)も一族。そして、木戸幸一も系図に入ってくる。京都大学教授でマルクス主義を木戸幸一、近衛文麿に教えた河上肇も一族である。そして大室寅之祐の生家の近くに岸信介一族の生家もある。この地から代議士の国光五郎、難波作之助が出ている。また、元外相松岡洋右も岸信介の一族である。あの終戦内閣の最後の内務大臣安倍源基も大室寅之祐の生家の近くである。これは偶然とはいえない何かがあるだろう」

・系図上につながりがあるという話と、田布施の出身であるという話とが混然としてわかりにくい。たんに出身地で言うなら、伊藤博文、難波大助、宮本顕治、松岡洋右らは田布施町の隣の光市、河上肇は岩国市、木戸幸一は東京、祖父の木戸孝允が荻市、安倍源基は平生町である。また、田布施システムの一員として挙げられることのある人々について見てみると、山形有朋や久原房之助は荻市、鮎川義介は山口市大内、岩田宙造は光市の出身で、ずばり田布施の出身となると、じつは岸信介、佐藤栄作の兄弟くらいだったりする。
 また鬼塚によれば、小泉純一郎の父で防衛庁長官などを務めていた小泉純也は、なんと鹿児島県の田布施村の出身だそうで、これも「偶然ではないだろう」と記している。

・したがって、実際に田布施そのものが出身地だという有力者はそれほどいないように思われる。もちろん、「田布施システム」とは、田布施出身の「偽天皇」を守る人々の人脈ネットワークのことをさすようだから、田布施という区域そのものに意味があるわけではないだろう。
しかしネットでは、いま名の挙がった人たちがみな田布施の出身者であるかのように記されていることが多く、インパクトが強烈になる。小さな町からこんなに多くの有力者が出ているのか、という驚きが、「田布施システム」という存在の信憑性を高めているのだろう。
 いや、周辺地域から多くの有力者が出ていることは事実である。
 なにしろ山口県からは、総理大臣だけでも9人も出ている。明治以来の長州閥の勢力は今もなお政財界に根を張っている。そのネットワークを闇の側から補完しようとしているのが「田布施システム」だと言えるかもしれない。

・この「田布施システム」は、明治維新という近代日本の起源に隠蔽されていた暴力とズルを暴露する陰謀論だが、その欺瞞をうながした背後に、薩長の「維新の志士」たちを操っていたユダヤ・フリーメーソンの意志を見ることによって、世界的な陰謀の広がりへと接続されている。また、その欺瞞を世界の陰謀勢力に弱みとしてつかまれているために、今もなおその下部組織のように支配され続けているともされている。つまりユダヤ・フリーメーソン、あるいはイルミナティなどといった世界的な陰謀集団に、この国を売り渡している仕組みが「田布施システム」だということにもなるのである。

・「田布施システム」は、鹿島昇が1999年に書いた『裏切られた3人の天皇――明治維新の謎』(新国民社)で唱えていた「明治天皇替え玉説」の発展型である。だから、その基本的な物語はだいぶ以前からあったものなわけだが、それが最近になって、ネットで急速に成長しながら拡散している。岸信介の孫である現総理の安倍晋三に直接に結びつく生々しさがあるうえに、原発利権、TPPなどにつながる広がりを持っていることが、安倍政権に危機感を抱いている人々にアピールしているようだ。社会の現状に対して持たれている不条理感にフィットする物語なのかもしれない。
 このような大きな体系を持った陰謀論は、リアリティが弱いようでいて、内部に無数の物語が含まれており、その総量で成り立っている。

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