新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(6)



『中国バブル崩壊が始まった』  

鬼城、不正な輸出統計、汚職、汚染・・・張りぼて中国経済の面の皮が剥げ落ち、いよいよ中国からカネが逃げ出すゾ!

チャイナ・ウオッチャー 宮崎正弘   海竜社   2013/7




この凄まじき汚職天国

<中国国内の舞台裏でますます激しくなる汚職と腐敗>

・中国の上場企業は1720社もある。上海のA株に上場している、おもに国有企業である。各社がそれなりに工夫した決算報告によれば、あきれるばかりの「接待交際費」が計上されており、合計133億元(2234億円)が決算報告に網羅された。ただし、表に出た金だけである。交際費を使ったトップは、汚職省庁として名高い鉄道部に寄生する「中国鉄建」。この1社だけで8億3700万元(140億円)を接待交際費に計上した。


<中国全体を集団的焦燥感が襲う>

・中国国内で不動産物件の売れ残り在庫が64兆元(1075兆円)もあるという。これは日本のGDPの2.2倍である!驚異的というより、いかなるトリックでこんな現象が出現したのか。

 そうした投機行為で財産をつくった太子党は海外へ逃げる準備に余念がない。また、庶民一般は不安の塊、つまり中国全体を覆うのは集団的焦燥感だという。「すべての(中国)国民が、得体の知れぬ焦燥感や不安に駆り立てられているような状況は、革命や動乱がやってくる直前のそれ」と指摘している。


・党幹部と財閥の焦燥感とはなにか。簡単である。党支配が崩壊するとき、財産を保全するにはどうしたらよいか。最善の道は海外での隠匿、そして海外逃亡である。


・中国の企業家たちには安心感がない。だから移民ブームを起こしている。


そして中国からカネが逃げていく

・ともかく高級幹部は、民間企業でも悪辣な手口で財産の海外移転をやらかしているのである。


現代中国は『水滸伝』と『金瓶梅』の世界

・いまの中国は「44大家族」に富が集中している。


・中国のジニ係数は0.62と出た。すなわち1%の特権階級が国富の62%を寡占している未曽有の所得格差状況を指し、まさに革命前夜の段階に入っているのである。


・汚職官僚を「裸官」というが、この「裸官」が大量に発生するのは、中国政治の腐敗した土壌に原因があり、すでに「1万8000名の高官らが法外なカネと共に海外へ逃げた。習近平の反腐敗取り締まりによって逮捕・起訴・左遷・減給などの処分を受けた共産党員は100万人を超えた」


・「裸官はすでに118万人に達しており、高級公務員の46.7%の子女は海外で永住権を獲得している」


<断末魔と日本への影響度>

<中国バブル崩壊で日本にはどのような影響があるのか?>

(A) 対中投資 中国国内の需要拡大を視野に工場拡大方針の企業も苦戦を強いられるだろう。


(B) 中国の国債 もし人民元の価値が下がり始めると帳簿上の時価が急速に目減りする。


(C) 通貨スワップ 日本とは一定の枠内での取引であり、日本からの輸出は円建て、中国からの輸入品の一部の決済が人民元で、これらは商社以外、メーカーは手をつけていない。


(D) 邦銀の貸し付け 大半は中国に進出した日本企業の貸し付けであり、合計3兆円程度と見積もられている。


(E) 進出した日本企業の株価 言うまでもなく中国投資にのめり込んでいる日本企業は数千社。


(F) CDS(クレジット・デフォルト・スワップ) 中国は対外的に金融商品を売っていない。


もっと危険な人民元の崩壊

・懸念すべきは中国バブル崩壊だけではない。今後、人民元の抱えるさまざまな問題がもっと深刻化することが予想される。

 これまでの高度成長とGDPの躍進ぶりから、中国の通貨=人民元が次代のアジア基軸通貨となるなどとする滑稽な、非現実的な議論がまかり通ってきた。


・むしろ、経済危機を前にして、逆の発想が生まれてきた。つまり人民元の急激な下落、あるいは政府による通貨切り下げ、つまりデノミである。


中国のGDPが成長する要素は消滅した

・ここにきて、中国経済が、これからもGDPを伸ばし続ける要素はどんどん消滅しているのである。


第一に新幹線、空港、高速道路、地下鉄などの公共投資のコストを無視したプロジェクトは、赤字の山となった。


第二に民間投資だが、GDPの47%が不動産に向かった結果、過剰供給が産まれ、空室だらけとなったことはすでに述べたが、民間企業のような採算、コスト計算を度外視するのが国有企業のやり方である。労働移住、農村部からの国内移民が2億6000万人。このうち1億5000万人が都市部に流れ込んだ準定住者だ。


中国経済が抱える三大矛盾

・第三に貿易赤字の拡大である。人件費の高騰は中国で生産する魅力をなくし、企業の流出を招き、外資企業は中国国内で需要のない産業はすでにほかの国々に移動した。


・「三大矛盾を中国経済は抱えている。第一の矛盾は、政府主導の不動産投資が拡大し、民間のそれは下降したという矛盾。製造業の利潤は下落一途となった。第二は、中央政府は不動産取引の歳入で潤い、地方政府は開発を増やしたが、歳入が減少したという矛盾。第三は『安定的な成長』と『高度成長の堅持』を同時に標榜する矛盾だ」つまり、計画経済の行き詰まりを自由市場主義で克服しようとしても、不可能な地点に中国経済は直面しているという意味である。


<五大銀行は資本不足に陥る危険がある>

・「国有の五大銀行がいまのペースで資産拡大を続ければ2014年に五行合わせて405億元(約6800億円)の資本不足が生じるだろう。内部金融への依存度が現状のままだとすれば、2017年までに五大銀行の資本不足は1兆6600億元(27兆円)に達する」と予測した。しかし、中国の不良債権の潜在額が最大で700兆円と言われているのに、これらの数字は楽天的すぎないか。


・中国が直面する危機はバブル崩壊と地方政府の債務危機で、両者は緊密にリンクしている。


<中国の債務爆発は時間の問題>

・リーマンショック以後、中国は公共事業を急拡大した。このため地方政府の債務は2010年末時点で10兆7000億元(約171兆円)。それからも3年を閲してM3(通貨供給量)は100兆元(1080兆円)を突破した。こうみてくると、隠れてきた不良債権が顕在化するのは時間の問題であることが明瞭である。



<●●インターネット情報から●●>


Newsweek ニューズウィーク日本版   2017/6/15


辛口風刺画・中国的本音  辣椒(ラージャオ、王立銘)

習近平が私営企業に押す「共産党印」の不安


中国共産党が開始した、私営企業内に党組織を作る運動が中国の経営者たちを戦慄させている。私有財産を公有化した文化大革命時代の政策を連想させるからだ

中国共産党は最近、すべての私営企業を対象に「党建設がすべてを覆う」という運動を始めた。中国の歴史を少しでも知っている企業主たちの中には仰天し、自分の会社を閉じて全ての家族を海外に移民させた者もいる。

中国共産党が全ての企業の中に党組織をつくるだけなのに、どうして彼らはこのように恐れるのだろうか。


49年の共産中国建国後、毛沢東は「公私共営」という社会主義改造政策の名の下に全ての非公営企業、全ての土地、無数の商人と企業主の財産を公有化した。多くの金持ちは迫害され死亡し、政治の動揺で中国経済は停滞。30年間も発展のチャンスを逃した。76年に毛沢東が死去すると文革は終わり、鄧小平が「改革開放」を始めた。


鄧小平とその後の共産党の指導者の戦術は、私有経済の発展だった。共産主義はなかったことにして、私営企業と外国人の投資を許可。11年末には非公営経済がGDPに占める割合が50%を超えた。その時の指導者は恐らく党組織を私営企業の中に広めるなど考えたこともなかっただろう。


しかし12年に習近平がトップの座に就くと、私営企業に対して「党建設が全てを覆う」規定を強制。14年までに、全国297万私営企業の半分で党組織が設立された。外資企業も例外ではない。


今年4月20日、習近平は広西省でこう強調した。「党は党を管理し、党建設はすべて覆う」。私有制消滅を自らの任務とする共産党が、自らの党組織を私営企業に100%浸透させる、という意味だ。


共産党の私有財産権に関する「悪行」の記録は、ずっと金持ちたちを恐れさせてきた。習近平の登場以降、報道と言論の自由が後退し、人権派弁護士は大量に抑圧された。ドルの国外流出を厳格制限する政策はすでに外国人による投資に影響し、今また私営企業での党組織づくりを強行する。


様々なきざしに、嗅覚の鋭敏な人は大きな災難の到来を予感している。自分の企業に「共産党印」を刻印される前に、すべてがもっとひどくなる前に、企業家たちは決断を始めている。


<「密告奨励法」で中国は暗黒時代に逆戻り>

2017/4/25


北京市は今月、スパイ取締りの手がかりとなる通報を奨励する新規定を交付。市民を相互監視させるやり方は、まるで共産主義下の旧ソ連や毛沢東時代の中国の再現だ

北京市当局は4月10日、「公民によるスパイ行為の手がかり通報奨励弁法」という新規定を交付した。新規定は市民が電話や投書、直接訪問するなどの方法で、スパイ取締部門の北京市国家安全局に手がかりを提供することを奨励。通報に対して最高で50万人民元(約800万円)の奨励金を支払い、通報者の個人情報と身の安全は守る、と定めている。


習近平が中国のトップに就任して以来、反政府的な主張をする人々への取り締まりはますます激しくなっているが、外国人の管理もどんどん厳しくなっている。布教活動やNGO、あるいは人権活動に関わる外国人がスパイの罪名で秘密裏に逮捕される事件はしょっちゅうだ。


現在、この新しいスパイ通報規定がとんでもない結果をもたらすのでは、との憂慮が高まっている。政府が言いがかりをつけ、さらに強い権力を使って反政府活動家や中国の諸問題に関心のある外国人を迫害する恐れがあるからだ。


中国で最も有名な民間の情報パトロール組織は「朝陽群衆」と呼ばれる。中国当局は地域の時間に余裕のある暇な人(特に老人)を動員。物質的な報酬を与えることで、彼らを民間パトロール隊として組織した。彼らは警察と協力して、朝陽区内のいかなる疑わしい行為も察知し、積極的に手がかりを提供する。


朝陽区は北京市内の6つ区の中で最も面積が大きく、北京商務中心区(CBD)があり、外国が大使館を設置し、三里屯など外国人も住む高級住宅街もある......と、「ネタ」には事欠かない。2013年、北京の警察当局がある社会的影響の大きい事件の発表の中で通報者を「朝陽群衆」と呼ぶと、この神秘的な「朝陽群衆」が徐々に注意を集めるようになった。


【参考記事】一般市民まで脅し合う、不信に満ちた中国の脅迫社会

ネットユーザーのネタになった「朝陽群衆」だが、彼らがこの組織を皮肉る、あるいはネガティブに捉えるのは、結局彼らが密告者だからだ。北京市公安局の公式微博(ウェイボー)アカウントは2015年から、意識的に「朝陽群衆」という言葉を使い始め、今年2月には「朝陽群衆」というアプリも登場。北京市公安局がネットユーザーにダウンロードして使うよう奨励している。スマホユーザーはこのアプリを使えば、いつでも警察に自分が見た疑わしい事件を報告できる。


社会のすべての構成員を動員して「悪人」を通報させ、「悪人」の運動を捕まえる......「朝陽群衆」アプリと今回の新しいスパイ通報規定の登場は、共産主義時代のソ連や東ドイツ、そして毛沢東時代の中国を連想させる。


政府が国民相互に密告し合うことを奨励し、国民が互いを恐れる雰囲気をつくり出し、社会全体の相互の信頼が失われる。これと同じ事態が、まさに今の中国で再び起きている。




 ■■■ 私が思うこと、聞いたこと、考えること ■■■



・(2021/1/13)

 緊急事態宣言に7府県が追加されると報道されています。今回のパンデミックにはWHOの対応が問題にされました。少数の有識者は国連の劣化問題にも言及しているそうです。「21世紀は人類が中国問題に直面する世紀となる」と指摘されています。当然ながら「人口大国だから、なんでもありという状況」といわれます。「諸刃の剣」の要素が大きすぎるそうです。

日本の海外援助も数十年のノウハウがあり、大胆に見直し、リストラすべきだといわれます。「内政の失敗は内閣を1つ倒せば済むが、外交の失敗は国を滅ぼす」といわれます。外交については、あまり好ましい話は聞こえてこないといわれます。肝心の外務省が劣化していると指摘されています。トランプ政権についても、共和党の議会の総意の政策であるといわれます。欧米のように様々な民族が複雑に入り組んで構成しているのではない島国では、対応に限界があるといわれます。しかしながら、島国のメリットも大きいといわれます。


・新型コロナウイルスの状況はワクチンも実用化されましたが、ネガティブな話が多いようです。ワクチンのほかに新薬の開発も期待したいものです。零細業者にどれだけのインパクトを与えているのか、私たち一般人は、予測できません。非常時には叡智を結集して「全員野球」でことに当たらなければならないようです。「新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い」そうです。ウイルスがより強力になれば、そのときの経済・社会への破壊が懸念されます。

国交回復時には「疫病大国の中国」を予見した者は誰もいなかったのでしょう。胡錦涛時代に政権幹部から、「中国は1割のヨーロッパと9割のアフリカだ」という話を聞いたことがあったが、まさに言い得て妙だったといわれます。周辺諸国の情報収集の質が問題にされると指摘されています。

 

ヤフーニュース(2021/1/11)KYODO によりますと、

国内の新型コロナ感染30万人超 約3週間で10万人急増

「国内の新型コロナウイルス感染者が13日、累計で30万人を超えた。昨年12月下旬に20万人を超えてから、わずか3週間あまりで10万人増加。年明け以降は大阪や愛知など首都圏以外でも感染者が急増しており、流行「第3波」の勢いに歯止めがかからない状況だ。

累計の死者数は今月9日に4千人を上回り、1日で70人を超える日が出るなど高い水準で推移する。重症者も連日のように最多を更新。東京で入院などの調整を必要とする人が6千人を超えるなど、医療提供体制の逼迫は深刻さを増している」と報道されています。


・著者(島田洋一氏)は、「新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう」、「国連と聞くと思考停止に陥る習性を改めないと、日本はどこまでもカモにされる。官僚任せでいる限り、拠出金の減額ないし停止を武器に改革を迫るような動きは出てこない。日米の違いは結局、政治家の意識の違いということになろう」、「途上国支援は、「援助貴族」と言われるWHOや国連開発計画(UNDP)のような肥大化した官僚組織を通すのではなく、実績あるNGOに直接資金供与する方がはるかに効率がよい」、「近年国際的に被害をもたらした感染症では、SARSと武漢肺炎が中国、MERSが中東を発生地とする。中国と中東は今後も要警戒地域だろう」、「外国の組織や個人は政府、民間を問わずすべてスパイ行為の対象となる。一方、中国の組織や個人は、政府、民間を問わず、すべて国家情報活動の先兵として動かなければならない」、「独裁的でますます軍国主義的となってきた中国への経済的依存を減らさないなら、将来弾丸やミサイルが飛んできても全くの自業自得だ」、「「ナチスには海軍力がなく、ソ連には経済力がなかった。中国はその両方を兼ね備えた文明史上最大の脅威だ」にもかかわらず、習近平の中国共産党は3年後に滅びる」と主張しています。


・アフターコロナ、ウィズコロナに知恵を絞る時世です。第2波、第3波においては、世界中で数字は拡大しています。さまざまな経済不安は、社会的にも杞憂に終わってもらいたいものです。「淘汰」がすすむともいわれます。「「最適者生存の法則」といわれるダーウィンの法則が機能する。『強い者』が生き残るのではなく『適応性のある者』が生き残る」といわれます。サバイバル戦略も稼働しているようです。ポジティブ思考でパンデミックを乗り切りたいものです。

2020/11/7の時点においてもアメリカ大統領の選挙は決着がついておらず、時間がかかるようです。パンデミックによって「大衆」は変化を求めていると指摘されています。

パンデミック・リスクもビジネスのリスクマネジメントで考慮されるべきだといわれます。「失われた20年」においても各経済主体は地道に努力をして、改善や改革を進めていたようです。

「私ははっきりと長期経済ブームの波は終わってはいない、コロナの後は再度上昇の波に戻ると主張したい」と著者(武者陵司 氏)は述べています

「コロナショックは中国と欧州の没落をもたらし、米国の圧勝で終わる!日本経済は明治維新以来、3度目の大チャンスとなった!」ということでコロナショックを著者は非常にポジティブに捉えているようです。

「災いを転じて福となす」ということが可能というのです。

「WSJコラムニスト、政治学者のウォルター・ラッセル・ミード氏は、21世紀は生物兵器の時代であり、それに備えなければならないと主張している」そうです。陰湿な「細菌兵器」、生物化学兵器は「貧者の核兵器」といわれています。米国のマクモニーグルの未来透視に「23世紀と24世紀における2度の大戦で人類の人口が6分の1に大激減する」というのがあります。そのときには、「生物化学兵器」が使用されると指摘されています。

「経済成長を決めるのは人口ではなく、国民1人当たりの生活水準であり、1人当たり生活水準は仕事の代替不能性によって決まると考えるべきなのだ」と著者は主張しています。

「これらの努力を積み重ねた結果、今の日本経済は世界で最も筋肉質な経済体質を持った国になったといっても過言ではない」ということで経済オリンピックには、勝者になれるというのです。

エコノミストの見解の書籍は「汗牛充棟」だといわれます。武者陵司氏は証券会社のアナリスト、ストラテジストでしたので、証券業界の視点からの経済、企業分析が分かるといわれます。 


・「そもそも中国の主要企業には、表の組織の他に、裏の組織、つまり共産党企業委員会があり、裏の委員会が経営の決定に深く関与、徹底した監督、監視、検閲を行っており、党との良好な関係なしにはビジネスは成り立たないのです」といわれます。

また「中国企業には特有の組織がある。「党委」と呼ばれる中国共産党委員会だ。組織率は国有企業の9割超、民営企業でも5割超に上る。党が政府さえも指導するお国柄では、党委が企業内の人事を含め、企業の意思決定を事実上左右する存在となっている」といわれます。日本の経営者には「共産党企業委員会」の実態は不透明のようです。中国進出のメリットもなくなりつつあるといわれます。金融市場、株式市場や中国元の為替がどのようになるのか注目されます。この本も類書と同じように「崩壊論」で、これでもかというようなネガティブな情報が満載のようです。


・産経ニュースインタ―ネット(2017/2/18)によると、「中国企業に広がる「共産党支配」 3200社へ明文化を要求」中国共産党が、上場企業を含む大企業約3200社で経営への介入を急速に強めている。上海のニュースサイト澎湃新聞が18日までに伝えたところによると、共産党は3178社に対し「党組織を社内に設置し、経営判断は組織の見解を優先する」との項目を、年内に株主総会などの手続きを経て定款(会社の規則)に盛り込むよう要求した。102社が採用済みという」と伝えられています。進出した日本企業も「共産党支配」に悩まされているといわれます。

共産党支配の強化が、極限にまですすみそうです。


・中国は共産党一党支配国家であり、憲法の上に共産党が位置していますので、市場経済の導入や、外資の導入で経済発展を図りましたが、うまくいかなくなると、手のひらを返したように、法律を盾に強権的になると指摘されています。トラブルに嫌気がさし、撤退しようとしても、なかなか撤退ができなくなるといわれます。日本企業に関するトラブルも増えていますが、日本人の常識では理解できないことも少なくないといわれます。共産党一党独裁という意味も、中国進出前には、日本企業もなかなか理解ができなかったようです。資本主義国の論理も簡単に一蹴されるそうです。中国の「異質さ」は、中国共産党の支配体制と表裏一体となっているといわれます。一般的には、島国の日本人は「外国人は分からない」といわれます。周辺諸国だから、分かりそうですが、互いに分からないそうです。国際結婚すると、なおさら分からなくなるそうです。しかしながら、中国人の「異質さ」は、直接交流しないと判らないそうです。『爆笑!エリート中国人』(小澤祐美、幻冬舎)という本がありますが、「日本人の非常識は中国人の常識」という逸話が多いようです。それが原因でトラブルが増えてくるそうです。中国人の思考法や行動は興味深いものです。隣国との交流は、特に中国のように戦後国交がなかった国とは、「異質さ」の程度は大きいといわれます。厳しいその歴史から培われた中国人の「異質さ」は、特異な印象を与えるといわれます。

後進国に進出すると経済が弱く、通貨も弱いので「儲ける」というよりも「援助になる」と指摘されています。経済学的には、中国が「中進国の罠」「中所得国の罠」を抜けるのは、難しいといわれます。

この本では、「もちろん、いつ中国経済がクラッシュするのかについては、何ともいえません。私の知り合いの中国専門家にいわせると、「習近平が2期目を終える2023年前後にかけて、不安定な状況になるのではないか」ということです」という結論のようです。共産党の統制経済がいつまで持つのでしょうか。統計数字も怪しくなっています。「貿易戦争」もアメリカの勝ちになるというチャイナ・ウオッチャーが多いようです。人口大国ですから進んだ面もあり、遅れた面もあり、中国人の「異質さ」を強烈に世界に印象づけて、なんとか進んでいくといわれます。

 「企業家が政治家と癒着するとろくなことがないのは、資本主義国も同じだが、中国では政治家のコネがないと成長できないのは周知の事実であり、中国の企業家は常に危険と隣り合わせているといっても過言ではないだろう」といわれます。強権的な腐敗摘発の過程で共産党による財産没収の資本家のリスクが常にあると指摘されています。


・中国の情報は、当然のことながら、現地の担当者がよく分かることでしょう。中国全体には、日本人の長期居住者は何人ぐらいいるのでしょうか。10万人は超えているようです。彼らが毎日、いろいろと体験をしていることでしょうか。私たち一般人は、外国についてはあまり、関心がありませんが、隣国の中国の情報が気になりだしたのは、中国とのトラブルが急増してきたからでしょうか。尖閣諸島の問題の頃から、急激に変化してきたようです。しかしながら、「中国はよく分からない」というのが、私たち一般人の感覚のようです。現地の駐在員も、広大な国と人口大国の中国を理解するのには難しいと語られています。

「もしも「自分の中国に対する理解が絶対正しい」と言い切れる人がいたら、希代のペテン師だとしか思えない」と著者は述べています。ましてや私たち一般人には、理解不能なことが多いようです。情報の時代ですから世界中のチャイナ・ウオッチャーには毎日、膨大な中国の内情が届くようです。「民主化」と言う言葉もタブーになっている感じです。


韓国についても膨大な書籍が出ていますが、このブログでは、ほとんど取り上げていません。内容が刺激的なものが多いといわれます。その国の大統領の末路も暗いものがほとんどだといわれます。私たち一般人には、限られた時間しかありませんから、世界中の情報を広く浅く知るしかないのかもしれません。中国経済のハードランディング論も「鬼城」などをあり、否定しようがありません。しかし、広大な地域であり、人口大国ですから、統計的に把握することは、難しいといわれます。

 不動産と言うのは金額が多額ですので、影響力は非常に大きいようです。日本も不動産のバブル崩壊で深刻な打撃を受けましたが、社会主義国の経済対策は、歴史的に、それぞれ独自なものがあるのでしょう。

中国では「上に政策あれば、下に対策あり」といわれていますので、庶民はしたたかに生きているそうです。「中国経済は心配ない『高富師(=長身でお金持ちのイケメン)』だ」ということなのでしょうか。「重大な規律違反」で解任された高級官僚も非常に多いといわれます。


・「元安」の問題にも強力な経済統制で乗り切ることでしょうか。「政策決定が不透明なだけでなく、政策が持続可能かどうか判断する材料も乏しい」と著者も述べています。重工業部門の過剰設備等の問題もあり「隠れ失業者」の問題も深刻だといわれます。いわゆる「中所得国のわな」にはまるリスクから抜け出すことは非常に困難のようです。中国政府が全国に1300万人いると推計する「無国籍者」の問題もようやく対策が打ち出されたようです。人口大国ですから、社会問題になる人数が非常に多くて、解決不能ともいわれます。制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」と指摘されています。一人っ子政策の歪み による3400万人の「男性余剰」の問題は、地政学リスクになっているといわれます。社会保障の問題も多くあると指摘されています。「人口爆発と食糧難への恐れから「国策」としてきた産児制限の軌道修正は遅きに失した」そうです。Ł字型の景気も構造改革がすすまず、「肝心の国有企業改革は見込み薄だ。一部を合併・再編し、大規模化するだけに終わるだろう」といわれます。

全体として、ネガティブな話が依然として多いと語られています

「ハードランディングのインパクトは日本のバブル崩壊の13倍」という説もありました。「中国の制裁を米国が決定」というニュースが流れていますが、今後さまざまなリスクが懸念されます


・amazonに「中国崩壊」と入れますと227件の書籍がわかります。最近では『国境ある経済の復活 世界貿易戦争で敗北する中国とドイツ』(2018/8/29)、『中国経済成長の罠』(2018/5/25)『中国経済崩壊のシナリオ』(2017/10/31)、とか『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』(2017/10/20)が出版されています。日本のバブル崩壊と同じで、すべてが「ゼロ」になるという意味ではないと語られています。「崩壊論」の功績と言えば、それまでの「バラ色の中国経済の未来論」について、警鐘を鳴らしたことだそうです。それ以降、ほとんどネガティブな論調になりだしたといわれます。日本の経済界にとっても「中国への進出」の難しさが、ほぼ企業担当者全員に認識されたと語られています。これからも「中国崩壊論」は出版されていくことでしょう。当然のことながら、私たち一般人は、中国社会の内情については、詳しくはありません。「中国崩壊論は10年以上前から続いているが、いまだにその兆しは見えない。いつがXデーなのか?」という質問も当然のことのようです。メディアには中国の躍進の番組がほとんどだといわれます。それに対しては「中国はすでに死んでいる」と指摘されています。農民や農民工のレベルから見ますと「持続不可能」の状態であると報道されています。


・アメリカの投資家の対応については、既に「中国経済のネガティブな未来」を見越して、あらゆるアクションがとられているといわれます。とくに金融機関の動きには注目が集まっています。欧米諸国の金融機関の対応は、厳しくなっていくと指摘されています。業績に直結しますので、経営者は真剣です。米国の情報組織のほうが、「経済スパイとしての能力が高い」と指摘されています。常に、政府の動きよりも、企業の動きが素早く、活発的なようです。ヨーロッパ諸国の中国に対する認識は、どうなのでしょうか。一般的には、中国への真剣な取り組みに変わっていくことでしょう。当然のことながら、中国共産党も、体制の維持のためにさまざまな政策を打ち出していくことでしょう。「上に政策あれば、下に対策あり」ということで中国の大衆も、さまざまな自衛策をとっていると語られています。中国は“人類の難題”となっていくそうです。強力な治安部隊があるといわれますが、国内の治安統制はどこまで可能となるのでしょうか。

 『「中国の時代」は終わった』(2014/5)という本は6年前の本ですが、内容が古いとは言えないといわれます。「ジョージソロスは「2年以内に中国は終わる」と予想した」、「クルーグマン(ノーベル経済学賞)は「中国の停滞は30年続くだろう」と予測する」、「ソロスの一番弟子だったジム・ロジャーズは「『中国の時代』が来るが、到来と同時に終わるかも知れない」と比喩した」というように世界の有識者も中国の未来を非常にネガティブに見ているようです。経済成長も長い停滞期に入っているようです。数年で終わる規模ではないといわれます。中国の統計数字そのものも信頼性が低いといわれます。


・トランプ大統領がアメリカ・ファーストを唱えて「内向きの政策」を強化するといわれました。同じように、中国も「チャイナ・ファースト」を唱えて、「内向きの政策」に専念せざるをえないようです。世界中の国々から非常にネガティブな印象を持たれているといわれます。とにかく、外交よりも内政を強化していかないと、あらゆる「矛盾」が化学工場の爆発のように暴発するといわれます。ここにきて栄養過多の中華料理も人気がなくなり「大気汚染のひどい中国に住みたい」という人はいなくなったといわれます。移民や不法移民の問題も深刻になっていると指摘されています。中国の漂流が続くと指摘されています。「制御不可能な国という中国固有の歴史的条件がある」といわれます。「15年と16年ともに経済成長率はマイナスではないだろうか」という経済学者の見解もありました。

 『エコノミスト2017年2/21号』が「2017中国ショック」という特集を組んでいます。これからも、「中国ショック」の特集を組む雑誌や本が増えることでしょうか。根本的な原因として、共産党官僚がノーメンクラーツ(赤い貴族)と化し都市部の民工、農村戸籍の人民などの「豊かさを制限する」と指摘されています。「上に政策あれば、下に対策あり」といわれますが、大衆の感覚では、もはや限界といわれます。

「来世はブタでも良いから中国人には生まれたくない」と回答する者もいるといわれます。

 「誰よりも中国を知る男」石平氏によると、「政府は全部党の出張機関みたいな有様です」ということだそうですが、軍と中国共産党の支配統治体制による、市場経済化、開放経済も矛盾が極大化しているといわれます。


・『岡目八目』といいますが、ここにきて中国が中国を見る姿と世界各国が中国を見る姿が大きく違ってきているのが分かるといわれます。私たち一般人には、各国の通貨政策のことはわかりませんが、通貨変動の予測は難しいといわれます。中国元安が続くと指摘されています。どこまで中国政府の強権的な経済統制ができるかが問題となってきています。

 資本主義化した中国に対して、共産主義の原理主義者や人民解放軍の聖戦派などが複雑に入り混じり権力闘争を演じ、格差の拡大、暴動などで混沌な社会情勢となり、「不満をすり替えるには、台湾を攻める」というような社会混乱状態の懸念を中国は、歴史的に繰り返していると語られています。

 石平氏は、『私たちは中国が世界で一番幸せな国だと思っていた』『トランプVS.中国は歴史の必然である』、『バブル崩壊で死ぬか、インフレで死ぬかー不動産国家・中国の行方』、『中国の経済専門家たちが語るほんとうに危ない!中国経済』等156件の本を出版しています。が、「ドバイより1000倍も危険な中国不動産バブル」でしたので、当然、世界中の多くのチャイナ・ウオッチャーが懸念していると語られています。この中国情勢で世界の株式市場はどのような影響を受けるのでしょうか。チャイナ・リスクの大きさをビジネス界や政界は、痛切に認識し始めましたが、ここにきて欧米の対応が注目されるといわれました。


・インターネット情報によると「米紙フォーブス中国語版は(2014年)4月14日、物件価格の値下げが止まらない杭州市を取り上げ、『中国不動産市場の崩壊が始まった』と題した記事を掲載した。米不動産サービス会社大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、2013年末の杭州市高級オフィスビルの入居率は30%に留まっている。しかし、それよりも問題が深刻なのは同市の住宅市場だと同誌は指摘する。買い手が付かない新築物件が急増する中、不動産開発業者は相次ぎ値下げ競争に走り、杭州では30%の値引きが常態化している」とのこと。シャドーバンキングの問題や不動産バブルの崩壊は、報道しないメディアが稀なほど、世界中のメディアの誰の眼にも明らかになりつつあるようです。「群盲像を評す」といいますが、旧態依然の政治経済システムが13億人の膨大な人口の国を蝕み続けているようです。

 中国に関して珍しくポジティブな本を出している、ある評論家によれば「私は、中国にいる日本人駐在員のためにポジティブに書いている」といっていましたが、中国経済を牽引する要素がなくなりつつあります。肝心の不動産投資が回らなくなってきているようです。


・インターネット情報によりますと「アメリカ司法省は、中国人民解放軍の将校5人がアメリカを代表する企業のコンピュータに違法に侵入して情報を盗み取ったとして、5人を産業スパイなどの罪で起訴しました。起訴されたのは上海に拠点を置く中国人民解放軍の61398部隊に所属する5人の将校である」とのこと。以前から「サイバーウォーでは、すでに米中戦争が始まっている」といわれていたそうです。「中国を敵と認識する」米国議会の議員が増えていると語られています。「中国国籍を捨てた中国人しか信用ができない」という中国の特殊性が米国人の有識者にも理解され始めたそうです。今後ともサイバー犯罪も世界中で激増しそうですので、警戒・対策が必要といわれます。トランプ大統領の中国政策が懸念されています。また、世界中の若者の失業は深刻ですが、テロや犯罪や不法移民の激増、大麻や汚職や売春の蔓延といった社会問題が、並行して大きくなると語られています。「人口大国だから、なんでもありという状況」といわれます。




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・ブログ名称:UFOアガルタのシャンバラ

日本は津波による大きな被害をうけるだろう

・第2のブログ名称:UFOパラレル・ワールド

「神の国か?」「人類の原郷か?」 「天上のエルサレムか?」・・・・・・・・・

「パラレル・ワールドに住む宇宙人、天国に出入りし転生と憑依を自由に操るシリウス星人の殖民星が、地球か?」、「ネガティブのシリウス星人の地球支配があまりにも巧妙なので、しょっちゅう戦争が起こるのだろうか?」

「金髪碧眼のノルディックが住んでいたアガルタのシャンバラ情報の集大成を目指す・・・・・・・・・・」「金星蛇人と火星霊人の戦争はその後どのように展開したのだろうか」
「日本民族の神話の原郷『高天原(たかまがはら)』は、『都市型の超巨大宇宙船』なのか!?」「平家がプレアデス星人の末裔で、源氏がオリオン星人の末裔なのか」
「小人族のグレイの母船に同乗する金髪碧眼のノルディックは、”悪魔の王””ルシファー”なのか?!」

「円盤は神人や異人、悪魔の乗り物なのか!?」「天使は神の秘密諜報員なのか」「神は最初のフリーメーソンなのか」

「UFOは、人類の歴史が始まって以来、最も重要な現象なのか。UFO問題とは、人間にとっての死の問題を解くことなのだろうか。UFOはフリーメーソンの創作なのか」

「全宇宙を創ったという“虹の神々”も地球に来ているのだろうか」

「イルミナティなどのフリーメーソン組織に入ると神に会えるのだろうか」「金星の神々は地球に到着するやいなや、イニシエーションのためのフリーメーソン本部を設けたのだろうか」「フリーメーソン結社はこの大地が創出されるよりずっと前から、さまざまな太陽系をめぐって、存在していたのだろうか」

「国際連合の設立に動いたキリストの星、アプ星人とは」

「人は皆、記憶喪失の異星人だろうか」

「はるかに進化した天使のような宇宙人は、人間の守護霊や背後霊なのだろうか」「セドナ上空に見えないエーテルのシティが滞空するのだろうか」


グーグルのブロガーにも書いています→UFOパラレル・ワールド






新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(5)


『中国バブル崩壊の全内幕』

2017年、習近平は失脚する

宮崎正弘 石平 福島香織  宝島社   2016/7/1




<予想を超える規模>

・中国の経済崩壊は誰の目にも明らかになっている。しかし、その崩壊ぶりは大方の予想を超える規模になりつつある。


<逃げ遅れた日本企業を待ち受ける地獄>


中国経済を見限った『FT(フィナンシャル・タイムズ)』

・「貸付のペースは経済成長の4倍、債務の転がしが2017年党大会まで続くかもしれないが、すでに大量の失業、暴動の頻発によって習近平政権の権力基盤が崩れ始めている。このうえ経済の不安定化が続けば政権はますます不安定となるから、大量失業、業界再編の大ナタばかりか、銀行、大企業の倒産を認めるという路線へのシフトが早晩起こるであろう」

 今さら言うまでもないが、中国経済に見切りをつける動きは今年、ゴールドマンサックスが先駆けとなり、以後は世界的規模で拡がっている。


<日本の直接被害は23兆円>

・出遅れたのはむしろ日本ではないだろうか。中国経済の大失速によって、日本はどれほどの被害を受けることになるだろうか。

 日本企業が逃げ遅れた事由は指摘するまでもないが、これまでに直接投資としてトヨタ、日産をはじめ、およそ2万社近くが工場建設などに投じたカネは少なくとも1000億ドル(11兆円)である。円借款は3兆円強。日本政府がつきあいで保有する中国国債は6800億円。そして邦銀が中国企業(日本企業も含む)に貸し付けている残高が8兆4000億円。これだけの合計でも、2016年5月現在、23兆円強になる。


・加えて日本人投資家の中国株保有という潜在的リスクも勘定に入れなければならない。これらは主に香港経由で、香港に上場されている「レッドチップ」(中国本土企業の株式)、そして日本の証券会社が組み立てて販売しているチャイナ関連の、無数の「投資信託」があり、投資額は数兆円に達している。なかには投資活動を中断した投資信託、解散した金融商品などがあり、個人投資家の損失も相当な巨額になるはずである。


・さらに問題は中国国内で営業、販売をしている日本企業が売掛金の回収不能に陥り、倒産するところが目立ってきた。つきあいで社債を買わされたところも2015年来、社債のデフォルトが続いているため先行きは真っ暗である。

 あまつさえ中国政府はご都合主義だから、国内の不満をすり替えるため、政治的タイミングを見計らって、またも「反日運動」を組織化する可能性は否定できない。


 人為的暴動などによる日本企業の焼き討ちなど凶暴なシナリオも考慮に入れておく必要がある。十数年来、懸念されてきたチャイナリスクがいよいよ本格化する。


ジョージ・ソロスの警告

・世界一の投機家、ジョージ・ソロスは「中国は深刻な状態にあり、いずれ破局を迎える」と改めて警告した。ソロスは1月のダボス会議で「中国のハードランディングは不可避的である」と発言したばかりである。

 2016年4月22日、ニューヨークで開催されたアジアソサイアティで記念講演に立ったソロスは、「銀行預金より貸し出しが多い」という初歩的な疑問から「中国が銀行間の貸し出しをしなければならない現状は『不安定』と『不確実』な状況をさらに悪化させる」とした。すでに第1四半期だけでも4兆6100億元(78兆円強)を市場にぶち込んだが、裏付けとなる国債を出したわけでもなければ短期政府証券を発行しているわけでもない。そもそも外為の相対取引はなかった(というより、外貨準備は同時期に大幅に減ったのだから、ドルと人民元の相対取引で国内に人民元を供給することはできない)。つまり「裏付けのない貨幣をばらまいた」ことになる。

 2016年3月だけでも中国の新規貸し出しは2兆3400億元(邦貨換算=42兆円強)。主目的は不動産バブルを今一度煽るためであった。だから大都市の不動産価格が不思議なことに上昇したのだ。

 国有銀行の抱える不良債権を表面化させない目的と倒産寸前の「ゾンビ企業」(死んでいるのに死んでいないふりをする会社)にカンフル注射を打ったわけだ。つまり、経済原理的な法則に立てば、人民元は大下落を免れないことになる。


・第一の問題は中央政府、地方政府ならびに国有企業の債務である。2008年のリーマン・ショックを言い当てたジョン・タルボットは、「中国の債務は30兆ドル(3300兆円)だ」と指摘している。このうち企業債務はGDPの160%(1700兆円)。地方政府の債務は中国財務部の桜継偉財政相が公式に認めた額だけでも邦貨290兆円にのぼる(欧米のエコノミストは、360兆円と推測している)。


 中国企業の債務に関連する日本企業はこれを危険信号と受け止めるべきではないのか。中国経済の今後の最大の問題は、債務をいかに解決するかにかかっている。というより解決不能、中国は次の「失われた20年」という氷河期に入るというわけだ。


<FRBに助け船を求めていた>

・情報の透明性が中国には決定的に欠けている。したがって2016年前半期は小康状態だろうが、以後、ふたたび大暴落がやってくるだろう。


ハードランディングのインパクトは日本のバブル崩壊の13倍

・中国経営報によると、5大銀行の不良債権率が急上昇しており、なかでも経営危機に近いのが中国農業銀行だという。不良債権は2129億元(3兆8000億円)にものぼる。上図に示した数字はいずれも公式発表である。実際はこの10倍と考えていたほうが理にかなっているが、今はそのことは問わない。

 これら中国発表の数字は、西側専門筋の推測統計とは天と地ほどの差異がある。中国の発表はあまりに数字が少ないのだ。

 もし中国経済が「ハードランディング」した場合、最悪でこれら債務残高のうち4割が不良債権化すると見られるから、邦貨換算で1320兆円もの不良債権が生じる。日本のバブル破綻の比ではない。日本のバブル崩壊による不良債権は100兆円だった。すなわち日本のバブル破綻の10倍以上の破壊力をともなう、史上空前のバブル経済大崩壊となるのである。


生産コストを無視し、半値でも売る状況に

・鉄鋼は生産能力が9億トン、2015年だけでも余剰在庫をダンピング輸出している。国際的には平均で1トンの生産コストが50ドルなのに対して中国は90ドル、それを半値で売る。1億トンは無理矢理売りさばくことができたが、その煽りでインドのタタが経営不振、韓国ポスコは倒産寸前、ベトナムの製鉄会社は倒産したほどに悪影響は計り知れない。石炭労働者の給料遅配は常識となり、炭鉱夫の数十万人がすでに解雇され、千数百の鉱山は閉山された。各地で激しい労働争議が起きている。


中国が風邪をひいたら、周辺国は肺炎になった!

・2016年になって、新しい不動産開発の件数は前年比で90%の落ち込みとなっている。したがって余剰建材、セメント、鉄鋼はダンピング輸出だが、余剰人員はどうするのか。それがかのAIIB、BRICs銀行(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)と中央アジアから中東を巻き込む陸と海のシルクロード構想である。露骨に言えば、海外へプロジェクトを輸出し、この余剰在庫を処分し、余剰労働者を派遣するという目論見、これでモノとヒトの在庫を処理してしまうという腹づもりだったのである。すでに悪影響は中国依存の高いアジア諸国に表れ、中国がこじらせた悪性の風邪で周辺諸国は肺炎になった。


・今や、中国企業ですら、人民元安がくることを見越して外貨建て社債の前倒し返済にあてる企業が続出している。宝山製鉄はドル建ての短期債権38億ドルをそそくさと返済した。「人民元が強いうちに、そしてドルと交換ができるうちに!」という考え方からだろう。

 中国政府は「人民元はこれ以上、下がらない。外貨両替を焦る必要はない」とプロパガンダに懸命だが、誰も政府の言うことを信用しない。


<膨大な公共債のツケ>

・さて問題は、この公共投資のツケである。たとえば新幹線は国家予算だけではなく、「鉄道債」でまかなわれた。当然だが、すでに鉄道債の償還時期を迎えている。地方都市の地下鉄は地方政府債券などでまかなわれたが、借金の返済が始まる。返すのは運賃収入である。それを当て込んでの予算措置が当然行われてしかるべきだが、その形跡はない。


「一人っ子政策」をやめることになった

・ここに人口動態の激変が次の経済予測を占う際に重要なデータとなる。人口ボーナス時期を越えた中国は日本より急激な老齢化、つまり人口減少時代を迎える。

 このことに気がついた中国共産党は突如、一人っ子政策を緩和し、2014年から2人目の子供を生むことを奨励し始めた。


・他方、労働人口においては、急速な少子高齢化により、「世界の工場」は今後成立しにくい近未来が見える。そのうえ矛盾するかのように大学生が年間700万人を超え、あまつさえ新卒学生にまともな就労先がない。


今頃になって出生率向上を目指すというのだから、その政策は根本的にデタラメである

・中国の戸籍なき子供は少なくとも1300万人と見積もられている。これらを「黒戸(黒孩子)」というが、統計学的に存在しない幽霊人間を指す。「存在しない」のだから、法律上いかなる権利も受けられない。学校へ行けないばかりか、汽車にも飛行機にも乗れない。中国では航空券ばかりか、鉄道のキップを買う時にもIDカードが必要だからである。


・農村ではとくに女性の黒戸が多い。というのも、労働をさせるには男子が望まれ、男子が生まれるまでの赤ちゃんは戸籍の申請を役所にしなかったからだ。もちろん、学校へ行けないから文字も書けない。役人がやってきて「その子は存在しないのだから存在を消せ」と、無理矢理殺害を命じるという信じられないケースもあったという。小中学校は義務教育であるが、中国では教育は無償ではないので、教科書も買えない貧困家庭も激増した。


・したがって2人目の子供を申請した夫婦は法律改正後、半年でわずか175万組、許可になったのはそのうちの145万組という信じられない数字が報告されたのである。

 社会問題から見ても、中国の躍進ぶりが終焉したことがわかる。


アメリカが中国に憤激する最大の理由は「ハッカー」

・中国の情報戦は、「革命輸出型」から「経済情報獲得型」へ戦略シフトが起きている。これは、経済発展の後ろ盾となる科学技術や経済情報の価値の上昇も大きな原因である。

 敵のコンピュータ・ネットワークに悪性のウィルスを送り込む。HPを改竄する。偽情報を流す。陽動作戦で敵のシステムをズタズタに寸断する。ハイテク技術を盗み出す。ありとあらゆる悪辣な手段を実行し、軍事的ハッカー戦争では優位に立った中国!

 彼らが仕掛けている情報戦争の実態を知らないことは危険である。


<アメリカ国内で影響力を失った中国尊重派>

・ゴールドマン・サックス、JPモルガンを筆頭に、アメリカの主要金融機関はことごとく中国の金融機関への出資を引き上げている。香港大財閥の李嘉誠は、その先を読んで中国どころか香港も危うくなるとして、不動産、資源投資を欧米にシフトさせ、もはや中国の未来は絶望的だ。HSBC(香港上海銀行)も香港に戻るのをやめた。


孤立化の道を突き進む中国

・習近平によって、中国が経済的にも政治的にも壊れていくことは明白です。しかし、そこで問題なのは、壊れていった先に何が待ち受けているかがわからないということです。


・ただ、率直に言って日本は軍事力もなければ情報もない。外交というのは軍事力と情報がなければできないんですよ。ですから、アメリカの動きを見ながら、非常に効率よく立ち回るしかないでしょうね。


・こうして中国の経済成長モデルは、もう完全に行き詰っている。だから、0%成長、あるいはマイナス成長に陥るのはむしろ当然のことであろう。そして今後、0%成長かマイナス成長が続くなかで、失業の拡大による内需の更なる低減と景気のよりいっそうの悪化は必至だ。同時に、今の中国経済は、「不動産バブル崩壊」と「シャドーバンキングの破綻」、そして「地方財政の破綻」など、いくつかの「時限爆弾」を抱えているが、0%成長かマイナス成長の状況下で、それらの「爆弾」が1つでも、あるいは同時に爆発したら、中国経済は確実に即死するのだ。


天国から地獄。すさまじいゴーストタウンの現状

・地方政府は不動産バブルが吹き込んで歳入が激減、最悪といわれる遼寧省では3分の1まで落ち込んだ。概して市町村レベルの歳入は半減、まさに天国から地獄というわけだ、このような状況下では「銀行の貸付が不良債権化する」という恐怖が現実味を帯びてくる。




『「中国の時代」は終わった』

宮崎正弘  海竜社     2014/5


  


<世界を驚かせた中国の高度経済成長は“呼吸困難”に陥った!>

◎ジョージソロスは「2年以内に中国は終わる」と予想した。


◎クルーグマン(ノーベル経済学賞)は「中国の停滞は30年続くだろう」と予測する。


◎ソロスの一番弟子だったジム・ロジャーズは「『中国の時代』が来るが、到来と同時に終わるかも知れない」と比喩した。


・真実はすでに知られているように南京市民は日本軍の入城を歓迎した。虐殺どころか、侵略行為は何もなかった。国共内戦、反右派闘争、文革で自国民を8000万人も殺した共産党にとって、30万人だろうが、40万人だろうが、それは小さな数字でしかなく、客観的事実はどうでもいい。そもそも南京大虐殺がなかったことはすでに120%証明されているが、中国では一切報じられていない。


・とはいうもののこれらの行為は日本をしてさらに反中国感情を滾らせるマイナス効果となり、日本企業が撤退すれば、中国経済は破綻の危機を迎えるだろう。自滅行為、いやこれぞ、中国が自らに課した「自爆テロ」となる可能性が高いのかもしれない。


頓珍漢な発言を繰り返す中国軍人たち

・さて羅援はニュースサイト「吉和網」で、「中国と日本が開戦すれば、中国のミサイルで日本は火の海になる」と主張した。


<中国の横暴にアメリカも怒りを露わにしている>

・2013年には米中艦隊が衝突寸前になった。

「過去20年にわたって米国は中国と航海のルールを取り決めようと話し合ってきた。まったく無駄に時間をつぶし、最近は南シナ海でミサイル駆逐艦と中国軍艦が一触即発の危機的なハプニングに遭遇した」


何を思ったか。効率的な改・編成を急ぐ人民解放軍

・だが、このような改革案は中国軍人の体質を考えるとまさに「夢」である。団体行動ができない中国人。後ろから督戦部隊が前線の兵士に鉄砲を撃つので後退ができない軍隊。統幕議長が不在、いやそもそも統幕本部の存在しない軍隊が近代国家の軍隊として同じく機能すると考えると事態を誤認しやすいのではないか。


<インド洋からアラビア海を狙う中国海軍>

<大軍拡の裏で軍の腐敗は広がり続ける>

・中国人民解放軍の車両は白いプレート。これさえあれば高速道路無料、検閲所はフリーパスである。スピード違反や車線変更、信号無視など交通違反を犯しても軍が優先する中国では犯罪にならない。違反取り締まりの対象外だ。


・軍幹部が「愛国」と口にしながらベンツを乗り回し、「節約」と口にしながらフカヒレ、アワビ、燕の巣を食し、白いプレートの車(自家用車)には愛人を乗せ、「会議」と称して高級ホテルのスイートルームに陣取る。軍経営のホテルは売春婦がうようよしているが、これも警察の捜査対象外。

習近平はこの軍の腐敗にもメスを入れた。


<中国の時代の終わりの始まり>

中国は人間の住めるところではなくなりつつあるのだ!

<すでに富裕層は海外逃亡している>

・世界保健機構(WHO)の調査によれば、世界のガン発症率は、中国がワースト1位だったことがわかった。あの大気汚染、水質汚濁で肺ガンばかりか肝臓ガン、食道ガンの発生が中国で際立ち、2012年の新規患者のうち死亡した人の、じつに36%が中国人。肝臓と食道ガンの死亡率は50%(世界人口に占める中国人は19%)。だから中国人にアンケートをとっても「来世は中国人に生まれたくない」と答える人のほうが多いことになる。


・報告によれば中国の土地全体の16.1%が汚染され、農地では全体の19.4%が汚染されている。


・主な原因とは農薬、汚染水、殺虫剤の大量使用などが挙げられたが、特に汚染された農地のうち82.8%で毒性の強いカドニウム、ニッケル、砒素が観測され、その総面積は米国のメリーランド州全体に匹敵するという。こうなると中国産の食品は危なくて食べられない。


<中国軍は「戦争準備」ではなく「逃亡準備」完了?>

・亡命者の告発本が日本でも出た。陳破空、『赤い中国消滅~張子の虎の内幕』(扶桑社新書)である。

 中国の内側で実際に起きている腐敗、行政の機能不全ぶりの醜態を暴き、動かない、というより動けない人民解放軍の実態、汚職の巣となってしまい、「中国のすべてのシステムがいずれ大音たてて崩壊するであろう。四川省地震のように」と大胆に予言する書である。

 しかし崩壊後に中国を襲うのは民主化ではなく軍のクーデターの可能性が一番高いだろうとも示唆する。


・つい先頃まで「中国は尖閣諸島を日本領であるとハッキリ認めていた。だが、いまになって尖閣諸島は中国のものだと主張し、軍艦と戦闘機を尖閣諸島周辺海域に繰り返し進入させ、日本を挑発している。中国の野心の大きさ、強硬な態度は世界を驚かせている。『日本の経済支援なくして中国の現代化はあり得なかった』ことは、かつて中国共産党の指導者自身も認めていた事実である。それがいま、中国共産党は日本を敵となし、恩を仇で返している」と正論を主張するのである。


・軍の腐敗ぶりも凄まじいことになっており、息子や娘を軍に就職させるために親が軍幹部に贈る賄賂の相場は2万元から5万元に跳ね上がり、軍は売春宿、武器密輸、武器転売などのサイドビジネスが盛ん。挙げ句に海軍の軍艦が密輸をやっていると驚くばかり。この軍隊が戦争をやってどうなるか。


<不動産価格は68%下落する>

・さて、中国の不動産価格はどこまで崩落するだろうか?

 昔から北浜や兜町の相場師が口癖にした下落の原則は「半値・8掛け・2割引」である。つまり68%下落する。日本のバブル崩壊後の株価はまさにそうなったが、中国の不動産価格も同じリスクに直面していると見て間違いない。


・不動産バブルが崩落し始めたが、まだまだ序の口。「半値・8掛け・2割引」となれば100が32に化ける。極端な話、中国の不動産価格は過去10年で10倍になったから10分の1に戻っても不思議ではない。


日本はこんなときロシアを政治利用すべきではないか

・とはいうもののシベリアへ滑り込む中国の不法移民にロシアは業を煮やしており、ハバロフスク地方では2012年の1年間だけで「ロシア連邦保安局」は1000人以上の中国人不法移民を国境で阻止し追い返した。ナホトカのチャイナタウンはほとんどががらんどうである。

 同年秋、ロシアはモスクワで非合法の屋台を一斉に手入れし、数百の中国人行商人を追放した。報道されていないが、不法移民の中にはおびただしい数の中国人女性の売春婦が混じっていた。韓国の売春婦の輸出は世界中で有名だが、中国の売春婦たるやダンピング輸出、たとえばニュージーランドなど相場を崩すので既存の業界から総スカンという有様である。


<中国最大の売春都市・東莞(とうかん)>

・ともかく中国において「負け組」となった女性は人類最古のビジネスに狂奔するしか生き延びる道がない。中国の至るところに売春街区があるが、最大規模の不夜城が広東省東莞市だった。


・比例して「黄風暴」(風俗・売春)のメッカとして東莞が注目されたのも、工業化に遅れた分をほかの「サービス産業」で一気に挽回しようとしたからだ。なにしろ昼間から怪しげなネオン、いかがわしいサウナ、マッサージ、カラオケ、卑猥な看板の床屋が林立している。「小休憩」はラブホ。一流ホテルにもデリヘルがいる。

 ここへ不況が襲った。

 部品メーカーの倒産、給料不払いなどで生活ができなくなり、売春窟で稼がざるを得ない地方出身の女性がおびただしく、東莞、厚街、虎口一帯で風俗産業に従事するのは30万人と言われた。


・「黄風暴」(風俗・売春)ばかりか、その隠された狙いが博打、麻薬の取り締まりにもあるということは全土に猖獗するマフィアと政権の対立構造に事態が急速に変質していることを物語る。

 果たして宿痾のごときマフィアと習政権は対決できるだろうか?

 従来、地元権力と党、公安はぐるになって業者から賄賂を受け取り、取り締まりはじつにいい加減だった。地元公安の腐敗の温床、最大の利権であった。


<売春婦追放キャンペーンの結果どうなった?>

こうした東莞のような「セックス・シティ」は浙江省杭州、甘粛省蘭州、山東省済南、江西省柳川、黒竜江省ハルビン、四川省成都などが挙げられるが、かつて四川省でもマフィアへの手入れは武装警官を投入し、やくざと乱闘、銃撃戦に発展したことがある。

 折から日本でも「王将」の社長が射殺される事件が起きたが、ヒットマンは中国大連のヤクザが派遣したプロ、しかも女性で、その日の内に中国へ出国したという(『新潮45』14年3月号 高山文彦ルポ)。


「イナゴの大群」中国移民を阻止する世界的な潮流

・中国から海外へ移住した数は、公式に934万3000人(2013年国連『世界移民報告』)。まるでイナゴの大群、これは世界史始まって以来のことではないのか。


・米国の統計では2011年までの中国からの移民は223万1000名となった(実態はこの3倍に近い)。豪への中国人移民も100万人を超えた。


<カナダは移民制限を始めた>

永住権をめぐって利権ビジネスが誕生

自衛隊はアメリカ軍の下部組織にいつまで甘んじているのか

・世に「アメリカ派」が多いが、田母神元空爆長は「日本派」である。日本にはおびただしい数の「中国派」がいる。尖閣を「友愛の海」にしようという宇宙人首相もいたが「中国の属国になればそれはそれで日本は中華世界で生きていける」という媚中派の商人もいる。腰を抜かすことに、その商人が駐北京大使となって、途端に日中関係が悪化したが何もできずにすごすごと帰ってきた。


・田母神前掲書は続けてこういう。「現在の自衛隊は、アメリカ軍の下部組織の一つのようなもので、国としてもアメリカに守ってもらっているという実態があります。ですが、この先、未来永劫アメリカという国が圧倒的に強い存在で有り続ける保証はないのです。(中略)今の状態がずっと続くという前提で物を考えるのは、危機意識がなさすぎます。日本が自立するいい機会だと思います。中国が尖閣諸島、そして沖縄に迫っているわけですから、我が国はアメリカに対し、自衛隊を増強すると言えばいい。アメリカも現在の状況では反対できない」。


<「日本派の政治家よ、識者よ、出でよ!」>

・また情報戦争に関しては(1)相手国の情報を収集する能力。(2)こちらの情報を取られないための防諜の能力。(3)我が国に有利な情報を発信、宣伝する能力。(4)相手国を騙す積極工作と謀略の能力。これら4つの能力を強化させて、情報戦争に勝つという体制作りが急がれるとする。


<日本の進むべき道>

・「原爆を落とされた国が、いつまでも原爆を落とした国に安全保障を依拠しているのか」という猛省がなされねばいけないのである。


<異様な動きを始めた人民元>

・異常事態は仮想空間で取引されるビットコインと金(ゴールド)投機である。全世界の3分の1のビットコインは中国での取引なのである。庶民が最終的に人民元を信用していない証拠ではないか。

 金そのものに逃げるカネも異常な膨張ぶりである。


<公害対策は後手後手。中国はもはや人の住める場所ではない>

・大気汚染は肺ガンを引き起こすとされ、中国の肺ガン死亡率は世界一となった。原因は殺虫剤を混ぜたガソリンがまかり通り、石炭火力発電がいまも全発電の72%を占め、その石炭にはウランが混入しており、河川の汚濁による生態系の激変(工場が毒性の強い原材料を垂れ流すので地下水が汚染され、農作物ばかりか魚介類にも甚大な被害)だ。そのうえ、レアメタル精錬でも毒性の強い化学剤をそのまま使うので、地盤の地下水に染み込み、川下の住民までが井戸水を飲めなくなった。

 植林事業が円滑に進んでいないため山々に保水力がなく、治水は後手後手。これからも河川の氾濫が続けばそのまま汚染水が流れる。しかも各地に奇病が流行し、新型の鳥インフルエンザが猛威を振るう。


<中国全土で過熱する公害反対デモ>

・農地を失った農民が5000万人もいて、不満はくすぶり続け、農民一揆に似た暴動が各地で頻発する。しかし土地を勝手に農民から没収し、転売するのは地方政府の特権で中央政府の管轄するところではない。


<「中国の時代」は明らかに終わった>

・文明史的に見ると創意工夫、イノベーションが欠落した工業国家が興隆を維持できないのは火を見るよりも明らかである。

 米国の衰退はじわり進むだろうが、ITや次世代技術に突出しているから急激な没落も考えにくい。しかし、中国の減退速度はもっと速く、一部の経済学者やエコノミストが予測した「2050年の米中逆転」はあり得ない。中国にはモノマネ技術はあっても、独創的技術が少なく、次代の文明を先取りする工業生産は皆無に等しい。


中国の時代の終わりを前にして、日本はどうするのか

<「アジアは一つ」ではない>

米国アジアシフトの先を走れ

・いずれ中国では不動産バブルがはじけ、不良債権の爆発が起こる。シャドーバンキングの貸出残高が326兆円、地方政府の債務は311兆円。中国の負債総額はGDPの215%!もはや手品を使ってもこの債務問題の解決は難しい。

 こう見てくると、今後も連続する不測事態の始まりでしかなく、経済成長が低下して失業がますます増大して不良債権問題が露呈したら、中国は矛盾のすりかえのためにまたも過激な反日的行動を続けざるを得ないだろう。同時にそのことによって日本企業ばかりか欧米の主要企業も中国を見限るようになり、中国経済の衰退は加速化され、「中国の時代」はまぎれもなく終焉を迎えるだろう。




『絶望の大国、中国の真実』

日本人は中国人のことを何も分かっていない!

宮崎正弘  +  石平   ワック   2009年5月8日




汚職専門集団化した共産党の細胞

<軍の暴走という悪夢>

宮崎;結局、中国の政治と言うのは党の細胞があるだけであって、行政がないからなんです。あるのは党と軍なんです。


石;みんな中国政府、中国政府という。あれがほんとに政府であるとは思えない。政府は全部党の出張機関みたいな有様です。


宮崎;このように行政っていうのは飾りなんですね。国務院っていうのは、中国における政府で、国務院総理というのは日本でいう総理大臣ですが、温家宝よりも偉い人が山盛りいて、じゃあ、温家宝は中央の権力の中でいったい何番目なんだと、こういうことですよね。行政より党細胞が優先するという話です。


石;大学でもそうです。大学でいちばん偉いのは学長先生ですが、いちばん偉いのは共産党の細胞。


石;要するに党がすべての利権を手にいれている。すべて利権を手に入れてみんないっせいに汚職する。しかも党の幹部自体も汚職で生まれたポストですから。完全にすべての利権を掌握してすべての利権でカネを手に入れて、それを自分たちのフトコロに入れる。もう汚職専門集団そのものですよ。


ビル・ゲイツが中国人にとってのヒーロー

<ネットは革命前夜の雰囲気>

石;さっき、大学生の就職難の話が出ましたけれど、北京の公共浴場、つまりお風呂屋さんが三助を募集したんです。そしたらなんと五千人の大学生が応募してきた。こうした事態にまで発展してきたらそれこそほんとに暴動が起こってきます。もう絶体絶命の状況です。


石;そのために唯一の道はみんな公務員を目指す。公務員試験は今年でいうと百万人の卒業生が受ける。競争率は73倍。女の子は大学卒業前に結婚しちゃう。


宮崎;日本人が誤解していた中国という国家像が、じつは実体は党細胞が中心で行政っていうのは飾りにすぎなかったということなんですが、国はいまだに共産主義を謳っている。実体を動かしている共産党は、共産主義をもはやまったく信じていなくて資本主義のカタマリでしょ。人民はどうかといったら、人民は自己中心主義で、もうカネ以外にあんまり興味がない。教養主義もすたれた。




『増長し、無限に乱れる『欲望大国』中国のいま』

宮崎正弘・石平   ワック   2010年1月15日




人民元は大暴落する

宮崎;ロシアは2008年まですごい成長だったでしょ。ところが2009年、GDPがなんと40%も落ち込んだんです。


・なんで、こんなに落ち込んだかといったら、石油の値段が下がったからなんです。そうすると、実入りがないけれども自転車操業でやってきたロシアの銀行が、みんな金欠状態になって、それで西側からドルとかユーロを借りているわけなんです。でなければ、どんどん企業は潰れているわけですよ。


・中国は西側からまだカネは借りてないんですよ。ここがものすごいマジックなんです。どうしてこんなことが成り立つのだろうかという疑問が出る。だから人民元について見れば、ある日、突然、人民元は切り上げになるんじゃなくて、大暴落するシナリオにも備えておかなければいけない。


・石;そうです。もう回収できるはずもない。どうしてかというと、広東省とか地方都市の商店街が軒並みシャッターを閉めているし、工場も潰れている。この実態についても中国政府、中国の関係者が発表した裏付けもあります。


にっちもさっちもいかない通貨政策

石;いままで貸し付けてきた大量の融資を、そのままいままでのペースでやりつづけると、必ずインフレになる。しかし、今のままで止めてしまうと大量の不良債権が発生してしまう。つまりもう回収できなくなるわけですね。全てのプロジェクトが途中で止まってしまうというわけです。だからいま、もうどうやっても難しい状態になってしまっているというんです。


不満をすり替えるには、台湾を攻める

石;失業問題を契機にして暴動が多発し、経済がさらに冷え込んでいく。失業者、職にありつけない大学生たち、彼らは、将来が不安だし現実でも不満を持つ。


宮崎;だからここで二つの問題が浮上してくる。ひとつは、そういう場合に大衆の不満をすり替えるには、対外矛盾にすり替えるのが一番手っ取り早い。だから戦争をやる。台湾を攻めればちょうどいい。もうひとつは、国内暴動でとどまっているならいいけれども、結局革命になるんですよ。


北京・上海のいまを観察に行くー無限に乱れる中国人

・巷の風俗はさらに先鋭化。町で「マッサージ」のチラシ配りは、いまや常識、一部のサウナとかマッサージは売春窟を兼ねるところが多いと聞く。女子大生は競って財閥の愛人を志願し、外国人相手のカラオケ・バアは美女が勢揃い、ともかく外国人のパトロン探し。値段は日本より高い。



新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(4)


鉄余り、日本4つ分――五分五分の「中所得国のわな」

<もはや「供給側改革」が避けられない>

・習指導部が「供給サイドの改革」と名付ける構造調整を本格化するとの宣言だった。長年先送りされてきた矛盾の解決に手を着けなければ、もはや持続可能な成長は望めないとの危機感がにじんだ。


<世界の粗鋼生産力、過剰分の6割は中国>

・要するに、老朽設備の「削減・淘汰」といいながら、実際は設備の稼働を休止していただけなのだ。結局、いつまでたっても中国の鉄鋼の設備稼働率は7割程度の低水準をさまよっている。


統計には表れない「隠れ失業者」

・「中国には『隠れ失業』の問題がある」。中国では少子高齢化に伴って働き手が減り、雇用の悪化圧力は和らいだようにみえる。15年の都市部の新規就業者数も1312万人と、政府目標の1000万人を上回った。しかし、表に出てくる統計では見えない実態がある。

 内陸部の国有石炭会社で管理職を務める男性の給与は16年2月から、前年の半分以下に減った。景気減速で石炭価格が下落し、会社の経営が傾いたためだ。その結果、年収はピーク時の1割に届かなくなった。その代わり、出勤するのは月に1、2回だけだ。

 国有企業では業績が悪化してもすぐに人員整理には踏み切らず、一律に給与を引き下げるなど、究極の「ワークシェアリング」で表向きの雇用を守る


目先の経済対策に溺れ、「中所得国のわな」にはまるリスク

・大学や大学院など高等教育機関の卒業者は16年だけで760万人を超え、高卒などを含めると約1500万人の若年層が新たに労働市場に加わる。そこに構造調整の圧力が加われば、雇用情勢の先行きは不透明さを増す。


中南米など多くの国が一定の経済成長を経たあと、長期停滞に陥り、結局は高所得国という先進国の仲間入りができなかった。さらに成長を持続できるかどうかのカギは経済の構造改革が握るが、得てして目先のことばかり考え、採算の見込みも立たない投資で足元の景気をふかす「古い道」をたどりがちだ。景気の下支えと称して無駄な投資を増やし、失業や不良債権の増加といった「痛み」が生じることを先送りする。

 中国が「中所得国のわな」にはまる可能性は「五分五分」よりも高まっているように見える。


<忍び寄る老い――払いきれぬ産児制限のツケ>

親が罰金を払えず、「無国籍者」として生きる

・しかも、一人っ子政策に違反した夫婦からの罰金は、中国本土で年間200億元を超えるという。権力側にとって、産児制限は国民を監視しつつ、財源まで得られる実に都合のよい仕組みだ。

今後も続く産児制限への庶民の不満の矛先をそらす狙いもあるのだろう。習指導部は新たな手を打ってみせた。16年1月半ば、政府が全国に1300万人いると推計する無国籍者に、戸籍を与える方針を打ち出したのだ。

 だが、李さんはいまも楽観していない。1300万人の根拠は国政調査だが、過去の国勢調査で李さん一家は一貫して調査員から無視されてきたからだ。「私は『1300万人』にさえ含まれていない」と、李さんは語る。

 戸籍を得たら何をしたいのか。李さんが語る夢はあまりに素朴だ。「勉強したい。家族に迷惑をかけず、自立した普通の生活を送りたい」。中華民族の偉大な復興という「中国の夢」を掲げる習氏の耳に、李さんの声は届いていない。


「民主的な手続き」が不可欠な負担の分かち合い

・国や国有企業が医療費を丸抱えするのをやめ、中国が公的医療保険制度を整え始めたのは1990年代末から。制度はいまだ未成熟で、手術などの前に病院から多額の預かり金を求められるのが現実だ。

「辛辛苦苦幾十年、一病回到解放前(苦労して数十年働いても、いったん病気になれば49年の解放前の貧しい生活に戻る)」とさえ言われる

 習近平指導部は医療や年金など「民生の充実」で貧富の格差への不満を抑え、党支配を維持しようとしている。どこの国でも、負担の議論なしにバラ色の未来は描けない。中国全体が陥りかねない「民主主義の不在」という落とし穴は大きい。


先進国になる前に、急激な高齢化が襲う

・ニッセイ基礎研究所によると、中国の国と地方を合わせた社会保障経費は2014年に計2兆6000億元を超えた。5年間で約2倍に増え、一般財政支出の2割弱を占める。

 高齢者の急増と未熟な社会保障の整備の両面から、医療などにかかる財政負担は今後も増す。36年前の公開書簡は「問題は解決可能」と強調したが、鄥氏は「これほど少子高齢化の問題が深刻になるとは想像できなかった」と明かす。

 人口爆発と食糧難への恐れから「国策」としてきた産児制限の軌道修正は遅きに失した


・中国政府によると、新たに2人目の子どもを持てる夫婦は全国で9000万組あるという。その半数は40歳以上だ。世界銀行は「中国の労働力は今後25年間で10%以上、9000万人減る」と予測する。中国は総人口も25年ごろにピークに達して減少に転じ、労働力不足と需要鈍化が成長を制約する。強気の中国政府系のシンクタンクさえ、11~15年に7%台後半だった潜在成長率が16~20年には6%強に下がるとみている。

 介護など新市場の創出や生産性の向上が今後、期待できないわけではない。だが少子高齢化と人口減が経済に長い停滞をもたらす恐れは、日本の例が示している。中国の人口は日本の10倍を超える。世界最大の人口大国の老いが世界経済に与える衝撃は計り知れない。


<「L字」志向の落とし穴――危うさ潜む地方の統治能力>

「市場の決定的な役割の発揮」は進まない

・「たとえ景気が底入れしても、『Ⅴ字』や『U字』の急回復にはなることはない。中国経済は高速から中高速へ成長速度を調整する過程にあり、基本的に今後は『L字』に近い形になるだろう。2020年まで年平均6.5%以上の成長をめざす指導部の目標は実現可能だと思うが、特定の年に6.5%を多少、下回ることがあってもかまわない」


しかも劉氏の認識は、いまだ中国経済はLという字の「横棒」にさえ達しておらず、「縦棒」の途上、つまり成長が鈍化する局面が続いているというものだった。


・過度な規制によって様々なゆがみが生じている経済に、メスを入れる。多くの人が習指導部の改革姿勢に大きな期待を抱いた。しかし、それから3年近くが経過した今、金利の自由化など一部の分野でいくつか前進がみられたものの、「市場の決定的な役割の発揮」とはほど遠い状況が続く。北京の知識人の間では「肝心の国有企業改革は見込み薄だ。一部を合併・再編し、大規模化するだけに終わるだろう」と急速に期待がしぼんでいる。


それでも、改革は思うように進まない。国有企業をはじめ体制内に幅広く、複雑に絡み合った既得権益層の抵抗があるのに加え、巨大な国を統治するうえでの「手足」となる地方政府が思うように動かない。


<「鶴の一声」で地方政府の方針が急変>

・共産党が市場までも統制しようとする官製経済は、法治やルールよりも党幹部の意向を重んじるため、経済の安定を損なうリスクをはらむ、それは国家の統治そのものを揺さぶる。習指導部があれだけ「ゾンビ企業を退治せよ」と地方に「改革」を命じても実際には進まないのは、地元政府は地域経済への打撃を恐れて補助金などを支給して延命を図る例が後を絶たないためだ。


<最終目標から逆算された「6.5%」成長>

・一方で、リスクは着実に積み上がっている。中国当局の集計では16年3月末の中国の銀行の不良債権残高は約1兆3900億元と、1年前に比べて4割増えた。融資全体に占める比率はいまだ2%程度にとどまるが、不良債権予備軍である「関注(要注意)債権」を含めれば、その約3倍に達するのが実情だ。


・実際の景気は成長率から6.5%を下回りかねない強い下振れ圧力にさらされている。16年に入って中国政府は地方のインフラ投資を加速し、景気は表向き持ちこたえている。だが、こうした動きは痛みを伴う構造調整を後回しにし、再び過剰な設備や債務を膨らませる「古い道を逆戻りしているようにしか思えない」(北京の研究者)。

 習氏は第13次5ヵ年計画で、約5500万人いる貧困人口をゼロにするという新たな目標を掲げた。これについても「経済成長率が想定より鈍って所得倍増の目標が達成できなかったときのために、脱貧困という『保険』をかけているのではないか」との見方がくすぶる。


真の「中国リスク」とは、何か

・長江を挟んで上海の対岸に位置する江蘇省南通市。15年秋、川沿いの地域からは人けが消え、飲食店や売店は軒並みシャッターを下ろしていた。民営造船会社の南通明徳重工が経営破綻し、地方からの出稼ぎで8000人いた従業員は8月末までに全員いなくなった。残ったのは、廃村のような風景だ。

 世界最大の4割近いシェアを誇る中国の造船業を一足早い厳冬が襲う。15年1~9月の新造船の受注は前年同期に比べ7割減った。過剰設備を抱える産業の代表格となり、銀行も融資に及び腰だ。高利貸しに手を出す会社も多く、経営破綻が相次いでいる。


・しかし、いま我々が「中国リスク」として目をこらすべきなのは、「中国指導部は目先の景気を下支えする力量はあるが、中長期にわたって持続可能な安定成長を保てるかどうかには疑問符が付く」という点ではないだろうか。

 中国共産党の一党支配は、世界からみても強固で精緻な体制であることは間違いない。とはいえ、英国の歴史家アクトン卿がいうように「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」。

 中国の体制は多数の政党による選挙や自由な報道を欠き、権力に対する監視やチェックが働きにくい。頼るのは自浄作用だけだ。



<●●インターネット情報から●●>

ウィキペディアWikipedia(フリー百科事典)より引用

鬼城 (地理学)

鬼城(きじょう、拼音: Guǐchéng グェイチョン)は、ゴーストタウン(英語: ghost town)を意味する中国語。


本来は、元々住んでいた人々がいなくなった廃墟や死の町を指すが、現代中華人民共和国では、特に投機目的の不動産投資と開発運営事業の失敗により完成しないまま放置されたり、人々が入居する前に廃れた都市や地域を指す表現として使われている。


(実例)

鬼城は具体的には、杭州市郊外の天都城、内蒙古自治区のオルドス市の康巴什新区があるが、実際には中国各地に同様の鬼城(ゴーストタウン)があるとされる。オルドス市の新興住宅地は100万人都市として計画・開発されたものの、2011年2月の報道では実際に居住しているのは3万人程度で、それにもかかわらず平米あたりの住宅価格は、上海市並に高騰していると伝えられた。


2013年7月18日の広東省の週刊経済紙『時代週報』の記事は新たに問題化している鬼城として内モンゴル自治区のオルドス市、清水河県、バヤンノール市、エレンホト市、河南省鄭州市鄭東新区、鶴壁市、信陽市、遼寧省営口市、江蘇省常州市、鎮江市丹徒区、湖北省十堰市、雲南省昆明市呈貢区を例に挙げている。


また、世界最大のショッピングセンターを目指しながら「鬼城」化した巨大ショッピングモールの例として広東省東莞市万江区の新華南モールがある。




『中国大動乱の結末』

混乱が止らない経済・政治・社会を現地から驚愕レポート

邱 海涛  徳間書店  2016/10/29




<農業国家>

・そのうち農業に携わる人口は3億1000万人で、中国産業総人口の50%を占めている。立派な農業国家であることは議論の余地がないだろう。


・だから、中国はGDPの大きさを喧伝しているが、農村部の立ち遅れの状況が改善されないかぎり、真の経済大国になれるはずがない。


・「この10年近く、農村はひどく荒廃してきた。多くの村には人の影がなく、家屋が倒れかかり草が膝まで伸びている。村がどんどん消えている。農村の廃頽ぶりは人を落胆させるほど凄まじく、故郷が失われようとしている。これから中国で何が起こるかはわからない。僕は心を痛めているのだ」


<「農民階級は私利私欲の塊」>

・これにはいろいろな説がある。中華人民共和国の成立後、食糧不足が深刻化したので、農村から都市への人的移動を制限するために設けられた制度だという説もあれば、近代化が立ち遅れる状況のなかで、社会主義国家を急速に建設するためには、安い労働力を大量に備蓄する必要があったという説もある。その説にも一理あるだろう。


<兵力供給源を確保>

・2つめの要因は、毛沢東が世界大戦の開戦に向けて軍事力を備えるためだったというものだ。これも十分に考えられるだろう。


・中国は朝鮮戦争、ベトナム戦争に介入し、また中印・中ソ国境戦争も行っていた。8億の農村人口という豊かな兵力供給源が、中国の参戦をいつでも可能なものにし、世界大戦開戦へ向かうという毛沢東の狂気を支えた。


・しかし、いまでも農村部の若者たちにとっては、軍への入隊が貧しい農村から脱出する唯一のチャンスとなっている。


<「城鎮化」に疑問の声がぞくぞく>

・いま、中国経済は崩壊寸前に差しかかっているといわれている。そこで、李克強首相は2014年2月、2020年までの国家的プロジェクトとして「城鎮化」計画を打ち出した。


 城鎮化とは、李克強首相の経済成長戦略のもっとも重要な目玉政策の1つであり、改革路線が行きづまるなかでの窮地脱出策として練りあげられた。壮大な計画だといわれている。中心になるのは、農民を都市部に移住させることである。日本語でいう「都市化」のことだ。


<怪しい失業率統計と難しい失業登録>

・しかし、30数年経ったいま、深圳都市化の例はすでに時代遅れになり、中国農村問題の解決法としてはまったく当てはまらなくなっている。中国経済が深刻なほど悪化しているからである。

 だいたい、都市に移り住んだ農民が何を収入源に暮らせるというのだろうか。

 中国政府は毎年、失業率を公表しているが、その数字は怪しいと指摘する声が多く、あまり信用できないという見方が根強い。


・民間では、実際の失業率は10~15%に達しているともささやかれているが、もっと悪いかもしれない。というのも、2億7000万人といわれている都会で働く農民工は、政府の失業率統計対象から外されているからだ。昔も現在もそのやり方がまかり通っている。


・農民が夢の市民権を手にして都市部へ移り住んだからといって、安定したまともな仕事がもらえる可能性は少ない。働く場所がなければ、都市はスラム化する恐れが十分にある。

 中国政府は新しい都市で、1000万人の雇用を創出することを計画している。しかし、中国では中学生を含めて毎年1000万人が卒業している。就職市場での競争は激しく、勝てるのは若者のほうだろう。


・中国の民間企業の数は約1000万社で、中国の労働力の70%は民間企業で働いている。しかし、中国の調査会社の統計によると、民間企業の平均寿命はわずか3年前後と非常に短命である。


<少ない補償金>

・したがって、農地や家屋などの買取で、合計最大50万~70万元が支払われることになる。しかし、このくらいの額で上海のような大都会でマイホームを持つことは絶対に無理で、200~300万元の大金がなければ買えない。


・家と農地を失って生活基盤が崩れる農民は、これから先、大変な地獄が待ち受けることになるだろう。


公租房も民間賃貸も役に立たない

・中国の住宅価格が高騰した背景には、多額の借金をしてでもマイホームを持ちたがるという中国人の特質にある。その大きな理由は、日本のように賃貸住宅仲介業が普及していないことだ。

 中国に賃貸住宅がないわけではないが、日本のような1つの産業にまではなっていない。個人の大家が他人に部屋を貸すといったレベルで、公正公平なシステムや基準がなく、大家の気持ちしだいで契約の期間が縮められたり、家賃がいきなり倍に跳ねあがったりすることも多い。日本で入居者の権利が優先されるのとは大違いだ。


ここ数年、日本では中国の報道について、かなり悲観的なものが目立つようになってきた。>

・さまざまな中国報道でも、内外で一致しているのが中国経済の落ち込みについてである。国内は経済の減速がますます目立つようになり、輸出入も低下の一途をたどっている。


中国農業はアメリカ、日本より100年も遅れている

・2012年5月、中国科学院中国現代化研究センターが「中国現代化レポート2012:農業現代化研究」という報告書をまとめた。それによると、2008年の時点で、中国農業経済はアメリカより100年も遅れているという。

 2008年からすでに10年近くが経過しているが、中国農村部の状況はさほど変わっていないだろう。むしろ事情はさらに悪化していると思われる。出稼ぎで都会に来ている農村部の若者の9割が、貧乏で希望のない故郷には戻りたくないと思っている。


・中国農業近代化の始まりは1980年からで、世界先進国より100年ほど遅れている。農業増加値比率、農業労働力比率、そして農業労働生産率という3つの基準を照らしてみれば、2008年までで、中国はイギリスより150年、アメリカより108年、日本とフランスより100年、韓国より36年遅れている。


・報告書によれば、中国人1人当たりの可耕面積は、世界平均の40%、1人当たりの淡水資源は世界平均の33%、農業生産性はアメリカの1%にとどまっている。

 たしかに、中国の国情はかなり厳しい。中国の国土は、面積は広いかもしれないが、現在では農業に適する土地は全体の10分の1にまで激減している。1人当たりの可耕面積はヨーロッパの3分の1、アメリカの10分の1、インドの2分の1しかない。土地のほか、水、鉄、銅、石油、天然ガス、アルミなどの資源も非常に少ない。


・もっとも重大な問題は、水が足りないということである。1人当たりの水の使用量は世界基準の4分の1しかない。西安、太原、大連など約300の都市は水の供給が困難で、首都北京でさえ断水の日がたびたびある。

 先の報告書では、農業の現代化を実現するためには、これから40年をかけて農業生産人口の3億1000万人のうち2億8000万人を都会に移転させなければならない。残った3000万人に農業をやらせれば十分だと提言している。


2020年までに小康社会を達成

・2012年11月に行われた中国共産党第18回党大会では、「2020年をめどに全面的な小康社会(いくらかゆとりのある社会)の建設を完成させ、GDPと都市部・農村部の1人当たり平均所得を2010年の2倍に引き上げる」という目標が宣言された。

 2010年のGDPは約40兆元だったので、2020年にはGDPを80兆元まで伸ばすということだ。


中国の食糧不足は深刻化

一方、中国の食糧不足はすでに深刻化している

 2016年2月23日、中国農業部は「ジャガイモ産業開発推進に関する指導意見」を公表した。主旨は小麦、米、トウモロコシに続いて、ジャガイモが2020年に第4の主食として中国人の食卓に上がるということで政府が正式に決定したものである。贅沢な食生活に慣れた都会人の多くにとっては、かなりショッキングな内容である。


・一方、いままで「1人っ子政策」の実施によって、もう1つの大きな社会問題が起こっていた。それは、「黒戸口」と呼ばれる戸籍を持たない子供たちが大勢いることだ。その多くは農村部で発生している。労働力として男性を必要とすることから、女児が生まれると、捨てたり、売ったり、隠して育てたりする家庭がかなりあった。

 捨てられた子は街で流浪し、売られた子は他人の家で暮らし、実父母と再会する確率は絶望的に低い。隠して育てられた子は、父母と一緒にいるのでまだましだ。彼らには共通点が1つある。それは戸籍をもらえないということである。戸籍がなければ、学校も行けず、仕事もできず、病気になっても病院に行けない。もちろん、結婚もできない。

 しかし、「1人っ子政策」の廃止とともに、政府はようやく救済措置に乗り出した。「黒戸口」の全員に戸籍を与えようとしている。政府の調査では、戸籍を持たない子供の人数は約1300万人にのぼり、全人口の1%にも達しているという。おそらく実際はもっと多いだろう。


<深刻な水不足で黄河は断流>

・中国人1人当たり可耕面積が世界平均を大きく下まわるうえ、土の質が悪い田畑が多数で、農業灌漑用の水も足りない。これも食糧生産を大きく制約した原因といわれている。


・降雨量が極端に少ないのが北方地域の特徴で、この気候が北方を水の少ない地域に変えてしまったのだ。だから、水資源が枯渇するのは主に中国北部地域に集中している。

 一方、渇水がひどくなったのは改革開放が始まってからであった。工業・農業用水が急速に増えたためだ。そのため、黄河の水が枯れて海まで届かない「断流」現象がたびたび起こるようになった。


離婚ビジネス大流行の背景

・2004年、「中国式離婚」という長編小説がベストセラーになった。おそらく100万部以上は売れただろう。テレビドラマ化され、大勢の市民がテレビの前に釘づけになった。そのころ、離婚サービスを提供するビジネスが大繁盛した。あちらこちらに離婚斡旋会社が生まれた。私の友人もそうした会社を立ち上げ、大儲けしたそうだ。


・離婚斡旋会社の仕事を簡単に紹介すると、離婚したいと思っている夫婦の双方から事情をよく聞き、関係修復が可能そうであれば、双方を説得して仲直りさせる。夫婦関係がもはや修復不可能なほど悪化し、そのまま維持しても双方の苦痛になる場合には、きっぱりと離婚させ、新しい人生をスタートさせる。そうしたアドバイスや各種手続きを行なっている。

 このビジネスが大成功した理由は、これらの会社は貧しい庶民夫婦の離婚相談はほとんど受けつけず、金持ちの夫婦だけをターゲットにしているからだ。そして、建前としては「まずは仲直りを目指す」と言いながらも、本当は離婚するように仕向けて、分割された財産の数パーセントを報酬として双方からもらおうとする。その際、夫婦が納得する財産分割案をいかにつくり上げるかがポイントとなるそうだ。


・中国の離婚人口が急増する背景には、「二奶(アルナイ)」という存在が大きな要因となっている。二奶とは中国語で愛人のことで、中国富裕層の男性が愛人にカネをつぎ込むのは当たり前のことになっている。どれだけ愛人を持てるかが男のステータス・シンボルだという意識は、いま中国人男性の間にかなり定着している。摘発された腐敗役人の90%は公金で複数の愛人を囲っている。日本でも中国の二奶に関する報道が結構ある。


<今度は離婚させないビジネスが繁盛>

・しかし、1年ほど前から、離婚業界に異変が起こった。これまでは離婚サービスを提供していたが、今度は離婚させないサービスも提供するようになったのだ。そして現在では、離婚サービスより、今度は離婚させないビジネスのほうが繁盛して利益も莫大だという。


<中国経済は40年も後戻り?>

・電力の使用量、鉄道の貨物輸送量および銀行の融資額、これらの3つのデータは、かつて「李克強指数」とよばれていた。李克強首相は就任当時、GDPなどの指標よりもこの3つのデータを見たほうが、中国経済の実態がわかると主張したことがあるからだ。


・喬(中国国電集団公司の取締役会長)によれば、2015年の火力発電の電気使用時間は4329時間で、1969年以降で最低の記録となったという。2016年はさらに300時間減るのではないかと推測している。

 その数字に筆者は驚いた。大ざっぱに計算してみよう。1年は365日、1日24時間だから、年間8760時間ある。4329時間とは、年間半分の時間にすぎず、残りの半分の時間については電気が使われていないということになる。

 これがどういう状況か、ぴんとこない人がいるかもしれないが、喬が「1969年以降で最低の記録だ」と言ったことを理解すれば十分だ。


春は二度と来ない

・中国人民大学の著名な経済学者、向松祚は、多くの鋭い発言で社会から注目されている人物だが、最近、「中国経済はそのままでも決してL型の曲線(下降後に下げ止まり、その後は横ばいが続く)ではなく、さらに衰退し、悪化し続けるだろう」と発言している。また、中国経済にとって最大の危機はイノベーションがないことだと、ずばり指摘した。筆者はこの見解に大賛成だ。実体経済のない国は未来がないと思っている。


・2015年の年末ごろ、中国社会科学院は、「メイド・イン・チャイナ(中国製造業)の新常態」と題した報告書を公表した。中国経済が失速している実態の深刻さを隠せずに伝え、現状の惨めさを「春は二度と来ない」「前門には虎があり、後門には狼があり」といった自虐的な表現を使うなど、強い危機感を表した。過去の強気一辺倒の姿勢はまったく見えなかった。この報告書の概要は日本でも紹介されたことがあり、中国専門家の間に波紋を広げたそうである。


<資産売却で国が救われるのか>

・BIS(国際決済銀行)は2016年9月18日、GDPの2.5倍にまで膨れあがった中国の債務総額について、「今後3年間で深刻な問題を引き起こす兆候である」との警告を発した。


・総与信とGDPの差を算出すること(GDPに対する総与信ギャップ)で経済危機レベルを調べることができるが、その数値が10%に達すると危険状態に入るとされる。たとえば、アメリカでサブプライムローン危機が訪れたのは、総与信対GDP比率が10%を突破した直後であった。しかし、中国ははるかにその危険ラインを越えて、すでに30.1%にも達しているのだ。アメリカのサブプライム危機より3倍もリスクが高まっている。


2017年は中国の生死を問う年になる

・本書で述べたように、いまや中国は、国内でも海外でもさまざまな矛盾が顕在化し、経済、政治、社会における不安定さは日を追うごとに増してきている。筆者も、現在の中国は大胆な改革なしでは、いずれすべてが立ち行かなくなり、現在のシステムそのものが瓦解する可能性が高いと見ている。繰り返しになるが、2017年秋の党大会で習近平政権が大きな改革を成し遂げられるかどうか、それが今後の中国の運命を左右するといっても過言ではない。




『Newsweek 2017/10/24』

[中国崩壊本の崩壊カウントダウン    高口康太]


「出版」問題を抱えた中国経済は早晩破綻する――根拠なき崩壊論に訪れる曲がり角  「反中本」はなぜ生まれ、如何消費されてきたか


・曲がり角を迎えている最大の理由は、10年以上前からオオカミ少年のように「間もなく崩壊する」と言い続けたのに中国経済が一向に崩壊しないからだ。「崩壊詐欺」とも批判を浴びている。そして、本の売れ行き自体も低調になった。


<中国のGDPは公表値以上?>

・中国の経済統計が捏造されているとの指摘も定番だ。ただ統計制度の未成熟ゆえ、逆にGDPを過小評価している可能性もある。


<あと一歩で「反中本」作家に>

・私はこれまで中国崩壊本は書いたことがない。しかし、共著本の題名を『なぜ中国人は愚民なのか』に変えられ、反中本作家の仲間入りする寸前の経験をしたことはある。


『崩壊』とは言っていない 予言したこともない

インタビュー:代表的著者の石平が明かす、相次ぐ「崩壊本」出版の裏事情

  

—―いわゆる「中国崩壊論」に対する批判が最近高まっている。現実と真逆ではないか、という指摘だ。


(石平)私の主張は「崩壊」というより「持続不可能」という表現が正しい。消費拡大を伴わず、公共事業と輸出に依存した、いびつな経済成長は持続不可能という内容だ。


(石平)書名は出版社の管轄だ。


・(バブル経済崩壊で)日本も崩壊したが、日本人全員が路頭に迷ったわけではない。同様に中国経済もいきなりゼロになることはあり得ない。


—―中国崩壊論は10年以上前から続いているが、いまだにその兆しは見えない。いつがXデーなのか?


(石平)いつ崩壊するなどと予言したことはない。持続不可能と指摘しているだけだ。ただし、誤算があったことは認めたい。


・次の著書では自らの誤算と中共の変化について詳述する予定だ。



新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(3)



『結局勝ち続けるアメリカ経済 一人負けする中国経済』

武者陵司  講談社   2017/8/18


  


<日本に吹く地政学的な追い風>

では、いまの世界情勢を解き明かすカギはどこにあるのでしょうか。私はアメリカ経済分析に尽きると考えています。


本書の明確な主張は、アメリカの卓越した経済力が一段と強化されているので、アメリカが決意しさえすれば、アメリカ主導の世界秩序再構築の可能性は高い、というものです。


・では、アメリカ経済の何がすごいのか。それは技術革新、イノベーションを次々に生み出す活力です。グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど新興の大企業が続々登場し、インタ―ネット・サイバー空間(私は「第7大陸」と呼んでいます)を作り上げ、ビジネスと人々の生活を一変させています。


さらにアメリカがすごいのは、この企業が作り出した価値を消費に落とし込む力、人々の生活水準の向上につなげる力です。格差が生まれ、一部白人の肉体労働者にしわ寄せがいっている問題はあるにせよ、アメリカ経済を引っ張っているのは消費です。


この歴史的フロンティアたるインタ―ネット・サイバー空間(第7大陸)をアメリカが支配していることにより、経常収支が大幅に改善し、ドル高が続くことが見えてきました。それがアメリカの帝国的覇権をより強める方向に働くと予想されるのです。


・とはいえ、アメリカ・ファーストというスローガンで大統領当選したドナルド・トランプ氏が世界の混迷に背を向けて、孤立主義的、排外主義的な傾向を執り続ければ、世界秩序はますます乱れていくでしょう。

 しかし本書のもう一つの主張は、トランプ政権の政策は大きく進化・成長していかざるを得ない、というものです。

 トランプ氏が戦略目標として明確にしている、①偉大なアメリカの復活、②安全な世界、③国内雇用の確保、を実現するためには、メディアや評論家が説明しているような、孤立主義、排外主義、保護主義、人種差別主義といった傾向を拒絶せざるを得ません。

 アメリカには覇権国を自任するに足る経済力が備わっており、トランプ政権が世界の警察官としての役割を果たそうとするなら、2020年にかけて、アメリカ主導による世界秩序の再構築が進展していくでしょう。


・世界の技術、市場、資本のただ乗り(フリー・ライド)によって成長を遂げた中国は、アメリカによってこのフリー・ライドを禁止され、成長が期待できなくなるでしょう。

 こうして、フリー・ライドを前提とした中国経済とそのビジネスモデルは一気に機能を停止し、経済成長が止まる「中進国の罠」に陥ることは確実です。


・そもそも中国に欠けているものは資本主義のDNAです。ビジネス成功のカギがアメリカと中国とでは180度異なっていることをご存じでしょうか?


国営企業は共産党官僚が営む政府機関そのもの。そして中国では、民間企業も政治の支援なしには成り立ちませんそもそも中国の主要企業には、表の組織の他に、裏の組織、つまり共産党企業委員会があり、裏の委員会が経営の決定に深く関与、徹底した監督、監視、検閲を行っており、党との良好な関係なしにはビジネスは成り立たないのです。


政治との関係性によって、企業はいつ富を奪われるか分からない、そんな恐怖政治が支配しているのです。>

・この権力との関連性でビジネスも生活も律せられるのは、古代からの中国の伝統です。権力に対する絶対的服従という太古からの行動様式と、最先端技術、そして市場経済との奇妙な融合が、現代中国の強さであると同時にアキレス腱になっています。


・しかし習近平政権は、汚職・不正撲滅を口実として対抗勢力を叩き潰し、日本のかつての治安維持法を想起させる国家安全法を制定しました。また学問の自由も否定し、大学を「マルクス主義や中国の偉大な夢、社会主義の革新的価値観の最前線」と位置付け、党思想を宣伝する道具にしてしまいました。


・この自立を欠き、権力に服従する中国人の特徴は、現在の中国企業のDNAにも色濃く影響しており、政商的なビジネスモデルの背骨になっています。それがアメリカの起業家精神を涵養するDNAの対極にあることは、論を俟たないでしょう。


・すでに日本企業は、バブル崩壊の後遺症から立ち直り、過去最高の利益を上げる力を備えています。この企業の儲けが、デフレ脱却の進展とともに、個人の消費に結びついていくでしょう。

「失われた20年」といわれた苦難を抜け出したとたん、地政学的な追い風が吹くという僥倖が、日本に訪れています。株価も本来の価値から大きく下振れした、いわばマイナスのバブル状態にありましたが、今度は大きく是正されていくでしょう。私は日経平均株価の4万円突破もあると見ています。


<アメリカが獲得した「第7大陸」>

<強みはピカピカの価値創造>

・現在のアメリカでは、株式市場が時価総額構成の大幅な変化を通して、将来の青写真を作っているのです。

 これは、アメリカが健全な価値創造力を有していることの、何よりの証拠でしょう。そして、新たに生み出された価値が世の中全体に受け入れられ、そこに新しい市場が作られ、より大きな市場価値に育っていくのです。

 この部分がピカピカであれば、実体経済や政治は放っておいてもきちんとワークします。


・このような見方をすると、中国経済がなぜ厳しいのか、その理由が分かります。確かに、表向きは共産党一党独裁のもと、強い政治力によって国全体がまとまっているかのように見えますが、中国企業には健全な価値創造力がありません。つまり、国を支える基盤が極めて脆弱なのです


「第7大陸」とは何か

・しかし、いまのアメリカ経済および世界経済においては。リアル経済圏とはまったく異なるバーチャル経済圏がどんどん成長しています。これは、インタ―ネットを介した新たなビジネスや生活の空間のことであり、私はこれを「第7大陸(=サイバー空間)」と称しています。


・現在ではインタ―ネットは、水や空気と同じように、私たちの生活活動において、必須ともいうべき経済資源、生活基盤であり、価値創造の最大の源泉になっています。


・では第7大陸の発展が、どのように経済に寄与しているのか、それを考えてみましょう。第一は、人々に著しい便益を与えるとともに、劇的なコスト削減を可能にしていること。第二は、まったく新しい商品(=欲求を満たす仕組み)を生み、新産業や新企業を勃興させていることです。それはマクロ経済的には企業収益の著しい向上をもたらし、生産性上昇による物価の下落と、それに伴う購買力の増加を引き起こす。


<減税策がアメリカを好景気に>

・トランプ大統領が打ち出している減税策がもたらす、成長加速の連鎖効果が注目されています。


・これらがすべて実施されれば、10年間で5兆ドル規模の増収となり、それはアメリカの名目GDPの2.8%に相当すると推計されています。

 加えて、1兆ドルといわれるインフラ投資と国防支出増により、アメリカのGDP成長率は、リーマン・ショック後の2011年から2015年までの平均値である2.1%を大きく上回り、容易に1990年以降の長期成長トレンドである3%に戻っていくでしょう。

 もちろん、これほどの大風呂敷ともいえるプランがすべて実現することはあり得ません。


・いうまでもなく、ドル高はアメリカ金融の支配力を強め、トランプ大統領が狙っている世界覇権の強化にも結び付くのです。


<ライフスタイルが作る需要>

リーマン・ショック直後、10%まで上昇したアメリカの失業率は4%台まで低下し、完全雇用状態になりました。

 アメリカの雇用が、どのセクターで増加したのかを見ると、そのほとんどが教育・医療、専門サービス、娯楽・観光など、個人向けサービス分野であることが分かります。IT革命の下でのイノベーションと、個人のライフスタイルの変化が進行し、個人向けサービス需要が急増しているのです。

 そこには、情報化時代の新ビジネスモデルと新ライフスタイルが垣間見えます。


いま起こっていることは、「ザ・セカンド・マシン・エイジ」、つまり第2の産業革命なのです

・そして、前出の二人の著者が主張している第二の産業革命とは、いよいよ人間の頭脳を機械が代替する時代に入った、という概念です。ロボットや人工知能、あるいはスマートフォンやクラウドコンピューティングなど、現代の様々なシステムが、人間の頭脳労働をも代替してしまうことが起こっているのです。

 その顕著な例は、自動車の自動運転です。


<第2次産業革命が作る楽しい生活>

・安倍晋三内閣は、成長戦略の一環として「働き方改革」に乗り出しました。それ自体、コンピュータなど機械による雇用機会の侵食を奇貨として、より人間的な働き方を追求するという画期的なものですが、それを貫徹させるには、働き方だけではなく、ライフスタイルの改革まで進めなければならないと思われます。


<より豊かな生活で雇用も増大>

・しかし、労働者のスキル向上と経済成長があれば、雇用を満たしながら、人々の生活を一段と向上させることが可能になります。企業の資本余剰は、いずれ、賃金上昇、株主還元、株価上昇となって消費を拡大させ、人々のライフスタイルは、一段と高みに引き上げられるでしょう。


企業利益は最高、金利は最低

・アメリカで起きている歴史的な経済イノベーション、消費力増大によって、持続的な成長の可能性が見えてきました。

 アメリカ経済の好調ぶりは、これからもしばらく続くでしょう。その根拠は以下の4点です。

 第一に、アメリカ経済の成長の推進力は、改めていうまでもなく、サービス消費の増加にあります。

 二つ目に期待できるのは、アメリカの住宅です。

 三つ目に、これが最も期待できるものとして、公的需要があります。

 四つ目のアメリカ経済のポジティブな要素は、信用循環です。


低金利の時代が続くとすれば、アメリカの信用拡大はまだまだ続き、それがアメリカ経済の好調さを足元で支えることになるはずです。


ドル本位制の最盛期が始まる

<古代ローマ帝国の輸出品は貨幣>

・1時間で作った貨幣でもって1年分の豊作物を買えるというのは、古代ローマ帝国の貨幣が、いかに強いものであったかということを意味しています。


つまり、帝国が帝国たりうるためには、経済面から考えると、いかに強い通貨を持てるかという点に尽きます。強い通貨がなければ、帝国は完成しないのです。


アメリカ帝国の総仕上げの段階

そして、繰り返しになりますが、トランプ政権のポリシーミックスは、明らかにドル高政策ですし、今後、経常収支が予測通り黒字化し、かつ相互補完分業が確立されれば、ドルはさらに上昇します。

 ドル高になれば、諸外国の資源や技術、企業のドル建て購入価格は、それ以前に比べてバーゲンセールのような水準に下がる。安く買収できるのです。これは、アメリカの国力増強にとって、非常に有利です。


ドル高・元安で米中逆転は不可能

・これはアメリカにとって一大事です。どうすれば米中経済逆転を回避できるのでしょうか?一つは中国が享受しつづけてきたフリー・ライド(ただ乗り)を止めることです。しかし、より本質的なカギは通貨です。大幅にドルが上昇し、一方で人民元が対ドルで暴落すれば、米中の経済逆転は予想可能な将来においてまったく実現せず、懸念される覇権の衝突は未然に回避されるでしょう。


<中国とロシアの危機でドル政策は>

・ルーブル危機の際には、危機が沈静化した1999年以降、アメリカは利上げを再開し、再びドル高トレンドへと戻っていきました。2016年も、中国の景気底割れ回避策と資本規制強化により、中国の通貨危機が封印され、FRBは利上げ軌道に復帰し、ドル高トレンドが戻ったのです。


ドル高で最も苦しむ国は中国

・ドルはまた、アメリカの地政学的利益を反映する、あるいはその手段になるという側面も持っています。今後、予想されるドル高のデメリットは、恐らく中国において顕著に現れると見られますが、それはアメリカの地政学的利益につながります。


・今後、アメリカの利上げが進捗し、さらにドル高が進む場面では、中国の景気は、他の諸外国のなかでも、最も厳しい状況に追い込まれると思います。

 理由はいくつか考えられますが、まず、アメリカの好景気とドル高、さらにはアメリカの金利上昇により、中国からの資本流出圧力が高まらざるを得なくなることです。人民元の下落は、巨額の対外債務を背負っている中国の各経済主体にとって、大きな負担増になります。


いずれ中国の貿易黒字が大きく減少し、金融財政的手段が尽きてくると、人民元の大幅な下落が始まるかもしれませんが、そのドル高・人民元安こそ、アメリカによる中国封じ込めの完成形になっていくのではないでしょうか。


・そして、世界覇権をうかがう中国の野望を完膚なきまで叩きのめした先に、本当の意味でのパクス・アメリカーナの時代が待っているのです。


回復不能な中国経済

強まるヘッジファンドの中国売り

中国通貨は管理され、株式も流動性が乏しく、なかなか売り込めない。


人類の歴史上最大の過剰投資

・この金融波乱は、人類の歴史上最大の過剰投資を行った中国において、これから長く続くと思われる清算過程が始まったことの狼煙です。

 その清算過程は、以下の3段階に分けて考えられます。

  1. 通貨危機から全般的な信用収縮に向かう「金融危機」
  2. 不動産バブルの破綻と企業破綻から失業が激増する「経済危機」
  3. 雇用不安から共産党一党独裁への批判が高まる結果としての「政治体制危機」

もし、この3つの危機が同時に起これば、世界は直ちに混沌に投げ込まれ、世界大不況に陥るでしょう。したがって、その事態だけは何としても回避しなくてはなりません。


<中国発金融危機の悪循環>

・2016年には、いずれも大幅なマイナスに陥っていた鉄道貨物輸送量、粗鋼生産量、電力消費量、輸出・輸入などのミクロデータが、軒並み大幅な回復に転じました。また不動産開発投資や鉄道投資も、2015年後半には前年比マイナスに陥ったものの、2016年には10%を超える増加になっています。2015年に始まった経済悪化、株安を中心にした資産価格の下落、通貨安、資本流出の悪循環が一旦終息したのです。


外貨準備高の過半は実は他国資本

・中国の中央銀行である人民銀行の総資産に占める外貨資産が8割にも上っていることからも、それが分かります。対外金融力の象徴とされている外貨準備高が、実は過半が他国資本に依存したものであるとすれば、中国の対外金融力は相当に脆弱であると考えられます。


1年で中国の外貨は払底する

・ところで、日本と中国とでは、外貨準備高の性格がまるで違うことを、ご存じでしょうか?第一に、外貨準備蓄積の過程と原因が違う。そして第二に、外貨準備の運用の中身がまるで違うのです。


・また日本の外貨準備高は、対外純資産の44%であるのに対して、中国の外貨準備高は、対外純資産の2.1倍もあります。つまり、日本の外貨準備は自己資金でひも付きのない自由な資金ですが、中国の外貨準備の過半は、多大なる債務をともなう資金です。あくまでも他国資本であり、自由に介入には投入できません。


<中国経済失速を起こす3つの要因>

・中国の過剰投資の清算過程において、経済失速を引き起こしかねない3つの困難性があります。

第一は、鉄鋼、化学、セメント、造船、軽工業など、極端な規模にまで達した過剰供給力の削減とリストラ、そしてゾンビ企業の淘汰が必至であり、その改革プログラムが策定されていますが、その過程で大規模な失業が発生するということです。

第二に、深刻な需要不足に直面する可能性が高いこと。

そして第三に、不動産バブルの崩壊を回避するのは困難であるということ。


・中国語では「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンが、地方都市の郊外のあちらこちらに存在しています。100万人分の住宅建設をしたのに、未だ1割程度しか住んでいない内モンゴル自治区のオルドス市の「鬼城」は有名です。

 また北京オリンピックの前年、2007年に筆者が訪れた河北省唐山市沖の曹妃甸(そうひでん)工業埋め立てプロジェクトは、総面積310平方キロ(東京23区のほぼ半分)、これまでの累積投資額で9兆円(総投資額65兆円)の巨大なものでしたが、埋め立てたもののまったく工場が誘致できず、わずかながらの太陽光パネルを除けば、無人の荒野が連綿と続いています。

 このように検証をすると、習近平がいう「新常態」のもとでの消費主導の成長実現は、絶望的にならざるを得ません。


<「失われた20年」以上の衝撃>

・中国に対する厳しい評価として、1人当たり国民所得が8000ドルで横這いになってしまう「中進国の罠」に陥る、または20年にわたって名目GDPが横這いになってしまった「日本病」に陥る、という指摘があります。

 しかし、日中両国の成長推移や推進力を比較すると、日本との類似性よりも異質性が大きく、今後の中国は「日本病」に陥るどころか、もっと深刻な困難に入っていくと考えざるを得ません。


・第一の相違点は、過剰投資の規模の大きさです。


・第二の相違点は、日本の場合、何度かの不況局面で、その都度、過剰投資や金融不良債権の処理が行われてきたのに対し、中国では、すべての調整が一度に到来してくるということです。


・第三の相違点は、政策司令塔の違いです。中国は社会主義市場経済というヌエ的理念のもとで、共産党の上意下達による調整が行われています。


・仮にこれからの場合、その先行きは、以上の三つの相違点があることから、日本の「失われた20年」に比べて、さらに厳しいものになる恐れがあるのです。


もちろん、いつ中国経済がクラッシュするのかについては、何ともいえません。私の知り合いの中国専門家にいわせると、「習近平が2期目を終える2023年前後にかけて、不安定な状況になるのではないか」ということです。


・さらに最も根本的な問題は、経済が投資によって成長してきたということです。投資はそのまま需要になりますから、経済拡大の手段としては手っ取り早い。しかし、投資で作ったインフラをそのまま遊ばせておくことはできませんから、そこに問題が生じます。投資で成長できたものの、でき上ったものは、いらない設備、いらない住宅、いらないインフラ…………こうして潜在的不良債権が留まっているのです。


資本の大量流出と人民元急落のリスクを、中国政府は、とりあえず財政出動で乗り切りました。もちろん財政出動で行った投資は、将来的に不良債権になる危険性がありますから、いくら現在を乗り切ったとしても、それは単に問題を先送りしているだけに過ぎません。


先送りした問題は蓄積され、いつか大爆発を起こします。そうなったときの結末は、極めて恐ろしいことになるでしょうその恐ろしい結末は、これまでの共産党一党独裁に対する不満として民主革命が起き、それを抑えるために共産党が独裁を強化するというイメージ……このままだと、中国が北朝鮮化する恐れがあります。

 また、さらに悲観的な見方としては、中国が完全に分裂するリスクも想定しておく必要があるでしょう。その場合、中国は現在の中東のような状態に陥るかもしれません。


<価値創造ができない中国の悲劇>

・目先のハードランディングは避けられないとしても、長期的に様々な問題点を抱えている中国経済の根本的な問題点は、健全な価値創造の仕組みができていないことです。


<インタ―ネットによる中抜きで>

・確かに一部の富裕層の消費水準は大きく上昇していますが、国全体では、いつまで経っても消費主導にはならず、依然、GDPに占める消費の水準は39%に過ぎません。投資を大きく下回っているのです。

 さらにいえば、民営化が進まない国営企業の問題があります


つまり、国営企業を民営化するためには、共産党一党独裁体制を変えなければならないのです。

 とはいえ、習近平とその部下は毛沢東思想に洗脳されているだけに、自由・民主主義に対する理解がなく、したがって政治的に民主化が実現するには、あと20年はかかるというのが、前出の中国専門家の見方です。


<アメリカの政治力が殺した半導体>

・日本は金融の護送船団方式や大店法(大規模小売店舗法)、外為法(外国為替及び外国貿易法)などの各種規制といった特異な制度によって、国内市場では海外製品を排斥して自国企業を保護する一方、保護によって強めた競争力でもって海外に進出し、各国の市場に被害を与えている――こうした論調が、アメリカ国内で強まったのです。

 30年前、世界を席巻した日本製半導体の凋落は、まさしくその結果でした。


日本半導体を潰したように中国も

・いま世界各国は新産業革命に直面し、そこで勝ち抜くべく競争を展開していますが、古い分野から新しい分野へと、資本、知的資源、労働力を移転させなければなりません。アメリカがこの競争に大きく先んじているのは、資本市場と労働市場が最も弾力的で、資源の移転がスムーズであるからに外なりません。


<自動車の将来が電気自動車にあり、それによるビジネスモデルの大転換が必至>

時価総額トップに立ったテスラモーターズは、それによって与えられる資本力を動員し、新しいビジネス・モデルを追求していくでしょう。このテスラモーターズの台頭を可能にしたのは、いうまでもなく、たくさんのベンチャー資本家が存在するアメリカ資本市場の厚みにあります。

 日本には、労働市場と資本市場の硬直性が主要国中に最も高いという欠点があります。それがありながらも過去最高の企業収益を上げているのですから、たいしたものです。が、それにドイツで行われた労働市場改革、アメリカに見られる資本市場改革が加わるなら、将来の展望は大きく開かれるはずです。

 そうなれば、海外からの投資家を巻き込んで、日経平均株価4万円という世界が見えてくると思います。




『北京レポート   腐食する中国経済』

緩やかに、だが確実に体制の矛盾が蝕む。

大越匡洋 日本経済新聞出版社   2016/8/26




<私は2012年からの4年間を取材記者として中国で過ごした>

・いま、あの国で何が起こっているのか、そして、どこへ向かおうとしているのか。4年にわたる現地取材による衝撃のルポ


・帰国してから、もちろん帰国する前もそうだったが、ぐさりと胸に刺さる読者の言葉がある。「中国はよく分からない」。

 日々、様々なニュースや解説を書いてきた身からすればつらいひと言だ。むろん、あれほど巨大で複雑な国家を「分かる」と断言できる人などいないだろう。もしも「自分の中国に対する理解が絶対正しい」と言い切れる人がいたら、希代のペテン師だとしか思えない。


・中国に関する情報は書店にもインタ―ネット上にもあふれている。一方で、いわゆる「チャイナ・ウォッチャー」ではない普通の人にとっては、中国を理解しようにも、理解を助ける「物差し」が不足しているのではないかと感じる。「物差し」がないまま情報の洪水にもまれれば、「よく分からない」「嫌いだ」という思考停止に陥る恐れが膨らむ。


・中国の「ハードランディング論」が一部でかまびすしいが、あらかじめ断ると、私はその輪に与しない。しかし、中国の体制内に巣くう矛盾や課題を考えた場合、長い目で見ると、ハードランディング論者が思い描く将来よりも悲観的になる部分があることは否定できない。


<「鬼城」の実像――人影のない街で「追突注意」>

公称人口8万人の「新都心」、実際は「4万人」

・花壇で彩られた立派な道路に高々と掲げられた標識を目にしたとき、たちの悪い冗談かと思った。「追突注意」。周りを見回しても、車など全く走っていない。それどころか、街には人影さえまばらだ。西モンゴル自治区オルドス市にある「新都心」の風景である。


・ところが、12年の春に訪れると、公称8万人の人口は「実際は4万人程度しかいない」(住民)。中国の都市で付き物の交通渋滞もない。乱立するマンションは空室だらけだ。


「鬼城(ゴーストタウン)」。中国政府がリーマン・ショック後に打ち出した4兆元の巨額景気対策の効果が薄れ、むしろ後遺症が目立ち始めたころから、中国全土で人の住まない街が広がった。


・ただ、街中を歩き回ると、こうした人気物件は一部にとどまることが分かった。周辺のオフィスビルは空室ばかりで、仲介業者は「競争が激しい」とこぼした。地元紙によると、鄭東新区では13年だけで13棟以上の高層ビルが新設され、鄭州全体で400万平方メートルと、ほぼ4~5年分の需要に相当するオフィスの過剰供給が見込まれていた。


在庫が積み上がる売れ残りマンション

・「鬼城は全国に50ヵ所以上ある」。15年末、中国のインタ―ネット上に金融学者が公表した研究結果が話題をさらった。中国で計画中のニュータウンには「34億人が居住可能」という説もある。公式統計をみても、15年末までに積み上がった不動産在庫面積は7億1853万平方メートルと、2年間で5割近く増えた。

 つくりすぎたマンションが売れずに在庫として積み上がり、14年から住宅価格の下落が全国に広がった。それでも不動産投資というカンフル剤に慣れた地方は、なかなか軌道修正できなかった


・14年初め、北京から飛行機でおよそ3時間かけて中国の最貧地域の一つ、貴州省を訪れた。省都の貴陽市では、農地や荒れ地を「夢のニュータウン」に作り替える計画が進行中だった。

 東京都中央区に匹敵する約10平方キロメートルの超大型の不動産開発が少なくとも4つあった。重機で山を切りひらいて高級マンションや500メートル級の超高層ビルを建設していた。工事で巻き上げられた砂ぼこりが街を包み込み、外を歩くだけで目やのどが痛くなる。だが不透明にかすんでいたのは現実の空気だけでなく、貴陽市が描く未来だった。


・地元紙はニュータウン開発で新たに500万人以上の人口を吸収できるという。ところが当時、貴陽市の人口は400万人余りだった。今の街が2倍以上になる想定での建設計画に、市民は「鬼城になりかねない」との不安を洩らした。


<ソロス氏への過剰反応――消えた統計局長が残した言葉>

<中国経済は背の高いイケメン?>

「中国経済は心配ない『高富師(=長身でお金持ちのイケメン)』だ」。

 2016年1月26日午後、北京の月壇公園近くにある中国国家統計局の庁舎で、当時の局長、王保安氏は上機嫌に話していた。15年のGDPデフレーターがマイナスに陥った原因については答えをはぐらかしていたが、「中国経済がハードランディングする恐れはないのか」との質問に対しては、待っていましたとばかりに「高富師」と答えた。


・直前の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、著名投資家のジョージ・ソロス氏が「中国経済のハードランディングは不可避」と発言したからだ。

 1990年代、英ポンドを売り浴びせ、「英中央銀行を潰した男」との異名を得たソロス氏。ちょうど、15年夏の人民元の切り下げや中国の成長鈍化を受けて、元相場の下落圧力や海外への資本流出の動きが強まっていた。上海株も1月に2割下落していた。市場への影響力が大きいソロス氏が「中国売り」を公言したことに、中国当局は激しく反応した。


・ところが、初めての「意見交換」の場が終了してからわずか2時間後、事件は起きた。共産党員の汚職を取り締まる中央規律検査委員会が突然、王氏を「重大な規律違反」で調査していると発表したのだ。身柄を拘束された王氏はすぐに統計局長を解任された。

 財務省時代の汚職問題で摘発されたとされるが、真相は明らかではない。いずれにせよ、政府を代表して「中国経済は『高富師』などと中国指導部のプロパガンダを唱えていた高級官僚でさえ、理由を明確に示されることなく突如、公の場から姿を消し、追い落とされる。体制内の論理を優先する姿勢は、統治にスキを生むリスクを膨らませはしないか。


「中国当局は市場との対話が欠如している」

・実際、人民銀は行き過ぎた元安に歯止めをかけようと、香港など中国本土外(オフショア)の外為市場で異例の大規模な元買い介入を断続的に実施していた。


無茶な元買い介入による大きなひずみ

・その代償は大きい。中国の外貨準備は15年通年で約5000億ドル減り、23年ぶりの減少を記録した。元を買い支える為替介入を繰り返したため外貨準備を大きく取り崩すこととなった。それがかえって海外の投資家が元売りに向かう悪循環を生み、海外への資本流出も続いた。


<中国指導部は「世界の不安」を理解していない>

そして現在。中国当局は麻薬中毒のように、元を買い支える為替加入から抜け出すことができなくなった。米国が中国側の動きを容認するかしないかは本質的な問題ではない。元買い介入を続ける中国当局はその規模など詳細を明らかにせず、「中国経済は安定している」「高富師だ」などと宣伝文句を繰り返す。政策決定が不透明なだけでなく、政策が持続可能かどうか判断する材料も乏しい。

 不透明感が市場に生んだ不安感は、中国の統治が八方ふさがりになるのではないかという不信感をはぐくむ。中国の体制を巡って世界が何を不安に感じているのか。残念ながら、中国指導部が本当に理解しているとは思えない。


新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(2)



『アフターコロナ V字回復する世界経済 』

武者陵司  ビジネス社   2020/6/10




株式資本主義は終わらない!

コロナショックは中国と欧州の没落をもたらし、米国の圧勝で終わる!日本経済は明治維新以来、3度目の大チャンスとなった!


withコロナの時代

・この新型コロナは感染力が著しく強く、ワクチンの完成、集団免疫獲得までは、withコロナの時代が続く。あと半年から最長で3年、この間の経済の完全回復は困難である。人的接触を回避しながら恐る恐る経済活動が再開されても、第二波、第三波の流行が起き、その都度活動は圧迫される。


・世界株価はコロナ感染勃発に4週間で4割という史上最速ペースの暴落となった。しかし、その後2週間で下落の半値戻しを達成、これまた史上最速の戻りであった。


・悲観論の根底には、リーマンショック後の経済成長は禁じ手政策の連発による砂上の楼閣であり、持続性はない、という大局観がある。コロナパンデミックは、いずれ下されるべき審判を速めたに過ぎない、というわけである。

 これに対して私ははっきりと長期経済ブームの波は終わってはいない、コロナの後は再度上昇の波に戻ると主張したい。理由はコロナが歴史の流れを推し進めると考えられるからである。コロナパンデミックという世界的惨事が歴史の流れをせき止めていた障害物を一気に押し流し、長期的に経済成長率を高め、株価を押し上げると考える。


・米国株式を100年単位で振り返ると、20年間で10倍になるという長期ブームとその後の10年間の調整が繰り返されてきた。


・コロナ以前から3つの歴史的趨勢が起きていた。①ビジネス、生活、金融、政治のすべてを覆いつくすIT・ネット・デジタル化、②財政と金融の肥大化による大きな政府の時代、③中国の孤立化と国際秩序・国際分業の再構築である。しかしこうした歴史的趨勢は、牢固な障害物により展開を阻まれ、それがここ10年近く世界経済の桎梏となっていた。障害物とは、ネット化に対して既存の慣習・制度・変わりたくない抵抗勢力、大きな政府に対して健全財政信仰、緊縮金融信仰、中国抑制に関しては中国経済力の脅威、中国の横車・恫喝等である。


・コロナでインターネット活用とデジタル化の障害物、古い制度・慣習・変わりたくない抵抗勢力が吹き飛んだ。


よって財政と金融双方の拡張政策で余っている資金を活用し、需要を喚起することが必要であった。遊んでいた資本と供給力が活用されることで、景気はコロナ感染前より良くなる。財政節度という今の時代にまったく適合していない呪文から解き放たれることは、本来最も必要なことであった。大恐慌が「ゆりかごから墓場まで」の近代的社会保障制度の起点になったように、コロナパンデミックが社会的セーフティーネットの飛躍的拡充、ユニバーサル・ヘルスケアの登場、ユニバーサル・ベーシックインカムの時代を開くかもしれない。


株価暴落の本当の理由

株式益回りーボラティリティコスト=10年国債利回り

この式が意味するのは、「株式の債券に対する超過リターンは、株式で発生するボラティリティコストによって相殺されている」ということだ。したがって、株式の益回りと10年国債利回りの乖離が大きければ大きいほど、ボラティリティが高まることになる。10年国債利回りが低く、株式の超過リターンが大きくなれば、投資家はレバレッジを高めてでも株式に投資し、より大きなリターンを追求しようとする。

しかし、この手のハイレバレッジポートフォリオがもたらす高いリターンは、時折、株式市場を襲う大波によって失われてしまう。まさにボラティリティがコストになる瞬間である。

そして、このボラティリティコストを通して、株式に存在する超過リターンは金融機関、投資家といったさまざまな市場参加者に再分配されるというメカニズムがビルトインされていると考えられる。2018年2月のVIXショックなど、ファンダメンタルズでは説明がつかない市場の暴落は、ここ数年来の株式市場にビルトインされたメカニズムによるものだろう。


AIトレーディングと自社株買いの影響

・市場のボラティリティを高めている要因はほかにもある。

 まず、AIがトレーディングの主役になったことだ。かつてゴールドマン・サックスには500~600人のトレーダーがいたのに、今ではたったの2~3人といわれている。CTA(商品投資顧問業者)やリスクパリティといった投資ファンドの運用者は、ほぼすべてAIに置き換えられた。こうしたAIによるトレーディングは、極めて短時間で巨額の資金を動かすため、価格変動を大きなものにしてしまう。

 加えてETFを中心としたインデックス運用が、株式市場の資金流入経路の中心になったことも、ボラティリティを高めている原因のひとつだ。


・そしてもうひとつの無視できないのが自社株買いの動きだ。

 米国の株式市場において自社株買いは、ここ数年、唯一といってもよい圧倒的な買い主体であり、対照的に家計と投資信託は継続的な売り主体であった。


リーマンショックとの違いとリスク要因の整理

・このように今回の株価暴落は、米国経済のファンダメンタルズが悪化する懸念が高まって引き起こされたというだけではなく、株式市場にビルトインされたボラティリティを高めるメカニズムによって誘発された可能性が高い。


・米国経済のファンダメンタルズは、十分にしっかりしている。

 ただ、第二波、第三波とパンデミックの制圧に手間取り、人的接触遮断が長く続き、想定していた以上に経済の回復力が弱く、株価の戻りが叩かれるというリスクは念頭においておく必要はあるだろう。


変わるものと変わらないもの①~世界のレジーム転換について

・私は、株式資本主義を強化してさらに国力を強めていく米国と、ユーロの呪縛から解き放たれた英国がアングロサクソン連合をより強固なものとして、新たな世界秩序を構築し、経済の発展に寄与していくと考えている。

 さて、私たちの日本はどうなるのか。強化されたアングロサクソン連合のもと、日本はアジアにおける地政学的優位性を維持するためにも、特に米国にとってはなくてはならないパートナーになる。今までそうであったが、パンデミックが一段落した後、日本の地政学的プレゼンスは一段と強まっていくだろう。


変わるものと変わらないもの②~個人の生活とビジネスモデル

・個人の生活やビジネスモデルに関してはネット化、デジタル化が急速に進展するだろう。最も大きく変化するのは私たちのライフスタイルであり、働き方だ。


変わるものと変わらないもの③~財政政策における「禁じ手」の解禁

・この10余年で、2回のショックが世界を襲ったことになる。ひとつがリーマンショックであり、もうひとつが今回のコロナショックである。両者の違いについては前述したとおりだが、この2回のショックは経済政策において歴史的な意味合いを持っている。それは財政策と金融政策の「禁じ手」が完全に解禁されたことだ。


・財政政策の禁じ手が解禁されたことによって、米国経済はより力強さを増すはずだ。そして、日本経済もその恩恵に浴することになる。


成長の壁にぶつかる中国経済

中進国の罠

・中国の国民1人当たりGDPは、2019年で1万263ドルなので、中進国上位の水準に達している。中国経済も中進国の罠に陥り、深刻な経済停滞を余儀なくされるのではないだろうか。

 ただし現時点において中国は、新型コロナウイルスを抑え込むことに成功している。


価値創造ができない中国の悲劇

・しかし共産党一党独裁制を維持している限り、短期的に景気回復が実現できたとしても、その持続難しい。中国は民主主義と市場経済を軸とした西側経済のフレームワークから締め出され、経済困難➡金融困難➡通貨困難➡社会不安➡体制危機と続く、崩壊過程に入っていく可能性が高いのではないか。


・中国経済の根本的な問題点は、価値構造の仕組みがないことにある。中国における価値創造のメカニズムは2つの観点から欠陥品と言わざるを得ない。

 その第一は棚ぼた、ただ乗り(フリーライド)を前提としたビジネスモデルだということである。棚ぼたがいつも与えられるという甘えた企業DNAは持続性がない。


・第二の価値創造を阻害する問題点は政府、共産党の強力なビジネス介入、指図がイノベーションを殺してしまうということである。


中国経済に突破口はあるのか

・では、これらの突破口を中国はクリアできるのだろうか。

 一帯一路構想と人民元経済圏の確立。そしてハイテク分野における覇権の獲得。これらをすべて中国が手にするということは、中国が覇権国として世界を支配するのと同じ意味を持つ。


だから米中は今、激しく対立しているのだ。米国にとっては、ドルの基軸通貨体制による覇権国の座を、みすみす中国に渡すわけにはいかない。だから米国は、中国に対する締め付けをどんどん厳しくしているのである。米中は正面衝突コースを歩んでいるといわざるを得ない。


徐々に狭まる中国包囲網

・米中貿易戦争は終わらない。中国にとって最大のお客様だった米国は、中国に対して市場を閉ざしてしまった。米中貿易戦争が長引けば長引くほど、高関税の対象範囲がどんどん拡大され、ますます中国の対米輸出は困難になっていくだろう。コロナ発生以降、欧州諸国も中国供給依存体制のリスクを思い知らされており、中国の対欧州輸出にもブレーキがかかるのは必至である。

 資本の流れに関しても、これまで以上に中国への資金流入は減少していくだろう。


・加えて中国が一帯一路プロジェクトの一環として展開していた新興国に対する投資、融資は回収が困難である。コロナショックにより世界経済の需要が蒸発したが、そこで失われた労働集約的製品やエネルギー、鉱物資源を提供している諸国のダメージは大きい。


・今後は中国の競争相手として台湾、ASEAN諸国などが浮上し、両者間で価格競争が高まっていくのは必定だ。そうなれば中国の貿易、経常収支は悪化し、外貨市場におけるドルの調達難が一段と進行するはずだ。それは中国国内の金融市場における緊張を高め、バブル崩壊の土台を作る。また、度重なる財政出動と公的部門による投融資は、財政バランスを急速に悪化させていく。

 ますます中国経済は隘路にはまり込み、いずれ習近平体制も存続の危機を迎えることになるだろう。


グローバルプレイヤーとしての適格性と習近平体制への疑義

さらに新型コロナウイルス問題は、グローバルプレイヤーとしての中国の適格性に対して疑問を投げかけることにもなった。今世界は、感染拡大を抑えることに全力を尽くしている局面だが、感染拡大が落ち着いてくれば、今度は犯人捜しが始まる。

 そもそも新型コロナウイルスの発生源は何なのか

 なぜ感染が世界中に拡大してしまったのか。

 これらは将来のウイルス感染予防の上でも、ぜひ解明すべきことである。


このように新型コロナウイルスに関しては情報統制、捏造、隠蔽によって中国当局、平たく言えば習近平体制を守るための圧力が至るところに感じられる。

 新型コロナ発生源・発生自縄自縛の隠匿、感染対応の初動の情報統制による遅れなどから、中国習近平政権が歴史的パンデミックの第一義的責任を負うことは国際的には周知となった。ところが潔くそれを認めるわけにはいかず、それどころか居直りを決めたようである。武漢ウイルス研究所からのウイルスの漏出か、細菌兵器開発の過程での漏出か、何か秘密にしなければいけない事情があるのだろうか。それとも国内政治配慮から強硬姿勢をとらざるを得ないのか。「あたかも放火犯が消防士を装うごとき」(FT)習近平政権の態度は、国際的孤立を加速させている。それなのにかえって南沙諸島の領有権強化、香港での民主派拘束などの強硬姿勢を強めている。


WSJコラムニスト、政治学者のウォルター・ラッセル・ミード氏は、21世紀は生物兵器の時代であり、それに備えなければならないと主張している。某国の科学者がコロナのようなウイルスとワクチンを開発し、ウイルスを敵国に流す一方、自国民や友好国民はワクチンによって守られる」という世界があり得るのだと言う(4月28日)。それはまさしく中国を念頭に置いての主張である。トランプ大統領やポンペオ国務長官が武漢でのウイルス発生事情を追求し、ウイルス研究所の査察まで求めるのは、生物兵器化の懸念を持っているためだと思われる


・国際社会は、このように自国に不利な情報を徹底的に隠蔽しようとする体制の存続を歓迎しない。このパンデミックは、習近平国家主席を頂点とする中国共産党、そして中国という国家がグローバルプレイヤーとして不適格であることを、はからずも露呈させることになったといえる。1986年に起こったチェルノブイリ原発事故は、旧ソビエト連邦体制の情報隠蔽体質の弊害を露呈させ、ソ連崩壊の原因になったといわれている。

 新型コロナウイルス問題が習近平強権体制にとって、チェルノブイリと同じような役割を果たすかもしれない、との指摘がFTなどのメディアに現れている。


ひとつのアキレス腱、香港

・新型コロナウイルスのパンデミック化によって、2019年3月から2020年1月まで連日のようにテレビや新聞で報道されていた香港民主化デモの消息が途絶えた。パンデミックによりデモはいったん終息し、その間隙を縫って香港政府と中国指導部は人権派の拘束、弾圧に乗り出している。しかし香港情勢、香港民主化運動とそれに対する中国政府の対応の重要性はまったく変わっていない。


・実際、米国はこのデモを受けてアクションを起こした。2019年11月に米トランプ大統領が署名して成立した「香港人権・民主主義法」は米国務省に、香港における「一国二制度」が機能しているかどうかを検証する年次報告書を作成するように義務付けた。そして機能していないと判断されれば、香港が受けている関税などの優遇措置、および金融的なステータスを見直すというものだ。

 もし、この法律が適用されれば、中国は香港経由でドル資本が調達できなくなる。そうなると中国共産党は、香港の人権派を徹底的に弾圧することができなくなる。一方、香港の人権派は、香港の立ち位置を利用して中国共産党に徹底抗戦し続けるはずだ。この問題は、当時の最高指導者だった鄧小平が香港で共産主義を実施しないことを確約した期限である2047年までは、ほぼ平行線をたどることになるだろう。


中国分裂リスク

・習近平体制が今のままの政策を続けるとしたら、中国は、西側資本主義のフレームワークから孤立化していくだろう。その先に待っているのは経済的困難である。そうであるならば、中国国内の政治家、官僚たちが習近平体制にこだわり続ける理由はなくなる。

 政変によって習近平体制を一新し、他のリーダーを据えて国際社会と連携を図ろうとすることも起こり得るのではないだろうか。この場合、習近平国家主席はスケープゴートとなり、政治の表舞台からは完全に消えることになる。


・とはいえ、人口14億の中国が民主化を推し進めることは容易ではない。

 そもそも、あれだけの大国を誰がどういう形で統治していくのかという難問に直面するだろう。前述したように過剰な投資によって蓄積された巨額な債務問題、不良債権処理、いずれ膨張するであろう経常赤字、生活拠点の国外移転、そして根強く残されている所得格差など、乗り越えなければならない問題は山積みとなっている。

 その結末は、これまでの共産党一党独裁に対する不満として民主革命が起き、それを抑えるために共産党が再び独裁を強化するというシナリオも出てくる。これは最悪のシナリオで、下手をすれば中国が北朝鮮化する恐れがある。

またかつてのソビエト連邦と同じように、現在は中国共産党と人民解放軍の圧力で抑えている自治区の独立運動が加速して、広大な中国の領土がどんどん小さくなっていくという分裂シナリオも想定できる。


・かつて東側の盟主だった旧ソビエト連邦は、ロシアのウクライナ、カザフ、ジョージア、ラトビア、エストニアなど、民族によって15の共和国から構成されていたが、1991年12月にソビエト連邦が解体されたことによって、各構成共和国は主権国家として独立した。


・それと同じことが、今後の中国にも起こり得る。このようにみていくと、中国が今の経済力を維持できるかどうかは、はなはだ疑問である。


一段と有利になる日本の立ち位置

中国の台頭で再び強まる日米関係

・さて、その「日米安保ビンのふた論」によって、日本が米国からひたすら叩かれる時代が今も続いているのかというと、そんなことはない。かつての「日本脅威論」も今は昔で、日本経済のプレゼンスは大きく後退した。今の日本が、米国にとって脅威となるような要素は、ほとんど見当たらない。

 しかし、その一方で新たな脅威が浮上してきた。それは本書でも何度か触れているが、中国の存在である


トランプ政権になり、米国が中国を明らかな脅威とみなすようになったことで、米国と日本の関係は、これからますます密接になっていくだろう

 前述したように、明治維新以降近代日本の経済は、スーパーパワーとの関係性を通じて大きく発展してきた。したがって、これからの日本経済の行方を考えるうえで何よりも大事なのは、この世界で一体誰がスーパーパワーなのかということだ。

 現時点において、スーパーパワーを名乗れるのは米国と中国くらいのものだろう。EUを中心とした大陸欧州の先行きは厳しい。米国はブレグジットによってプレゼンスを高めていくと思うが、スーパーパワーではない。そして中国は、この先、非常に厳しい試練が待ち受けており、スーパーパワーにのし上がる可能性は極めて低い。強大な軍事力、強い経済力、巨大な消費マーケットを有している米国は、やはり世界唯一のスーパーパワーなのである。

 それは日本の将来展望にとって、最も重要な構成要素になるはずだ。


バブル崩壊後の「失われた20年」は「日本企業を鍛えた20年」だった

・1990年代からアベノミクスがスタートした2012年までの20余年を指して、多くの人は「失われた20年」というイメージを抱いている。

 しかし私は決して、失われた20年だとは思っていない。この20年はむしろ「日本を鍛えた20年」だと考えている。この20年間という長期にわたる艱難辛苦があったからこそ、アベノミクスを導火線にして、日本経済は大きく回復してきたのだ。それは、新型コロナウイルスによる経済へのダメージにも耐えうるほど強いものであると確信している。

 仮にこの20年間、何の努力もしてこなかったとしたら、いくらアベノミクスで金融緩和を大胆に行ったとしても、景気が力強く反発するようなことにはならなかっただろう。多くの日本企業は試練に耐え、日本の国民、労働者は粛々と逆境を受け入れ、空前のコスト削減を達成した。この劇的なまでのコスト構造の転換を可能にしたのは、生産性の上昇、流通の効率化、そして規制緩和である。

 コスト構造を転換した結果、何が起きたのか。

 1990年代初頭、世界でも有数の高物価・低効率国だった日本の物価が下がり始めたのだ


・実際、日本企業はそれ以降の20年間に、大変な努力を積み重ねて、世界でも有数の低コスト国になった。購買力平価で見ても、1990年代初めの1ドル=210円台から、2012年には1ドル=120円台まで円高が進んでいるので、米国との比較で言うと、日本の物価は過去20年間で大幅に下がったことになる。つまり、日本の高物価、高コスト構造が飛躍的に改善されたのだ。

 もちろんその裏では、日本企業の絶え間ない努力が積み重ねられてきたわけだが、その結果、今の日本企業はバブル期にかけて付いた贅肉を削ぎ落し、世界的に見ても極めて競争力の強いスリム体質を身に付けたことになる。


・どうして、ここまで物価を下げることができたのか。

 第一に、ユニット・レーバー・コストが低下したことが挙げられる。ユニット・レーバー・コストとは、「生産1単位あたりに要する人件費」のことだ。つまり企業が一定数量のモノを作るうえで必要になる賃金である。

 ユニット・レーバー・コストを引き下げるためには、仮に人件費が変わらないとすれば、生産性を引き上げることによって実現できる。つまり同じ賃金で、より多くのモノを生み出せれば、ユニット・レーバー・コストは下がる。また、生産性が変わらないのであれば、賃金を引き下げることで、やはりユニット・レーバー・コストは低下する。

 日本の場合、他の主要国に比べて労働生産性が上昇する一方、1人あたりの雇用者報酬が低下した。そのため、他の国に比べてユニット・レーバー・コストが劇的に低下した。


第二は、高コスト構造の是正が進んだこと。企業の間接費、販売管理費の削減が大きく進展し、流通革命も起こった。その象徴がSPA(製造小売業)という新しいビジネスモデルの急成長だ。ユニクロブランドで有名なファーストリテイリングやニトリなどは、製造から小売りまでを一貫して手掛けることによって、徹底した流通の効率化と商品の低価格化を実現した

 また、インターネットを活用した電子商取引(Eコマース)が当たり前になり、小売り市場で激しいシェア争いを展開しているコンビニエンスストアも、かつては多段階だった流通経路を大きく簡略化した。その結果、流通の効率化が大きく進展し、コストを下げる効果をもたらしたのだ。


そして第三は、規制緩和が進展したことだ。もちろん、これは時間のかかる作業になるため即効性はないものの、たとえば公共料金の内外価格差の縮小などは、まさに規制緩和と競争促進政策を導入したことによる賜物と言える。かつて世界で一番高かった東京の地下鉄料金は、今ではニューヨークやロンドンのほぼ半分になっている。

 これらの努力を積み重ねた結果、今の日本経済は世界で最も筋肉質な経済体質を持った国になったといっても過言ではない。


ジャパン・アズ・オンリー・ワンの開花

・しかし、だからといって悲観する必要はまったくない。日本はJapan as Number Oneになれなくても、すでに「Japan as Only One」になっているものがたくさんあるからだ。

 日本には世界的ハイテク株ブームを牽引するメガプレーヤーが不在だが、メガプレーヤーを支える基盤技術、周辺技術に関して圧倒的な部分を日本が担っているのも事実である。この基盤・周辺分野は、ひとつひとつの商品分野はニッチ・小規模だが、価格競争が及びにくく、技術優位と価格支配力が維持しやすい分野である。

 このように国際分業において日本がハイテク・ニッチ・ハード部門でプレゼンスを築いたことが、日本の企業収益に大きく寄与している。日本のハイテク製造業は、大企業であっても多数のニッチ基盤、周辺技術分野に特化しているのだ。


・たとえばエレクトロニクス分野について考えてみよう。

 日本はデジタル分野の中枢である半導体や液晶テレビ、スマートフォン、パソコンなどの最終製品では、グローバルな競争に完敗したが、それは価格競争で太刀打ちできなかったからだ。

 では、デジタル分野の中枢でプレゼンスを失った日本が一体どこで生き延びているかというと、デジタルが機能するためのインターフェースである。インプットインターフェースとしての各種センサ類、アウトプットインターフェースとしてのアクチュエーター(モーターなど)で、日本企業は圧倒的な競争力を有しているのだ。

 あるいはさまざまなデジタル製品を作るうえで必要不可欠な素材、部品、装置などでも強みを発揮している。こうしたハイテクを支えるピラミッド型産業集積において、すべての要素を備えているのは世界でも日本だけだろう。


・これらの分野では多様な技術的差別化が求められ、素材や仕組みなどを駆使して、日本の得意分野である「擦り合わせ」が有効に働く。日本企業はこうしたポジションンにシフトすることで価格競争から脱し、技術や品質の優位な分野にビジネスモデルを特化させてきた。

 この考え方は、恐らくサービス業やその他の分野においても当てはまることであり、ここに日本の強みがあると考えられる。

 たとえば環境ビジネスで、日本の優位性は顕著だ。飲料水不足を解消する純水装置、海水淡水化用の逆浸透膜、再生可能エネルギー分野など、いずれも日本企業が世界で大きくリードしている。

 サービス産業も日本のお家芸だ。確かに、日本のサービス産業は生産性が低いと言われているが、それは日本のサービス業の売値が低く、低付加価値を余儀なくされているからだ。その元凶は円高デフレにあるが、今後ドル高が進めば円高デフレの影響は徐々に軽減されていく。そうなればサービス業の売値も上がり、生産性は上昇に転じるだろう。


日本が観光分野で優位に立てるポテンシャルは、十分にあるのだ。その証拠に、新型コロナウイルスパンデミック直前まで、日本を訪れる外国人観光客は過去最高を更新し続けていた。外国人観光客は、パンデミックの終息とともに再び日本を目指すだろう。

 このように、日本は唯一無二ともいうべき魅力的な資源をたくさん持っている。それをいかに活用していくか、皆で知恵を絞ることによって、日本経済にはまだまだ成長する余地が残されているのだ。


向上する日本企業の収益力

・少し前になるが、2018年4~6月分の法人企業統計が同年9月3日に公表されたとき、海外メディアは日本企業の利益率上昇に驚愕した。売上高経常利益率は全産業(除く金融保険)で7.7%、製造業で10.5%といずれも過去最高を記録したのである。

 日本企業の売上高経常利益率は、高度経済成長期からリーマン・ショック前後まで、2~4%の水準で推移していたことを考えると、アベノミクスがスタートしてからの5年間で2倍以上に上昇したことは画期的である。


・グローバル投資家と多くのエコノミストは、利益率の急伸をもたらしている根本原因を見落としているのではないか。その根本要因とは、日本企業のビジネスモデルの大転換であり、それに伴う海外企業収益の甚大な寄与ということである。そうだとすれば、日本企業の利益率の向上は健全であり、持続性があると考えられる。

 日本の企業収益が歴史的増加局面にあることは、前述の法人企業統計の経常利益率のみならず、日銀短観などにおいても観測できる。それと連動して、ROEが着実に上昇しており、東証上場企業合計のROEは、2017年度に9.1%と過去最高を記録した。

 この収益性向上の本質をどのように理解するべきであろうか。それは採算性つまり現界利益率の急速な向上が原因であり、それは前述の日本企業のビジネスモデルの大転換と、海外利益の寄与によってもたされたと考える。


・大企業の損益分岐点売上高比率は1960年代以降、80%程度で推移していたが、2017年度には60%まで急低下している。

 では、ここ数年の限界利益率の顕著な上昇は、何によってもたらされたのだろうか。これについては2つの要因が指摘できる

 第一は日本企業の価格支配が飛躍的に高まっていることだ。前述したように、今の日本企業は価格競争から脱却し、技術品質優位に特化するオンリーワン戦略にシフトしているため、価格競争にさらされることはなく、価格支配力を維持できている。日本企業が手掛ける製品・サービスの希少性が高まっているのも、その一因だ。

 第二はグローバリゼーションの進展によって、海外部門の利益寄与が向上したことだ。


・海外進出企業における海外生産比率は、1980年代の10%台、1990年代の20%台から直近ではほぼ4割まで上昇した。また海外雇用人員は、2010年代に入りほぼ550万人で頭打ちとなっており、日本企業のグローバル・サプライチェーンはほぼ確立し終えたとみられる。


過去20年間に、日本ほど価値創造の仕組みを転換させてきた国はないだろう。別の言い方をすれば、国際分業との関わり方が劇的までに変化したということだ。

 2000年までは輸出主導、価格競争力主体で関わってきたのが、貿易摩擦と円高でその基礎が根底から崩れ去り、国難に等しい価値創造モデルの崩壊に遭遇した。そこから、新たに立ち直ったのである。

 まとめると、その第一の要因は技術品質に特化した非価格競争、オンリーワン商品への大シフトであり、第二の要因は海外現地生産を含むグローバル・サプライチェーンの確立である。各国で最適立地に基づいて工程分業を展開し、日本の本社が全体をオーガナイズするという企業内国際分業体制は、日本において最も発達したビジネスモデルといってよいだろう。


人口減少は大きな問題ではない

さて、もはや日本経済の発展は間違いないことがお分かりいただけたのではないだろうか。


・1990年以降、日本と米国の関係性は一時的に困難な状況になったが、今は中国が思い抱いている世界支配の野望を食い止めるため、再び強力なタッグを組むようになった。そこにかつての覇権国である英国が加わる。希望的観測を交えて、あえて図式化すれば、これからの世界経済秩序は、米英日の三極主導で再構築が進むというのが、私の大局観である


・確かに、日本の人口は今後、長期的に減少傾向をたどっていく。2010年、日本の総人口は1億2805万7000人だったが、2020年は1億2410万人まで減少、その核はあくまでも推計値だが減少傾向が続き、2030年が1億1661万8000人、2040年が1億727万6000人となり、2050年には1億人割れの9707万6000人、そして2060年は8673万7000人まで減少する見通しだ。

 これまで経済成長著しかった中国が、14億人という巨大な人口を抱えていたことから、人口の多さが経済成長率を高めるというイメージを持っている人もいるようだが、これは明かに間違いだ。中国の高い経済成長は、あくまでも外国、特に米国からの技術移転と資本導入、そして米国という巨大マーケットの開放によるものであって、人口が多いからではない。

 人口が将来的に減少傾向をたどるからといって、経済の成長率が低下の一途をたどる、ということでもないのである。

 では、人口の多寡が経済成長を規定するのではないとしたら、何がここでポイントになるのであろうか。


それは提供している商品の代替不能性である。代替不能性とは、つまり希少性のことだ。他国の企業では真似できないような製品、素材、部品などを提供できれば、それは代替不能性が高いということになる。代替不能性の高い製品を提供できれば、強力な価格支配力を持つことができる

 つまり商売相手は、言い値で買わなければならないのだ。それは、他に行っても買えないからである。日本の特に製造業は、代替不能性の高い製品を、国際分業の仕組みのなかで提供している、


逆に、最も代替不能性が低い、つまりいつでもどこででも替えが効くものは何かというと、「労働力」である


・したがって、労働力が潤沢にあるから経済が強いというのは、まったくの幻想である。たとえ人口が少なかったとしても、代替不能性が高い製品をどんどん生み出せば、その国の経済はどんどん強くなるはずだ。つまり人口と経済成長率との間には、何の関連性もないのである。

 それでも「人口が増えなければ需要が増えない。だから経済成長は落ちていく」という意見も出てくる。が、その考えも間違っている。仮に人口が倍になったとしても、生活水準が半分に落ち込んだら、経済は成長しない。逆に人口が半分に倍になったとしても、生活水準が4倍になれば、液剤規模は倍になる。つまり、経済成長を決めるのは人口ではなく、国民1人当たりの生活水準であり、1人当たり生活水準は仕事の代替不能性によって決まると考えるべきなのだ。


・かつて、BRICsをはじめとする新興国経済が注目を集めたことがあった。そのときのロジックは、「人口が多い国ほど経済成長が期待できる」ということだったが、それは間違っている。

 新興国から代替不能性の高い製品が生まれてくる可能性は、極めて低いだろう。基本的に新興国は、中国がそうだったように先進国の製造拠点であり、自ら積極的に研究開発を行うことによって高い付加価値を生み出すところまで行けていない。したがって、この分野は基本的に先進国の独壇場である。そう考えると今後、新興国が先進国を追い抜くどころか、逆に先進国と新興国との経済格差は、広がる一方であると考えることができる。

 世界を見渡したとき、代替不能性の高い商品を持っている国は、まず米国であり、それに次いで日本だろう。それだけ優位にある日本の経済が、長期的に人口が減少するから大きくシュリンクしていくなどと言うのは、まったく道理にかなわぬ悲観論といえる。

 新型コロナウイルスのパンデミックが一段落すれば、日本経済は米国経済とともに、力強く回復軌道を描いていくだろう。


新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。(1)



『3年後に世界が中国を破滅させる』

島田洋一  ビジネス社  2020/8/26




習近平の中国共産党は3年後に滅びる

・気鋭の学者、島田洋一氏が喝破する。

 「ナチスには海軍力がなく、ソ連には経済力がなかった。中国はその両方を兼ね備えた文明史上最大の脅威だ」

 にもかかわらず氏は、習近平の中国共産党は3年後に滅びると断ずる。


習近平は眠りを殺した

・米リベラル派は2016年の大統領選で「あのトランプ」に負けたことがどうしても受け入れられず、以来、無理な陰謀論や些末な揚げ足取りに血道を上げてきた。アメリカの大手メディアは、ウォールストリート・ジャーナル紙、FOXニュースなど一部を除いて、軒並み民主党支持、反トランプである。

 それら米主流メディアの論説をより単純化して受け売りする日本のメディア(産経など例外はある)に情報を頼ると、間違いなくアメリカ認識を誤ることになる。


・トランプ政権の国連人権理事会および世界保健機関(WHO)脱退は、日本では、「またトランプが世界の重要課題に背を向けた」と批判的に論評されるのが普通である。しかしいずれの脱退も、中国の策動と密接に絡んでいる。いまだ国連信仰に安住している日本では、その意味が十分理解されていない。


ナチスには海軍力がなく、ソ連には経済力がなかった。しかし中国はその両方を兼ね備えている。文明史上最大の脅威と言ってよい。

「肉を切らせて骨を断つ」姿勢を相当期間維持できなければ、独裁体制を倒すことはできない。中国台頭の規模とペースを考えれば、おそらくいまが最後のチャンスだろう。トランプ政権と共和党指導部は、その意識のもと、戦う意志を固めている。

 その点、日本の有力政治家や経済界のリーダーから、「米中とも冷静さを取り戻し、早く事を収めてほしい」といった言葉が出るのは情けない。

 軍事以外は途上国だったソ連とGDP世界第二位まで成長した中国では体制の強靭さが違うといった議論もよく聞かれる。しかし多くの国民が豊かさに触れた中国の方が経済悪化への耐久力は弱いともいえる。中国で独裁体制が崩れれば、その支援に頼る北朝鮮、イラン、ベネズエラなどの「連鎖倒産」も期待できよう。


「戦狼外交」とは何か

中国外交は、野望を隠して相手を油断させ、利用していく鄧小平以来の「韜光養晦(とうこうようかい)」戦術を捨て、露骨に脅し付け、嫌がらせをし、平伏させる「戦狼」外交へと変貌を遂げた。

 戦狼精神は中国国営メディアの命名で、人民解放軍特殊部隊の元隊員がアメリカ傭兵部隊などを相手に戦う映画シリーズに由来するという。

 かつて私は、福田康夫政権の対外姿勢を「全方位土下座外交」と名付けたが、戦狼外交はその“真逆”と言える。いわば「全方位威嚇外交」である。


「異質」の根源――ファシズム国家中国

・中共の本質をどう捉えるべきか。

 現代中国は非常に危険な段階に入った「先進ファシズム」体制と言えるだろう。

 この「ファシズム」という用語は、中共が特に対日歴史戦においてキーワードとしてきたものである。中共のプロパガンダ(政治宣伝)戦に対抗する上で、この言葉の正確な理解は欠かせない。

 中国政府の公式見解によれば、第ニ次世界大戦は日独伊という「邪悪、闇、反動」を体現するファシズム勢力に、中ソ米英ら「正義、光、進歩」を体現する勢力が立ち向かった「世界反ファシズム戦争」ということになる。


・国際政治は、先進自由主義陣営と先進ファシズム陣営が雌雄を決する時代に入った。文明対ハイテク野蛮の決戦と言ってもよい。中共が勝利すれば、自由で人間的な文明は地を払う。ナチス・ドイツは海軍力を欠き、ソ連は経済力を欠いたが、中国はその両方を備え、日々増強を図っている。

 中国も経済発展すれば徐々に自由民主化する、だから積極的に成長を支援すべきという発想は過去半世紀における最大の誤りだった。

 一党独裁のファシズム国家を経済発展させれば、先進ファシズム国家に変貌するだけなのである。


前哨戦を戦う香港市民

自国民の人権を平気で蹂躙する体制が、他国の権利や国際ルールを尊重するはずがない。中共の対外行動のルーツは中国内部に窺うことができる。

 先進ファシズムとの決戦の前哨戦が戦われてきたのが香港である。

 2020年5月28日、中国共産党の下部組織である全国人民代表大会(全人代)が、「国家安全法」の香港への導入方針を承認した。


「香港国家安全維持法案」は非常に広範かつ曖昧な内容である。例えば、最高無期懲役など厳罰が科せられる「国家分裂」を煽る行為には、香港独立を主張した場合だけでなく「その他の地域」すなわちウイグルやチベット、台湾の独立を支持する言動も含まれる。

 また外国人が外国で中国政府や香港政府に「憎悪を募らせる」言動をしたり「香港または中国に対する制裁」を唱えたりした場合も処罰対象となる。外部世界にもはっきり牙をむいた「戦狼法」と言えるだろう。


中国市民に独裁打倒を呼びかける米政府高官

・こうした認識から、解決は中国の体制転換しかないとの考えがトランプ政権中枢部からも打ち出されるに至った。香港の自由を回復するには、中国全体を自由化するしかない。

 マット・ポティンジャー大統領安保副補佐官のオンライン講演がその代表である。


・私は、ポティンジャーとはホワイトハウスに隣接するNSCの会議室で二、三度会ったことがある。北朝鮮による拉致被害者家族会、救う会、拉致議連訪米団の一員としてだった。決して大柄ではなく、人懐っこい笑顔の持ち主だが、テロ勢力と直接戦うため報道の世界を離れて海兵隊に入った経歴が物語るように非常に芯が強い。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルの記者として中国駐在中は、民主活動家との接触などを理由に当局の苛烈な取り調べにさらされている。中共の弾圧を身をもって味わった人物が政権中枢にいるのは心強い。


・なお人口14億の中国で普通選挙を実施すれば大変な混乱に陥ると強権体制を擁護する向きもあるが、ほぼ同人口のインドで現に民主選挙が実施されている。インドにできて中国にできない理由はない。

 理想は、中国全体が自由民主主義体制という「一制度」に変わることである。しかし「一国」のまま留まるかどうかは住民の判断になる。中国が民主化される過程で、旧ソ連同様、いくつかの主権国家に分裂する事態もありうる。かつて李登輝元台湾総統が、一例として中国の八分割を示唆したこともある。


ウイグル人弾圧が示唆する未来

・アメリカでは、「香港人権民主法」の成立(2019年11月27日)に続き、2020年6月18日、「ウイグル人権政策法」が成立した。中国の新疆ウイグル地域の人権状況に関する報告書を180日以内に議会に提出するよう求め、ウイグル人弾圧に関わった中国当局者を特定して資金凍結やビザ取り消しなどの制裁を科す内容である。

 熾烈な政争を続ける中でも、こうした法律は超党派で成立させてくる米議会に、日本の国会も学ぶべきだろう。


・なおよく、中国が北朝鮮の体制崩壊を望まないのは、難民の大量流入を恐れるためと解説する人がいる。これまた中国発のプロパガンダと見なければならない。難民対応が難題となるのは、人権を重視する国に限られる。中国政府の場合、躊躇なく物理的暴力で難民の流れをせき止め、追い返すだろう。現に国連難民条約に違反して、脱北者を強制送還し続けている。自国籍のウイグル人を強制収容する中共が、北朝鮮難民の保護に意を用いるはずがない。


武漢ウイルスの毒

・トランプ大統領は、米国で武漢ウイルス禍の続く2020年5月14日、FOXニュースとのインタビューで、「この感染症は中国政府の不当な工作がなければパンデミックにはならなかった」とした上、「中国とのすべての関係を断つこともできる」と大きく踏み込んだ発言をした。

 WHO脱退や対中制裁の一段の強化を打ち出した5月29日の演説でも、「中国は武漢から中国内の他の地域への移動を禁止しながら、ヨーロッパやアメリカへは自由に旅行させた」「世界は中国政府の不法行為の結果、苦しんでいる。武漢ウイルスに関する中国の隠蔽工作が病気を世界に拡げ、世界的流行をもたらした」とはっきり中国政府を名指しで非難している。

 武漢ウイルス蔓延の結果、アメリカは歴史的な低失業率を誇った状況から、大恐慌の再来を思わせる苦境へと一気に突き落とされた。その責任は中共にあるとするのがトランプ政権のみならず米保守派の一般の認識である。

 中国政府が意図的に武漢ウイルスの国際的拡散を図ったとする証拠はない。しかし実態としては、アメリカはじめ各国に「生物兵器戦争」を仕掛けたと同様の結果になった。経済のみならず軍事面でも具体的被害が生じている。


・大量破壊兵器は、核、化学、生物の三種からなる。この内、核ミサイルは瞬時に巨大な破壊を引き起こすものの、「リターン・アドレス付きの攻撃メール」と評されるように、誰が放ったかが明白なため、相手が核保有国の場合、破壊的な報復を覚悟せねばならない。

 その点、生物兵器は、効果が出るまで時間がかかる一方、いつ誰がどこで攻撃に出たかが分かりにくい。


・新型コロナウイルスが、一部専門家の示唆するように、武漢ウイルス研究所その他中国の公的機関から漏れ出たものかどうか、さらには生物兵器に関連したものだったかどうかは分からない。一党独裁下では透明性のある調査はもちろん期待できず、現体制が続く限り、真相は藪の中にとどまろう。

 いずれにせよ銘記すべきは、武漢ウイルス禍のような事態が、意図的な生物兵器攻撃としても起こりうることである。軍事的意味を念頭に置いた対応が必要なゆえんである


ファシストには便利な「人口調節ウイルス」

発生源となった中国はいち早く収束宣言を出し、他国に先駆けて経済活動の正常化を図った。習近平国家主席が収束に向け陣頭指揮するパフォーマンスを見せた以上、共産党組織としては、実際の感染状況がどうであれ「収束」以外のシナリオはありえない。症状を訴えた人間は「反革命分子」扱いされかねず、自然、沈黙を強いられる。

 中国の国営企業はいち早く、パンデミックで大打撃を受けた欧州各国において現地企業の買収に乗り出すなど、混乱に乗じた攻勢に出ている。


・もちろん共産党幹部とその家族の安全は守らねばならない。ウイルスを兵器として使うには、ワクチンと治療薬まで開発済みであることが望ましい。

 現在の日本やアメリカでは、必ず情報が表に出るため、秘密裏の生物兵器開発などありえない。その点、中国や北朝鮮は違う。

 先述のとおり、生物兵器は使用者を特定しづらく、報復が難しい。すなわち抑止力が効きにくい。極秘の生物兵器開発が可能な非人道的体制をこの世からなくす以外、根本的な対策はないだろう


台湾とイスラエルを継子扱いする国連機関

・しかし、独裁体制の打倒、自由民主化を長期的戦略としつつも、その間、繰り返されるであろう中国発の新型ウイルス禍にしっかり自衛策を講じていかねばならない。この点、示唆に富むのは台湾の対応である。

 台湾は、中国と地理的に近く経済的結びつきが深いにもかかわらず、ほとんど死者をださぬまま収束に成功した。中共とWHOを信用せず、独自の情報収集と分析に基づき、航空便の検疫強化、次いで中国との往来停止など積極的な防衛策に素早く出たことが功を奏した。

 台湾当局がヒト・ヒト感染の可能性をWHOに通告したのが2019年12月31日。しかしWHO指導部が責任ある対応を取らない、どころか応答すらしないため、自主的に往来停止などの措置を取った。WHOがようやく緊急事態宣言を発したのが2020年1月30日。この間の対応が各国の被害状況を大きく分けた。


WHOを含む国連機関は、寄り合い所帯という組織の性質上、米CIA、英MI6のような独自の情報機関を持たない。役所の窓口同様、各国から寄せられるデータを待つだけで、自ら踏み込んだ情報活動をする体制も能力もない。

 この構造的弱点にさらに輪をかける事情がある。脅威に直面する度合いが大きい国ほど情報戦を戦う意識が高い。併合意図を隠さない中共と向き合う台湾、各種テロ勢力に囲まれたイスラエルがその典型である。


・ところが国連は、まさにその台湾とイスラエルを継子扱いしてきた。台湾は中共の圧力で加盟すら許されず、イスラエルはアラブ諸国や国際左翼勢力の圧力でいまだ一度も安保理非常任理事国に選ばれていない。

 近年国際的に被害をもたらした感染症では、SARSと武漢肺炎が中国、MERSが中東を発生地とする。中国と中東は今後も要警戒地域だろう。それゆえ、感染情報を素早く得、自衛措置を講じるには、台湾とイスラエルを含んだ情報ネットワーク作りが肝要となる。それは国連機関には期待できない。


感染症の中国抜き「有志情報同盟」構築を

・といって、新たに「第二WHO」を作るといった発想にも注意が必要である。鈍重な国際官僚機構をもう一つ生み出すだけに終われば、かえって機動力を失う。

 正解は、有志諸国が、それぞれの情報機関に感染症対策部門を設け、本格的な情報収集活動に当たるとともに、相互の連携を密にしていくことにあるだろう。

 この点で参考になるのが、ブッシュ(子)政権時代に立ち上げられた拡散防止構想(PSI)である


・このPSIの成果の一つが、核物質を積んでリビアに向かう密輸船の拘束だった。突破口を開いたのはイスラエル対外特務機関(モサド)で、秘密取引の仕切り役アブドゥル・カーン博士(パキスタンの「核開発の父」)がジュネーブのホテルに滞在中、室内に潜入した情報部員が、カバンの中の書類を多数写真に収めた。その中に核運搬船の情報が含まれていたわけである。

 感染症についても、場合によってはこのレベルの諜報活動も必要となろう。しかし情報を他国と共有した時点で、収集方法についてもある程度の推測がつく、信頼できる国しか中核メンバーに入れないゆえんである。


体質としての「産業スパイ国家」の異形性

・日米のような自由主義体制と中共のようなファシズム体制では、同じ表現を用いても、常に「認知のズレ」があることを意識しておかねばならない。


・オバマ政権の末期、米側代表として米中「戦略安保対話」に臨んだバーンズは、人民解放軍などによる組織的な「サイバー産業スパイ」活動を取り上げ、具体的な証拠を示しつつ、即座に中止するように求めた。結果は、約7時間に及ぶ押し問答となったという。

 中共側は頑として証拠の認知を拒んだが、バーンズはその背後に「より広い意味の認知のズレ」を強く感じたという。

 米側は「国家安全保障のためのスパイ行為と、経済的優位を得るためのスパイ行為」を峻別し、前者はプロの情報機関同士の「日常業務」であり「やられた方が悪い」と言うべき世界だが、後者は「堅気に手を出す」行為であって仁義にもとるとの立場を強調した。

 ところが中共側の口ぶりには、「政治的であろうが経済的であろうが、政府とはあらゆる手段を用いて優位を築いていくものだ」との姿勢がありありと窺えた。

 独裁政権の感覚では、そもそも政府や党は法律外の存在、すなわちアウトローであって、その行動を縛る道徳やルールなどないのである。


・また情報作戦の遂行に当たって「政府」と「民間」の区別など意識されない。外国の組織や個人は政府、民間を問わずすべてスパイ行為の対象となる。一方、中国の組織や個人は、政府、民間を問わず、すべて国家情報活動の先兵として動かなければならない。

 サイバー分野以外でも、例えば尖閣諸島への圧迫強化作戦に当たって、中国海軍と「漁船」は密接に連携してきた。両者の間に明確な線はなく、「海上民兵」が乗る漁船は軍の別動隊に他ならない。

 中共幹部と机を挟んでやり取りする中でバーンズは、相手が異形の存在であることを鋭く感じ取ったわけである。


・回顧録の中でバーンズは、国務省には交渉相手国の立場に「理解を示し過ぎ」、いつしかその代弁人のごとくになってしまう職業病があり(国務省内でも自虐的に「クライエント病」と呼ぶ)、自分はそうした勢力と常に闘ってきたと強調している。

 また陸軍軍人の家庭に生まれ育ったバーンズは決して反軍リベラルではない。圧倒的な軍事力とそれを行使する意思に支えられてこそ、特にテロ国家相手の外交は機能するとの考えを繰り返し記している。

 その人にしてこうした、全体主義政権に「理解を示し過ぎる」状態に陥るわけである。国務省と世間一般における「認知のズレ」も相当なものと言えよう。


もう一つのウイルス(情報空間支配)との戦い

・トランプ政権のピーター・ナバロ通商担当大統領補佐官はかねて、「独裁的でますます軍国主義的となってきた中国への経済的依存を減らさないなら、将来弾丸やミサイルが飛んできても全くの自業自得だ」と、中共の軍資金を枯渇させる意味でも、米国および同盟国は中国製品を買い控え、供給網から外していかねばならないと主張してきた。「米中新冷戦」や「米中のハイテク覇権争い」といった言葉をよく目にするが、事は「米中」の問題ではない。繰り返すように文明対ファシズムの闘いである。

 そして目下の主戦場は「情報通信」である。ここで中国が覇権を握れば、サイバー空間の支配に加え巨額の軍拡資金、工作資金が流れ込む。文明諸国による対中包囲網の形成が欠かせない。


・企業経営者としては、「技術力が良くて安い」ものを使わないと株主から追及を受けかねない。中国政府による各種嫌がらせも予想される。日本政府の指示なので従わざるをえない、という形を政府がいかに迅速に作れるかが今後ともカギになる。

 法治国家である以上、議会が法律制定によって政府を後押しせねばならない。さらには「政府より一歩前に出る」動きも重要である。そのことが政府の対中交渉力および戦闘力を高める。

 この点、米政府と米議会は近年、文明の将来を賭けた戦いを先導する国にふさわしい動きを見せてきた。


・要すれば、「例えば中国製通信機器に、仕様書にないポート(通信の出入り口)が見つかった例がある。インターネットで外部と通信が可能なため、不正にデータを盗み出すバックドア(裏口)に悪用できる。携帯電話の基地局については、そこを経由するスマホの端末識別用の情報や通信の宛先情報が分かる。企業のネット接続用ルーターなどは、設定次第で社内ネットワークに流れるあらゆる情報を取得できる。最近の不正プログラムは特定の時間しか動作しないなど手が込んでいて、ここまで検査をすれば安全というゴールを設定できない」というのである。

 米国では、2018年8月に成立した国防権限法が、ファーウェイなど中国の通信5社を名指しし、「安全保障」上、政府機関や取引企業の調達先から排除せねばならないと規定した。

 さらに「対象国」を唯一「中華人民共和国」と明記した上で、国防長官、国家安全保障長官、連邦捜査局(FBI)長官が「対象国政府と関係がある」と「合理的に信ずる」いかなる企業も追加的に排除できるとした。議会が政府に強力な武器を与えたと言える。


・ファーウェイと取引のある企業は米市場から締め出されていき、取引を隠して営業を続けた場合、巨額の罰金に加え、経営幹部の訴追、収監といった事態にもなろう。もちろん日本企業、日本人経営者も例外ではない。

 同盟国と相談、合意の上で物事を進めるべきだというエリートたちの声もあるが、中共の圧力に屈する国も多く、その最大公約数を取れば踏み込んだ措置にはなりえない。結局、中国包囲網を構築するのは、アメリカが制裁を振りかざして強引にリードしていく以外ないだろう。


中国排除に本気な米議会

・米議会では、通信分野のみならず米企業の知的財産を窃取したと見られる中国のすべての企業を米市場から締め出すという動きもある。

 経済面でも安全保障、人権面でも対中強硬路線を主導してきたマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、「中国にサプライチェーンを有する米ハイテク企業は、いかに困難を伴おうとも依存の低減に本腰で取り組まねばならない」と警鐘を鳴らし続けてきた。

 同じくテッド・クルーズ上院議員(共和党)も、「ファーウェイは通信企業の皮をかぶった中国共産党のスパイ機関だ。その監視ネットワークは世界を覆い、その顧客はイラン、シリア、北朝鮮、キューバなどごろつき国家だ」と国際的に排除を徹底すべしとの意見を繰り返しおおやけにしている。


アメリカ、WHO脱退の論理

・2020年5月29日、トランプ大統領は中国に関する演説の中で「中国に支配され」、本来の責任を果たさず、改革の意思も見せない世界保健機関(WHO)との「関係に終止符を打つ」と脱退を表明した。WHOに拠出予定だった資金は「他の国際的な、資金を出すに値する緊急性の高い保険事業に振り向ける」としている。

 米保守派はこれを歓迎したが、日本では否定的な捉え方が多いようだ。「またトランプが国際社会での責任を放棄し、身勝手な行動に出た」というわけである。はたしてそうか。


新型ウイルスは今後とも中国で発生する可能性が高い。中共に近いWHOを権威とする姿勢を改めない限り、日本はそのつど感染の渦に巻き込まれることになろう。

 なお、国連機関というと聞こえが良いが、要するに「特殊法人」である。幹部職員は各国の官僚OBで占められている。整理縮小に官僚が必死に抵抗するのは、居心地のよい第二の就職先、出向先を奪われるからである。事情は、国内の特殊法人改革が挫折に終わる経緯と変わらない。

 国連機関が少なからず、設立趣意に反して、単なる中間搾取団体、さらには民間活動を妨害する存在と化しているのも特殊法人と場合と同じである。

 途上国支援は、「援助貴族」と言われるWHOや国連開発計画(UNDP)のような肥大化した官僚組織を通すのではなく、実績あるNGOに直接資金供与する方がはるかに効率がよい。


・2020年春、新型コロナウイルスの影響で経営に打撃を受けた中小企業に国が最大200万円を支給する持続化給付金をめぐり、事業を委託された経産省の外郭団体がほとんどの業務を大手広告代理店に再委託しながら、20億円を事務経費名目で「中抜き」していると野党が追及した。


・しかしそれなら、毎年国庫から出て行く国連諸機関への拠出金についても同趣旨の追求が行われねばならないだろう。拠出金凍結や脱退を武器に無意味有害な事業や中間搾取を排していかねばならないはずである。ところがそちらはほとんど素通りである。

 国連と聞くと思考停止に陥る習性を改めないと、日本はどこまでもカモにされる。官僚任せでいる限り、拠出金の減額ないし停止を武器に改革を迫るような動きは出てこない。日米の違いは結局、政治家の意識の違いということになろう。


今後も歩調を合わせる中共とWHO

・なおテドロスは高まる批判を振りほどこうと焦ったのか、2020年4月8日、黒人の自分に対する人種差別的言動が台湾から噴出していると、会見の場で根拠なき誹謗中傷を行った。

 アメリカでリベラル派がよく政争に使う「人種カード」の国際版である。


・中共とWHOは、今後も歩調を合わせて国際情報戦を展開していくと見ておかねばならない。

 北京の後押しで、テドロスは国連事務総長の座を狙っているといわれる。アメリカで保守政権が続く限り、安保理常任理事国としての拒否権を発動して阻止するだろうが、民主党政権になれば、単に棄権くらいで実現を許してしまうかもしれない。そして韓国の潘基文(パンギムン)はじめテドロス程度の人物が何人も事務総長になってきたのが国連の歴史でもある。


アメリカの国連人権理事会脱退は当然の判断

・WHO脱退に先立ち、2018年6月19日、トランプ政権は国連人権理事会からも脱退している。以後、拠出金は払っていない。日本でも予想どおり、「人権に背を向けたトランプ」といった単純な批判が多く聞かれた。しかしここでも「中国」が、アメリカの決定の最重要ファクターである点を見落としてはならない。


・要するに「人権問題は人権理事会で」という中国の主張は、まず事案を制裁権限を持つ安保理から制限権限を持たない人権理事会に追いやった上で、メンバー国の事案は取り上げないという不文律を盾に握りつぶしていくという意味に他ならない。


香港弾圧に米国よりも中国を支持した国連加盟国

米国「抗議暴動」の真相は何か――「黒人の命は大事」とアンティファ

バイデンは本当に外交安保通か

・ジョー・バイデン(1942年生)は「外交通」を以て任じてきた。彼の回顧録『守るべき約束――人生と政治で』は、家族に関するとりとめのない記述が多く散漫な本田が、国際政治の知識と経験では誰にも負けないと盛んに強調している。だが、はたして実際そうか。

 バイデンは、米政界エスタブリッシュメントの最高級会員制クラブというべき連邦議会上院で、44歳で司法委員長になり、その後数次にわたって外交委員長を務めた。いずれも注目度の高い重要ポジションである。これには、彼が異例の若さで初当選したことが大きく寄与している。

 経済界では若手の大抜擢が当たり前のアメリカ社会だが、上院は古来、年功序列を基調とする世界である。各州平等という憲法の建前上、人事に当たって当選回数以外の基準を採用しにくいためである。


「それほどタフじゃない」カマラ・ハリス

・もっとも、人種問題はしばしば諸刃の剣である。バイデンを攻撃したつもりが、逆に自滅を招いたケースもある。典型例は、ジャマイカ人(黒人)の父とインド人の母を持つカマラ・ハリス上院議員である。


レーガンの対ソ政策を理解できなかったバイデン

・さて自らを中道左派と位置づけるバイデンだが、外交安保政策では安定と多国間協調を重視する現状維持派である。

 例えば1980年代にレーガン大統領が打ち出したミサイル防衛構想(SDI)にバイデンは強く異を唱えた。軍拡競争を招き米ソ関係が不安定になるとの理由である。レーガンの対ソ政策はまさにソ連崩壊、すなわち積極的な不安定化を目指すものだったが、バイデンにはそうした発想は理解できない。


世界を混乱させるサンダースの「平和憲法」的非介入主義

「勝つことによって終わらせる」レーガンの冷戦戦略

・ソビエト連邦崩壊の過程は、現代中国の行方を考える上で多くの参考資料を提供してくれる。「悪の帝国」ソ連を崩壊させた最大功労者の一人、ロナルド・レーガン米大統領は「勝つことによって冷戦を終わらせる」が口癖だった。「われわれが勝つ。彼らは負ける。それが私の冷戦戦略だ」という単純ながら本質を突いた言葉もレーガンにはある。


大物スパイ「フェアウェル」

テクノロジーでの対ソ・カウンター攻撃

「シベリア・パイプラインの爆発「事故」

チェルノブイリと武漢ウイルスの類似

・2020年2月初旬に北京大学の憲法学者ら50人以上の中国人識者が、文字どおり命がけで発表した声明文に、武漢ウイルスの蔓延は「言論の自由の封殺によって引き起こされた人災だ」とある。いち早く警鐘を鳴らした若い男性医師が、「デマを流した」と逆に当局に弾圧されたのが典型例である。


レーガン保守なら中国をのさばらせなかった

・冷戦の後半期、アメリカは、対ソ包囲網強化の観点から、同じ抑圧体制でありながら中国を特別扱いした。そこには、経済の「改革開放」が政治の民主化につながるはずという幻想もあった。それゆえ、本来ソ連とともに「歴史の灰の山」に落ちていくべき体制が生き残り、先進ファシズム国家へと成長した。ここで流れを逆転させなければ、冷戦の最終的勝者は中共だったということになりかねない。

 中共独裁を突き崩す機会が、これまでなかったわけではない。1989年6月の天安門事件がその一つである。


国賓は普通選挙を条件とせよ

・天安門事件後、日本は、天皇訪中によって中共の「国際復帰」を大いに助けた。いままた中共は、日米分断とイメージ改善のため、習近平の国賓訪日を実現させようとしている。

 あまりに中国に深入りしたがゆえに、多くの日本の経営者は、中共の嫌がらせや資産没収を恐れて身動きが取れない。そうした財界の怯えを背景に、日本政府も、習近平国賓招待という宥和外交の旗を降ろせない。国会議員も大半は、彼らの唯一の行動原理たる「長い物には巻かれろ」に従い、何の意思表示もしない。


現代中国は史上最大のファシズム国家であり、したがって習近平は史上最大のファシストである。人権抑圧は習体制の下で一段と悪化した。2020年7月23日には、ポンペオ米国務長官が、事実上中国の体制転換を呼びかけた重要演説の中で、習近平を、抑圧と覇権追及の張本人たる「破綻した全体主義イデオロギーの盲信者」と名指ししている。

 世界が注視する中、そうした人物への最高の「おもてなし」を両陛下に強要することは許されない。かつて、ヒトラーと組んだ日独伊三国同盟で、日本の国際的イメージは地に堕ちた。その轍を踏むことになりかねない。


・経済界は日本に限らず、中共のハラスメントに強く抵抗できない。トランプも、経営者時代は、従業員の生活もかかっており、中国市場では中共の意向に沿うしかなかったと苦々し気に振り返っている。しかし、政治家は違うとも強調している。アメリカがリードして、国際連携で企業をバックアップすれば中共の不正と戦える。それが大統領を目指した最大の動機だという。


結語 新冷戦へ向けての日本の決断

・2019年4月、安倍首相の特使として訪中し、習近平を表敬訪問した二階俊博自民党幹事長は、会談後、「今後も互いに協力し合って一帯一路構想を進めていく。米国の顔色を窺って日中の問題を考えていくものではない」と鼻息荒く語った。

 一方二階が、「中国の顔色を窺って日米の問題を考えていくものではない」と語った例を知らない。中共の顔色は常に窺うが、露骨な嫌がらせをしてこないアメリカに対しては安心して虚勢を張るという、田舎の顔役めいた姿勢が情けない。

 実は二階のこの「顔色」発言はアメリカの知るところとなっている。


・それでも安倍政権は、集団的自衛権の一部行使に踏み込んだ平和安全法制を成立させた(2015年)。対して立憲民主党を中心とする野党は、いまだに同法制の廃止を唱えている。

 もし、旧民主党政権が復活し、公的実行に乗り出したら、アメリカから強烈な反発が来るだろう。結局は、早々に公約撤回に追い込まれるはずである。公約違反に期待するしかないような政権を誕生させる余裕は日本にはない。日本が目指すべきは、「新冷戦」を勝ち抜くだけの意志と「体幹」を備えた強国である


「選挙を意識」

・この「選挙を意識」という言葉は、政治家を貶めたいときによく使われる。しかし選挙を意識しなくてよいのは、習近平や金正恩のような独裁者だけで、民主国家の政治家なら当然、選挙を意識する。というより、「選挙を意識する人間」が政治家の定義そのものだ。政治家に「お前は政治家だ」と言っても始まらない。

 批判されるべきは、①特定有権者層の「票を買う」ため長期的な国益を損なう場合、②言葉と行動が矛盾する場合、に限られる。

 つまり、国益の棄損や言行不一致まで踏み込んで論じて、はじめて政治家批判として意味を成す。


・国家基本問題研究所の下部組織である朝鮮問題研究会の会合も常に知的刺激を与えてくれる。ここは韓国、北朝鮮研究のベテランが集う場所で、私はアメリカの政策について多少の情報を提供する以外は、もっぱら学生の立場で勉強に努めている。

 歴史認識問題研究会は、いわれなき誹謗から日本を守り、歴史戦に勝利するという明確な目的意識を持った研究機関である。私も役員の一人として、月例研究会に参加している。


・スーザン古森氏は、「拉致被害者を救う会」在米アドバイザーでもある。家族会、救う会、拉致議連は、これまで何度も訪米団を組み、ワシントンやニューヨークで米政府高官、議員、国連関係者、有識者などと意見交換してきた。私も会副会長の立場でたびたび参加している。


・一度、同僚教員の知り合いの中国人女性、李さん(仮名)が北京で日本語教室を開いたというので、通訳をしてくれたお礼に、私を含む数人が1時間程度、特別授業をしたことがある。ごみごみした古い雑居ビルの2階に教室はあった。若い人を中心に生徒は多かった。

 授業後、李さんに「繁盛していますね」と言うと、突然表情を曇らせ、だから問題が生じているという。生徒が集まっていると聞いた地区の共産党幹部が、自分と同じビルに日本語教室を開き、入り口に大きな看板を出す一方、李さんの教室の看板は表通りから撤去するように命じたという。中共の行動パターンを現地で垣間見た瞬間だった。